区長あいさつ

○鈴木恒年区長 平成15年第4回足立区議会定例会の開会にあたりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、平成15年第4回足立区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様には、ご多用中にもかかわらず、ご参集を賜りまことにありがとうございます。
 時のたつのは早いもので、既に師走に入っております。衆議院議員選挙も終わりまして、これからの日本を担っていく新たな国政が始まりました。今回の選挙では、各党が競って政権公約を掲げ、国民の関心は大変高いものがありました。とりわけ年金や社会保障問題、経済や金融、景気や雇用問題に対する関心と期待には、大きいものがあったと思っております。今回の選挙のように、従来の単に公約と言っていたものを、マニフェストとしてより具体的にしていくと、選ばれる側の責任は当然のことながら、有権者の責任も重くなっていくということになろうかと思います。行政といたしましても、こうした仕組みを生かし区民の期待にこたえるためには、行政の情報の積極的な提供と公開等によって、区政の透明度を向上させ、広く区民の意見や評価をいただく機会を積極的に設けていくことの必要性を、改めて感じている次第であります。
 さて、景気の動向についてでありますが、景況感がプラスに転じ、徐々に上向きの傾向が見られるとの報道が最近多くなっておりますが、いまだ身近に実感できるまでには至っておりません。ここ数年来、区内の失業率も高く、とりわけ若年層の失業率が高くなっている実情であります。若年層に関しましては、若者の人生観の変化や生き方の多様化なども影響しているようではありますが、国の将来にとっても大変気がかりなことであります。
 国では現在、経済財政諮問会議を中心に、行財政の効率化や住民サービスの質的向上とともに、雇用の拡大と経済の活性化について、三位一体の改革を着実に実現させるための具体策の検討が進んでおります。財源問題では補助金のあり方が、行政サービスの民間開放については業務・事務の外部化や民間開放の進め方、社会保障と年金問題では給付水準や世代間の公平性のあり方、そして、地域再生の観点からは地域経済の活性化と地域雇用の創造などが集中審議されております。
 これらの諸課題を解決する上での基本的な視点は、地域がみずから考え行動し、国がそれを支援することとなっておりまして、これはまさに構造改革特区の精神そのものであります。地域の主体性、自主性を生かし、地方にできることは地方に、民間にできることは民間に、という方向で必要な法整備がなされていくものと認識をしております。中でも、地域再生のための施策の推進につきましては、10月下旬に内閣に地域再生本部が設置され、現在、政府の基本指針策定と具体的な地域再生施策の制度設計に向けての詰めが行われております。
 そのような中、国の認定を受けた官民共同による雇用創出特区事業を、先月4日からスタートいたしました。庁舎北館2階のワークコーナーを大幅に拡充して開設した「あだちワークセンター」には、初日には295名、その後も連日多くの方々が訪れまして、就労紹介などを受けております。
 また、この事業とあわせまして区内産業界のご協力によって立ち上げました「経済活性化推進協議会」や「雇用促進協議会」などの活動とともに、区内産業・商業の活性化と雇用促進に、さらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 さて、年末ということでもありますので、若干この1年の区政を振り返ってみたいと思います。
 まず1つ目は、5月に実施されました区議会議員選挙と区長選の同時選挙であります。私は、この選挙で区民の皆様の信任を受け再選を果たさせていただきました。気持ちも新たに区政運営に力を尽くす決意であります。
 また、都知事選挙、そして、さきの総選挙があり、ことしは選挙の年でもありました。国政、都政、区政と、それぞれ立場は違いましても、有権者の皆様の期待と負託にしっかりとこたえていくべき使命と重さは、政治を預かる者として、いずれも同じものがあると思っております。
 2つ目には、7月に区民参画による基本構想審議会が設置されたことであります。
 「ともに創る足立の未来」をスローガンに、足立区の将来ビジョンである基本構想、さらには、それに続く基本計画に区民の皆様の声を反映して、安全、安心、そして安らぎのあるまちづくりと、希望と活力のある社会を築いていこうとするものであります。平成16年度早々には答申をいただき、これと前後して基本計画策定に着手していく予定であります。
 3つ目には、交通網の整備であります。
 鉄道両新線におきましては、開業時期が明らかになってまいりました。つくばエクスプレスについては全線で工事が順調に進み、17年秋開業が確かなものになってまいりました。日暮里・舎人線も、区内で唯一着手できなかった江北駅周辺の基礎工事の契約がなされ、全区間で工事着手できることになり、こちらも19年度開業に向けて順調に進んでおります。また、コミュニティバス「はるかぜ」も、これまでの2路線から、ことしに入って新たに3路線が開業し、計5路線の運行となり、区内の交通網整備に大きく寄与することができました。今後も引き続き、交通不便地域の解消や利便性の向上に向けて一層の努力をしてまいりたいと考えております。
 4つ目には、国の新しい取り組みや規制緩和の流れを活用して、区としての自律性を確保し、その責任を全うするための取り組みであります。
 冒頭にも少し触れましたが、国の構造改革特区の認定を続けて2つ受けることができました。雇用創出特区は、さきにお話申し上げたとおりでありますが、もう一つは、障害者の社会生活をより豊かにするための第一歩となる「えんじょい特区」であります。既存の法の枠にとらわれずに、知的障害児施設調理業務の外部委託を可能にするものでありますが、単なる業務の外部委託にとどまらずに、これを手始めとし、障害者本人の生き方の選択を尊重して、生活をより豊かにしていくためのさまざまな施策につなげていくためのものであります。今後もさらに特区申請を検討してまいりたいと考えております。
 5つ目には、区政の仕組みを大きく転換するために、包括予算制度の全庁的な実施や区政透明化計画の策定を行いました。
 これは構造改革戦略に掲げました自律型組織への転換と、区民との協働による区政実現に向けて大きく前進するための改革であります。各組織が主体的に事業を運営し、あわせて区民の要望を受けとめ、計画から実施、そして見直しに至るまでのマネジメントサイクルに沿って区政運営を行うためのものでもあります。これによりまして、組織の自律性を高めていきたいと考えております。
 このほかにも、この1年にはさまざまな取り組みがありました。社会の変化や国の変化を受けとめて、新しい取り組みに着手し、これらを実現、もしくは実現に向けて大きく前進できた1年であったと考えております。これもひとえに議会の皆様方のご理解、ご協力のたまものであると、改めて感謝を申し上げる次第であります。
 私は、事あるごとに職員に指示していることでありますが、「いまやらなければならないことを実行する」という点から、区政運営の目標をより明確にし、必要があれば既存の仕組み等を根本から改めて区政運営を行っていきたいと、常日ごろ考えております。
 さまざまな取り組みに積極的に取り組んでいるとはいえ、区政においては重要な課題が山積しているのが実情であります。子ども、高齢者、まちづくり、産業と雇用、環境、電子自治体などの重点項目をはじめとして、財源見通しをしっかりと持ち、区の構造改革戦略に沿った着実な行財政運営を行ってまいりたいと考えております。今後とも、皆様方のなお一層のご理解とご協力を賜りますよう、お願いを申し上げます。
 次に、補正予算について申し上げます。
 今回ご審議をいただきます補正予算は、一般会計、国民健康保険特別会計の2会計であります。
 一般会計の補正予算額は、8億円余を追加計上するものであります。
 主な内容を申し上げますと、児童扶養手当の経費5,000万円余、要保護・準要保護児童生徒の援助経費として1億4,000万円余、補助136号線の計画にかかる用地を土地開発公社から買い戻す経費3億4,000万円余、綾瀬新橋東側歩道設置の経費1億3,000万円余、北千住駅西口地区再開発経費5億円余などを追加計上いたしました。
 これらの財源につきましては、契約差金や事務事業の見直しに伴い発生した削減経費など6億2,000万円余を減額計上し、国庫支出金、都支出金、土地開発公社貸付金元金の歳入などを充てております。
 また、債務負担行為として千寿第三小学校改築に伴う基本設計並びに実施設計、北千住駅西口地区再開発の進捗に伴う地下連絡通路の改良工事、(仮称)あだち新産業振興センター地下埋設物撤去工事の負担金などであります。
 国民健康保険特別会計につきましては、緊急地域雇用創出補助金を活用した事業で、国民健康保険に加入している外国人向けの国保の手引き作成経費700万円余、保険料の還付に伴う経費2,000万円余を追加計上いたしました。
 なお、今回ご提案申し上げました議案は27件、諮問1件であります。各議案の提案趣旨につきましては参与よりご説明いたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。