第12号議案 足立区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例に対する反対討論

さとう純子議員


○さとう純子議員 私は日本共産党足立区議団を代表して、ただいま議題となりました第12号議案、足立区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論を行います。
 この条例改正のうち、第1条第2項中「区立幼稚園」の次に「(区立幼保園を含む)」を加えるについては反対するものではありません。しかし、第2条第1項中「災害派遣手当」の次に(武力攻撃災害等派遣手当を含む)を加えることに反対です。
 今回の条例改定は、2003年6月、国会で自民・公明に加えて民主党も賛成した武力攻撃事態法の関連法である国民保護法の成立・施行に伴い提案されたもので、自然災害とは相容れない内容です
 災害派遣手当は災害対策基本法第32条第2項に規定される手当で、国や他の自治体から災害対策などのために派遣された職員に当該自治体が手当を支給できることが定められており、この規定をもとに地方自治法第204条第2項で、地方自治体が条例で「災害派遣手当・・を支給することができる」とされています。この条例があれば、自然災害などに職員を派遣し、手当を支給することができ、あえて通常起こり得ない武力攻撃を想定して条例に加える必要は全くありません。
 そもそも国民保護法は、武力攻撃事態法に基づく関連7法案の一つとして、国民保護の名のもとに、アメリカが海外で起こす先制攻撃戦略に基づく戦争に国民を強制的に動員し、土地、家屋、物資を罰則付きで取り上げ、運輸・医療労働者の強制動員や報道規制まで盛り込むなど、憲法で保障されている基本的人権、言論、出版、報道の自由を奪い、財産権も奪う明白な憲法違反の法律です。
 職員給与条例の改定案は、こうした法規定を根拠に提案されましたが、「武力攻撃災害派遣手当」は、災害派遣手当の一部などというものでは全くない、戦争に地方自治体職員を動員することを前提とした「戦争協力手当」にほかなりません。
 また、総務委員会での説明では、地方自治法の準則に基づき、23区統一して条例提案をするとのことでしたが、北区では昨年12月に政府に対し、イラクに派遣されている自衛隊の即時撤退を求める意見書をあげ、超党派の議員個人が参加して「北区議会・9条を守る会」を結成し、今議会には条例改定の提案はしていません。その他、千代田、新宿、港、大田、世田谷、渋谷、杉並、豊島、荒川、文京区もしていません。政府みずからも、昨年12月に決定した新防衛計画大綱でも、日本に対する本格的な武力攻撃の可能性が非常に低いとしています。今、自治体に求められていることは、戦争の危険を回避する努力をすることです。
 3月20日はイラク戦争が始まってちょうど2年目になります。イラク戦争はアメリカが国連決議もなしに始めた無法な戦争であったことは明らかで、全世界で一斉に平和を求める行動がされています。国内では戦後60年を機に、「二度と再び戦争はしない」の誓いを新たにする運動や、「憲法9条を守ろう」の運動が大きく広がっています。「平和と安全の都市宣言」をした区長が憲法を守る立場に立つならば、災害派遣手当に武力攻撃災害等派遣手当を含める条例は提案すべきではなかったと考えます。
 わが党は憲法9条を守る立場で条例の一部改定に反対することを表明して討論を終わります。