予算特別委員会の質問等 第6日目(3月11日)午前

鈴木けんいち議員


保育料、障害者施設、障害者福祉制度について


○鈴木(け)委員 それでは、引き続き予算に対する質問を行います。

子育て支援に逆行する保育料の値上げは中止を

 まず、保育料の値上げの問題なのですが、これについては、この間、我が党は本会議での討論も行うなどしてまいりましたけれども、この保育料の値上げというのは子育て支援にやはり逆行するものだというふうに思いますが、改めてお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
○保育課長 この増収部分につきまして、保育園の管理運営整備だとかさまざまな子育て支援施策に使うということでございますので、少子化対策に対して、子育て支援対策に対して反対の向きであるということは考えておりません。
○鈴木(け)委員 増収部分をということですが、結局、同じ子育て世代からお金を取り経済負担をふやして片方に回す、これは子育て支援のあり方としてふさわしくない、逆行するものだということはやはり明らかだと思います。
 次に、障害福祉施策についてお伺いします。
 まず、障害者入所施設建設についてですが、念願の障害者入所施設が平成19年4月開設を目標に進められております。この入所施設の特徴はどんなものでしょうか。
○福祉部参事 私どもの入所施設、足立区のなのですが、特徴といたしましては、24時間障害者に対する対応ができるという、いまのグランドデザイン案に沿った施設だということでございます。
○鈴木(け)委員 いま、グランドデザイン案に沿ったものだというふうにお答えがありまして、私もそう思うのです。
 グランドデザイン、いろいろな資料が出ておりますけれども、例えば17年度の国の予算案概要によりますと、最大の特徴は何か、障害者の地域における自立した生活を支援する体制を整備するため、そういうふうになっております。これが今度のグランドデザインに基づく改革を進める第一歩の予算というふうになっているわけです。そうしますと、やはり、今度の入所施設は、そういう方向、地域で生活をし自立した生活を障害者の方々が送れるようにする、その核となる施設だということで建設をされるわけです。そういう意味ではそういう方向に沿ったものだというふうに私も思うわけです。
 ところが、この施設建設について国庫補助がつくかどうか危ぶまれているという声があります。区としては都を通じて要請をされているということでありますが、大変、障害者施設関係の方の不安の声が大きいものですから、私も共産党区議団として実は厚労省に行ってまいりました。担当の課長補佐の方とお会いできまして、お話をしてまいりました。実は、この課長補佐という方は大変詳しい方で、この足立の施設については全く知らなそうでした。ちょうど図面とかそれから概要を持っていきましたので、お出しをしましてこういうものですと言いましたら、これは幾ら幾らぐらいの施設ですねというふうに即座にお答えになりました。そういう意味で詳しいということなのですけれども、そういう意味では、何とかこういう施設は必要だという、必要性を感じるという話もあったのですけれども、ただ、全国で17年度の施設整備補助の予算は100億円程度、最大101億円だと。去年よりも減っておりますという中で、どこが認可されるかというのは大変厳しいと。しかも、その優先判断は各都道府県にお任せしてありますということでありました。

足立区の障害者入所施設は何としても19年4月開設を

 この予算を減らすということ自体、一方で障害保健福祉を改革する、よりよいものにするかのようなことを言ってはいるのですが、結局、予算の削減をねらったものであるという、そういうねらいが裏づけられたような気もしますけれども、そういう中でも、やはり、期待にこたえて足立施設への国庫補助が認められるよう区としても引き続き一層頑張っていただきたいと思うのですが、決意はどうでしょうか。
○福祉部参事 予算委員会の初日だと思いますが、白石委員からもそのようなご質問がございまして、私どもとしては、都それから国に対しましても最大限努力いたしたいと、この施設を実現するよう頑張りたいと思っております。
○鈴木(け)委員 いま、白石議員から等もありましたように、本当にこういう党派を超えた念願の施設が実現する、そして、そのために当然である国庫補助がつくように、本当に、各党もそしてまた区とも力を合わせていきたいというふうに思います。
 次に、国の障害保健福祉施策の改革、いわゆるグランドデザイン、既にお話が出ているとおりですけれども、これに関して伺いたいと思います。
 50年に1回あるかないかの大きな改革だというぐらいの大きな改革、しかも、その中身が非常に大きな影響を関係者にもたらすというふうに思いますのでお聞きしたいのですけれども、この改革については、実は、障害者団体の関係者の方からは、そもそも厚生労働省のグランドデザインは想定した支援費制度での給付料が予想を超えたことにより財源不足が生じることがある、財源不足の解消が論議の中心という指摘が行われております。
 実にこの指摘のとおり、改革という名で障害福祉予算の削減縮小を図ろうとするものだと思います。そして、こうした財政論を軸にした改革というのは、やはりさまざまな矛盾と問題点を抱えていると思います。国のこの改革によって、サービス利用者に原則1割自己負担を求めるという方向が出されております。
 実は、私、障害者の方からこういう冊子をいただきました。これをぜひ見てくれと、そして、この中に書いてあることを明らかにして何とかしてくれということでした。早速読みまして、読めば読むほど大変な内容があります。その内容を簡単に言いますと、結局、いまちょっと触れましたけれども、サービス利用者に原則1割自己負担を求めるという方向なのです。これは一口に言って障害者と家族にかつてない負担増を強いるものだと思いますが、区としての認識はいかがでしょうか。
○福祉部参事 他の制度の介護保険等と比べますと障害者の制度は100%税金ということで行われておりまして、非常に制度としては脆弱な制度だという、厚生労働省としても認めている制度でございます。
 そのような中で何らかの負担をお願いするということはやむを得ないことではないかと考えております。
○鈴木(け)委員 何らかの負担はやむを得ないというお話ですけれども、何らかの負担といいますと、ちょっとかなというふうにも聞こえますけれども、これは調べれば調べるほどというか、今度の中身を知れば知るほど、そういうお話では済まない内容が含まれていると思います。
 例えば、実は、厚生省がモデルケースを明らかにしています。今度の負担、やはり厚生省も負担増になるということは認識をしているようで、さまざまな軽減策を設けておりますということも非常にしつこいくらい書いてあるのです。そういうことが先に書いてあって、最後に負担増は1割ですと、基本は1割ですとなっていて、大変読みづらいのですけれども、そういう軽減策を設けても、実際の負担額あるいは負担割合というものはどのくらいになるのかというのを厚生省がモデルとして明らかにしています。
 これを見ますと、ホームヘルプサービス、これは非常に多くの方が利用しております。これの現在の利用者負担は約1,000円です。改定後は約4,000円、4倍です。それから、入所施設、これは、現在、18歳未満ですと約1万1,000円、これが改定後は3万円ということになります。おおまか3万円、これは2.7倍であります。さらに通所施設、現在は約1,000円、これが改定後は1万9,000円、実に19倍ということになります。しかも、通所施設と入所施設は、3年間の間はこの額ですと、経過措置ですと、その後はもっと上がりますという内容であるわけです。
 ということで、これほどの負担が何らかの負担ということでくくれる話なのだろうかということを感じます。
 そもそも、いま、支援費制度が行われていますけれども、このときにやっぱりこのような負担増の心配がたくさんなされました。結局、障害者支援という角度から、応益負担はよろしくない、応能負担でいくべきだということで政府も約束をして応能負担が守られたわけです。ところが、今度、その約束を破って、応益負担、原則1割、サービスを利用すればしただけお金を払ってもらいますという、こういうふうになって、その点では政府は約束を破ったわけです。結局、約束を破ったということであります。
 しかも、その内容が、いま申し上げましたほかに、例えば通所施設には食費の負担も今度からかかります。それから、公費負担の医療にも患者負担が検討されています。この公費負担、現在、住民税非課税の方は無料になっている更生医療、育成医療、これは月2,500円から5,000円になる。ゼロから2,500円ないし5,000円になるということで、これは本当に不安の声が全国で上がっているという状態であります。この方々にもやっぱり食費負担を求めるというふうに思うのですけれども、これだけの負担というのが実態だと思うのですけれども、改めてどうお考えでしょうか。
 部長、どうですか。石川さん、どうですか、福祉部長として。
○福祉部参事 いま、委員ご指摘の点でございますが、応益というばかりではなく、やはり、サービス料及び所得による負担ということでございまして、当然、生活保護世帯に関しましてはゼロ円、住民税非課税世帯に関しましては、最高限度額でございますが2万4,600円にして軽減措置をしております。
 当然、負担を負えば生活保護に落ちるというようなことになれば、それに関しましてそれ以上の負担軽減をするというような制度になっておりますので、最低生活における生活保護に関しましては維持されるというようなことでございます。
 ということでございますので、あと実費に関しましては、当然、食費は、食べますので、家にいても施設にいても食べるということでございますから、負担していただくということは、これは前提ではないかと思っております。

障害者への大負担増、国の「改革」を追認する区の姿勢は重大

○鈴木(け)委員 足立区にもたくさんの障害者がいて、区としてそういう方と一緒に支援もし頑張っているわけですが、ちょっといまのお答えですと、そういう方の不安というか、区に対する期待にこたえられるのでしょうか。
 いまのお話ですと、生活保護の方はゼロだと。いま、何とか生活保護ではなくて自前で生活していきたいという中で、いろいろな方が努力されている。障害者の方も同じです。何かそこのすれすれになるような、生活保護の方はゼロですというようなことでは、これは本当の行政のあり方、支援のあり方ということから外れていくのではないかというふうに思います。
 今度のこうした改定、大変な改悪に対しては、そもそもこれは国が決めようとしていることですので、足立区で決めることではないので、しかし、区民のことを考えて、区としてこうした改悪、改悪と私は言いたいです、はっきり言いたいです。 そういう方向を行うべきではないという意見を上げること、それから、区として何らかの負担軽減策も考えていくという必要もあると思うのですが、いかがでしょうか。
○福祉部長 基本的には、障害を持たれている方も持たれていない方も自立をするということが一つの方向でございまして、それを支援していくために障害者の施設として「あしすと」がありまして、そこでは就労支援とかあるいは自立支援とかをやってございます。そちらの方に力を入れていきたいと思っております。
○鈴木(け)委員 そうしますと、全く、国に意見を上げていくつもりやその他、何らかの区としての軽減策は考えていないというふうに聞こえてしまうのですけれども、まだ決まっていないことですので、これから決まっていく過程で、区として、障害者の皆さん、あるいは家族の皆さんの声を聞いていろいろな角度から検討を続けていっていただきたいと思います。
 いま、障害者については介護保険との統合が見送りになりましたけれども、実質的には既に統合が始まって介護保険と同じ形の負担のあり方になっている。あるいは、施設についても、地域へ地域へという名で、やっぱり継続的に一定の期間入所できる施設というものも必要なのですけれども、そういうものはもうつくられないような方向も出されていて、これも不安があります。
 そういう意味では、今度の改革の方向、区としても障害者の皆さんの要望に沿っていい方向になるようにぜひ努力をしていただきたいと申し上げまして、質問を終わります。