可決された意見書
(1)郵政事業の民営化に関する意見書

 政府は、平成16年に「2007年に日本郵政公社を民営化し、移行期を経て、最終的な民営化を実現する」と郵政民営化の基本方針を閣議決定した。

 これまで郵政事業は、全国約24,700の郵便局ネットワークを通じて、郵便事業・郵便貯金事業・簡易生命保険事業などの、日常生活に不可欠な生活基礎サービスを全国一律に、公平に提供し、国民生活の安定と向上、公共の福祉の増進に大きく寄与してきた。

 郵便事業が民営化されると、公共性の高い事業であるにもかかわらず、収益性の高い都市部に事業が集中し、都市と地方との間でサービスの格差が生じ、全国一律のサービスが維持できるかが危惧されている。

 また、合理性・採算性が重視され、生活に身近な郵便局が統廃合等により閉鎖されることも懸念されている。
 一方、政府が本年1月に実施した、政府が優先的に取り組むべき重要課題は何かとのアンケート結果では、「年金・福祉制度改革」や「景気・雇用対策」が上位となっている。

 よって、足立区議会は国会及び政府に対し、民営化については、郵政事業の果たす公共的・社会的役割の重要性を考慮した上で、慎重かつ十分な議論を尽くすよう強く求めるものである。 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成17年3月24日

                 議  長  名

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総 務 大 臣        あ  て
財 務 大 臣
経済財政政策担当大臣
郵政民営化担当大臣


(2)発達障害児(者)に対する支援促進を求める意見書

 自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害など、発達障害への対応が緊急課題になっている。発達障害は、低年齢で発現することが多く、文部科学省の調査では、小・中学校の通常の学級に在籍する児童・生徒の6%に上る可能性があると指摘されている。
 平成16年12月に「発達障害者支援法」が制定され、本年4月から施行される。この法律には、国及び地方公共団体の責務として、発達障害の早期発見や支援等について必要な措置を講じるよう規定されている。
 発達障害に対しては、幼児期から学齢期、就労まで一貫した支援策が必要である。そのためには、医療・保健・福祉・教育・労働に関する機関が連携し、一人ひとりの状況に応じた個別指導を行うなどの対応が不可欠である。
 国は、都道府県ごとに発達障害者支援センターを設置するとしているが、よりきめ細かな支援対策を実施するには、市区町村の役割が極めて重要であり、支援のネットワークづくりが求められている。
 よって、足立区議会は政府に対し、下記事項を早急に実施するよう強く求めるものである。

1、 各市区町村が関係機関と連携して支援体制を整備する際に、財政支援を講じること
2、 発達障害の早期発見に向けて、乳幼児健診の充実と、新たな児童健診制度(5歳児健診)や就学時健診制度を確立すること
3、 保育園、幼稚園、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)における発達障害児の受け入れと、指導員の養成・配置をすること
4、 発達障害者のための雇用支援カウンセラー等を配置すること
5、 専門医の養成並びに人材の確保を図ること
6、 発達障害児(者)への理解の普及、意識啓発を推進すること

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

    平成17年3月24日

                 議  長  名

文部科学大臣
厚生労働大臣     あ  て

(3)東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の鉄道高架化を求める意見書

 今月15日に、東武伊勢崎線竹ノ塚駅構内第37号踏切において、死傷事故が発生し、尊い人命が失われた。このことは、地域住民をはじめ多くの人々に大きな衝撃を与えた。
 この踏切は、足立区道足立2号線(通称 赤山街道)と平面交差しており、日常的に歩行者、自転車及び自動車等の通行量が非常に多く、地域住民の円滑な交通を阻害する原因となっている。
 特に、朝夕のラッシュ時には、1時間のうち50分以上遮断機が下りているという、いわゆる「開かずの踏切」であり、交通渋滞の原因ともなっている。地域住民は従前から開かずの踏切の解消や地域分断の解消を強く求める署名活動などを行っている。
 平成13年には、区、東京都及び東武鉄道により「竹ノ塚駅周辺地域道路・鉄道立体化検討会」を設立し検討を行っているが、鉄道の高架化を希望する区と東京都の間で具体的な進展がみられていない。
 一方、東京都は昨年、踏切対策基本方針の中で、東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近を「鉄道立体化の検討対象区間」として位置付け、検討を開始したところである。
 今回の事故は、安全上の配慮から手動化していた踏切現場での人為的ミスによる事故であり、鉄道事業者の責任は極めて重大である。
 現在、警察及び鉄道事故調査委員会において、事実関係の把握と事故原因の究明にあたっているところであるが、二度とこのような悲惨な事故を発生させないためにも、万全な安全対策を講じるとともに、鉄道高架化の早期実現が求められている。
 よって、足立区議会は政府及び東京都に対し、区民生活と交通の安全確保及び渋滞解消のために、当該地区の鉄道高架化を早期に実現するよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成17年3月24日

                 議  長  名

国土交通大臣
東京都知事      あ  て