予算特別委員会の質問等 第1日目(3月3日)午後

松尾かつや議員


防災対策、住宅改良助成制度について


○松尾委員 どうも、こんにちは。お久しぶりです。
 私の方からは、防災の問題についてということで、総務費の危機管理にかかわる問題として質問させていただきます。
 昨年の災害ということで、改めて防災そのものが問われました。こうした災害に対する教訓の一つとしてということで、災害弱者の対策、この問題をどう進めようかと。この問題は非常に大きな問題だと思います。

災害要援護者の登録制度と支援体制の検討約束

 昨年の第4回定例議会では、私は本会議で質問させていただきました。当区の答弁としては、早急に、情報弱者への災害対策の供給など、要援護者への支援体制について検討するとおっしゃっておられました。昨年の答弁から現在に至るまで、その間の進捗状況とか内容とか変更とかありましたら、その件ちょっとお知らせください。よろしくお願いします。
○災害対策課長 いま、委員からお話がありましたように、昨年の自然災害の大きな教訓が要援護者対策だというふうに認識しております。
 昨年の段階から進んだところということなのですが、実は、国の方で要援護者に対するガイドラインづくりとかが進んでいまして、それは3月ということでありまして、それも含めて考えたいというふうに思っていますが、それとは別に、いまお話ありましたとおり、情報弱者も含めていかに正しい、例えば避難勧告だとかといったところの問題もあると思いまして、いまいろいろ調査しているところでございますが、例えば防災無線もある程度限られたところしか届かないというか、いろいろな建物の中には届かないといった欠点がございますので、そういったところを含めて、例えばインターネットを介したメール機能だとかといったところもいま調査検討しているところでございます。
 あとそのほか、要援護者と一口に言いましても、例えば障害者、高齢者いろいろございまして、それぞれに合わせた対策が必要だということでいろいろ検討している中で、例えばの例でございますが、人工肛門をつけた方のストマの供給ということで、具体的に災害時にどうストマを供給するかということで、業者あるいは人工肛門をつけた実際の障害者の方といろいろ調整して、協定等の締結を含めて検討しているところでございます。
○松尾委員 いまいろいろな話がありました。現在の足立区の災害対策の基本方針、この青色の冊子そのものを見るということで、災害弱者の対策ということで、要援護者自身や家族の方々には、日常生活の中で地域との友好を深めなさいと。この問題と同時に、町会とか防災区民組織を初めとする地域の方には、日ごろから付近の要援護者の居場所を確認し防災訓練などを積極的にに呼びかける、こういうことが主な対策として挙げられております。
 今回の震災の教訓を考える場合、ここで区としてもう一歩対策を、いまおっしゃったことも含めてですけれども考えていくことは非常に重要だと思っております。
 災害弱者への対策ということで、他の自治体ではどういうふうなことをやっているのかと。これはインターネットを調べたら、昭島市というところで災害弱者の要援護者への登録制度というものを実施しています。インターネットの内容を見ますと、昭島市では、災害発生時においてみずからを守るための適切な行動をとることが困難な方を対象に災害時要援護者登録名簿を作成していますということで、この名簿にはということで、昭島消防署、昭島警察署、昭島市消防団、民生委員、昭島市赤十字奉仕団、自主防災組織へ事前に配付し情報提供させていただくことにより、災害時の安否確認や避難誘導、その他適切な救援活動を速やかに行うことを目的としご本人の申し出により作成します。こういうふうな中身でインターネットでは公開されておりますけれども、こういった登録制度、こういうことを実施している自治体も幾つか見受けられるようにはなってきたと思います。これはネットで調べたら何件かありました。
 区としてももう一歩進んだ、こういった災害弱者の対策ということに取り組んでいく必要があると思いますけれども、どうでしょうか。
○災害対策課長 委員ご指摘の昭島市等、全国では登録制度をとっているところがございます。ただ、登録制度につきましては、登録しているだけではなくて、実際に支援する方をどういうふうに確保するかといったところで各自治体で工夫されているところがございますので、足立区としても、要援護者の登録制度についても検討及び支援体制についても検討していきたいというふうに考えております。
○松尾委員 ぜひ、防災計画の66ページでも今後のさらなる検討を要すると言っているわけですから、この災害弱者の問題は大きな問題だととらえて今後も検討していただきたいと思います。
 次に、さきの新潟県の地震ではということで、一時は10万人を超える方が避難所での生活を余儀なくされました。内閣府がまとめた新潟県の中越地震、現在、第53報ということが速報で一番最新の形で報告されていますけれども、2月25日6時現在、この中でも、さきの被害についてということで、人的被害という問題について非常に克明に例が出されています。その中を見ますと、例えば避難中の車内で地震によるストレスに起因する脳疾患で死亡されたという事例、あるいは地震後の疲労による心筋梗塞で死亡とか、そういうふうな事例とか、あるいは48歳女性が過労及びストレスにより地震後に死亡、こういうふうなことが具体的に事例として出ています。
 具体的に、地震発生後、発生した後の被災者に対する心のケア、この問題をどうしていくかという側面も非常にいま重要な課題になっていると思います。報道でも、避難所での被災者に対する心のケア、この問題が大きな問題としてクローズアップがされておりました。震災後の心のケア、被災者へのちょっとした声かけでも大きな支えとなることは間違いない。現に、そのように元気になった、そういうふうな話も伝え聞いております。
 現在の区の防災計画ではこの問題についてどうしていくのか、この視点、丸々読ませていただきましたけれどもなかなか見えてこない。区としてこの点についてどう進めようとしているのか、今回の教訓も踏まえてちょっとお聞かせください。
○災害対策課長 中越地震及びさきの阪神淡路大震災を見ても、被災生活が長引く中で特に心のケアが大切だというふうに認識しております。
 特に地域防災計画の中では詳細には述べていないところではございますが、具体的に足立区からも中越地震で保健師等が派遣されている中で、その報告を見ますと心のケア等が重要だといったこともありますので、今後とも、被災生活をよりよくするために、心のケアを含めて、衛生部及び関係各課とその辺の具体策について検討していきたいというふうに考えております。
○松尾委員 ということは、衛生部としても心のケアは大事だという認識でよろしいのでしょうか。
○健康推進課長 そのように認識しております。
○松尾委員 今回、新潟県中越地震ということでいま心のケアの問題を取り上げましたけれども、同時に、被災した場合、大都市特有の課題として帰宅困難者への対策、これもまた極めて重要な課題だと認識しております。当然、足立区としてもその対応を考えなければならない自治体の一つであるのは言うまでもないことです。
 区の地域防災計画震災対策編には、帰宅困難者を対象にということで、一定量の水、食料等を備蓄すること及び提供方法等について検討する、帰宅困難者の救護や仮宿泊支援施設の確保の検討というふうになっています。これら二つはいずれも検討という段階になっていますけれども、現状としてはどういうふうに検討されているのでしょうか。
○災害対策課長 帰宅困難者については2種類ございまして、足立区内に勤める方の帰宅困難者、ある意味通勤通学です。そのほかで一番問題になっているのが、都心区からの帰宅困難者が一番問題になっています。足立区の方の地域防災計画で主に考えていますのは足立区内の在住・在勤者といったところで、これは区民と同様な形で避難所等を活用するということで考えています。
 なお、都心区からの帰宅困難者につきましては、広域な連携の支援が必要だということで、東京都を中心に、帰宅支援ステーション等、これは幹線道路沿いの都立高校等を考えているのですが、そちらを含めて東京都とともに今後充実等について考えていきたいというふうに考えております。
○松尾委員 いま、幹線での都立高校等というふうなお話がありました。具体的に東京都と連携しながらということですけれども、足立区で言うと帰宅支援ステーションというのはどこに当たるのでしょうか。それと、帰宅支援道路とその二つは具体的に言うと足立区ではどこでしょうか。
○災害対策課長 都の方で想定しています帰宅支援道路は、日光街道と環七でございます。帰宅支援ステーションにつきましては、その帰宅支援道路から2キロ以内というところでございますので、ほとんど区内にあります都立高校すべてが入ってしまうといったところでございます。
 そういった形で東京都が想定しています帰宅支援ステーションにつきましても、区として協力していくというスタンスで支援してまいりたいというふうに考えております。
○松尾委員 いま、帰宅支援道路ということで、東京都としてはということで、4号線と環状七号線ということで二つが指定されている。4号線で言うと特に、南から、都心部から来るとなると、この足立区役所というのはちょうどいい中継地点かなというふうにも思われますけれども、そういった観点については何か考えていらっしゃるのでしょうか。
○災害対策課長 都の方の想定では帰宅支援ステーションということで都立高校を考えているのですが、具体的に、都心区から来た場合にちょうど4号線沿いに区役所がございますので、実際には区役所にかなりの帰宅困難者が来るだろうというふうに予想していまして、その辺の例えば二重の支援だとか、その辺について現在しておりませんので、今後、その辺の帰宅困難者への支援ということも検討してまいりたいというふうに思っております。
○松尾委員 いま同時に、国土交通省というところで、災害時における建設機械や救護物資の輸送拠点、それと観光船が発着でき河川の景観を楽しむレジャー拠点、海上ルート、陸上ルートで運ばれてくる物資の拠点との位置づけ、この位置づけに基づいてリバーステーション整備というものを進めております。
 さきの本会議でも、自民党の一般質問の中で観光の視点からリバーステーションの問題が出ておりました。それに対する答弁という中でリバーステーションというものが出されておりましたけれども、実際の災害時における、災害が実際に起きたときの救護救援物資の運搬、この視点においてリバーステーションというものは非常に大きな役割を果たすだろう、これはもうおのずから予想がつくものだと思います。
 仮に他の自治体から救援物資が届くとなった場合、陸上運搬では食料が運べないということも十分想定できる中で、リバーステーションというものは防災計画の中でどのように位置づけていこうとしているのか、その点について、いま現在検討しているとか、ここまで行っているとか、現状をお知らせください。
○災害対策課長 災害が起きた場合に、陸路での物資輸送が中心となると思うのですが、万一そちらの方の陸路の交通が遮断された場合には、いま委員からお話が出ましたように、河川を利用した物資の輸送ということが中心になると思います。そういった意味でも、船着き場、いわゆるリバーステーション等も活用しながら区民のための物資輸送に万全に備えたいというふうに思っていまして、地域防災計画上も、船艇等の接岸可能地点の一覧の中に、いまお話しました新田の方のあるいは足立1丁目の方の船着き場の方の位置づけを明確にしていきたい、そういうふうに思っております。
○松尾委員 次の質問に移ります。
 従来から、再三、我が党としても述べてきていますが、防災という視点に立つときに、個人住宅の耐震補強工事、これを促進すること自体が住宅の倒壊を防ぐ、同時にそれに伴う火災の被害を防ぐことにもつながる、火災を防ぐそのこと自体は火災に巻き込まれる二次被害を防止する、震災による被害拡大を防ぐことにつながる、このことについてはもう言うまでもありません。旧建築基準法以前の木造家屋については特に倒壊のおそれがあるといわれている中で、足立区としても、こうした住宅、特に現況を把握する必要があると考えますが、どうでしょうか。
○災害対策課長 やはり、地震災害の被害の一番の原因は家屋の倒壊というふうに認識しております。この部分については災害対策課だけでは十分できないこともありまして、都市整備部等々と一緒にその辺の対策の方にも努めていきたいというふうに考えております。
○松尾委員 以前、我が党のぬかが議員が紹介しておりますけれども、東京23区でも、例えば中野区では、震災対策として木造住宅の耐震性を確保するための総合的な支援制度というものをつくっています。ワンストップで窓口があり、なおかつ診断から改築までの応援をしていくということが非常に好評と伺っております。耐震診断を受けても、それが必要と診断されたときに実際に補強工事に結びつかなければ本当の意味での効果を発揮できないということはもう言うまでもありません。
 木造家屋が多い足立区において、旧建築基準法時の家屋は特に倒壊の危険が高いと言われております。区の地域防災計画でも、区民の生命、財産を守るための災害に強いまちづくりは足立区の課題と述べております。区は、私の4定のときの質問いおいても、また今回の1定の質問、渡辺修次議員の質問においても、耐震補強助成の問題については他区の状況を見てというふうに答弁しておりますけれども、この間、区は他区の状況を見て、例えば中野区の事例とかをどのように評価していますか。
○住宅課長 中野区の状況なのですけれども、私どもでも調査させていただきました。そういう中で、最初に無料でもって診断等をやったところ、予算超過ということで、また追加でもって出したということで、結構それに対しては集中して、診断に対しては進んでいるというふうに伺っております。 それから、世田谷区でもワンストップサービスを来年度検討するということで情報を聞いております。
 私どもとしても、まだ耐震診断に対してなかなか数が、15年度はゼロ件だったのが今年度7件ということで伸びてはきていますけれども、まだまだ利用されていないということで、他区も大体1けた台なのです。ですから、その辺をもう少しなるべく利用できるような形で検討していきたいということで、とりあえず検討させていただきたいということで答えております。
○松尾委員 いまの評価を聞いていると、一定の評価はしている、そういう認識で間違いないのですよね。
○住宅課長 はい、確かにそうです。
○松尾委員 やれるところからやる、こういう観点というのは本当に大事だと思っています。
 足立区では、特に区の基本構想とかでも述べられておりますけれども、低所得者が多い。低所得のために補強に乗り出せない、こういう家庭の話もよく聞いております。

住宅改良助成―費用が少なくすむ一部屋補強への助成提案

 例えば提案ですけれども、一部屋補強という考え方があります。これは近くに住む一級建築士の方から伺いましたけれども、たとえ一部屋でも補強工事がされたならば、実際に地震があった場合、倒壊するとしても斜めに傾くとか、完全倒壊という最悪の事態を防ぐことができるというふうにおっしゃっています。そして、当然、通常の家全体の耐震補強工事となると、一度壁を壊して、補強を済ませたらまたその壁の修復まで含めないといけない。そうなると実質200万円は考えないとならない。一部屋のみの場合、50万から60万でできるとも伺っております。とにかく日常的にふだん生活する部屋を実施するだけでも効果が大分違ってくる。傾いても完全倒壊することさえ防ぐことができれば、避難通路を確保することができるし、人命を救うこともできる。それに費用的にも幅広い区民がより実施できるのではないか、こういうふうに思います。
 こうしたことも視野に一部屋補強ということも検討に入れてはどうか、そのように考えますけれどもいかがでしょうか。
○住宅課長 委員ご指摘のとおり、耐震工事の費用というのは大変高いということで、なかなか利用できないというふうに聞いております。そういう中で、いまご提案の費用が安いということですが、行政が助成をしていくとなりますと、生命の安全性、その辺がやっぱり最終的には重く行政にも責任がかかってくるということもありますので、慎重に研究をさせていただきたい、こう思います。
○松尾委員 ぜひ研究してください。
 もう時間がないので最後の質問をしますけれども、神戸大学の教授の調査では、阪神淡路大震災で神戸市内では死亡者の9割が木造住宅の倒壊によるものだと。中でも、耐震基準が強化される81年以前の木造住宅に住んでいた人の死亡が94%と圧倒的だったとの調査結果がある。同時に、この教授、震災後に莫大な復興費用がかかることを考えれば、耐震補強にこそ公的助成の支援をすべきとも指摘しています。この点について区としてはどういうふうに考えているか。こういうふうな、事前に助成をするのか、それとも実際に起きた後に大規模な復興支援に費用をかけるのか、この点についてどう考えているのか、この点お聞きして最後にします。
○建築担当部長 私、今回の定例会の質問でもお答えしましたように、自立自助、これをベースにしていきたいというふうに考えております。さらに、情報では、国土交通省が税制に対する優遇策とかさまざまなものを早急に立ち上げるというような情報がありますので、そういったことも追い風にして推進したいと思っております。