足立区立校外施設条例の一部を改正する条例に対する反対討論
松尾かつや議員 |
ただいま議題となりました第38号議案、足立区校外施設条例の一部を改正する条例に対し、日本共産党足立区議団を代表し、反対の立場から討論を行います。 この議案は、児童及び生徒の健康の増進、学習活動の充実及び健全な集団生活の体得を図ると同時に、区民の社会活動及び健康増進に寄与する目的として設置されていた足立区の4カ所の校外施設のうち、塩原林間学園を廃止するというものです。 今回、この議案に対し反対する第1の理由は、小中学生の楽しみの場でもあり、貴重な成長の場を縮小することになるからです。 区はこの間、子どもの数の減少、教育委員会予算における義務経費の増加、この学習に伴う事前事後学習が通常学習を圧迫しているなどを廃止の検討理由としてきました。さらに区が、二学期制が持つ最大のメリットと言っていた確かな学力をつけるための学習時間を確保するために、貴重な宿泊体験学習の機会を削減しようとしている点も見過ごすことはできません。学力の定着を図る上でも、重要な体験学習の機会を縮減するのでは、子どもたちの成長の場を奪うことになります。 文部科学省は、平成15年に学校教育に関する意識調査を実施し、学校行事が楽しいとしている中学生が半数以上にのぼること、さらに自然体験、ボランティア活動などに時間をかける授業をしてほしいと望む生徒が7割にのぼること、自然や社会についての基礎的な知識について、学校教育で身につけてほしいと考える保護者が57.1%、教員も47.6%にのぼることを明らかにしており、自然体験に関わる体験学習に対する期待はますます高まっています。 また、中央環境審議会の答申でも、環境教育・環境学習の基礎となる自然への感性や環境を大切に思う心は、恵み豊かな自然の中で、五感を駆使して感動、驚き、おそれなどを体験したり、生活体験を積み重ねることにより培われるものであり、特に幼少期においては、このような良質の体験機会が重視されるべきであると述べています。 こうした調査・答申から見ても、区が4カ所の校外施設で実施している自然体験学習はまさに合致するものであり、足立区が23区で比較しても、回数が多いという点は、足立区の財産、宝とすべきものです。 区内中学校では19日に卒業式が行われ、各卒業式の答辞では、卒業生が、「塩原自然教室をみんなで力を合わせて取り組み、きずなを感じた。人生切れることのないきずな、これは私たちの宝です。」「塩原自然教室での登山は苦しかったが、みんなで頂上に登ったときの壮大な景色と爽快感は生まれて初めて体験したものでした」と、それぞれの学校で語られていました。こうした貴重な体験活動の場を縮減してしまっていいのでしょうか。 第2の理由は、この塩原林間学園だからできた持ち味を失うことになるからです。この塩原は、区が所有する4カ所の施設で唯一の芝生グラウンドを持つ施設です。芝生のグラウンドの持つよさは、しばしば議会でも指摘され、そのメリットがあるからこそ区内小中学校のグラウンドの芝生化も現に実施されてきています。この塩原林間学園は、現在、学校に芝生のグラウンドがなくても、その場所を利用することによって、どの小中学生も恩恵を受けることのできる貴重な施設であり、芝生があるからと、サッカーなどの練習のためにわざわざ合宿で利用している子どもたちも現に存在しています。 また、この塩原は、山中湖が国立公園内で火が使用できないために、中学校の自然教室で唯一キャンプファイヤーが実施できた施設であります。区はキャンドルサービスがあるとしていますが、これは従来から山中湖自然教室において実施されてきたものであり、小学生から中学生となり、新たな仲間とともに大自然の中でキャンプファイヤーを行う機会がなくなるという本質は全く変わりません。区教委発行の塩原自然教室実施要綱中、レクリエーション指導に位置づけられた貴重な体験の機会を奪うことになります。 先の文教委員会で区は塩原について、ほかにないこと、塩原でしかできないことがあることを認めた上で、廃止を検討するに当たって、「たまたま塩原になった」と述べていますが、貴重な体験ができる塩原をたまたまで廃止してしまっていいのでしょうか。 第3の理由は、区民利用の場を縮減することになるからです。塩原林間学園を含め、4カ所の校外施設は、同時に保養の側面も合わせ持つものであります。利用者数そのものも、年間約2,400人もあり、他の施設と比べ極端に閉鎖せざるを得ない状況にはありません。冬場もスキーなどで利用でき、夏場もハイキングなどで利用されてきた区民のニーズに背を向けた冷たいやり方を認めることはできません。 以上3点にわたり、今回の条例に反対する理由を述べ討論といたします。 |
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