足立区子育て支援サービス利用者負担適正化審議会条例に反対する討論
大島芳江議員 |
私は日本共産党足立区議団を代表し、ただいま議題となりました第26号議案、足立区子育て支援サービス利用者負担適正化審議会条例に反対の立場から討論を行います。 本議案は子育て支援サービスにかかる利用者負担の適正化を図るため、必要な事項について調査、研究、審議し、その結果を区長に答申するための審議会を設置するものです。 少子化が社会問題となり、国をあげて少子化対策を進めざるを得ない状況が続いています。しかし、社会経済状況が低迷する中、結婚して子どもを産み育てることへの困難さは一向に解消されていません。安心して子育てのできる環境を整えることは、自治体の使命でもあります。 わが党は、子育てにかかわる区民要求に根ざした支援サービスをどのように広げていくかということを検討することに反対するものではありません。しかし、本議案は、サービス利用者にその費用をどのように負担してもらうかということを審議する審議会設置条例です。委員会審議では、利用者負担の適正化として審議する中心は保育料であることが明らかになり、しかも検討の方向は、保育サービスはどうあるべきかという観点からではなく、かかった費用、サービスのコストに見合った負担になっているかどうかを審議するというものです。 昨年12月、区はこの審議会の前提となる足立区の子育て支援策を考えるという討論素材(グリーンペーパー)を発表し、区民に対し、保育園運営にいかにお金がかかっているかを強調しました。 そもそも保育園は、保護者の労働や疾病などによって乳幼児の保育に欠け、保護者が必要としたときは、自治体として保育しなければならないと、児童福祉法に定められた施設です。しかも保育所に入所させられない事由があれば、自治体の責任で、その他の適切な保護をしなければならないと厳しく規定されている福祉施策であり、他の子育て施策とはかりにかけて議論すべきものではありません。 ところが区は、この保育に欠ける状態を改善し、自治体の責務を果たすための重要な施策を、お金がかかりすぎると敵視し、保育にかかる費用をどれだけ区民に負担させるかが、この審議会の目的になるのですから、保育料値上げにつながる議論になることは間違いありません。 今、区は次世代育成対策推進法に基づく次世代育成地域行動計画づくりの先行自治体として子育て支援計画を策定中です。この計画づくりを担当しているのが、地域保健推進協議会の中の子育て支援専門部会のメンバーです。このメンバーには著名な学者を初め、子育てアドバイザーやNPOの方など、幅広く子どもに携わっていく方たちが入って検討を進めています。地域保健福祉推進協議会の中の介護保険専門部会では、介護サービスの計画づくりと、介護保険料の負担のあり方の両方が審議され、答申が出されています。 さまざまな子育て支援計画も、費用負担と連動する内容を持っていることを考えれば、利用者負担の問題だけを取り出して審議する審議会を、わざわざお金をかけてつくる必要は全くありません。また、本条例案にあるように、公募委員をメンバーに加えることは重要ですが、それならばこれまで同様、特別部会員として公募の委員を追加すればよいことです。 女性の社会進出や核家族化の進行、加えて家計を支える父親のリストラ、失業、収入減少などで、母親も働かなければ食べていけない。まさに保育問題は、子どもとその家族の生活問題ともなっています。こんな不安を抱える区民が増える中で、適正化の名のもとに、保育料値上げを検討するための審議会設置は、区長の言う子ども施策を重視し、安心と未来を育むことに逆行することを申し上げて討論を終わります。 |
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