足立区立健康学園条例を廃止する条例についての反対討論
三好すみお議員 |
○三好すみお議員 私は日本共産党足立区議団を代表し、第102号議案 足立区立健康学園条例を廃止する条例について、反対の立場から討論を行います。 上総湊健康学園は、足立区立小学校に在学する3年生以上の児童のうち、特に健康指導を要する者を入園させ、普通教育の課程を修めさせるとともに、適切な養護と訓練を加えて、その心身の成長を図るために昭和25年に設立されたもので、以来54年間で4,261名の卒園者を送り出し、児童の健全育成に大きな役割を果たしているものです。このような健康学園はますます必要であり、充実こそ求められているもので、廃止する必要はありません。 喘息で健康を損ね、健康学園に通っていた児童が、東京に戻ってくるたびに「お父さん、東京の空気はくさいよ」と言っていたそうです。この児童は健康学園によって元気な体を取り戻し、今は東京で暮らすこともできるようになりました。学校でいじめがあり、不登校になってしまった肥満気味の児童を持つ母親は「どうしたらいいかわからなくて悩んでいたときに、健康学園のあることを知り、本当に助かりました。」「お陰で今は元気に高校へ通っています。健康学園は絶対に必要な施設です。」こう語っています。 健康学園に関わった多くの人たちがこのように感じているからこそ学園が廃園になると知らされた2カ月あまりの短期間のうちに3,174筆もの署名が寄せられたのです。さまざまな要因によって健康を損ね、家庭での養育が困難で、普通学級に通えない子どもたちにとって、健康学園は唯一の救いの施設であります。 健康学園は、学級教育法に基づき、身体虚弱児童を収容して、健康増進を図ってきましたが、その身体虚弱の内容は、時々の社会状況で変化し、時代、時代のニーズに合わせた対象者を受け入れ、援助、支援し、役割を果たしてきました。足立区の健康を損ねている児童の実態は、ここ数年で肥満、アレルギーが微増、喘息ではこの2年間で30%も増加しています。養育放棄やネグレクトといった新たな問題も増加傾向にあり、児童の健康問題はますます深刻さを増しています。健康学園をなくすことは、こうした子どもたちの心身の成長を妨げ、教育の場を奪うものであり、どんな理由をつけようとも許すことのできない暴挙であります。 上総湊健康学園を廃園にする今回の条例は、第一次検討会で出された「児童の居場所が確保できるまで当分の間存続する」という報告から3年が経過し、健康学園の在園児童数が増えていないこと、家庭に課題を抱えた児童の受け皿としては十分に機能を果たすことができていないことを理由として出されたものです。そして区は、在園児童数の減少やリバウンドがあるので、「健康学園は効果がない、役割が終わった」と説明していますが、これほどの暴論もありません。 第一に、学校教育法ではその第17条で「小学校は、心身の発達に応じて、初等普通教育を施すことを目的とする」とあります。上総湊健康学園は、この学校教育法の特殊学級の定めにより設立されたものであり、たとえ人数が少なくとも、足立区が1人ひとりの児童の教育を受ける権利を保障しなければならないことは当然です。 第二に、リバウンド問題の一面的評価と在宅での仕組みづくりについてです。 健康学園の役割はこれまで述べてきたように明らかです。さまざまな事由で入園した児童が元気になって卒園しています。リバウンドは肥満児についての問題ですが、卒園後6割近い子どもたちがリバウンドをしていません。健康学園は肥満児に対しても効果のあることの証明ではありませんか。 そもそも健康学園の役割に卒業後のことまで担わせるのは無理があります。家庭に戻った子どもたち、また健康学園に入園していない子どもたちには、それこそ第二次報告で強調されている学校や家庭、地域のネットワークで支えていく仕組みづくりが求められています。 健康学園入園児の半数を占める養育放棄やネグレクトと言われる児童が区内に100名くらい存在し、増加傾向にあると一次検討会報告で指摘されています。そうした家庭では、児童だけではなく、親に対する対応も求められていますが、それは指導や教育といったものではなく、親が子どもとともに育ち合う環境づくりと専門性、そして息の長い取り組みが求められているのです。 こうした在宅児童を支える子ども家庭支援センターなど、社会資源の整備と、健康学園は車の両輪としてなくてはならないものであり、これからも充実が求められています。社会資源の整備を理由として健康学園を廃園する理由は成り立ちません。 この間の質疑で健康学園ははじめから期間を決めておいて、期間が過ぎたら廃止をするということを前提に、当分の間存続したということが明らかになりました。そして廃園の動機が平成15年に行われた監査の指摘を理由として、学園運営の経費がかかりすぎるという行財政改革の一環としての経費の削減にあることは明白です。 お金と引き換えに、健康を損ね、家庭での養育が困難な子どもたちの将来への希望を閉ざしてしまう健康学園の廃園は、「健全の家」廃止に続いて「足立の良心の灯」を消す鈴木区政の冷たさを如実に示すものであり、絶対に認めることはできません。したがって、わが党は引き続き上総湊健康学園の存続を求めるものであります。 議員の皆さんの賢明な判断をお願いいたしまして討論を終わります。 |
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