介護保険法の見直しにあたり保険者の足立区として
国に意見を上げることについて(要望)

2003年12月16日

足立区長 鈴木恒年 様

日本共産党足立区議団

 介護保険制度は開始されてから3年が経過しました。3年前「見切り発車」「欠陥だらけ」との指摘もあるなかスタートし、国の特別対策をはじめ各自治体での独自策がうちだされるなど多くの手直しを余儀なくされ、本年「法の枠内での見直し」で各自治体の第2期介護保険事業計画が動き出しました。政府は、介護保険法に定められた本格見直しに向け、本年3月から厚生労働省内の高齢者介護研究会が検討を重ね、6月に「2015年の高齢者介護」を発表、そして、社会保障審議会の介護保険部会で本格見直しに向けて検討が進められています。私ども日本共産党議員のところにも、たくさんの要望が寄せられています。いよいよ法改正をともなう本格見直しの時期を迎えます。
 日本共産党足立区議団は、10月に直接国に足立の現状・実態にもとづいた要請書を提出しました。保険者である足立区からも、以下の点について保険者の意見として国にあげていただきたく、要望するものです。

1、 「介護サービスが充実すると保険料が上がる」という、保険料とサービスが連動するしくみを根本的に改め、保険と福祉を結合した制度にすること。そのためにも国庫負担の比率を抜本的にひきあげてください。
2、 第2期基準保険料は、足立区は3217円で5段階8階層です。区は保険料のすえおきと低所得者対策の実施をしましたが、区民の生活実態から、本来法で行なうべきことを、自治体の軽減策として実施しなければならないのは、欠陥のあらわれです。それも、給付準備基金が底をつけば値上げを余儀なくされてしまいます。また、5段階の「応能負担」では不十分です。所得のない無年金者や生活保護基準以下の収入の年金生活者の保険料が生活保護世帯より高額の保険料負担は重過ぎます。より所得に応じた応能負担とし、低所得者世帯は免除するよう保険料のしくみを抜本的に改正してください。
3、 利用料負担が重くのしかかりサービス受給抑制をせざるを得ない事態を解決し、24時間在宅介護体制を確立するために、所得に応じて減額・免除する制度を設けてください。自己負担率の引上げは介護の社会化に逆行するため行なわないで下さい。
4、 足立区は在宅24時間型介護の先進自治体でしたが、支給限度額がネックとなり、施設入所を余儀なくされる中、24時間型介護が大きく後退しました。こういった事態を解決するために、介護サービスの支給限度額を撤廃し、医療保険と同じように利用者が申請したら必要なサービスが必要なだけ受けられるようにしてください。
5、 在宅介護は、特別養護老人ホームと同じレベルの24時間在宅介護サービスをめざして在宅サービスを充実すること。そのためにも24時間在宅介護体制ができる介護報酬となるよう引き上げ、地域ミニデイサービスなど多様なサービスも柔軟に保険給付できるようにして下さい。
6、 介護の基盤整備について
@ 11月現在の足立区の特養ホーム入所を待っている方は1865人と膨れ上がる一方です。圧倒的に不足している特養ホームを倍増してください。
A 市場原理のもと特養ホームから排除されがちな痴呆性高齢者のグループホームは区民の切実な要求でありグループホームの建設・運営に国としての財政支援を行うこと。
B 「新型特養」の場合は低所得者や生活保護世帯も入所できるようにすること。
C 小規模多機能型介護拠点の整備にきちんと助成し、内容を充実できるようにすること。
D 有料老人ホーム入居者はホームに住居地を移すことが原則になっています。その結果、地価が安く有料老人ホームの進出が著しい足立区にとっては、介護保険会計を膨らませ、保険料に跳ね返る結果となってしまいます。特養ホーム同様に住所地特例を設けてください。
7、 社会福祉専門職の賃金は全業種中最下位(東京労働局調査)です。ホームヘルパーは、移動の時間はまったくの無報酬で、実際には大変な介護を負っていますが「割に合わない。時給が低くてもスーパーなどで働いたほうがまし」とせっかくの資格を棒にして、介護現場を離れる方もあとをたちません。介護福祉現場の劣悪な労働条件を改善するとともに、介護事業者への支援を強め、安定した運営でサービスが提供できるようにしてください。
8、 障害者サービスを介護保険に統合することはやめ、独自の施策として発展させること。サービス供給は、社会参加や移動の保障も含めたものにすること。また、20歳からの保険料徴収は行なわないこと。

以上