1、本会議質問 ○一般質問 松尾かつや議員 |
○松尾かつや 議員 私はまず、災害対策について伺います。 このたびの記録的な台風及び新潟県中越大震災で犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げます。 10月23日に新潟県中越地方を襲った直下型地震は、その後も震度6弱を含む強い余震が繰り返し起き、被害を拡大しました。一時は避難者が10万人を超え、被災地の方々の多くは、いまだに生活再建の見通しが立たず、全国から届けられる救援物資やボランティアの方たちの手助けが心の支えになっているとも聞いております。日本共産党は震災後直ちに対策本部を設置し、被災状況の把握と被災者の声をもとに、国や自治体と一体となった対策の強化に全力をあげています。また、現地に救援センターを設置して、ボランティアによる被災者救援復興支援の活動にあたるとともに、救援募金活動にも取り組み、全国で1億5,000万円を超える募金が日本共産党に託されました。区民の皆さんのご協力に、この場をお借りし、感謝を申し上げます。わが区議団としても、引き続き救援活動を強めていく決意です。 同時に今年は日本列島に上陸した記録的な台風も、全国各地に大変な被害をもたらしました。とりわけ、10月8日に関東地方を直撃した観測史上最強の台風22号は、足立区内をはじめ東京都内各地にも大きな被害をもたらしました。 日本列島は地震の活動期に入っているという指摘や、海水の温度が高まり、台風が発生しやすくなっているという指摘もあります。今回の災害を機に、災害対策を強化することは極めて重要と考えます。 11月17日に内閣府・中央防災会議は、首都圏直下型地震の震度分布想定図を発表し、地震によっては、都心の一部で震度7、23区の大半で震度6強になることを明らかにしました。 災害対策基本条例の精神を生かし、地域法再計画の前倒しを 区は災害対策について、足立区災害対策基本条例の中で、みずからの生命はみずからが守るという自助の考え方を強調していますが、区長は、11月25日付けあだち広報の「葦立ち」で、「地震や台風を止めることはできませんが、事前の備え、そして災害発生時とその後の対応への訓練を十分に行っていくことで、被害を最小限にすることはできます」と述べています。この言葉どおり、公的責任を発揮して対策に当たることが重要と考えますが、どうか、答弁を求めます。 内閣府は5月25日、平成16年度防災白書概要について国会報告を行いましたが、「想定される被害が甚大かつ深刻であるのに対して、地震防災施設の設備状況は必ずしも十分ではない」と指摘しています。区は1995年に起きた阪神・淡路大震災を教訓に、地域防災計画の抜本的見直しを行い、防災計画を作成しましたが、震災はいつ起きるかわかりません。計画達成時期が数年後になっているような施策については、テンポを早めて早急に達成できるようにするなど、対策を強化すべきと思いますが、どうか、答弁を求めます。 災害の復興は何よりも生活の復興であり、住宅の再建はその要となります。現在の被災者生活再建支援法は、住宅が全壊した場合で最高300万円、大規模半壊の場合で最高100万円の支援金が出ることになっていますが、これは被災した住宅の解体や撤去、整地費などと、当座の生活必需品への助成であって、住宅本体の改修や再建は対象ではないとされています。さらに受けるための条件も厳しいために、今回の新潟県中越地震では、住宅の解体撤去費用を支援してもらおうとしたが、もとの場所に家を建てることが必要と行政に言われた。でも、この場所では暮らせない。家を新築するお金もない。こんなに困っているのに、お金の使い方や年収で制限されるなどの声が報道されています。こうした問題が改善されなければ、住宅再建の保証がないということが被災地の方の実感となっています。足立区としても、こうした事態が起きた際に、区民が生活再建できるよう、被災者生活再建支援法の抜本的改正を国に要求する考えはないか、伺います。 今回の新潟県中越地震の教訓からも、耐震性や安全性確保を行うことは最優先課題です。特に日常的に子どもたちが学び、災害時には区の一次避難所ともなる区立小中学校の対策は待ったなしの問題です。 小中学校の耐震補強工事を前倒し、計画的に実施することを約束 現在、区立小中学校の耐震補強は55%の実施状況で、2010年度末完了の予定で補強を進めていると聞いております。今回の震災を教訓に、特に緊急的課題の一つと位置づけ、思い切って完了時期を早める必要があると考えますが、答弁を求めます。 また、災害時に一次避難所ともなる西新井小学校は、松杭部分の校舎もありながら、改修や改築の計画が立てられていません。旧建築基準法のもと、50年以上前につくられており、今の建築基準法では不適格建造物となる状態を一刻も早く解消しなければならないという問題です。今回の震災を見ても、こうしたところへの対応が早急に必要と考えます。区も昨年6月の本会議で「できるだけ早期の改築を計画しているところ」と答弁していますが、全く変わっていません。どう対処しようとしているのか、答弁を求めます。 区はこの間、千住地域で小中学校の統廃合を行ってきましたが、この統合は同時に災害時の第一次避難所が減少していることを意味します。今後、一次避難所を増やす必要があると考えますが、どうか、伺います。 私は11月23日に区庁舎で開かれた第17回あだちまちづくりフォーラム、まちづくりトラスト講演会に参加しました。会場から、障害者への対策をどうするかとの発言が出ておりました。地震などの災害が発生した場合、こうした障害者や高齢者、病人など、罹災率の高い要援護者に対する対応は大きな課題となっています。区はその対策として、要援護者自身や家族の方々に、日常生活の中で地域との友好を深め、いざというときに、避難等の援助をしてもらえるようにするとともに、町会単位でつくられる防災区民組織を初めとする地域の方には日頃から付近の要援護者の居場所を確認し、防災訓練等を積極的に呼びかける対策を講じています。この取り組みは今後も大いに進めるべき課題です。同時に今回、行われた講演会のパネラーからは、「年2、3回家庭訪問するのが精一杯、とてもそこまで手は回りません」「ひとり暮らしのお年寄りに火災報知機をつけたいが、町会だけの負担では無理」との発言が出ていました。今回の災害による犠牲者の多くが高齢者などの災害弱者であり、一層の対策が必要となっていると考えます。区は今後、どのように対応しようとしているのか、お聞かせください。 兵庫県監察医は、平成7年に神戸市内における検死統計を公表していますが、阪神・淡路大震災犠牲者の8割は、建物倒壊の要因により亡くなられたことが明らかになっています。わが党は先に行われた決算特別委員会で、住宅改良助成制度を耐震診断だけでなく、耐震補強工事にも利用できるよう強く求めてまいりました。先の新潟中越地震は、改めてこのことの重要性を示しています。区は今年が終わって実績が少ないようであれば検討するという姿勢ですが、やるべきことはすぐにやるという立場に立てば、すぐ実施できる施策であり、効果も高いものです。地元中小業者の仕事確保につながるものでもあります。区は足立区地域防災計画の中で、区は区民と協力し、災害時の第1責任者として次の役割を示すとし、その第1番目に、人命最優先の応急対策を掲げています。まさにその責務を果たすために求められている施策であり、今すぐやるべきだと思いますが、どうか、答弁を求めます。 内閣府は今年の9月、住宅の耐震化に関する特別世論調査の調査結果を発表しましたが、住宅の耐震性が不足している場合の対策について、対策を取りたいと考えている事柄で一番多いのが本棚・家具の転倒防止対策などを行うことです。足立区は昨年限りの制度として、自費負担で金具を購入した場合、区が委託した事業者が取り付けを行う取付料について助成し、無料で取り付けができる制度を行っていました。内容ややり方はさまざまですが、少なくない自治体で、継続的に転倒防止器具の助成策を実施しております。足立区としても、今回の新潟県中越地震を受け、区民の防災意識も高まっている今だからこそ、補正予算を組んででも行うべきものと考えます。取付助成を実施すべきと思いますが、どうか、答弁を求めます。 関東地方に上陸した台風22号は、西新井地区は10分間に約13ミリで、およそ1時間に70ミリ相当の雨量となりました。栗原のギャクシティ前にある商店街は、周辺に比してやや地盤が低い状況にあり、この時間に降り注いだ雨水がこの地域に集中した結果、排水能力を超えたために都市型水害が発生し、床上浸水を含む被害をもたらしました。この地域は下水管の改良後、被害はこれまで起きてはこなかったものの、危うく被害になるという事態が数年前にもあったと聞いております。1時間当たり75ミリの降雨量への対処も思案に入れた整備等についても検討すると、区の地域防災計画水防編でも述べられていますが、思案している場合ではありません。都下水道局の計画を待つのではなく、区としてしっかりと要求する姿勢に立つことが必要であると考えますが、どうか、答弁を求めます。 また、先の建設委員会で区は、貯留槽、浸透枡など、いわゆるピークカットについて検討すると答弁しましたが、今回の栗原地域におけるこうした事態は直ちに実施すべきであることを示しています。そうした対策を至急講じるべきと思いますが、どうか、答弁を求めます。 同時に今回の台風の影響による水害は、千住地域にも被害をもたらしました。この地域の抜本的な解決方法は、既に計画されている千住関屋ポンプ所を早急につくることにありますが、用地を確保しておきながら、いまだにいつ工事が始まるのかもはっきりしていません。区として都に速やかにつくるよう強く働きかけるべきと思いますが、どうか、答弁を求めます。 また、既存のポンプ所についても、先行待機型ポンプに切り替えるなど、機能強化を行うことや、まち全体の下水道改良の面的整備についても同時に求めるべきと思いますが、どうか、答弁を求めます。 次に、若者の雇用対策について伺います。 ヤングジョブセンターなど若者雇用で大きく前進 総務省が発表した9月の完全失業率は、24歳以下の男性で21カ月連続10%を超えるという深刻な事態が浮き彫りとなりました。若者の雇用状況が厳しい背景には、依然として大企業を中心に人減らしやリストラとともに新規の正社員の採用抑制があります。一方、パートやアルバイトへの切り替え、派遣や請負など不安定雇用と低賃金労働が増えています。その結果、やむを得ず不安定な仕事と生活を余儀なくされたり、親の援助を受けて生活を送らざるを得なかったり、何度も不採用を突きつけられる中、自分は社会に必要とされていないと悩み、職探し自体をしなくなったりする若者が跡を絶ちません。 また、今の社会状況の中、学校の中退やひきこもりなどの要因で社会的つながりを持てなくなった、あるいは持たない若者も増加しています。こうした状況が生まれていることの本質は、最初から若者の意欲に問題があったのではなく、若者が未来に希望を見出せない社会状況をつくり出した国の政治に大きな問題があります。そして、その対策には国と自治体が一体となって総合的に対応することが必要です。 5月31日に発表された独立行政法人、労働政策研究・研修機構の「移行の危機にある若者の実像−無業・フリーターの若者へのインタビュー調査(中間報告)−」でも、若者の就業対策として「就業の問題だけを取り出して対応することは有効ではない」「ひとつの組織で広く対応できるか、あるいは、連携して問題解決にあたる対応が必要」とし、「連携をとりやすい地域行政が主導的役割を果たすことが望ましい」と述べられています。 区長は1日に行われた本定例議会のあいさつで「ニートなどと言われる若者の意欲の問題」を「日常生活の足元に迫り来る危機の存在」と述べました。しかし、若者の意欲、主に若者の側の問題を改善させる中で解決を図ろうとする姿勢のまま、問題の大元にメスを入れない施策では抜本的な解決はできません。 若者の心のケアなど、医療機関との協力や、小中学校などの教育現場、同じ世代である若者の代表など、労働と教育、家庭、社会に関わる問題の連携を強化し、情報交換の枠を超え、相互に問題解決の道筋をつける対策について対応することが重要と考えますが、区はこのような連携をどのように図っていこうとしているのか、答弁を求めます。 昨年登場したヤングジョブスポットは「ハローワークに行きづらい」「敷居が高い」と、足を踏み出せない若者がここを利用する中で、就職活動への第一歩を踏み出すことができるようになり、最終的に青年の雇用につなげていく重要な施策の一つでありました。ところが国は今年度限りで撤退すると言います。区は存続の要請を国に対し行いましたが、引き続き強く働きかけるとともに、かりに国が撤退するとなった場合においても、このヤングジョブスポットが果たしている役割を受け継ぎ、区として継続させる必要があると考えますが、どうか、答弁を求めまして、この場での質問を終わります。 答弁 ◎鈴木章 危機管理室長 災害対策の一連のご質問にお答えいたします。 足立区災害対策条例では、まず、区長の基本的責務を定めております。また、区長は災害対策本部長として指揮する立場にもございます。その目的でございます区民の生命、財産を災害から守るために、区民、事業者等の協力を求めると同時に、地域の自主的な防災活動に対して、指導、助言、支援を行うこととなっております。今後も区民や事業者、関係機関とも連携して、災害対策の充実及び強化に努めてまいります。 次に、地域防災計画でございますが、区を初めとする防災関係機関が、計画的に地震に強いまちづくりに取り組んでいるところであります。毎年、地域防災計画を見直ししておりますので、今後も積極的に取り組んでまいります。 次に、被災者生活再建支援法についてお答えいたします。 この法律は自然災害により、生活基盤に著しい被害を受けた世帯への支援金の支給を定めたものでございます。都道府県の拠出しております被災者生活再建基金と、国からの補助金が原資でございますので、今後他区とも協議しながら、東京都を通じて支給の拡充等の要望につき検討してまいります。 次に、千住地域の避難所でございますが、区立小中学校の統廃合に伴い、避難所及び避難所の自主的運営主体である避難所運営会議の再編が必要となっております。今後、地元町会・自治会との調整及び私立高校等との協定による避難所の確保に努めてまいります。 次に、本年発生した水害・地震災害における犠牲者の多くが高齢者等の要援護者でありました。要援護者の支援体制の強化につきましては、先に鴨下 稔議員、ふちわき啓子議員にお答えしたとおり、区といたしましても、緊急の課題と認識しております。早急に情報弱者への災害情報の提供等、要援護者への支援体制につきまして検討してまいります。 最後に家具の転倒防止器具についてでありますが、大震災における家具転倒は、多数の負傷者を発生させる原因となっております。区といたしましては、現在、全世帯に配布いたします防災マップを作成中でございますが、この中に、より安価で簡易な転倒防止策を盛り込む予定でございますので、現状では取り付けに対する助成は考えておりません。 ◎佐野宏明 都市整備部長 耐震補強工事につきましてお答えいたします。 先にたきがみ明議員にお答えしたように、耐震補強工事に対する助成につきましては、現行住宅改良助成事業の利用実態、他区の実施状況等を勘案し、検討していきたいと考えております。 ◎猪野秀明 土木部長 浸水対策についてお答えいたします。 栗原のギャクシティ前にある商店街につきましては、周辺に比べてやや地盤が低く、浸水被害の起きやすい地形となっております。 区としましては、下水道局と浸水対策会議を設置し、当地区の浸水被害の軽減対策を講じてまいります。合わせて区内全域において、下水道施設を補完する貯留槽や浸透枡の整備も推進し、総合的に浸水対策を進めてまいります。 次に、千住関屋ポンプ所建設につきましては、先に鴨下 稔議員の代表質問にお答えしましたが、下水道局からは、財政上の理由により、具体的な建設スケジュールについて示せない状況にあると聞いております。 区としましては、千住地域の浸水対策の抜本的対策として、今後も都に対し強く建設を要望してまいります。また、下水道局では、区内の下水道ポンプ所において、先行待機型ポンプに順次切り替えを進めています。さらに面的整備としては、千住地域における再構築事業の推進を要望してまいります。 ◎坂本寛文 産業経済部長 私からは、若年の就業対策ほかのお尋ねについてお答えいたします。 まず、連携をどのように図っていくかということですが、足立区は既に雇用促進協議会を立ち上げております。この協議会を通して、区内の高校、小中学校、東京労働局、ハローワーク、都しごとセンター、区内企業などと連携して、若年対策を着実に前進させております。また、庁内でも、教育委員会を初めとする関係各課と連携を進めております。 次に、ヤングジョブスポットについてですが、ヤングジョブスポット北千住の役割については、大変重要であると認識しています。このため、この事業が継続できるよう、国に強く働きかけているところであります。 なお、若年の就業対策については、今後もハローワーク等の関係機関と連携を深めてまいりたいと考えております。 ◎石川純二 教育委員会事務局次長 区立小中学校の耐震補強工事の早期完了についてお答えいたします。 校舎の耐震補強工事は、平成20年度までに完了するよう計画を前倒しする予定でございます。 次に、西新井小学校の件でございますが、校舎は6期に分けて建設されており、最終の第6期は昭和50年建設であります。松杭の校舎は、第1期建設校舎のみでございますが、建物全体の老朽化が進んでおり、今後、立案する区立学校改築計画の中で最優先改築校として位置づけてまいりたいと考えております。 再質問 ○松尾かつや 議員 1点だけ再答弁を求めたいのです。耐震補強工事の問題で、答弁を聞いていると、わが党は決算特別委員会で答弁した、今年を終わって実績が少ないようであれば検討する、それとほぼ同様の答弁を今、いただいたと思うのです。私が聞いたのは、この答弁を踏まえて、その後起きた今回の新潟県中越地震の結果を受けてどうなのかというふうに聞いているので、その点、答弁を求めたいと思います。 再答弁 ◎佐野宏明 都市整備部長 ただいまお答えしたとおり、現在の住宅改修事業の内容等を検討するとともに、今、ご指摘の新潟県中越地震の問題等々を考えまして、あるいは他区の実施状況を勘案して検討していきたい、このように考えております。 |
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