足立区保育計画(案)に対するパブリックコメント 日本共産党足立区議団 | |
1、計画策定の基本的考え方に関して 少子化社会が大きな社会問題となり、これからの日本社会にも足立区の将来にも重大な困難がもたらされる不安が増大しています。この不安を解消する一助としてこの保育計画が区民の子育て支援に役立つ計画になるよう求めるものです。 今回の足立区保育計画(案)は、この次世代育成支援計画との整合性を図ることが前提とされており、本格的な少子化を克服する基本点に立っていないと指摘せざるを得ません。とりわけ、児童福祉法で定められた行政の責務を中心に据えることを意識的に軽視していることです。区では保育計画(案)を策定している最中に保育料の40%(3年間20%の軽減措置あり)もの値上げを行いました。この値上げについては「子育て支援サービス利用者負担適正化審議会」の答申を受けたことを大義にしていますが、そもそもこの「審議会」の設置目的が保育料の値上げを答申させる為に「資料」も「保育にかかる経費」も区の意向に沿った「情報」を提供してきたことは平成15年12月に足立区福祉部が発行したパンフーー子育て・保育の現状についてお知らせしますーーという討論素材の提供から一貫しており、意識誘導と指摘せざるを得ません。本当にこうしたパブリックコメントで区民の声に応えた保育計画をつくる意思があるならば値上げ提案は行うべきではありません。値上げの凍結と撤回を求めます。また、子育て支援施策に関わる施策の経費を認可保育園保育料の値上げ分で賄うという発想はあまりにも貧しいのではないでしょうか。未来を担う子ども施策に可能な限り財源を活用することは行政の基本的役割だと指摘します。ニーズ調査のなかで、保育料の負担が重いと感じている区民の比率をこの計画では除いていますが、私どもが実施したアンケート調査(04年10月)では一番多かったことを報告しておきます。 社会の実態は「子育て世代の30代男性が一番長時間労働」で子育てに参加することが事実上困難な環境に置かれていること、また、「子どもの将来の教育にお金がかかる」「女性が出産をすると思うように働けなくなる」になっていることです。この労働環境や出産・子育てにかかわる経済負担を改善することが急務ではないでしょうか。国に対して、財界・大企業に対して若年労働者の正規雇用や子育て世代に対する労働環境の改善と子育てに対する経済的支援を図るよう働きかけることが必要です。 2、保育需要の動向について 地域格差の是正が指摘されてはいますが、具体的な計画が不明確であり、分析に添って保育園の建設計画をつくるべきであります。また、マンション等集合住宅の建設計画を予測しており、さらに2つの鉄道新線の開業に伴う人口増に関連する新たな保育需要を見通しながら、出現率がそれに見合った推計にはなっていません。今後、的確に対応し、待機児を減少させる目標を持つべきであります。 3、今後の方針について (1)、まず総枠で見ると、待機児の解消をうたっていますが、定員枠の拡大を827人と想定しています。これでは計画どおり保育所等が増設されていっても待機児は解消されません。ピーク時各種保育所・保育ママを含めて定数が1万4人になるよう目標を引き上げ、少なくとも保育を希望するすべての家庭に対し受け皿を整備することが行政の責任であることを指摘します。 (2)、認可保育園の建設計画が民設民営だとはいえ、計画に位置付けたことは評価します。しかし、保育所運営は経営的には厳しい環境にあり、西新井地区や東綾瀬地区は不安定要素も考えられますので、誘致が困難になった場合、公設でも建設するという計画にするよう求めます。 (3)、定員枠拡大の中でその47%を占めるのが認証保育所になっている。認証保育所については現状でも利用を希望しない区民も存在すると言う現状を踏まえ、39%の比率になっている認可保育園の定員枠を少なくとも50%に改めること。 (4)、公立保育園の民営化方針は撤回し、公立保育園の比率を高めることが重要です。いま社会状況が大きく変化し、子育てに困難さを感じている家庭が増えています。子育てについては個々のケースに的確に対応する高度な支援が求められており、的確なアドバイスや虐待の早期発見などは経験に裏付けられた判断能力が求められています。こういう子育て支援の役割を果たすことが求められており、労働条件など保育士自身が出産・育児の経験を持ち、保育士の経験を活かせる点でも公立保育園の果たす役割は大きいと言わざるを得ません。また、こども家庭支援センターとの連携や児童相談所や公立学校との連携などネットワークも取りやすい環境もあり、地域全体を視野に入れた子育てセンターの役割も果たせます。私立保育園でも優れた活動を実践しているところが多くあることは評価している所です。いま民営化したほうが効率的との主張もありますが、私立の保育士の勤務年数は公立と比べるとかなり短く人件費が低くなっているのが特徴となっています。効率的という内容は経費の内の人件費総額に格差が生じているというのが実態ではないでしょうか。いま、私立保育園の都加算が廃止され、また「三位一体の改革」による補助金の削減で、経営的な厳しさが強まっており、行政の経済的支援も必要で、この分野も計画に乗せることを求めます。 また、改めて、認証保育所や保育室を利用している保護者に対して保護者負担軽減策を計画に加えることを求めます。
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