決算特別委員会の質問等 第6日目(10月13日)午前

渡辺修次議員


若者の雇用対策、公有地の活用について


若者の雇用対策は正規職員を増やすことを重点にすすめるべき

 最初に、8日の質疑で、若者の雇用対策としてハローワークとリクルートの共同で新たに2,000人の実績が上がっているという報告がされまして、大変結構なことだと思うのですが、この雇用の問題では、正規雇用なのか、それとも臨時的な雇用なのか、その雇用形態について伺いたいのですが。
○経済観光課長 申しわけございません。新規雇用かどうかということについて、きょう資料を持ってきてございませんので、後ほど答えさせていただきたいと思います。
○渡辺(修)委員 リクルートの場合は、若者1人の就労ができた場合には、報酬が受けられるということですけれども、リクルートには幾ら払われるのか、その費用はどこが負担しているのか伺います。
○経済観光課長 まず、面接した段階で費用を払ってございます。それから、継続して働いた場合に払ってございます。その財源につきましては、区の負担金でございます。
 ちょっと個々の細かい数字につきまして、いま資料を持ってきておりませんので、後ほどお答えしたいと思います。
○渡辺(修)委員 おおよそぐらいは、わかりませんか。
 いずれにしても、いま健康学園の話もありましたけれども、若者の雇用問題でも、家庭の教育力というか、家庭が子どもを支える機能がどんどん下がっているという面も根底にはあるのかなと。いま本当に国が、未来を担う若者が将来に希望を持つ、希望の持てる社会をつくるということが非常に大事だと、その出発点は就労だと思いますし、収入も安定する、こういう社会にしていくことが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○経済観光課長 やはり、きちんと仕事に対する意識というものを持って生活していくことが、非常に必要だと思ってございます。
○渡辺(修)委員 私、ハローワークあだちが発行した「若年者の就職支援と今後の対策」という冊子をいただきまして、その中に「フリーター問題を考える、高校現場に求めるもの」というシンポジウムの記録が載っていました。これ大変興味深く読ませていただきまして、若年者の雇用については、ハローワークが対策を相当強化して頑張っているなということで、今後は非常に高校とか、そういう点での就労支援というのは進むのかなという期待も同時に思いました。
 この中でフリーター対策の基本については、若年者の責任ではなくて、若者の立場に立って、その若者を信頼して、大人がどういう援助をするのか、ここが非常に大事だということが、このシンポジウムでもにじみ出ていたのではないかと思いました。
 そこでもう一つおもしろかったのは、このシンポジストの中でフリーターに対する考え方の見解がかなり違うなという印象を受けています。1人は、リクルートが発行しているガテン編集長の成田氏と、それから、もと足立新田高校の校長であった鈴木氏とが、全く見解が違うのですね。

「欧米では非定期雇用はあたりまえ」というリクルートの認識

 鈴木氏は、新田高校に入ってきた生徒の、実に4分の3が一種のフリーター化してしまっていると。足立区の中ではそのような子どもがどんどんふえていることで、非常に社会不安にも結びついていくような現象もあって、中略しますけれども、とにかく全国で209万人ものフリーターがいるような状況は、やっぱり異常だと。フリーターというのは、やればやるほど使い捨てにされていく。何も自分の身につくスキルがない。こういうことで、かなりフリーターのことを問題視しているのですが、成田氏は、例えばフリーター問題は鈴木先生には大変恐縮ですけれども、数が問題なのか、ヨーロッパ、アメリカなどを見ると圧倒的に多い。これも中略しますけれども、非定期雇用者か定期雇用者かという分け方は、日本などは全然後進国と言ったほうがいいかもしれませんという見識を示しました。どういう資料を見ているかわかりませんけれども、こうしたリクルート社の見解というのが、ちょっとずれているのではないかと思います。
 私どももかなり雇用問題ではいろいろ調べておりまして、ヨーロッパなどの政府のデータから見ても、相当認識にずれがあるのかなと思いました。派遣労働に詳しい龍谷大の脇田教授は、「例えば同じ派遣でも、EU諸国では一定期間を超えて派遣されたら、派遣先の正社員になるのが原則とされており、特に同一価値労働、同一賃金のルールがあることです。フランスでは、同じ仕事であれば、正社員以上の給料を払うと法律で決まっています。派遣に切りかえて賃下げしてもうけることにはならない。
 日本の場合は正社員の半分とか、3分の1の給料で働かせて、いつでも首にできるのが派遣とされています。
 ヨーロッパの経営者には、労働者の個人生活や基本的権利を大事にしながら、個々人の生産性を高めるという哲学がある。日本はそれを捨ててしまった。まじめに働こうとする青年を育てるのではなくて、使い捨てにするやり方が、ここが一番問題なんだ」と話していました。
 日本の大企業、財界でのさらに利益を上げるために、低賃金、解雇自由の仕組みをつくろうという戦略がありました。その中心は労働者を三つのタイプに分けて、どのタイプもひどいもの。一つは、正社員を大量に減らし、働いても賃金を払わなくて済む再利用労働制、成果主義賃金を導入する。二つ目には、専門職の労働者は3年単位の使い捨てで雇えるようにする。三つ目は、圧倒的多数の労働者はパート、派遣、契約社員、請負などで雇い、いつでも使い捨てられるようにするというものです。
 財界大企業に対して社会的責任を求める政治の責任が大きいわけですけれども、実際こうした大企業の身勝手を許す労働法制を進めてきたのが、いまの政府ではないでしょうか。
 先ほどのシンポジウムでも出ていましたけれども、今後青年の雇用を促進するためには、一つは、実態を把握することが非常に大事と思います。青年失業者、学卒未就業者などの実態調査をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○経済観光課長 いまの時点で実態調査というよりも、できる範囲内の仕事をしていこうということで、特に高校等について、ハローワークとの連携を深めるような形でもって進めてございます。
○渡辺(修)委員 このシンポジウムでも感じたのですけれども、結局若者の責任にしないで働きかけ続ける、働きかけの中でいわゆる勤労教育というか、自分の自己肯定がどんどんなくなっているいまの若者の特徴をしっかり見据えて、青年自身が自分の持っている力や可能性を見出して、将来に希望を持って働こうという意欲につなげることが出発点になると思うのです。その役割を行政が担うことが大事だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○経済観光課長 おっしゃるとおりでございまして、国、都道府県、基礎的自治体である区市町村等が連携してやっていくべきだと思ってございます。
○渡辺(修)委員 ぜひそういう調査も大切に進めていただきたいのですが、次にカウンセリングやインターシップ研修など、雇用関連サービスを1カ所で受けられるワンストップサービスセンターが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○経済観光課長 どこまでワンストップでできるかということは、規模の問題等々があると思いますけれども、極力ワンストップでできるようなものが効果的だと思ってございます。
○渡辺(修)委員 足立区でも中学校からインターシップを取り入れているので非常にいいと思うのですが、インターシップの役割というのは、アルバイトとは違って、子どもたちが社会を知る上で非常に大事だということを改めて認識していただいて、学校教育ではそこがいままでは欠けていたと、そのほか大分進んできたのではないかと思いますので、そこを大事にしていただきたいと思います。
 次に、ヤングジョブスポットが旧庁舎跡に移転をするということになっているようですけれども、大変結構で、このときに平日の開館時間の延長とか、休日開館も働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○経済観光課長 若者については、いま現在ヤングジョブスポットの方でやっている営業時間に関しては、経験から積み上げてやっているということを伺ってございますけれども、当然ヤングジョブスポットが仕事をしていく中で、世の中動いてまいりますので、そういった需要が高くなってくれば、そういう形でもって運営していただくと考えてございます。
○渡辺(修)委員 ヤングジョブスポットには、いろいろ相談してよかったという高校生とか、高卒者の意見も寄せられていまして、やっぱり働きかけるきっかけになっているなということで、その機会をふやしていくことが大事ではないかと思います。
 次に、質問を変えますが、公有地の活用について伺います。

塩原林間学園の売却では6億円の損失、安易な売却はすべきでない

 公有財産活用方針によりますと、売却というのが最優先になっていまして、これに基づいて廃止された伊豆高原保養所が直ちに売りに出されて、あれがわずか6,600万円で売却されました。
 続いて、いま塩原林間学園が一般競争入札にかけられています。この土地を購入するときに、現地調査をした一人として、もう売ってしまうのかという思いがあって、あの当時、本当に立地条件がいいところだなと、子どもにも魅力あるところだなという印象を思い出しております。
 この土地の購入が、当時は1億1,461万円余、建設費が電気とか給排水設備などを入れて14億700万円かかっております。建物竣工が昭和58年の5月で21年目ですけれども、減価償却の指数を見ても、まだ資産価値は高いと思いますが、区の公有財産の評価額の原簿価は、土地、建物合わせて幾らでしょうか。
〔渡辺(ひ)委員長退席、杉崎副委員長着席〕
○用地管財課長 塩原林間学園のお話だと思いますが、価格につきましては……ちょっとお待ち願いますか。両方合わせまして……。
○渡辺(修)委員 ずっと前に、決算とは違う形で聞いておりますが、簿価は8億1,501万円なのですね、両方合わせて。これは売り出されたときの財産価格審議会の評価額では、最低売り払い価格は1億9,864万円、簿価のわずか24.37%です。こういう区民共有の財産処分として、売り出すことによって7億9,500万円も損失をさせるという、そういう処分が正しいのかどうか、ちょっと伺いたいのですが。
○用地管財課長 処分が正しいかどうかということではなくて、あくまでも行政目的を達成した財産だと。その財産をどうするかという観点が一番大事だと思います。その処分として売り払いということに判断をしたわけでございます。
○渡辺(修)委員 言葉は便利ですが、やっぱり区民の施設として、もっと利用する、どうしたら有効活用ができるのかという、区民利用を前提にした対策も当然考えるべきではないかということを指摘しておきます。
 次に、土地開発公社の用地に関して質問します。
 一つの例として、この15年度の一般会計で土地開発公社から辰沼一丁目の資材置き場の土地569.79平米を3億8,877万円で一般会計で購入しました。それがことしの6月に1億20万円で売却しております。これも購入価格とその間の経費等を含めると、いわゆる一般会計で買ったお金のわずか25.77%で処分となって、損失というか、税金が2億8,857万円むだになったという印象を受けるのですが、財政状況が厳しいと言いながら、こんなむだ遣いがだれも責任を感じないで行われています。
 これは土地開発公社が言うまでもなく、毎年借り入れの上限額を議決してもらって、その範囲で区からの借入金と協調銀行からお金を借りて、公有地の先行取得をどんどんしていくということで100%区が丸抱えの組織ですね。職員もすべて区の職員が担当しております。
 ところが足立区は、バブルがはじけて土地の購入値段がどんどん下がろうという状況が見えているのに、これをどんどん買っているわけですね。これはいま全国的に土地の価格が下がったいうことも含めて、各地で大きな問題になっています。   この自治体の隠れ借金、塩漬け土地などと、マスコミもそのずさんな土地購入に批判が高まっております。15年末で土地資産が、ここでは127カ所、387億7,400万円となっております。このうちの一般会計からの借り入れ残が263億円、それから……。
○委員長 残り30秒です。
○渡辺(修)委員 それから、協調融資借入金が123億円ということで、これもいろいろ問題があるなと思っていますので、ちょっと時間がないので改めて午後から続きをやりますけれども、これは相当大きな問題だなということを指摘して、質問を終わります。