平成15年度足立区一般会計補正予算案に対する反対討論

鈴木けんいち議員


 ただいま議題となりました第1号議案、平成15年度足立区一般会計補正予算(第4号)につきまして、日本共産党足立区議団を代表して反対の立場から討論を行います。
 この補正予算は、今年度最終の補正予算となるものです。今年度は部別包括予算制度が、庁内すべての部で実施された最初の年です。また、投資的経費を年間180億円以下に抑えるとした財政健全化計画の最終年次です。
 区は包括予算制度の導入で、財源や経費の留保を避け、年間財政運営を見通した総合予算とすることをうたい、補正予算は極力組まないと言ってきました。しかし、本補正予算は72億円もの大型の増額補正となりました。
 その中身を見ますと、歳入は都区財政調整交付金42億2,000万円の特別区交付金、土地開発公社貸付金収入38億8,000万円などの諸収入、生活保護費11億7,000万円などの国庫支出金を初め、111億円もの歳入が計上されました。また、特別区税は、区民税は減収になったものの、たばこ税は3億9,000万円の増収となりました。
 これらの歳入について、わが党はこれまでも、十分見込むことのできる歳入であり、これを活用して区民生活を支える施策に充てるべきと要望してまいりました。しかし、区は、特に都区財調交付金については、総務委員会質疑の中でも再度明らかになったように、区別の算定が確定した時点で、増収分28億円のうち4億円だけしか計上せず、その後の再算定分18億円が追加されて42億円余となったものです。また、たばこ税について、区はせいぜい2、3億円としていましたが、4億円近い増収となり、これもわが党が指摘していたとおりになりました。
 それだけでなく、区は財源不足を理由に、当初予算で歳入に減債基金の取り崩しなどの繰入金を盛り込んでいましたが、本補正予算で26億円減額されています。本来、歳入されるはずだったことを考慮すれば、本補正予算は137億円規模ともなります。こうした予想できる歳入を生かして、積極的に区民を支えようとする姿勢に欠ける鈴木区長の政治姿勢が改めて浮き彫りになりました。
 一方、歳出では、土地開発公社からの用地買戻し42億2,000万円、減債基金への積み立て27億4,000万円、土地開発公社への貸付金20億円など、開発関連と積立金が中心となっています。投資的経費は31億6,000万円の増額で、補正額の43.7%を占め、年間180億円以下に抑えるとの目標の1.84倍、332億円に膨らみました。
 包括予算制度で、各部の年度当初予算は押さえ込んで、区民に密接な施策の展開には制限を加えながら、その外側にある投資的経費は、年度途中に入るお金をつぎ込んで、自由に膨らませる手法が明瞭になっています。
 今補正予算でも、生活保護費が1億5,000万円の増額になっていることからも明らかなように、区民の暮らしはますます厳しさを増しています。
 しかし、こうした区民を直接支える施策のための予算はほとんど盛り込まれませんでした。それだけでなく、貸付要件を厳しくして、貸し付けを制限した生業資金は、少なめに見積もった見込み件数(15件)すらも貸し付けがなく、実績6件に止まって減額されました。改定前の平成10年58件、11年65件、12年48件と比べて、まさに激減です。
 わが党は、生業資金は生活保護への落層を防止するする点でも重要で、貸し付けの制限は自立への道を閉ざすものと指摘をしてきましたが、この間の区民に冷たい施策が、予想以上に区民を直撃していることも明らかになりました。
 まちづくり関係では、テレビ電波障害積立基金への積み立て5,200万円が計上されていますが、既に基金は2億8,000万円ある上にまちづくり公社自体にも積み立て5,000万円があり、これらを総合すると、4億円近くなります。必要な事業ではあるが、こんなに積み立てが必要なのか、疑問が残ります。
 (仮称)総合文化センター(足立区文化芸術劇場)建設費では開館記念事業(こけら落とし)費用の1億円を全く執行せず、全額減としています。本当に必要な費用でありながら、何らかの事情で年度内に執行されない場合は繰越明許で繰り越すのが通常です。
 足立区文化芸術劇場の運営をめぐっては、区は今議会に株式会社コミュニティ・アーツを指定管理者とする議案を提案していますが、これまでもさまざまな不透明さや不自然さが指摘されてきました。公共性の高い文化芸術劇場の管理運営が株式会社になじむのか、経営責任が明確にできるとか、自由な経営の展開で収益性を高めることができると言うが、実際には運営費は区が支出、その上本来、株式会社が資本金で賄うべき経費まで区が支出し、無利子の貸付金まで用意するありさまです。
 こういう流れの中でこけら落とし費用として当初予算に1億円が盛り込まれましたが、それが今回、全額削除とは不透明のそしりを免れません。
  本補正予算では、限られた財源をお金がないと言っては区民施策を削り、お金があれば開発や積み立てに回すという鈴木区政の政治姿勢が一層明らかになりました。
  こうした行財政運営は、4年前、財政健全化計画で、平成15年度までの4年間に403億円もの累積赤字が生じることが予想され、財政再建団体に転落するというシナリオもあながち否定できないと、区民施策の廃止、縮小を打ち出し、その後の構造改革戦略でその方向を加速させてきた鈴木区政の集大成的な意味合いを持つものです。
 お金の使い方を改めて、区民の暮らしと営業を支える区政に転換することを求めて反対討論を終わります。