決算特別委員会の質問等 第6日目(10月13日)午前 さとう純子議員 |
健康学園の廃止問題について ○さとう委員 おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。 私は、上総湊健康学園のことで質問させていただきますが、上総湊健康学園は1950年、昭和25年に、教育基本法に基づいて身体虚弱児童を収容して、健康増進を図り、あわせて小学校の教育課程を修得させることを目的にして設立した施設ですよね。確認いたします。 ○学務課長 はい、学校教育法第75条に基づく施設でございます。 ○さとう委員 この健康学園は、必要があって設立した施設なのですが、54年間のこの歴史の中で、それらの時代のニーズにこたえて、健康に問題を抱えた児童の育成、その役割を果たしてきたと思うのですが、この54年間の身体虚弱児の内容、その時々の社会状況の変化によって内容も変化してきたと思うのですけれども、いかがでしょうか。 ○学務課長 委員ご指摘のとおり、その時代、時代のニーズにあわせた対象者を受け入れて、援助、支援を処遇してきております。 昭和25年当時は、虚弱児童、偏食、ツベルクリンの反応陽転1年以内の者を対象としております。その当時の時代背景といたしましては、虚弱や結核の予防対策というのが課題にあった時代であります。 昭和56年には、ぜんそくがふえ、肥満も目立つようになってございまして、肥満児がトップとなった経過がございます。学園の職員の声で、いまは肥満の子を入れているけれども、戦後の食料事情の悪いころは栄養失調の子どもがあって、食べて体力をつけるということを処遇してきたがという発言が記録に残ってございますけれども、そういったような時代の背景で、違う児童を対象として処遇してまいっております。 ○さとう委員 そうですね。その時代、時代の社会状況に応じてやってきたと。足立区に住んでいる40歳の会社員の方ですが、この方は偏食による虚弱で入園して、1年間の学園生活ですっかり回復して、いまは身長が186センチメートル、健康な体で働いていて、健康学園がなかったらいまの自分はなかったと話しています。 これまで何人の児童が、健康を回復して学園を巣立っていったのか、人数を教えてください。 ○学務課長 時代によりましては3期制に分けて処遇をしておりましたので、年齢掛ける定員数みたいなことでは計算できないのでございますが、延べで4,261名でございます。 ○さとう委員 そうですね。4,000人以上の児童がここを巣立っていったと、本当に体づくりの大切な時期、この時期にどう過ごすかということが大人になってからの健康に大きく影響していると思います。 平成12年に健康学園の役割は終わったとしていますが、特に家庭が養育能力に欠け健康を損ねている児童の受け皿として、ですから社会状況が変わって、その受け皿として当分の間、健康学園を存続するとして、まさに時代のニーズにこたえてその対応をしてきて現在に至っていると思うのです。 平成13年度決算特別委員会で藤沼委員の質問に答えて、学務課長はこのように答弁しています。「廃園も検討したが、区内には養育能力が非常に低い家庭があるために、健康を害している子どもたちが発生していることがつかめた。積極的に健康学園で学ばせることによって、健康を回復できるものと考えた」と答弁しています。 また、当時の企画部長も「虐待は東京都の役割だが、実際のネットワークでは、全部吸収し得ていない場合は、基礎的自治体が立ち上がる必要もあると考える。グレーゾーンがあるということですね」ということで答弁しています。 いま本当に子どもを取り巻く状況というのは、この3年間で改善されたどころが、ネグレクトや児童虐待、不登校、生活習慣の未確立、家庭環境、アトピー、そして、いじめという点でも、ますますふえてきて大きな社会問題になっていると思うのですが、いかがでしょうか。 ○学務課長 保護者の養育に欠ける状況の中での児童の受け入れを現在行っております。先ほどの委員の質問でございますが、受け入れ先の確保ができるまで、当分の間、区としても都だけに委ねるのではなく、一定存続をすると、受け入れ先の確保が足立区の中で整うまでの間ということで理解してございます。 家庭の養育放棄などはなくならない健康学園はなくすことはできない ○さとう委員 いま、受け入れ先ができるまでとおっしゃったのですが、健康学園はそれぞれの時代のニーズにこたえてきたと。この目的ですね、要するに健康学園の目的ですが、健康の増進を図り、小学校の教育課程を修得させる施設なのですね。その点で時代のというのはあるのですが、そればかりではなくて、まさにそういう子どもたちに対しての、家庭に問題があるところの受け皿ではありますが、もう一つには、本来の目的に沿った入園をしている子もたくさんいるわけですね。この子はぜんそくで発作を頻繁に起こして、薬だけでは対応できないで、吸入をしなければならない。吸入をすると体力がなくなって運動もできなかった。その子が健康学園に入園して、わずか1カ月で改善が見られ、発作が1カ月に1回程度に減ったと。夏休みに東京に戻ると、東京の空気は臭いと言っていたということなのですね。 この子は家庭に問題があるわけではなくて、いまはしっかりと回復して丈夫になって、やりたかった野球ができるようになったということです。 これは健康学園が継続したおかげで、この子は入園ができたわけです。 いま元気に野球部に入って頑張っているのですけれども、同じようなといいますか、この決算特別委員会で受け皿の問題で学務課長が紹介した事例があるのですね。この事例はこういうふうに言っています。「暴力的な虐待は、現在でも東京都の責任で児童相談所を経由して対応している。難しいのは、放置をしている部分だろうと思う。児童相談所も介入できない、先生方が困り果てている。そしてみるみるやせていくという形で、小学校5年生で体重が30キログラムを割ってしまって、おうちで精神的にとてもうまくいかなくて食べられないということで、緊急に選考委員会を経て学園に入園させた」というものです。 このような事例があった場合、健康学園がなくなったら区が示している受け皿、それで対応できるのでしょうか。 ○学務課長 健康学園、そのときの選択肢の中では、健康学園の入園というサービスを考えて入園をさせることが、プラスに効果するという判断で入っていらしたと理解しております。 いまは在宅サービスとして整えておりますのは、教育はもちろんでございますけれども、福祉サービス、それから、保健サービス、そこで働いている保健師さんのいろいろなノウハウ、こども家庭支援センターを初めとするケースマネジメントのノウハウ等々を生かした、総合的に対応していくという仕組みを考えてございます。そういう在宅の仕組みの中で受け入れが可能だと考えております。 ○さとう委員 在宅の仕組みの中でこういう場合の子、自宅にいて物も食べられない、体重が30キログラムを割ってしまった、こういう子どもを在宅に戻して生きていけるのですか。 ○学務課長 14年度の予算特別委員会ででしょうか、忍足委員の方からご質問、ご要望があった点でございますけれども、消極的なネグレスト、家庭の養育能力が十分でない家庭への支援につきましては、もちろん家庭教育、家庭が子どもを守って育てていくというのを基本に置きながら、子どもの処遇ではなくて、親への指導、支援体制を強めていくことが重要だというご要望、ご意見がございました。全くそのとおりだと考えております。 健康学園で親元から離した形での処遇では、子どもには手厚い食が可能でございますけれども、そこにずっと住み続けられるわけではございません。在宅に戻ってまいります。そこの在宅に戻ったときの支援というところで、リバウンドという問題が発生してございます。 最初から在宅で、十分な仕組みの中で支援していくことこそが大切であり、いわゆる施設での処遇から在宅へのサービスの施策を転換する時期にきていると考えております。 健康学園の廃園方針は鈴木区政の冷たさの象徴 ○さとう委員 もちろん、家庭にきちんとした指導をする力をつけていくというのは大事ですが、それにすりかえる問題では、全くないんじゃないでしょうか。 〔「両方やればいいんだ」と呼ぶ者あり〕 ○さとう委員 そうです。両方をきちっとやるのは当たり前、それで、この第2次検討会の報告を見ましたら、いままでの受け皿としてさまざまな仕組みが書いてあります。しかし、どれ一つとってみても、新たな施策ができた、受け皿ができたというものではありません。それでありながら、これが受け皿としてできたということは、全くできないのではないかと思います。 いま質問していて本当にひどいなと思ったのは、これまで中間報告を見ても、受け皿として書いてあるのは、こども家庭支援センターができたとか、それから、地域の児童民生委員にお世話になるとか、福祉事務所、保健総合センター、児童相談所、児童相談センター、児童民生委員、それから、青少年委員、開かれた学校づくり、これらはすべていままであったものです。それであっていまの状態が生まれているわけです。ますます悪化しているというのが、いまの現状ではありませんか。それであるにもかかわらず、この健康学園を廃園にしてしまうということは、本当に児童虐待やネグレクト、食事も与えてくれない、餓死した事件だって起きているではありませんか。こんな中で、さまざまな問題を抱える子どもたちの大きな支え、本当に命につながるような支えになるのが健康学園の存在なのです。そこのところを、子どもたちの未来を奪う、これまで4,000人以上の人たちが体を回復させて、そして社会活動をしている、このものもなくしてしまうということは、子どもたちの未来、足立区民の子どもたちの未来を本当に奪い取ってしまうということだと思いますので、それを絶対にやめてもらいたいということを訴えまして、私の質問を終わります。 |
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