若者の就職を促進する対策を求める陳情について、委員会の不採択に反対し、採択を求める討論
ぬかが和子議員 |
○ぬかが和子議員 ただいま議題となりました15受理番号24 若者の就職を促進する対策を求める陳情について、日本共産党区議団を代表し、委員会の不採択の結論に反対し、採択を求める立場から討論を行います。 この陳情は、足立区が政府に対して、若者の就職を促進する抜本的な対策をとるよう意見書を提出するように求めているものです。 委員会審議で区は、「市町村長会で若者の雇用対策の意見をあげている」から、新たに意見をあげる必要はないという姿勢を示しました。しかし、市町村長会の意見も、政府が行おうという若者自立挑戦プランなどの対策も、若者の意識啓発に重点が置かれ、どちらかというと、若者の側に責任を求めています。自立挑戦プランでは、ニート・フリーターに合宿をさせる若者自立塾などを支援策の柱にしています。もちろんこれらを否定するものではありませんが、陳情は「高校を卒業して、期間が過ぎた若者は正規の仕事にはほとんど就けず、やむを得ずアルバイト・フリーターとなるが、それも今は大変。若者の方にばかり責任を押しつけないで」と抜本策を求めており、願意を満たしているとは言えません。 委員会では「抜本対策とは何か」が議論になりました。青年の失業率は約10%、全世代平均の2倍以上です。若者の雇用対策は、こうした失業率の多さとともに、その根底にある雇用や就業形態などの悪化にも目を向ける必要があります。担当部長は雇用保険の有無を尺度として、「パートでも派遣でもみんな正規」「就職とか正規という概念は難しいお尋ね、答弁のしようがない。抜本的な対策とは何か、地方から意見を出せと言われても出しようがない」と言いましたが、政府の労働力調査では、パート・アルバイトなどの非正規労働者が年々増えていることを統計で示しています。社会に出ても定職に就けず、アルバイトやパートで暮らしをつなぐフリーターは10年前の2倍以上、209万人と言われ、その7割近くは不安定な状況から抜け出して「定職に就きたい」と望んでいます。民間も公務員も新規採用を大きく減らしてきたために、技術や仕事が受け継がれず、職場から若い力が消えていくことになり、将来の日本の産業と企業にとっても大きなマイナスです。 ところが政府は大企業のリストラを支援する企業分割法や産業再生法をつくり、労働者派遣事業の規制をどんどん取り払って、「派遣」や「契約社員」「業務請負」という形でしか就職先がないという状況を広げてしまうなど、就職難と失業を悪化させてきました。就職難や失業、低賃金、劣悪な労働条件は、若い人たちの自立を妨げ、晩婚化や非婚化、少子化の要因にもなっています。 ヤングジョブスポットにも、「18社面接を受けた。10社連続して落ちたときは不安で眠れなかった。自分は社会で必要とされていないのではと思った」との手紙がありましたが、この自己肯定感や、夢や希望を奪われた若者の側に責任を求めることでは抜本的な対策にはなりません。 EU諸国のように、「一定期間を超えての派遣社員は、優先して正社員にする、同じ仕事であれば、正社員以上の給料を払う」法律の整備など、安定雇用への誘導策、雇用保険に未加入の青年失業者に対して、生活保障付きの職業訓練、若者の正規雇用を減らし続ける大企業に、雇用を守り、増やすよう監督・指導を徹底するなどして、夢や希望が生きる、見通しが持てる雇用状況をつくり出すことこそが抜本的対策であり、これは財界・大企業に対して社会的責任を求める政治の責任ではないでしょうか。 委員会審議の中では、こういう抜本対策について意見をあげていないことが明らかになったにもかかわらず、「願意が満たされている」「フリーターとして頑張っている人もたくさんいる」など、矛盾した理由で不採択とされました。 若者の就職対策については、それぞれの党が前向きに取り組もうということで一致している問題です。自治体だけでは限界があり、国の雇用の仕組みなどの対策を自治体がきちんと求めるという当たり前の行動をとっていただくことを求めているこの陳情が採択されることを強く願いまして討論を終わります。 |
![]() |
![]() |