足立区の小・中学校で、30人以下の少人数学級を実施することを求める請願に対する採択を求める討論

針谷みきお議員


○針谷みきお議員 ただいま議題となりました15受理番号13、足立区の小・中学校で、30人以下の少人数学級を実施することを求める請願に対し、日本共産党足立区議団を代表して、文教委員会の不採択に反対し、同請願を採択する立場から討論を行います。
 本請願はみんながわかる授業、豊かな人間関係を結べる環境をつくるために、足立区独自に小学校1、2年生、中学校1年生より、30人以下の少人数学級を実施するとともに、東京都に意見書を提出してほしいという1万5,999人の署名を添えた請願であります。
 どの子にも行き届いた教育をと願う少人数学級実現の運動は急速に広がり、42道府県で少人数学級が実施され、来年度は少人数学級実施予定を含めると、40人学級にしがみついているのは、このままだと東京都ほか2県だけとなってしまいます。
 昨年11月、文部科学省はチームティーチングや少人数指導などに伴う教員の加配を、30人学級などの少人数学級実施のために振り替えた場合も国庫負担の対象にすることを明らかにしました。そして、来年4月から区市町村教育委員会が地方自治体の判断で少人数学級を実施できる制度を決定し、都道府県によらずとも、30人学級に踏み出せることになりました。
 区教委はこの間、少人数学級の効果は認めつつも、生活集団としては、40人学級を維持しつつ、国語や算数などの基礎、基本の学力については、少人数指導を進めるために、教員の加配を進めるという方針を堅持してきました。しかし、区の学力向上推進会議の答申でも、都教委が実施した学力調査の結果を見ても、朝ご飯を食べてこないとか、家庭が崩壊して生活習慣が身についていない子どもの学力低下が顕著であり、生活指導と学力向上を結合して指導することが求められており、少人数指導を推進するより、少人数学級の方がより効果が高いことは明白であります。
 しかも教育長は決算特別委員会の答弁で、その学校が自分の学校の状況に応じて、うちの今の状況を解決する一番の方法として、例えば1年生を少人数学級でやりたいという学校の要望があれば、その方向に沿って努力をしたいと答弁しています。
 ところが文教委員会では、自民党員から、現状では教育委員会がそれなりの対応をしているわけだし、また将来、30人以下の少人数学級をつくるという状況になれば、それなりにまた対応すればいいわけだから、この請願も長きにわたって継続してきたことから、そろそろ一度不採択にさせていただきたいと発言、また、公明党委員からも、30人学級が望ましいことは間違いないと思うが、今までの経緯を見ると、区としては30人学級というのではなく、現行の国の制度に従いつつ、特別講師の加算だとか、TTの教員を加算し、少人数授業の充実とか、習熟度別とか、いろいろな形の中で政策を講じているので、現時点においては、この請願には沿えないので不採択などと、30人学級が望ましいと認めつつ、不採択を主張する矛盾した態度をとっています。
 アメリカではコロラド大学のグラス・スミス教授の研究によって、学級規模が小さくなるに従って、学習の到達度、情緒の安定、教員の満足度が高くなるという調査結果があり、欧米のほとんどの学校では、平均25人のクラス編成で学校教育が進められています。
 また、33人学級を実施した山形県知事は、「橋は倹約できるが、人生は一回しかない。公共事業とどちらを選択するかと問われれば、教育を先行させる」と発言しています。
 さらに東京都小学校校長会が、来年度予算要望で、小学校1、2年生の学級定数を30人程度にすることを重点要望として求め、「40人学級では少人数指導で2学級を3分割しても、1グループ当たり30人近くになり、きめ細かな指導にならない」「少人数指導を充実させるためにも、学級規模を30人程度として、より小さなグループ分けをする必要があると考え要望した」と述べているように、少人数学級の優位性は明白であります。
 もはや少人数学級の実施を求める世論は、圧倒的な世論になりつつあります。今からでも遅くはありません。本請願を採択し、区民の多数の声に議会は応えるべきであることを訴えて討論といたします。


※足立区議会では本会議での賛成討論のみはできない申し合わせがあり、反対討論が掲載されていますが、こうしたルールがあることをご理解ください。