平成15年度一般会計決算の認定に反対する討論

大島芳江議員


○大島委員 私は、日本共産党足立区議団を代表し、第52号議案平成15年度一般会計決算は不認定、第53号議案から第56号議案の特別会計決算は、認定の立場から討論を行います。
 2003年度は財政健全化計画の最終年であり、包括予算制度を全庁で実施した初年度でもあります。
 2003年度における区民の暮らしの実態を数字で見ると、23区全体では特別区民税の納税義務者が増加しているのに、足立区では減少しています。特に会社が従業員の給料から天引きして納める特別徴収分の減少が顕著であり、非課税者数の増加も2000年度から顕著となっています。
 その理由は、景気の低迷で倒産・廃業、リストラ、失業がふえ、新たな就職も困難という深刻な事態が続いていることです。生活保護を受けざるを得ない世帯もふえており、96年度と比較すると、この8年間でおよそ1.85倍になっています。また、就学援助を受けている児童生徒は、2004年度で小中学校在籍数のおよそ4割に当たり、これらの家庭は、生活保護基準の1.1倍以下の収入で暮らしていることになります。
 このように区民の暮らしの実態は年々悪化し、この区民の暮らしを応援する施策の展開が求められていました。
 ところが、全庁的に始まった包括予算制度のもとでの財源配分は、まず、投資的経費に優先して配分し、残りを各部に振り分けるというものでした。しかも、内示額の2%は減債基金の取り崩しだからなるべく使わないようにという縛りをかけ、総合予算を組むので、補正予算は特別のとき以外は組めませんという念押しまでしました。毎年、経常経費は5%削減の目標があり、さらに包括予算制度での縛りをかけられては、区民に必要な新規事業や、施策の拡充はなかなかできません。
 経常経費にはこれほど厳しい対応なのに、投資的経費はどうかというと、財政健全化計画で示した年間180億円程度の事業費に抑えるという目標は完全に崩れ、2003年度は前年度に比べ112億円もふえ、321億円余となりました。
 一方、財源はどうかというと、当初「伸びが期待できない」といっていた財政調整交付金は、見込みより46億円余も多く交付されまし。しかし、12月補正予算で4億円を区民施策に回しただけで、残りはすべて減債基金に積んでしまいました。決算で明らかになる2003年度の余ったお金「決算剰余金」は53億円に上りましたが、このうち27億円は、やはりすぐには使わない減債基金に積んでしまったのです。区民のために使うお金はあったのに、それを使わずため込んだというのが、2003年度のお金の使い方でした。
 区長も、区民が安心して豊かに暮らしていけるように応援することは、区の当然の仕事と答弁しました。しかし、区民施策を見てみれば、我が党の質問で明らかにしたように、生業資金、住宅改良助成など、区民に喜ばれ、区内業者を支援し経済波及効果も大きい事業は、対象や給付条件などを変更し、結果として利用者を極端に減らしてしまいました。
 また、医師会の意見でも前立腺がんの発見率が高いといわれるPSA検診を実施する考えはなく、学校環境衛生基準を大きく上回る猛暑の中で学習する子どもたちに、何らかの暑さ対策もしない。さらに、ひとり親家庭のささやかな楽しみをも奪う休養ホーム事業の廃止、子どもたちが楽しみにしていた塩原林間学園を、行政目的を達したからと、7億9,500万円も損をしてまで売り払おうとするなど、区民にとっては、「くらしと産業の明日を拓く予算」どころか、暮らしを後退させる「明日が見えない予算」だったのではないでしょうか。
 担税力のある区民をふやすということは、区民に担税力をつけるということです。そのためには、区民の暮らしを豊かにしなければなりません。我が党は、独自に実施している区民アンケートの結果も踏まえ、決算審議の中でさまざまな提案をしてきました。これらの声を真摯に受けとめ、真に自治体らしい自治体としての区政運営を行っていただくことを強く求め、討論を終わります。