決算特別委員会の質問等 第3日目(10月7日)午後

さとう純子議員


少人数学級、普通教室のクーラー設置


○さとう委員 よろしくお願いいたします。
 ことしの夏の暑さというのは本当に大変なもので、室内で熱中症で亡くなった方まで出たということです。地球温暖化やヒートアイランド現象がこれまで以上に深刻化して、東京都では観測史上最も暑い日、それが7月20日で、午後1時の測定で最高が41.8度を記録しました。これは実は、江北地域を筆頭にしてベストテンの第4位として本木40.7度、第6位千住40.4度、第8位島根40.2度と4地域が入って、1時40分には江北小で42.7度を記録しました。この42.7というのはお風呂の適温以上ですよね。そんな暑さの中で、この日は実は7月20日、3学期制であればこれは終業式の日です。ですから、通信簿だけもらって帰宅するというのがこれまででした。ところが、学校2期制になって授業時間数をふやすというのが目的でしたから、この日に5時間、6時間と授業をやっていました、学校では。この中で、クーラーのない教室でどんな状況だったのかということで幾つかの声を紹介します。
 小学校4年生と5年生の兄弟なのですが、頭がぼうっとして勉強なんか頭に入らない。それから中学3年生の女の子ですが、補習授業に参加したけれども集中力ゼロどころかいらいらしてきて結局1日でやめてしまった。校長先生からは、教室で倒れる子が出ないかとその心配ばかり、氷の柱でもすだれでも風鈴でも何でもいいから何とかしてほしい。それからもう1人の校長先生は、PTAと話し合って少しでも涼しくしてあげたいと扇風機を各教室に設置した。予算がないからということで、大型店で特売品を買ってきて工事も自分たちでやったということです。それからPTAの役員さんからですが、体育館は雨漏り、教室にはクーラーなし、こんなことで学力向上なんて叫んでも無理よ、我慢しろと言う人はみんな一日この教室で過ごしてみなさい。役員さんの声です。それから開かれた学校協議会の委員さんからは、教室で会議をして、こんなに暑い教室で勉強しているのかと思ったら驚いた、何とかしなくてはだめだという声です。それからおばあさんからは、孫が小学生だが、教室が暑くてどうしようもないと言って学校に行きたがらない。こんな声があります。
 区長は、この区民の皆さんの声にどのように答えようと思っているのか、伺いたいのですが。
○区長 私の孫も何人か小学校に行っています。そういう話は聞いたことがありません。
○さとう委員 区長のお孫さんはクーラーのある学校に行ってらっしゃるのじゃないでしょうか。
 実は、なぜ区長にお答えいただきたいかといいますのは、15年度予算について区長あいさつでこういうふうにおっしゃっているのです。
 教育への投資は子どもたちに対する私たち大人の責務であり、さらに積極的に進めなくてはならない課題でありますとして、夏までには区立小中学校全校の図書室の冷房化工事を実施しますとしていました。
 この図書室の冷房化ですが、全部完了したのかどうか、それからまた、十四中のように大きな学校では第1図書室、第2図書室と複数の図書室があるようなのですが、そういう点ではどうでしょうか。
○施設管理課長 図書室の冷房化は済んでおります。
 ただ、各校図書室については1カ所ということで行っております。

「あつい教室なんとかして」小中学校の普通教室にクーラーを

○さとう委員 そうですね。全学校の図書室に冷房化というお約束をしたのでしたら、十四中のように第1、第2とあれば当然それはやるべきだったのじゃないかというふうに思います。
 私たちは、15年度の予算編成に対して、5カ年計画で全小中学校の普通教室にクーラーを設置する予算として5億1,000万円、それで小学校の3分の1、206教室に整備する組み替え案を財源も示して提案をしました。また今年度も同趣旨の予算の組み替えを提案しているところです。
 ことしは既に実は夏休みとかじゃなくて5月30日の運動会、近所の学校にご招待いただいたので行ったのですけれども、その運動会の日に、気分が悪くなって気持ち悪くなっちゃったという児童が出るほど、もう5月からそういう気温でした。
 我が党は、6月22日に区長に対して緊急要望として、小中学校の普通教室に何らかの暑さ対策、簡易クーラーとか扇風機、日除け等、それも含めて図るように提出をしました。教育委員会から回答があったのですが、そこにはこのように書かれていました。
 財政負担が大きい、児童生徒に対する健康面での影響がある、学校には夏期休業があるという理由でした。ですから、普通教室への冷房機設置は行いませんというのが回答だったのですけれども、それでは、暑さ対策をやらない第一の理由である財政負担が大きいという点では、今回の審議の中でも大島委員が指摘したとおり、お金がないわけではなかった。また、何らかの暑さ対策は立てることができましたし、総務委員会の補正予算の審議の中でも私は指摘いたしましたが、来年の夏のために学校休業日を活用しての工事をするためには補正予算での対応も可能だったわけです。そういうふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
○施設管理課長 クーラーの件ですけれども、先ほどの金額、5億ということでお話がありましたけれども、1教室あたり大体200万円かかります。200教室だと4億円、それで、中学校ですと450教室ありますので、それにあと受変電の改修工事があるということで、金額的には普通教室全部入れると45億から50億円ぐらいかかるというふうに考えております。ですから、現在のところ普通教室にすぐに入れるということはできないと考えております。
○さとう委員 私、先ほど5カ年計画で提案したと言ったのです。
 私たちは、実は1教室250万で計算したのです。それで206教室で大体それぐらいかかるだろうということで、課長のおっしゃったよりも予算を多く見積もって5カ年計画でできるという提案をしました。
 それから、第2の理由として児童生徒に対する健康面での影響というのはどういうことなのか、ちょっと理解ができないのですが、どういうことでしょうか。
○教育指導室長 児童生徒にもいろいろな健康上の違いがございます。あるお子さんにとっては暑さには日常的に家庭でクーラーをつけてずっと過ごしているお子さんもいれば、成長の過程で必要な気候に順応するという形でクーラーを使わないで生活しているお子さんもいる。また、クーラーに非常に弱いお子さんもいらっしゃるということで、そういうことでございます。
○さとう委員 室長は、学校保健法に基づく学校環境衛生の基準というのをご存じじゃないのでしょうか。
 学校保健法に基づく環境衛生検査、事後措置及び日常生活における環境衛生管理等を適切に行い、学校環境衛生の維持・改善を図ることを目的にして学校環境衛生の基準というのがあります。
 室長がご存じじゃなければ、ほかの方、このことをご存じですか。
○学務課長 学校保健の関係は学務課で所管してございます。学校環境衛生の基準について存じております。
○さとう委員 そうですね、その検査の仕方まできちっと書いてあるのです。これは、各階1以上の教室を選び、特別の場合のほかは授業中の教室において適当な場所1カ所以上の机上、机の高さです、で測定器を用いて行うことというふうに規定されています。これもそのとおりですよね。
○学務課長 いまのご質問は、教室等の空気環境についての調査のことでありましょうか。
○さとう委員 そうです。
○学務課長 それはそのとおりです。
○さとう委員 教室等の空気環境という項目の中で す。そこに、この測定においてどんな状況が望ましいかということで書いてあります。第3章というところに、日常における環境衛生、これを日常点検ということで、教室の空気、(1)外部から教室に入ったとき不快な刺激や臭気がないこと。(2)欄間や窓の開放等により換気が適切に行われること。(3)教室の温度は冬期で18℃から20℃、夏期では25℃から28℃であることが望ましく、冬期で10℃以下が継続する場合は採暖等、温めるということですね、の措置が望ましいとしてありますが、そのとおりですよね。
○学務課長 そのように望ましいということで書かれてございます。
○さとう委員 教育委員会はこの基準を守って、子どもの健康ということでしたら、これを実現する立場に立つべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○教育委員会事務局次長 いま規定を読まれたように望ましいということで、私どもも望ましいと思っておりますけれども、それをいまこの場で実現できるかどうかということになりますと、当然それは財政を含めたさまざまな条件の中で考えていかなければならないというふうに思っております。
○さとう委員 じゃあ、すぐにはつけられないけれどもという、望ましいということをお認めになったということで、第3の理由として学校には夏期休業があるとしているのです。実は、室長にちょっと伺いましたら、学校2期制になって夏期休業ではなく前期の一部分という位置づけになり、学 習は継続的に進めることになった。
 指導室長、確認したいのですが、そういうことですよね。
○教育指導室長 夏期休業であることは間違いございませんが、2期制になりまして、いままでのように7月末で1学期が終わってそれで2学期が9月1日からということではなく、学習は前期末までは継続する、そういう意味でお話を申し上げたところでございます。
○さとう委員 継続的な学習として各学校に計画書 まで出させて9月には実施状況を把握したということなのですが、耐震工事をしている小学校4校を除いて全小中学校で指導内容も決めた補充教室を実施、また、それも含めて自主学習として質問教室、学習相談、理科教室、社会科教室と何らかの形で全校が実施したというふうに伺っています。
 ある校長先生は、うちの学校はほかの学校よりも1.5倍頑張りましたというふうに自慢していましたけれども、今回、先ほど室長もおっしゃったように、夏期休業があるからということで休みじゃなくて継続して学習をしていた、それも教室を使って学習をしていたということですから、これも夏期休業があるからクーラーの設置を拒否したという理由にはならないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○教育委員会事務局次長 夏期休業中でございますから、生徒は普段の前期後期のようにきちんと義務的に登校しなければならないという状況ではございません。また、全部の日数を出ているわけではないということでございまして、そういう面から考えますと、夏期休業中も補習授業があるからといって全体にどうしてもクーラーを入れなければそういった補習ができない、そういう状況ではないというふうに思っております。
○さとう委員 私が言いましたのは、長期の夏期休業があるから授業はやらないといいますか、休みだからクーラーをつけなくてもいいという意味ではないのですねということでお尋ねしたのですけれども、もちろん、現在、特別教室に設置していくという計画がありますし、そういうところも活用すればいいとかといういろいろな意見がありますけれども、現在、普通教室にクーラーが設置されているのは環七沿線とか鉄道沿線などで、環境基準を超えているところということで伺っているのですが、いま、高速道路建設、また地域の環境が工場ができたとかさまざまなところで変わったところがあると思うのですけれども、その辺の調査はするべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○施設管理課長 現在のところは、道路それから鉄道等、基準を超えているところというところでやっております。
 いまのところ高速道路沿いでは特にないのですけれども、距離があるとかいうことですが、そういう状況になった場合には同じ公害指定校ということで窓を開けて勉強ができないという状況になりますので、それについては対応していくつもりでございます。
○さとう委員 ぜひ調査して、環境基準を超えているところは早急にというふうにお願いしたいと思います。
 我が党で区民アンケートということでとっているのですけれども、その回答の中に、クーラー設置やもちろん扇風機の設置でもいいという切実な要望とともにこういうのがあったのです。新しくできる双葉小の予算が足りなくてエアコンもつけられないのはおかしいという声があったのですけれども、聞くところによると、統廃合の際に普通教室へのクーラー設置を地域の皆さんと約束していたというふうに聞いたのですけれども、双葉小だけではなく千寿小、千寿青葉中、千寿常東小など、どんなふうになっているのか、また、約束したのだとすればなぜ約束を守らないのかということで伺いたいのですが。
○適正配置担当課長 まず、統廃合の際にクーラーの設置をお約束したという事実はないかと思います。
 それから千寿双葉小については、清涼化を目指していくという観点で教室の温度が上がらないような工夫をしていこうということで、屋上緑化ですとか普通教室の外にベランダをつけて直射日光を遮る、こういったような工夫をしながら教室の温度が上がらない工夫をしていこうということでございます。
○さとう委員 そういう約束をしていないということで、地域の方は何かお約束いただいたというふうにとらえているようなのですが、きちっとやっていただきたいと思います。
 いろいろな校長先生とかに伺いましたら、各教室によってクーラーを設置してほしいという場所なのですが、小学校1年生からやってもらいたい、また、1年生の教室は下だからいいけれども、3階、4階の教室からやってもらいたい、あとまた西日の入る教室からやってもらいたい、また中学生の方から先にやってもらいたいというふうにさまざまな意見が聞かれるのですけれども、先ほど答弁がありましたら、いますぐとは言えないがというご答弁がありましたけれども、ぜひ計画的につけていただくことを要望しまして、次の質問に入ります。
 いま、新基本構想でも示されていますように、学力の低下、不登校、また高校、大学への進学率が低いなど、教育環境面での多くの問題点が指摘されています。私もこの解決を願って、本会議では、子どもたちが大切にされる教育を願って不登校問題で質問をさせていただきました。
 先ほども申しましたように、我が党の区民アンケートの中で学校教育について何を望みますかという質問をしました。そこには、少人数学習をしているが先生の数が不足している、一クラス40人超えないと二クラスにならない、1人の先生で30人が限度だと思う、特に低学年のうちから先生の目が行き届かないと高学年、中学年と落ちこぼれがふえていくと思う、また、できる子もできない子も大切にされる教育をしてほしい、また、人間として大切なことをもっと教えてほしい、社会人になって常々感じることはもっと温かい教育を受けたかった、どの子も意欲の持てる学習内容と先生の目がどの子にも行き届く教育等々、たくさんあります。
 いじめや不登校をなくして学力の向上を図ること、これは子どももまた保護者も教師も地域の人もだれもが望んでいることだと思うのですが、この願いは区も同じだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○教育指導室長 いじめ、不登校につきましては、私どもも課題と考えてなくすよう努力しているところでございます。
○さとう委員 ぜひ教育長、いかがですか。いまはいじめの問題だけで質問したのじゃなくて、学力の向上とか温かい人間性を育てる教育とか、それからいまの問題の学力の低下の問題とか、そういう点で区民の皆さんの願いと一緒かどうかということで伺いたいのですけれども。
○教育長 そのとおりでございます。
○さとう委員 いま、連日のニュースの中で、本当に児童虐待とか青少年の事件、それから犯罪の低年齢化で、なぜこんなことが、どうしてこんなことがと思う事件がたくさんあるのですけれども、どこの自治体でもさまざまなこういう問題の解決策を模索して教育改革などに取り組んでいます。
 本会議でも例として紹介したのは山形県だったのですが、ここは、1998年、不登校の子が1,273人と全国の平均を上回った。また高校の中退者が1,078人と戦後最高になったということで、県民の皆さんの不安が募ったそうです。その当時に少人数学教実現のための県民連絡会はつくったそうですが、国の法律制度によって県独自で実施することは困難ということを繰り返していたそうです。ところが、県下の藤島町というところで、生徒指導に力を入れたいということで町独自に中学校の臨時教員の採用を県教育委員会に認めさせたのです。さらに、2000年10月に国の緊急地域雇用特別交付金が交付されて、その財源の大半を活用して小学校低学年の36人以上の学級や特別な事情のある学校について非常勤講師の配置が実現して、その後の少人数学級への大きな足がかりになって不登校も減少したというふうに報告されています。
 足立区も山形県と同じ思いだったと思うのですが、国の加配だけでは不十分ということで、15年度決算を見ると36人の区独自に緊急雇用交付金を使いながら特別講師を全校に配置しようということで取り組んでいますが、そういうことですよね。
○教職員課長 私どもで実施しております特別講師の制度につきましては、TT、少人数等の少人数指導を目的に導入しているところでございます。
○さとう委員 本当、区内の学校からは、1人でも多く人がほしい、子どもにかかわる人がほしいというのは切実は願いなのです。そういう意味では、教育委員会が頑張って特別講師の全校配置に取り組んでいるということは学校からも期待されていることですので、頑張っていただきたいというふうに思いますが、山形県ではここでとどまらなかったのです。2001年の8月に選挙があって誕生した知事が、橋の1本、2本かけなくても子どもたちの教育のためには公共事業を節減してでも実行したいというふうに表明したのです。これに驚いて日本じゅうの新聞に30人学級を目指すという記事が載って、自民党の議員さんからもいろいろ出たというぐらい話題になりました。
 山形の「さんさん」プランというのです。「さんさん」というのは33人学級のプランということで、その成果と課題を3年連続でずっとアンケート調査をしているのです。その結果を読みましたら、コミュニケーション能力、学ぶ意欲、欠席の減少、学級のまとまり、責任ある係の活動、これらが向上しているというふうに報告されています。
 そのほかにも全国で少人数学級に取り組んでいる成果や課題についての報告がたくさんあるのですけれども、区の教育委員会も教育改革の参考にこれらの報告とか課題をごらんになって参考にしているのかどうかを伺いたいのですが。
○教育指導室長 山形等の資料については目を通しているところでございます。
○さとう委員 山形のを読んでみて感想はどうですか。
○教育指導室長 山形は山形として、また少人数学級だけでなく別のさまざまな取り組み、例えば教員の指導力とかそういった面もあったかと思うのです。それについては報告には全くございません。
 それで、私どもは同じように不登校の数と学級の人数等が減少した結果、相関関係がないということで本会議でもお答え申し上げたとおりでございます。
○さとう委員 室長がおっしゃったように、山形では別に少人数学級だけに取り組んでいるわけじゃないです。習熟度別授業とかいろいろなことに取り組む中で比較をして、同じ山形の中で比較をしたら0.02ポイント不登校に関しては少人数学級の方が低いという結果を私は議会で質問させていただいたのです。学力の向上もそうです。山形の中で比べて少人数学級の方がいいという報告ですので、よくごらんになっていただきたいというふうに思います。
 今年度で、実はそういう動きの中で42道府県で30人学級を初めとした少人数学級に踏み出しています。残る5都県の中で、6月には佐賀県知事が来年度実施を表明しました。また石川県でも9月21日の県議会本会議で教育長が来年度実施を表明しました。あと残るところは東京都と岐阜と香川、これだけになりました。
 文部科学省は全国の自治体の流れに押されて、実は昨年11月に、第7次教職員定数改善の取り組みとして、2004年度から少人数指導加配教員を都道府県の申請により少人数学級にも活用できるようにというふうに方針を転換して、各都道府県に意向調査を求めました。
 埼玉県ではこの方針を受けて、小学校1年生の基準を35人に改善し、あわせて3学級規模という学級規模の条件を外す計画が国に承認されて、今年度から学級数にかかわりなく最少の場合小学校1年生で18人、小学校2年と中学1年では19人の学級ができることとなったと報告されています。
 東京都はどうだったかといいますと、皆さんご存じのように、東京都は各区市町村の意向調査もしないで文部科学省には該当はないというふうに返事をしてしまったのです。これについては区の教育委員会も大変遺憾ということで、教育長会でも意見を述べたというふうにおっしゃっていました。
 今度また、30人学級の実現を求める運動というのが大変大きな流れになっていまして、文部科学省がことしについては、9月3日、事務連絡でさらに前進した方針を示しました。その内容と申しますのは、平成16年度との相違点として、平成17年度においては、@指導方法工夫改善定数は基礎定数化を検討していること(算式等は未定)、A加配定数の弾力的運用(指導方法工夫改善定数から少人数学級研究指定校への振りかえ措置については基礎定数化で対応可能となることが挙げられています)、というものなのですが、特にこの中で注目するのはAの加配定数の弾力的運用、指導方法工夫、いわゆるいまやっている少人数指導から少人数学級への振かえができるということだと思うのですが、いかがでしょうか。
○教職員課長 いまお話に出ました9月3日付の通知でございますけれども、基本的には昨年のものと制度の使い回しの幅としては同じなのかなというふうに考えております。ただ、申請が要らないということでできるということだというふうに考えております。
 ただ、この通知はあくまでそういった手続のことを言っているだけでございまして、別にこれで教員の定数がふえるわけでもございません。私どもの方といたしましては、基本的にこれまでの考え方でいきたいというふうに考えております。
○さとう委員 前年度から大きく変わったのは、東京都は該当なしと言わなくても申請をすればということですから、大きく私は変わったというふうに思っています。やりようにもよるというふうに思っているのですけれども。
 日本共産党の都議団は、9月27日にこれを受けてすぐに東京都教育委員会に対して30人学級の実施を求めることの申し入れを行いました。
 また、各区でも同趣旨の申し入れを区長や教育委員会にしたのですが、板橋区長は30人学級は時の流れというふうに発言しています。また新宿区長は、30人学級は私たちも望んでいるところ、都が30人学級で教員を措置してくれればありがたいと述べました。また多摩の市長会からは、少人数学級編成が可能になるよう、1学級40人という都の学級編制基準の見直しを図られたいというふうに要望が出ているそうです。
 私たちも、先日、教育長と教育委員長さんに少人数学級実現への申し入れを行いました。教育長はそのときに、少人数学級がいいのはわかっている、しかし財政的な問題があるというふうにお答えいただいたのですけれども、私は本来少人数学級というのは、国が実施する、責任を持ってやるべき課題だというふうに思っているのですけれども、教育長の思いはどうでしょうか。

「学校からの要望があれば『少人数』に振り替える」教育長

○教育長 私、確かに30人学級の要望をお受けをいたしました。そのときに東京都の方に要望してほしいという強い意向を受けたわけですけれども、私としては、いま現在の状況、例えばTTの加配にしても少人数の指導の加配にしても非常に数が足りなくて、区費を投入しながら四苦八苦してやっと学校につけようとしてもなかなかつけられない現状の中で、いきなり30人学級を東京都に要望する、そういう状況にはないということで、もし要望するならばもっと区の教育委員会が自由に使える加配の教員を多くつけてほしい、そういうようないわゆる現実的な要望をしっかりとやっていきたい、そういうような趣旨で回答をしたつもりでございます。
○さとう委員 本当に教育長の思いが伝わってきますが、私が質問したのは本当に教育長の思いと同じで、国がやっぱりきちんと責任を持ってやるべきで、おっしゃったようにもっと学校の要望にこたえてたくさん加配してもらいたいというのが教育長の願いだというふうに受けとめました。
 私がなぜ国の国のと言うのか、私がいつもいつも本当に悔しいと思っているのは、国はお金がないわけじゃないのです。支払う必要がない、ご存じだと思いますが、毎年米軍に払っている思いやり予算というのがありまして、それが年間約2,500億円なのです。それを私たちも計算してみましたら、何と3分の1も満たない金額で、700億相当で全国の小中学校で30人学級が実現できる予算なのです。米軍の基地の中の学校は1クラス何人かといいますと、これが18人なのです。基地の中は18人、基地の外は40人、これがいまの国のやり方ですから、何としても国の責任でこの課題はやってもらいたいという願いです。
 次に、文部科学省の新たな方針について引き続き伺わせていただきたいのですが、いま、各学校の要望を聞いて、教育長はまだまだ足りないというふうにおっしゃっていますけれども、それは同じなのですけれども、いま各学校の要望を聞いて希望に合わせて国の加配教員や特別講師を配置しているというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○教職員課長 加配につきましても特別講師につきましても、もちろん学校の意向というのが一番最初にございます。
○さとう委員 現在、文部科学省の方針が出た中で、 区は、学校から子どもたちのさまざまな問題解決のための加配教師の弾力的な運用の要望、これが先ほどご紹介いたしました藤島町みたいに学校から要望が出るという場合に、加配教師の弾力的な運用をやって少人数学級に振り向けるということを認めていただけるのかどうか、伺いたいのですが。
○教育長 この件につきましてもご答弁申し上げましたけれども、私は、少人数指導等の加配については各学校の実情に応じて活用をしていただきたい。英語がどうしてもうちは弱いという場合には英語で加配をする。あるいは理科がほしい場合には理科で加配をする。あるいは不登校でどうしてもほしいという学校には不登校で対応するというようなことで加配を認めております。ですから、当然、その学校が自分の学校の状況に応じて、うちのいまの状況を解決する一番の方法として、例えば1年生を少人数でやりたいという学校の要望があればその方向に沿って努力をしたいというふうに思っております。
○さとう委員 大変いい答弁でうれしくなりました。
 本当にそうだと思うのです。教育長おっしゃるとおり、各学校でさまざまな困難を抱えているところで、何としてもどんな工夫をしたら解決できるのかということで、校長先生初め先生たち、保護者、それに子どもたちが本当に悩んでいるというふうに思うのです。そこに文科省で新たな方針が出たわけですから、これに沿ってこたえていくというのが教育委員会の仕事だというふうに思います。
 あと残り5分なのですが、ぬかが委員とかわってやります。
 いいですか。時間がないので、ごめんなさい。

みんなの願いは「子どもたちにゆきとどいた教育」

 じゃあ続けさせていただきますが、私たちも教育長に申し入れをしたときに、弾力的な運用も本当に悩んで考えなければいけないんじゃないかというお答えもいただいていましたし、足立読売のインタビ ューの見出し、教育長はなさっていましたけれども、そこの見出しに、学力向上は総力戦でと書いてあるのですけれども、学力向上だけじゃなくて本当に教育にかかわる問題は手法はさまざま、本当に少人数学級が効果があるといえばそれをやればいいですし、本当に総力戦で取り組むべき問題だというふうに思っています。
 全国の少人数学級の取り組みを見ますと、一気に30人学級にできる状況にはほとんどありません。しかし、どうすれば少人数学級が実現できるかという視点に立って努力をしています。
 議論の中には、昔は50人だったじゃないか、それでも大丈夫だったんだ、先生に力がないんだという、先生のせいにしたり大人のせいにしたり家庭のせいにしたりしていれば解決するという問題じゃないのです。
 それで、実はいまどんな現象が起きているかといいますと、そわそわ型という落ちつきのない子ども、これが小学校入学と同時に学校に行ったらきちっとしようということで激減したそうです。ところがいまはどんな状況かといいますと、入学後も、そわそわどころか寝転がったり教室から飛び出ていってしまったり、本当にさまざまな問題があって、1分ぐらいしか先生の話が聞けない状況もあるそうです。これが小1プロブレムという現象で、これがいま教育界で小学校低学年の問題で、学校崩壊の実態はここにあるというふうに言われているのです。
 ここにも東京都の調査結果があるのですが、4.4%の子どもが知的な発達のおくれはないものの学習面や行動面に著しい困難を示すという報告があります。1年生や低学年にとって担任とのかかわりがいかに大切かということなのです。東京都が国の措置を活用してこれまで加配されてきた1,250人、この教員定数のうち800人程度を振りかえるだけで、新たな都の財政負担なしで都内の全公立小学校1年生で30人学級が実現できるという試算もあります。
 私もちょっと、毎年毎年、教育委員会から出している一覧表、クラスが何人で編制されているのかというのをいつも色をつけて、30人以下学級が何学級あるのか、それから31人から35人は何学級あるのか、36人から40人学級は幾つあるのかということでいつも計算するのです。その中で、小学校1年生だけ、これも実は36人以上をやればよかったのですけれども、39人と40人のクラス、これが20クラスあるのです。1年生、ことしはどんな状況だったのかというふうに心配するのですけれども、先ほど申しましたように、教室から飛び出てしまう者、寝転がっちゃう者、そういう子たち40人を前にして担任の先生はとてもとても目が行き届かない。ここから学校崩壊が始まるとずっと続いてしまう。
 ですから、ぜひとも、1年生と私は限定しません。学校によっては3、4年生で乱れるからそこで少人数学級にしたいという学校もあろうかと思うのですけれども、今回の文部省に沿って教育長からも心強いご答弁もありましたので、学校の要望をよく聞いて、TTや少人数指導の教師を弾力的運用で少人数学級に振りかえていただくことを心から要望しまして質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長 本日の審査はこの程度にとどめ、散会いたします。
 なお、あす8日午前10時までにお集まりくださいますようにお願い申し上げます。
    午後4時00分散会