予算特別委員会の質問等 第6日目(3月11日)午後

針谷みきお議員


学校図書館司書、コミュニティアーツ等


○針谷委員 午前中、白石委員さんからエールが届いたので、若干させていただきたいと思います。
 習熟度別授業が効果があるというお話でしたけども、これを採用しているのはほとんど学習塾なのです。学習塾はいずれも目的というのが、子どもや親のニーズにこたえるサービスを提供するためにあるわけです。学校よりも進んだ内容で有名校を目指す、そういうニーズです。それで、また逆は、学校よりもおくれた内容で学業の補習を求めるニーズ、こういう内容でいずれも学校教育とは目的が違います。
 学校は、子どもの学ぶ権利を保障して、教育基本法、学習指導要領に基づく学習の理解を進めるという公共的使命を持っているわけであります。この公教育における学習のあり方、ここで習熟度別授業のどこが問題かを私は論じたわけでございます。
 白石委員さんともあろう方が、塾と学校の違いを混同はしていただきたくないというふうに思っております。

学力向上に役立つ、専門の司書を小中学校に配置せよ

 質問に入りたいと思います。学力向上の問題、引き続いてお聞きをします。
 ゲーム脳の恐怖という、脳神経科学の権威である森昭雄教授が本を出してベストセラーになっていますが、ゲーム漬けの青少年の脳を調べると、老人性痴呆症、いまは認知症ですね、このような同じパターンの脳波があることがわかった。しかも、ゲームを一日中やり続けていると前頭葉の動きが不活発になる。そして、すぐに切れる、集中力がない、学業成績も低下傾向、こういったことが指摘をされています。
 こうしたゲーム脳を治療するのに読書や児童生徒とのコミュニケーションが大切であるということもわかっています。さらに、前回指摘しました学習定着度プレ調査で、学力と読書との相関関係について指摘されております。例えば、成績上位のA階層と下位のC階層を比較すると、小学校5年生で最も差が大きくて16.4%であります。読書習慣定着のために、読書をする環境を整えることや読書後の話し合いが大切であるとここにも指摘をされています。
 そこで、学校図書館法の改正が行われて、平成15年度から、全国の小中高校まで12学級以上の場合には司書教諭が配置されることとなったということになっていますが、現在、足立区の配置状況はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
○教職員課長 小学校につきまして、12クラス以上62校ございまして、これについてはすべて司書教諭を配置してございます。
 中学校につきましては、異動のたびに改善を図っているのですけれども、まだ2校ほど張れていない状況でございます。
○針谷委員 学校司書は、生徒児童の立場に立って、知的好奇心、探究心を持たせて、みずから学ぶ意欲と主体的に学ぶ力を身につける、論理的な思考力、判断力、表現力、問題を発見し解決する能力を育成して創造性の基礎を養い社会の変化に主体的に対応できる力をはぐくむ、まさに人間力だと思うのです。
 実は、岡山市では、全校に専門の学校司書を配置した。どういう効果があらわれたかといいますと、子どもたちは、不思議だなとかもっと知りたいと思った事柄はどんどん図書館に行って調べる、読みたい本がその学校の図書館になくても大丈夫、予約をすれば新しく購入をしたり他館から借りてきたりして希望の本が子どもたちに手渡されるということで、教科での調べの学習に必要な資料も担当の教員と専門の学校司書が連携をとって資料ぞろえをしております。これは大変効果があると言われていますが、そこで提案なのですが、小中学校全校に専門というとなかなか大変という声がありますので、2校に1校の割合で巡回の司書を配置したらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○教職員課長 まず、私どもは、先ほど申し上げました、中学校12クラス以上14校ございますが、そこの未配置の2を早く解決したいというふうに思っております。
 また、図書教育の重要性については私どもわかっているところでございますけれども、学校図書のボランティアとかさまざまな施策を打っているところでございまして、そのための非常勤の制度を創設する考えはございません。
○針谷委員 わかっていてやらないというのは、これはどういうことなのだろうか。その理由は何ですか。
○教職員課長 ただいま申し上げましたように、さまざまな施策を既に打っておりますので、それの一層の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
○針谷委員 いいです、これを余り議論していると時間がなくなっちゃうので。

今年3月終了の柿落とし費用まで株式会社に補助

 次に、シアター1010の運営状況についてお伺いをします。
 昨日、長塩議員が質問していただきましたので、その到達点に立って私は質問したいと思います。
 区は、シアター1010文化芸術劇場を指定管理者に指定する際に我々にはこう説明しました。
 株式会社なら赤字を行政が補てんするのではなくて経営責任を明確にできる。それから、自由な経営の展開で収益性を高められ区に頼らないで自立してやってもらえると判断して株式会社にした。
 こう答弁しました。この点について、実際どうなのかということを明らかにしていきたいと思います。
 では、株式会社なら赤字を行政が補てんするのではなくて経営責任を明確にできるというのは、何をもってそれを担保しているのでしょうか。
○教育委員会事務局次長 株式会社でございますから、当然に収益その他全体の民間会社として会計処理をやるわけですから、その中できちんと明らかになってくるというふうに考えております。
○針谷委員 私は違うのです。私が聞いているのは、区と株式会社との関係でそれを担保しなければいけないでしょうというふうに聞いているわけです。それはどこで担保されるのですか。
○教育委員会事務局次長 一面では、私ども指定管理者を指定しているわけですから当然に報告義務を課しておりますし、私どもは指導する立場にございますから、そういった関係書類についてはきちんと報告をさせて、その中で評価をしていくということが一面ございます。
 それからもう一面は、私ども区も株式を持って株主となっておりますので、そういう面からも株式会社の動向については注視をしていけるというふうに考えております。
○針谷委員 それを私は協定でうたっているのだろうと思っているのです。
 ちょっと確認しますけれども、きのうも長塩委員さんが言っていました7条の経費の負担について、甲は芸術劇場の管理運営業務に係る下記経費を予算の定めるところにより負担すると。それで、ここに1項目から8項目が書いてあるわけですが、そして第3項で、区は第1項の負担金の執行の内訳を明らかにした清算書を事業年度終了後に直ちに甲に提出しなければならない。そして4で、前項の清算により清算残金が生じたときには速やかにこれを甲に返納しなければならない。ここで保証しているのでしょう。違うのですか。
○文化課長 ただいま委員のご指摘のありました第7条のとおりでございまして、負担金につきましては、残金が出た場合には区に返還していただくということになっております。
○針谷委員 そうだと思うのです。
 そこで、新年度予算について入っていきたいと思うのですが、新年度予算は文化芸術劇場の運営経費の負担金として5億5,000万円計上しています。前年度より5,000万円ふえていますけれども、16年度と比較した17年度の管理運営負担金の内訳についてお伺いをしたいと思います。
○文化課長 16年度と17年度の比較でございますが、主なものにつきましては、再開発ビル共益費につきましては1,200万の減にいたしました。また、水道光熱費につきましては200万の増、維持管理費につきましては1億6,200万の現状でございます。また、備品購入費につきましては5,000万の減、人件費につきましては1,100万の増になっております。
○針谷委員 あれは1億1,000万円の増ではないですか。
○文化課長 失礼しました、1億1,000万円でした。
○針谷委員 すると、管理運営経費は前年度と同じ予算。備品、消耗品、それにミルディスの共益費などは5,000万円減らしたということで、人件費が1億1,000万円ふえた。差し引き全体として5,000万増ということなのですが、人件費が1億1,000万円ふえた内訳、その人数と理由をそれぞれ教えてください。
○文化課長 16年度は開館記念事業の制作がございまして、そちらの方でプロデューサー等の人件費を持っておりました。17年度は開館記念事業がなくなりましたので、それをシアターの中に組み込むという形で、開館記念事業からの切りかえの経費、そして、この会社が9月から劇場を担当しておりまして、PR、広報宣伝とか営業担当の業務   がありましたので、一般職員2名と契約社員6名の合計8名を出したと聞いております。
 また、シアター劇場の稼働日数の増によりましてアルバイトの人件費を倍増させているところでございます。
○針谷委員 芸術監督とか館長、それから劇場支配人、それにプロデューサー2名、それは本来ならば開館記念事業の費用であったわけですよね。きのうも長塩委員さんが言っていましたけれども、開館記念事業はこの3月で基本的には終了と、ただ、若干来年度に入って既に計画されていると思うのですが、この具体的なこけら落とし事業に必要なそういう人件費を、最も効率的で、答弁で言うように、株式会社なら赤字を行政が補てんするのではなくて経営責任を明確にできるという点でいうと、開館記念事業に含まれていた人件費まで、次年度、つまり経年になった段階で出さなければならないという理由はどこにあるのですか。
○文化課長 シアター1010は、単に貸し館とか施設の貸し出し業務だけではなくて、芸術文化の発信拠点として、舞台芸術の場とか区民の文化の交流の場という芸術の拠点として、情報を発信していく、にぎわいを取り戻していくという使命がございます。そのためにも、芸術監督、館長の存在というのは大きなものがありまして、私どもとしましては、このシアター1010の持つ芸術性を担保するためにも応援してまいりたいというふうに考えております。
○針谷委員 答弁になっていないですよ。
 もう一度言いますよ。私が聞いているのは、開館記念事業に入っていた経費、施設の管理運営、人件費を入れてしまうというのはおかしいと。結局、この会社を運営していくということであっても、効率性とか区に頼らないで株式会社でいくという、そういう説明をしてきたのでしょう、我々に、そうでしょう。聞いたら、いや、まだ必要なのだと。株式会社だから効率的な経営だと言えるような、そういう状況ではないのではないですか。
○文化課長 この会社は立ち上がってまだ実質的に1年目の会社でございまして、シアター1010自体の認知度も非常に低い、非常に苦戦している中で、監督や館長を中心にシアターの知名度を高めながら演目を打ちながらという形で、徐々に地歩を築きながらやっているところでございまして、まだ認知度が高まるまで数年かかるのかなというふうには考えております。
○針谷委員 それは、実は、昨年度の予算審議と違う答弁なのです。そうではありませんか。
 ぬかが議員が質問を前回の予算委員会でやっておりますけれども、この開館記念事業のスタッフというのはもう経年度になったら要らないのだと、だからこそ株式会社のいわゆる効率性、専門性があるのだということだったのですが、これについては、全くその場限りの答弁というものをやってもらっては困るのです。それはやらないと言っていたでしょう、違うのですか。
○教育委員会事務局次長 開館記念事業そのものは3月で終わりでございますから、そういう意味では、開館記念事業として私どもから負担金を出すということは17年度はないわけでございますけれども、いまも文化課長が答弁したとおり、劇場としてこれから運営をしていくわけですから、それにかかる費用については、私ども、維持管理費としてこれは負担をしていかなければならない。 ただし、これは余れば清算していただくということになっておりますので、私どもとしては、1年まだたっておりませんので全体が見えない状況でございますけれども、できる限りそういった面では劇場の発展のために対応していきたいというふうに考えております。
○針谷委員 全然答弁になっていないね。
 管理運営経費は、当然、補てんすると、そんなことはこの5,000万をふやす根拠にはなりませんよ、大体入っているのだから。そうでしょう。

近隣施設よりも高いシアター1010の管理運営経費

 もうちょっと角度を変えて聞きますと、それにこの予算のフレームがおかしいと思います、私はかつて、足立区に総合文化センターをつくるという団体にかかわっていたので、文化ホールの建設とか運営のノウハウを少しだけ、ほんのちょっとですけれども勉強をしたことがあるのですけれども、東京には公立文化施設協議会という団体があります。劇場とかホールのデータをほぼすべて把握しているところです。そこの資料を見ますと、演劇ホールの中でもシアター1010の管理運営経費というのは近隣の施設と比べると高いのです。


シアター1010と他区の管理運営費と比べると
  運営施設の内容 管理運営費総額
葛飾区 リリオホールとシンフォニーヒルズの2施設を公社が一括運営 7億7700万円
世田谷区 パブリックシアターを公社が運営(足立のシアター1010と同規模) 4億5000万円
足立区 シアター1010は潟Rミュニティアーツが運営(5億5000万)、ギャラクシティは公社が運営(4億円) 9億5000万円


 例えば世田谷のパブリックシアター、これは株式会社ではなくて区の公社ですけれども、幾らぐらい区が補助金として出しているかわかりますか、わからないかな。
○文化課長 大変申しわけありません。設立のときに、数年前に調べたことがあるのですが、最近の状況は存じ上げておりません。
○針谷委員 4億5,000万です。約1億少ないですね。キャパシティーはほぼ同じ。
 それから葛飾のリリオホール、これはどうか、私、調べました。葛飾の場合は、葛飾シンフォニーヒルズと一体運営なのです、やっぱり財団が。聞きましたら、7億7,700万、多そうに見えるのですが、私は非常に少ないと思っているのです。なぜかというと、ある意味では西新井文化ホールとシアター1010を合わせた金額ですから。
 そこで、公社の事務局長は来ていると思うのですが、西新井文化ホールの施設の管理運営経費、17年度予算は幾らになっているのですか。
○総務部参事(事務局長) 15年度決算ベースで4億ちょっとでございまして、16年度の決算見込みで3億8,000万ぐらいになるかと思います。
○針谷委員 そうすると、決算ベースで4億、若干経費節減して3億8,000万、それに5億5,000万足すと幾らになりますか。簡単にしましょう、わかりやすく。4億プラス5億5,000万、9億5,000万ですよ。葛飾のリリオホール、シンフォニーヒルズと比べたら、何と2億程度、2億までは行かないけれども高いのです。
 私は、葛飾区は非常に整合性があると思っています、葛飾区のやり方は。やっぱり文化ホールと言われる中には、劇場と音楽ホールを両立させて、そして区民の文化芸術を振興する、こういう点では一貫しているのです、あちらは。ですから、いわゆる財団、足立区で言えば生涯学習振興公社、これが両方をやっていて、そして統一的に運営できる。ですから安く済むのです。公社でやった方が私は遥かに安く済むというふうに思いますが、その点はまた後でやりますけれども、教育長、この指定管理者を決めるときの文教委員会の議論でこういう答弁をしたのです。
 教育長は去年の委員会で、シアター1010への5億円というのは直営であろうと公社方式であろうと株式会社方式であろうとどこがやっても同じお金がかかるんだ、そう言いましたけれども、そうですよね。
○教育長 原則的にかかるお金ということではそのとおりでございます。

株式会社コミュニティアーツに5億5千万円どこに効率性があるのか

○針谷委員 ところが、原則的でない事態が発生をして、きのうから長塩委員さんが質問したりいろいろ各党がこの問題を取り上げているわけです。
 それで、私は、西新井文化ホールの事業というのが専門性や芸術性が弱いのかとかというと、シアター1010みたいに舞台監督だの芸術監督だのプロデューサーだの、そういうものを置いているわけではないですよね。置いていませんよね。ところが、実際には、芸術性と収益性を求めた一流のプロモーターとの共催事業を去年22事業をやっているわけです。区民との協働による10の実施事業をやっているわけです。買い取り事業もやって、16年度は40事業やっているわけです。 公社でも努力、工夫すれば専門性は生かすことは私は十分可能だというふうに思います。
 特に、西新井文化ホール、私もいろいろな行事があるので行きますが、専門の区から委託を受けている方とも話すのです、時々。なかなか運営がどうも千住の方に予算が回ってだんだん厳しくなっていますというふうな話を聞くと、やっぱりこれはちょっと情けない。文化ホールは、そういう中で、スタッフの努力と工夫で一流のコンサートとかを株式会社でなくてもやっているのです。
 私は、より廉価な費用で、より質の高い文化を区民に提供していくということを考えたときに、この指定管理者、しかもこの予算、こういう点を考えると、指定管理者も生涯学習振興公社、片方は音楽専用ホールである西新井文化ホール、片方は芸術舞台のシアター1010、これをやはり一体的に運営していった方がより効率性があり、より専門性がある。
 23区の先ほど私が言った公文協、ここに物すごいノウハウがあるのです。23区、東京全体で力を合わせてやっていますので、株式会社でなければならないということはない。
 ですから、この5億5,000万というのは、株式会社になっちゃったら逆にお金がかかってしまった、こういうことが言えるのではないかと私は言わざるを得ないというふうに思います。
 質問を変えます。
 第2次構造改革戦略について質問をいたします。
 素案ではこう言っているわけです。冒頭、国においても地方においても構造改革への取り組みが求められている。一方、全社会的に二極分化の傾向が広がり始めており、足立区もその例外ではなく、むしろ厳しい社会環境にさらされている。
 我が党の鈴木けんいち議員が、この間、足立区の経済状態というか区民の生活実態の二極分化を質問しました。そのときに、最近、坂田さんの答弁が余りないから、ここでちょっとお聞きしますけれども、この事態について、第2次構造改革戦略で歯どめをかけて平準化を図ろうという方向に向かおうとしているのか、もっと言えば、所得の再配分機能を生かしていくのか、そういうことを高める必要があるとしてこの構造改革戦略というものをつくったのか、その点についてお伺いしたい。
○政策経営部長 確かに、この構造改革戦略の中では、大企業と中小企業あるいはニートやフリーターに対して、ライブドアのような億万長者も出てきたり、あるいは東京と地方の二極分化が進んでいる。これはグローバリゼーションの影響だと書いてあります。
 我々の立場は、こういった二極分化がある程度は必然的に進むのでしょうけれども、それは、区民生活その他を直撃するようなものについては地域社会防衛のために二極分化を阻止しなければいけないという考え方、一方で、一定の競争社会というのは確かに分化があるので、それが非常にエネルギーになることもあるわけですが、それは促進する。しかし、区民生活防衛のレベルを侵すような二極分化についてはそれを阻止し防衛する、こういう立場で書いてあります。
○針谷委員 ところが、この戦略というのは、第4次行政改革大綱を兼ねている、国の進める構造改革路線の流れに沿っているというふうに私は思わざるを得ないのですが、なぜそれを言っているかというと、片方、中期財政計画の中に出てくる行政改革というのは減量型行革をやると。
 かつて、坂田さんがいまおっしゃったような、活性型行革というふうにおっしゃっていましたけれども、そういうものは明記されていないのです。つまり、この構造改革戦略では、前者の方はちょっとあるけれども、大部分が後者の方ではないのですか。
○政策経営部長 中期財政計画を含めて財政面から見ると、確かにさまざまな協働事業のうちコストダウンの部分と行政のスリム化の部分がどうしても表面に出てしまうわけですが、この間策定した基本計画も含めて、我々としては、さまざまな協働事業のパターンをこれからどんどん進める。その一部にはコストダウンとかスリム化の問題もありますが、特に最近やっている協働事業といったものは、コストとスリムだけを目標にしないで、もっといろいろな地域社会の可能性を引っ張り出したり、あるいは今回の新都心構想のように、大学とかシアター1010、あるいは庁舎跡利用、いろいろないままでなかったような機能を結びつけるという方向で、地域社会の質を高めるような方向の部分がむしろ協働事業の目的になっているということでございます。
○針谷委員 確かに、NBMとかPPPとか、いずれも私はグローバリゼーションの枠の中の話だと思うのですが、若干この路線だけでは難しいということで、やっぱり修正を加えて、区民の不満もうっせきしていますから、そういう中で、区政透明化計画、予算編成における情報公開、こういうことをうたったり行政評価をする、それからパブコメなどの手法を用いる、こういうことを含んでいるというふうには思うのです。そういう点は我々もある程度評価をするというか当然だというふうに思っています。ただ、パブコメについてはちょっと要綱にも違反するようなものが多くて余り評価はできない傾向が強いですが、しかし、そういうことです。
 それで、ところが、実際にやっている大半だと指摘せざるを得ない一例だけ挙げますと、例えば保育料値上げとか、きのうも議論のあった高齢者住宅改良事業とか中小企業融資の利子の切り下げだとか、ペイゴー・ルール、予算見合いの原則を適用したもの、こういうことで評価しているわけです。
 それで、橋本高齢サービス課長は、いや、そういうことではないのだというふうに盛んに答弁しているのですけれども、補正予算を組んだからといっても、お話を聞いてみると、福祉部の枠から全然出ていないのです。インセンティブの財源なのか福祉部の中のスクラップ・アンド・ビルドなのかどうかはわかりませんけれども、どこから持ってきたのかまでは言いませんでしたからわかりませんけれども、福祉部の枠の中の議論なのです。いわばパイの理論なのです。だから、本当に区民にとっていま必要だとするならば、この包括予算制度を我々は大問題として指摘しているのは、投資的経費はすべて区長サイド、もっと言えば政策経営部サイドにあるわけですから、本当にいま区民の暮らしが大変だというのならそこに行ってやっぱり支えるというような、そういうシステムでない限りこの二極分化に歯どめをかけて住民の暮らしを守るものにはなっていないのではないか、こう言わざるを得ません。
 最後にちょっと質問しますが、教育改革の議論で出たフィンランド、ここはいわば福祉国家論的な意味合いを持つ国だと私は理解しておりますけれども、実は、フィンランドが最近、経済成長が各分野で好調という報道がされていますね、世界的に注目されているというふうに思うのですが。
 坂田部長もかつて福祉の経済学を介護保険のときにかなり主張なさって、我々もこれは、吉田区長の時代だったからそう言ったのかもしれませんが、感心していた。私は、ある意味では、このフィンランドの経済政策と教育政策、これが世界に与えている影響は大変大きいと。やはり日本のような構造改革路線では弱きをくじき強きを助けるだけ、本当に弱肉強食の社会になってしまうのではないかというような、そういう指摘を多くの国民が持ってきている。これをやっぱり我々は打開をしていかなければいけないと思っているのですが、この点について答弁を求めていると時間がないので、私は構造改革戦略について最後に指摘をして終わりたいと思うのですが、かつて第1次構造改革戦略の中で、私どもは、大型開発、大型プロジェクトの予算の編成は、例えば都市再生機構と一緒にやるから……。
○委員長 ご苦労さまでした。
○針谷委員 では、そういうことで、お金が要らないというふうに言ったけれども、そういうものは協定を結んであるとどんどん流れちゃう。そういう点で言うと、やはりこれに歯どめをかける仕組みをつくらなければだめだということを主張して質問を終わります。