足立区特別区税条例の一部を改正する条例に反対討論

伊藤和彦議員


○伊藤和彦議員 私は、ただいま議題となりました第44号議案、足立区特別区税条例の一部を改正する条例に日本共産党足立区議団を代表して反対の立場から討論を行います。
 今回の改正理由となっているのは、第159回国会で成立した地方税法、所得税法の一部を改正する法律によるもので、これは自民、公明党による税制改正大綱で、地方分権の推進を支える税制として提起されたものです。その中身は三位一体改革の看板による財政支出大幅削減のもとで行われ、今年度を見ても、削られた合計は3兆9,000億円、増えた地方の税源は4,500億円にすぎません。国の財政赤字を地方に押しつけるねらいがはっきりと示され、その穴埋めを地方自治体と住民の負担で行うための改正が中心となっているものです。
 今回の条例案の「改正」点は、老年者控除(17条)を廃止するものです。65歳以上で所得金額が1,000万円以下の高齢者に48万円の控除をしていたものを、廃止により控除分だけ所得として課税対象となるものです。控除廃止により、平成18年度(2006年)以降、増税となる足立区の高齢者は2万人を超え、平均1万8,700円の増額となり、全体で3億8,000万円以上の多大な影響を及ぼすものです。
 平成14年度税務概要「あだちの税」では、「23区と比較すると、課税標準額200万円以下の段階に足立区の納税者が多く見られる」と指摘しているように、平成15年度(2003年度)200万円以下の納税義務者は実に62.6%を占めています。200万円以下で48万円が控除されず課税されると、住民税率は5%なので、2万4,000円の増額となるものです。
 住民税の負担増はこれだけではありません。所得税法の一部を改正する法律により、公的年金の所得控除見直しも、平成18年(2006年)から適用されます。個人住民税は公的年金控除のうち、65歳以上に上乗せされた措置が廃止され、定額控除で100万円から50万円に引き下げ、さらに140万円まで一律非課税だったものが120万円に下げるものです。
 その結果、老齢年金の非課税段階は266万6,000円余から245万円に引き下げられ、新たな負担増となるものです。今回の老年者控除廃止による増額と個人住民税の増税は、高齢者の暮らしを圧迫するもので、さらに所得に応じて負担する応能割のある国民健康保険料や所得段階別保険料となっている介護保険料の負担増となってはね返ります。
 小泉政権を支える自民、公明党による年金改悪法案が強行された上、年金収入で暮らす高齢者の新たな負担増は一層生活不安を広げ、高齢者いじめとなるもので、断じて認められないものであることを表明し、討論を終わります。