1、本会議質問 ○一般質問 鈴木秀三郎議員 |
○鈴木秀三郎議員 私は高齢者福祉施策と区立第二中学校跡の活用などについて質問いたします。 初めに区長に伺います。 小泉政府は構造改革と称して、高齢者にも大変な痛み、負担増を押しつけています。例えば70歳代の高齢者夫婦、夫の年金が240万円、妻の年金は60万円、合わせて年金収入300万円の世帯で見ると、既に老人医療保健改悪で医療費1割負担、介護保険料の引き上げ、物価マイナススライドによる年金給付減などで、年間6万8,500円の負担増、この上、今年からは公的年金控除の縮小、老年者控除の廃止で年間2万9,400円の負担増、さらに2005年度と2006年度で計画されている定率減税縮小・廃止や住民税高齢者非課税限度額の廃止による所得税、住民税の増税、これと連動する介護保険料段階のアップによる保険料引き上げ、これで年間5万1,700円の負担増、これらを総計すると、何と年間15万円を超える新たな負担となります。 また、石原都政は、4年間で累計856億円もの福祉予算の削減です。高齢者施策では、老人福祉手当月5万5,000円の廃止、老人医療費助成・マル福の段階的縮小で2007年6月廃止、入所待機者が2万5,495人と、全国で一番多いのに、特養老人ホームなど、施設数は人口比率で全国最低の47位という状況です。こうした中で受診抑制、利用抑制が広がっています。これ以上、高齢者施策の縮小や負担増を行うべきではありません。 介護保険の負担軽減策を継続せよ 鈴木区長は、介護保険導入時に、「介護の基盤整備や福祉サービスの充実は区政にとって極めて重要な課題」と答えていますが、この認識は今でも変わってないのか、伺います。 また、区は自立とされた高齢者への手すりの取り付けや床段差解消など予防給付事業、シルバーカーや電磁調理器、緊急通報システム等の日常生活用具給付事業など、現在、6つの事業で本人負担割合を、区民税非課税世帯は3%、区民税本人非課税は6%としています。ところが4月からこの軽減措置をやめ、生活保護者など以外はすべて10%の負担にするとしています。しかし、区は、これ以上の高齢者の負担増が生じないように、低所得者の負担軽減措置を継続すべきと思うが、どうか。 次に、介護保険制度改定の問題です。 区は昨年の第3回定例会で「現行水準を後退する、あるいは区民が介護を受けられなくなるような事態を招くとは考えておりません」と答えていました。しかし、政府が提出した介護保険制度改革関連法案は、現行制度の問題点を改善するものではなく、それとは逆に介護保険実施前から訪問介護を受けていた在宅サービス利用者の負担軽減措置としての特別対策の打ち切り、また、在宅者がほとんどの要支援、要介護1のサービス利用が多すぎると、サービス内容を見直し、利用を制限する。さらに特養老人ホームなど、施設サービス利用者に対しては、在宅者との公平性を口実に居住費と食費を保険給付から外し、自費負担にする。 また、ショートステイやデイサービスの利用までも、居住費用と食費を新たに徴収するとしています。それだけでなく、国の見直しは高齢者福祉施策や老人保健施策まで介護保険に組み入れ、高齢者に負担を強いるものとなっています。制度の見直しどころか、大改悪です。低所得者が負担しきれず、介護サービスからますます除外されることは明らかではありませんか。 区は見直しの内容が明らかになった今でも、区民が介護を受けられなくなるような事態を招くことはないと考えているのか、改めて区長の認識を伺いたい。 次に、介護保険料の負担軽減の問題です。公的年金等控除の縮小や老年者控除の廃止で非課税から課税になり、低所得高齢者の保険料は、収入が変わらないのに、現行の第2段階A月額2,400円、第3段階月額3,200円から第4段階月額4,000円のランクに上がり、大きな負担となります。介護保険料のランクが上がる低所得高齢者は推計で何人になるのか。 また、介護保険は所得の低い本人非課税から基準額を徴収するという制度的欠陥があります。このため全国で70自治体が低所得者の保険料全額免除を行っています。都内の各自治体でも、第1段階や第2段階の保険料について、さまざまな負担軽減措置をしています。足立区でも第1段階、第2段階に独自の負担軽減策を盛り込んでいますが、国の3原則を理由に預貯金要件の撤廃を拒否しています。しかし、政府の見直しは、現第2段階を新第2段階と新第3段階に区分しますが、預貯金要件はありません。介護保険料を具体的に決めるのは、保険者である足立区です。区の負担軽減策の預貯金要件をなくすべきと思うが、どうか。また、区は保険料の値上げをすべきではないと思うが、どうか。 特別養護老人ホームのホテルコスト導入にともなう支援策を 次に、ホテルコスト導入の問題です。政府はホテルコスト導入の口実に、「年金と介護の二重給付」と言っていますが、しかし、施設に入所しても、借家の家賃がなくなったり、自宅の光熱水費の基本料が下がるわけではありません。ホテルコストは自宅の費用負担の上にさらに負担を求めることであり、まさに負担の重複の押しつけではありませんか。介護施設の居住費と食費を保険から外すことは道理がないばかりか、ホテルコストでサービス利用の抑制がさらに広がります。 また、低所得者対策として補足的給付も言っていますが、本人のみ非課税の方は、ホテルコスト基準額、個室で10万8,000円、準個室で9万8,000円、相部屋(多床室)でも5万8,000円が、サービス利用料に加えて新たな負担となります。区内の特養老人ホーム入所者は、低所得者が多いと言われています。負担しきれない場合はどのように対応するのか。また、区として低所得者に対する何らかの支援策を図るべきと思うが、どうか、答弁を求めます。 次に、新予防給付の問題です。現在の要支援と要介護1の高齢者の7割から8割が対象者になるという新予防給付ですが、この新メニューの筋肉トレーニングを利用料10%も払って受ける人がどれだけいるかと懸念されています。また、これまでの家事援助は「高齢者の生活機能を低下させることになる」として規制しています。しかし、要支援や要介護1の多くの方は、ホームヘルパーの支援で身体機能の低下が止まるなど、援助を受けながら自立した生活に努力しています。国の見直しはこうした方々を孤立させ、逆効果になりかねません。区は現在のサービスが受けられなくなる方への対応はどうするのか。また、認知症や各人の状況によっては、一律に家事援助の削減はできないと思うが、どうか。 次に、新たな地域支援事業の問題です。政府は今の高齢者福祉の介護予防・地域支えあい事業や老人保健事業及び在宅介護支援センター事業を一本化し、介護保険制度に位置づけ、新たに地域支援事業を行うとしています。組み込まれる事業は、原則公費負担で行われ、国庫負担は2分の1や3分の1ですが、介護保険に統合することで、国庫負担は4分の1に縮減することになります。 行政の責任で行っている老人健診が介護保険の中でとなれば、高齢者が民間事業者と契約し、利用料を払って行うことになり、公的責任は大きく後退します。老人保健法に基づく高齢者保健事業は、介護保険に組み込むべきではありません。国に対し意見をあげるべきと思うが、どうか。 また、地域支援事業の経費を介護保険給付費の3%程度、足立区では約9億円程度と言われていますが、組み込むとされている事業の費用総額は推計で幾らか。また、現在のサービス水準を後退させるべきではないと思うが、どうか。 次に、介護サービス基盤の整備についてです。国の見直しでは「住み慣れた地域で暮らし続けられる地域ケア体制の確立」が強調され、地域密着型サービスの創設が言われています。これは区市町村が地域単位で必要サービス量を定め、計画をつくるとしていますが、区民のみがサービス利用が可能で、自治体の姿勢によってサービス提供が大きく左右されます。 そこで何点か伺います。地域の実態を十分反映した生活圏域を設定し、地域密着型サービス、小規模・多機能型サービスを積極的に整備すべきと思うが、どうか。 また、デイサービスなどは認知症やそれぞれの状況に応じたきめ細かいサービスの設定ができるようですが、認知症専用型デイサービスを計画的に整備する必要があると思うが、どうか。 特養老人ホームの入所待機者は、現在、2,174人と、依然として強い要望があります。現段階での整備計画を明らかにされたい。また、今の待機者(入所希望者)が施設に入れる計画を持つべきと思うが、どうか。 区が指定権限を持つことになる小規模特養老人ホームを計画的に整備すべきと思うが、どうか。特に特養老人ホームのない地域については、早急に整備すべきと思うが、どうか、答弁を求めます。 区立二中の跡利用は売却ではなく、観光資源にもつながる金八記念館を 最後に区立第二中学校の跡利用・金八記念館構想についてです。 北千住地域について、区は基本構想の計画に合わせて、文化産業・芸術新都心構想という検討素材をもとに大枠の議論を進めていると述べています。北千住駅東側地域の活性化を図るため、JT用地の開発など、駅広の関連も含めて関係者と協議がされています。こうした中で地元有志による金八記念館企画書の提案は、地域の活性化に役立つものと思います。テレビドラマ「3年B組金八先生」は4半世紀も続き、全国的に多くのファンがおり、全国各地から二中校舎や周辺地域を訪れています。企画書では撮影箇所めぐりの回遊ルートマップ作成やドラマ資料の展示、ビデオやDVD視聴覚室、さらに教室を活用した常設の演劇稽古場、全国の愛好者に呼びかけ、(仮称)金八ソーラン大会の企画もあります。また、施設を災害時の避難場所としての活用など、地域を考慮したものです。 伺いますが、北千住駅東口側・千住常東地域は、十六中、二中跡の貴重な公有地の活用が望まれています。JT社宅跡地など、民間の動向も踏まえ、地域の活性化計画を具体化すべきと思うが、どうか。 この千住常東地域の活性化を図るために、区立第二中学校跡の活用は不可欠です。金八記念館構想は活性化に弾みをつけるものであり、跡地は売却せず、区民の要望を積極的に生かすべきだが、どうか。以上答弁を求め、この場での質問を終わります。 答弁 ○石川義夫福祉部長 高齢者施策についてお答えいたします。 まず、国において介護保険制度の持続可能性の確保、明るく活力ある超高齢社会の構築、社会保障の総合化を基本的視点として、制度全般について見直しがされております。この中で今まで以上に介護の基盤整備や福祉サービスの充実が必要であり、区政にとって極めて重要な課題であるという認識は変わっておりません。 次に、日常生活用具や高齢者緊急通報システム設置事業などの、いわゆる介護保険外高齢者サービス事業の利用者負担につきましては、現在、利用者の所得に応じて4段階の負担率を設定しておりますが、介護保険制度は介護サービスにかかった費用の1割を利用者負担としております。しかし、生活支援ヘルパーの派遣や、介護保険制度と全く同じ内容で行っている住宅改修の予防給付などは、所得によって介護保険制度を利用する場合より自己負担額が少なくなるなど、整合性がとれておりません。 また、東京都は利用者負担分として1割分を差し引いて補助対象とするなど、今後、高齢者の増加が見込まれる中、区の財政負担が増大してまいります。 このため、今回はそれらの事業について原則1割負担とする内容の改正をいたしましたが、引き続き生活保護世帯や非課税世帯の老齢福祉年金受給者及び介護保険料の所得段階が第2段階B・Cの者は負担なしとする低所得者に対する負担軽減措置を継続いたします。 次に、地域支援事業についてお答えします。 地域支援事業の内容については、厚生労働省から具体的に組み込む事業内容が提示されておりません。したがいまして、区の実施事業がどれだけ地域支援事業に組み込まれるのか、判断が難しいところですが、在宅介護支援センターの運営経費や健康診査等の事業の総額は、16年度当初予算でおよそ13億円程度と推定しております。 次に、かりに事業総額が介護保険給費の3%を超えた場合、一般財源を投入できるかどうか、不透明な状況にあります。現在のサービス基準を後退させることは、できるだけ避けたいと考えておりますが、なにぶん国の制度設計の詳細が見えないので、明言はできない状況です。 次に、介護サービス基盤のあり方の見直しについてお答えいたします。 地域密着サービスの取り組みについてのご質問でございますが、介護が必要になっても、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、地域密着サービスの創設が今回の介護保険制度改革の柱となっております。厚生労働省から新制度の交付金の内容や基準が示され次第、大都市の地域特性を踏まえ適正に対処してまいります。 次に、認知症高齢者対策は、今回の介護保険事業計画見直しでも重要な項目の一つです。したがいまして、第3期老人保健福祉計画、介護保険事業計画策定における高齢者実態調査などの結果を踏まえ、認知症デイサービスを計画的に整備する予定であります。 次に、特養ホームの計画についてのご質問でございますが、現在、2,174人の方々が特養ホームへの入所を希望されており、これらの方々が入所できるように、区内各地域に特養ホームの設置計画を進めております。具体的には江北三丁目、扇一丁目、旧第三中学校跡地、旧竹の塚北小学校跡地について計画を進めております。 次に、小規模特養ホームを計画的に進め、特に特養のない地域については、早急に整備すべきとのご質問でございますが、地域介護・福祉空間整備等交付金の内容や小規模特養ホームの設置基準が示され次第、地域密着サービスの中で検討していきたいと考えております。 ○佃 朝明区民部長 介護保険制度の見直しについて一括してお答えします。 今回の制度改革は、制度の基本理念である高齢者の自立支援、尊厳の保持を基本としつつ、制度の持続可能性を高めるため、予防重視型のシステムに転換を図るものであります。要支援、要介護度1の要介護者を対象に、新予防給付を創設するものであり、真に利用者の自立支援に向けた給付を行っていくものであります。 また、要介護度1の方につきましては、必要があれば介護給付も受けられます。したがって、現行の水準を後退する、あるいは区民が介護を受けられなくなるようなことはないと考えております。 次に、介護保険料につきましては、公的年金等控除の改定等により、18年度に現行第2、第3段階から現行第4段階に以降する高齢者の方は、約3,000人弱と推計しております。 新第2・第3段階の創設は、18年度制度改正によるものであり、17年度保険料軽減制度においては、従来どおり厚生労働省の3原則を遵守し、現行どおり実施いたします。 なお、18年度以降は、第3期介護保険事業計画を策定する中で検討してまいります。 新規認定者やサービス利用者の増加により、給付費が事業計画を大幅に上回っております。第3期の介護保険料につきましては、新予防給付など、制度改正に伴う介護給付費の見込みを詳細に算定し、来年度の足立区地域保健福祉推進協議会にお諮りする予定でありますが、介護保険料の値上げは避けられないと考えております。 今回の施設給付の見直しは、介護保険と年金給付の重複の是正、在宅と施設の利用者負担の公正性の観点から導入されるものであります。居住費用と食費の見直し内容は、現第3段階の方につきましても、世帯の総収入を考慮すれば負担可能なものと考えております。 低所得者に対する措置として、国では高額介護サービス費を見直し、新たに設定される年金収入80万円以下の新第2段階の方につきましては、現行の月額上限2万5,000円を1万5,000円に引き下げることとしております。 また、旧措置入所者の経過措置を延長し、介護費用の自己負担部分と食費の合計額が、法施行前の費用徴収額を上回らないよう設定しております。区といたしましても、これらの措置により対応してまいります。 次に、新予防給付に関わる影響でありますが、介護サービスが一律に受けられなくなるというわけではございません。身体を使わないと生活機能が低下する廃用症候群の方につきましては、残存能力を低下させる恐れのある家事援助サービスの内容が見直されるものであります。 また、従来の訪問介護サービスが引き続き受けられる軽度者の基準が、今後、厚生労働省から示される見通しでございます。例えば病院退院直後、骨折して回復していない状態、認知症の方等は、従来のサービスを受けられる予定でございます。 ○神谷達夫衛生部長 私からは老人保健事業についてお答えいたします。 老人保健事業の介護保険への組み込みに関しましては、国から新たな介護保険制度の考え方が提示されている段階であり、現在、その内容を特別区担当部課長会や庁内関連各課で検討しているところでございます。 ○坂田道夫政策経営部長 私からは十六中学校の跡利用についてお答えいたします。 第十六中学校につきましては、今年の3月で閉校となりますが、足立学園から校舎建て替えのための仮校舎として使用したい旨の申し出があり、約2年半の期間貸し付けることとしております。このため現在、活用計画を策定するに至っておりません。今後、JTなどの民間開発の状況を見ながら、最良の活用案を策定してまいります。 次に、第二中学校の跡利用についてお答えいたします。 二中を存続する方向で考えた場合、課題が多いのも事実です。例えば校舎は一番古いもので昭和35年に建築されており、このまま存続させるためには、耐震補強工事や大規模補修工事を実施する必要があります。 また、廃校するにあたっては、国庫や起債をすべて精算する必要があるとともに、光熱水費、整備費用、樹木の剪定や雑草の処理等々の年間維持費がかかってきます。こうした状況と、現在の区の財政事情等を勘案し、売却も一つの選択肢として検討してまいります。 再質問 ○ 鈴木秀三郎議員 介護保険料のランクアップと言いましょうか、公的年金等控除とか、老齢者年金等控除などで、非課税から課税になるということでランクが上がるということですが、厚労省の報道によると、推測では65歳人口の約4%に当たるだろうと。足立区の65歳以上の人口は11万を超えているのですけれども、この4%ということになると、4,500を超えるというふうに思います。第1、第2、第3段階では、7万7,000人を超える方がいます。その方がランクアップされるというのは、もっと多いのではないかというふうに推定できる。厚労省の推測でもそういうふうに言っていますので、改めてその点をもう一度お答えいただきたいというふうに思います。 再答弁 ○佃 朝明区民部長 先ほどご答弁させていただきましたのは、現在のデータに基づきまして推計したものでございます。今後も、年金収入だけでない方もおいでになりますし、世帯それぞれの状況によって異なります。今後も引き続いて詳細に検討してまいりたいと思います。 |
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