2、区長提案の議案に対する討論 |
17年度足立区一般会計補正予算に対する反対討論 大島芳江議員 ○大島芳江議員 ただいま議題となりました第78号議案「平成17年度足立区一般会計補正予算(第1号)」及び第79号議案「平成17年度足立区介護保険特別会計補正予算(第1号)」について、日本共産党足立区議団を代表し、反対の立場から討論いたします。 区長は、議会あいさつの中で補正予算について、「特に緊急度が高い事業について補正計上する」と述べています。確かに、公立保育園のエアコン設置や、竹ノ塚駅踏み切り事故の緊急対策による歩道橋設置経費負担金、子どもたちの学力向上のために19人の非常勤講師を配置する予算など、区民要望からも緊急に対応すべき予算が盛り込まれていることは歓迎するものです。しかし、この補正予算案で大きな問題と言わざるを得ないのが、鞄s市活性化センターを解散させるための予算です。 本補正予算には、鞄s市活性化センターがFビルとの共同事業でFビルの地下に建設し、運営してきた竹の塚公共駐車場を、2億4000万円で購入する費用と、活性化センターの解散、清算を円滑に行うためと言って、区が一人株主となるために、区以外の株主が所有する活性化センターの株式を、払い込み価格で区が買い取る費用が盛り込まれています。 区が買い取ると言う竹の塚公共駐車場は、96年7月の開設以来この10年間で黒字になったのはたった2回だけです。しかも、活性化センターを清算するにあたって、区と活性化センターが共同して課題の検討をしてきた検討委員会の報告でも、「現在の駐車場利用状況は芳しくなく、このまま駐車場経営を継続した場合、なお残る債務約3億円の返済及び固定資産税年額約600万円、今後の維持管理費等の支出が会社の資本金取り崩しを余儀なくし、やがて破綻に至ると考えざるを得ない」と述べているように、区が購入した後も、引き続き赤字となる恐れがある採算の取れない不良事業といわざるを得ないものです。 区はこの駐車場を購入すれば、会社決算でなくなるため2600万円余の減価償却費や600万円余の固定資産税の負担がなくなり、1500万円程度の黒字になると答弁していました。しかし、数字上で減価償却費がなくなったとしても資産価値が毎年下がっていくことは変わらず、区も三年ごとに資産価値を見直し減額しています、30年後に時価で買い取ってもらうという譲渡特約付定期借地契約を結んでいることを考えれば、帳簿上黒字になっても事実上の赤字は続きます。 これまでも活性化センターは、竹ノ塚公共駐車場の赤字がどんなに続いていてもFビルに借地料と31台分の駐車場の借り上げ料、合わせて毎年1276万8000円を支払い、130台全ての管理料2000万円余もFビルの管理会社に支払ってきました。しかも土地の値段は当初の半分にも下がっているのに、この賃料は年間200万円近くも値上げされています。この賃料が高かったことは、区の答弁でこれまでの支払い賃料が理論値(理論上の適正賃料)よりも高かったため、借地権価格はゼロと判断していたことで明らかになりました。 また、区は駐車場として絶大な活用があり、Fビル保有の31台分の駐車利用料金は活性化センターに入るので有利だと答弁していました。しかし、利用台数は年々減少している中で、Fビル内テナント利用客が全体の36%、隣のヨーカドーのお客が20%、あわせて56%あり、一般利用は44%で、まさに特定事業者のための駐車場と言わざるを得ない状況となっています。 しかも、Fビル内テナント利用客には4割引のサービス券が出され、6割の料金しか払っていません。周辺商店街へのサービス券は2割引きで利用はわずか3.8%、サービス券販売枚数の96.2%が4割引のFビルテナント用です。このような特定事業者への優遇策も赤字の大きな原因と言わざるを得ません。加えてこのような状況を放置したまま、赤字を広げ、建設時に借り入れた都区駐車場整備基金特別融資7億3400万円の支払利息が重いからと資本金を取り崩して3億5000万円繰上げ返済をしてきたという経過もあります。 区は駐車場購入後、運営方法などを見直して黒字になるよう努力すると言いますが、賃料を含め、すべてFビルとの交渉に委ねられる内容です。それならばなぜ竹の塚公共駐車場の赤字が続く中で、これまで共同事業者のFビルとの間でこのような交渉をしてこなかったのでしょうか。区は区民の税金を投入し92.3%の株を持つ最大株主として、代表取締役社長をはじめ多くの役員を派遣してきました。共同事業者にいたれりつくせりの運営をしてきたことを含め、このような事態を招いたことは、「善管注意義務違反」にあたるのではないかと考えざるを得ません。区は、このような責任を棚に挙げ、駐車場の公共性を強調し、税金を投入してでも維持しなければならないと主張していますが、公共性よりも特定事業者のためと言わざるを得ない駐車場を、今後も赤字になることを承知で、あえて区が購入してまで維持しなければならないものとは考えられません。 株の購入についても、活性化センターの解散と言うことを考えれば、区が資本投下した9億2300万円がなくなるということであり、それだけでも区民の利益に反すると言う批判は避けられません。それなのに円滑にすばやく解散できるようにと、解散する会社の株を払い込み価格で購入するためにさらに区民の税金をつぎ込んで活性化センターに助成することなど、到底賛成できるものではなく、区民の理解も納得も得られません。 介護保険特別会計補正予算につきましては、平成16年度の一般会計繰入金の超過繰り入れ分2億1761万9000円を一般会計に繰り出していますが、これは区が介護保険給付に必要だと一度決めた区の負担分です。いま介護保険料、利用料の負担の重さに、介護給付を自ら制限している高齢者も多いと聞いています。介護にかかる区の負担割合は、介護保険導入前の25%に対し、現在はその半分の12、5%に減らされ、自らの負担は軽くしながら、区民には高い保険料を強いています。本来、保険料は介護保険のサービスに必要な分として決められた金額で、介護事業に使うべきお金です。介護給付費が余っても高齢者の保険料は返還せずに給付準備基金積立金に回すのに、区の負担分が余れば一般会計に繰り戻し、他の施策にまわすというのでは、到底納得できるものではありません。これらの財源は一般会計に繰出しせず、給付準備基金積立金残高と合わせ、区民の介護負担軽減と介護の充実のために活用することを強く求め、反対討論を終わります。 |
住区センター有料化に対する反対討論 ぬかが和子議員 ○ぬかが和子議員 ただいま議題となりました第82号議案「足立区住区センター条例の一部を改正する条例」、第83号議案「足立区立児童館条例の一部を改正をする条例」、第85号議案「足立区立老人館条例」について、日本共産党足立区議団を代表して反対討論を行います。 この3議案に共通しているのは、住区センター、直営の児童館・老人館の団体利用を有料化し、それぞれ「85u未満は一時間につき500円、それ以上は一時間につき700円」の費用を徴収するということです。町会や区や公益法人の使用、住区センターの主催事業など、「公的な性格を帯びたもの」だけを、区長が「地域の団体」と認め、無料原則を継続し、それ以外の4割、のべ16000団体利用はすべて有料にするというものです。 条例の本来の目的は、児童の健全育成・高齢者の生きがいづくり・地域住民相互の交流や学習活動の推進をすすめ、コミュニティを育成することにあります。今回、有料にするというたくさんの団体・サークル活動は、まさに、この条例の目的にそった「地域の団体」であり、営利目的の団体などではなく、有料化をする必要はまったくありません。 「身障者のリハビリ」「断酒会」など、区の基本方針に合致した活動や、マンションの住民総会である、管理組合の集まり、保育園や学童保育室の父母会、「ボーイスカウト」「赤ちゃん体操など幼児とお母さんの活動」、「社交ダンス、フラダンス、ストレッチ、太極拳、ヨガ、ダンベル体操」など、行政や住区センターが関与していない自主的な活動は、すべて有料になります。住区センターの事業から発展したさまざまなサークルや地域活動も、一年後には「地域の団体」ではなくなり有料にするというものです。これらは、どれも、生きがいを持ち、老化を予防する、介護予防にもなる、子育て支援につながる、住民が生き生きと元気に過ごすための活動です。 私たちのところに、たくさんの声が文章で届けられています。中高年の「ストレッチ&筋トレ」で月2回梅田住区センターを使っている方からは、「趣味や娯楽ではなく、老後をいつまでも元気で生き生きと暮らせるように「体力維持・筋力アップ・老化防止」などを目的としたサークル活動です。誰でもできれば介護保険のお世話にならないですむようにありたいと願って、いろいろ努力しています。ほとんどの人が年金暮らしでそう高い費用は出せません。住区センターまで有料になったのでは、今後サークルを続けていかれるか大変心配です。老後も生きがいを持ち、生き生き元気で暮らすためには、健康問題ばかりでなく趣味や娯楽も大切です。住区センターを使っているさまざまなサークルが今後も続けていかれるよう絶対に有料にしてほしくありません」、という声です。 こういった活動を「地域の団体」ではないからと有料化することは、行政の息のかかっているものだけを差別化して区民の自主的活動を疎外することになり、条例の本来の目的に反するだけでなく、「子育てや介護予防を重視する」という区の基本方向に逆行することではありませんか。区のいう「協働」とは、区民の自主的な活動は疎外することなのでしょうか。これこそ不平等、不公平ではないでしょうか。 区は、「地域学習施設も有料だから公平性の観点から有料化する」、「住区センターの利用はうなぎのぼり、有料化しても利用団体が激減することはない」といいました。しかし地域学習センターを利用する登録団体数は、有料化前の平成12年度末の872団体から、1 6年度末の606団体に、激減しています。「公平性」をいうなら、有料のほうに合わせるのではなく、住民福祉の向上に寄与する自治体の役割として、地域学習センターの減免制度の復活こそすべきです。 また、「受益者負担」の考え方から、「光熱水費相当分を負担していただく」としています。「利用する人は益を受けるから、実費分を負担してもらうのは当然」という考えを突き詰めれば、一般の道路や、公園も使う人と使わない人がおり、それを有料にするのと同じであり、行政は何のためにあるのかまで問われる問題になります。何にでも「受益者負担論」を金科玉条のごとく持ち込むべきではありません。 しかも実際には、団体が使用する会議室相当の光熱水費だけでなく、施設の全ての共有部分の1時間の光熱水費も換算していることが明らかになりました。各施設の一uあたりの光熱水費・維持補修費は、1.3円程度であり、80uの集会室なら100円程度の実費です。500円というのは、381u分の一時間あたりの光熱水費・維持補修費であり、トイレや廊下などの共有部分も含まれているといいます。つまり、団体利用だけが「廊下も有料」「トイレも有料」で、昼間などは、一般の利用者のトイレや共有部分の光熱水費分も、団体が負担してあげることになります。4割の利用団体は、有料になるだけでなく、区のいう「受益者負担」分以上に負担する、二重に不公平ではありませんか。 区は「アンケートで7割が賛成した」といいますが、これは区民の世論ではありません。他会派の複数の議員も指摘したように、このアンケートは46ある住区センターの管理運営委員会、管理する側へのアンケートであり、利用者へのアンケートではありません。区民からは、区議会各会派にも「ほとんどのセンターが賛成だからとの理由ですが、私たち利用者はその賛否など聞かれたことがありません。」と手紙がよせられているとおりです。 しかもこのアンケートでも「区の案どおりでいい」は半分以下の19件で、有料化に反対・料金を安くしてほしいを合わせると、賛成を上回るのです。その中にも「住区センター開設以来24年間、地域の方々を1人でも多く、また、楽しく施設を利用してもらうため、運営委員一同真剣に活動してきました。この有料化は、われわれのこの活動に逆行するもので、また、団体利用の減少につながるものと考え、役員会で検討の結果、反対致します」「有料化なら運営委員を辞めさせてください」との声が記されています。私たちが、住区センター利用者に行った緊急アンケートでは「今のままでやってほしい」との回答が90%を超えています。有料化は圧倒的多数の区民の願いにも反し、もし強行するなら住民との矛盾が広がり、今後に禍根を残すことになります。 以上述べてきましたように、本3議案は、特定の団体だけを『地域の団体』として差別化する、使用料金の根拠もあいまいで二重に不公平な徴収となる、子育てから高齢者までの地域住民の生き生きとした活動を応援するという、住区センターや、児童館、老人館の本来の目的や基本構想の方向にも逆行する暴挙と言わざるを得ず、到底認められるものではありません。 最後に、委員会審議で質問に答えて担当部長は有料化について、「我々はできるならしたくない」「決してお金がないからということではない」と答弁しました。それならば全く有料化する必要はないではありませんか。述べ16000の団体利用、述べ32万人の利用を有料にして、歳入見込みは1600万円です。シアター1010の事務手数料1億4700万円など、他にもっとメスを入れるべきところはたくさんあります。お金の使い方を改め、地域住民の生きがいを応援する本来の立場に立たれる事を強く求めまして、討論を終わります。 |
保育所条例への反対討論 松尾かつや議員 私は、日本共産党足立区議団を代表し、ただいま議題となりました第91号議案『足立区立保育所条例の一部を改正する条例』に反対の立場から討論を行います。 この条例案は、区のすべての公立保育所について、保育所の管理を指定管理者を指定して行わせることを可能にすることが大きな柱となっています。 保育所は、未来を担う子どもたちがはじめて社会生活・集団生活をおこなう場です。その中での経験や体験は子どもたちの成長において、将来にわたり影響を与えるものであり、継続性と安定した保育と管理運営が求められるものです。 だからこそ区がこれまで委託を行う場合でも、社会福祉法人にとどめておこうとし、公募条件の中で「現に保育所運営を行っている社会福祉法人」と限定してきたのではないでしょうか。そもそも指定管理者制度は「住民の福祉の増進」という公の施設の設置目的を効果的に達成するために必要と認めるときに初めて適用できるものであり、はじめに民営化、民間委託があるのではありません。 ところが、今回の条例案は、すべての保育所を対象に、区長が指定管理者に指定すると判断すれば、議会の議決もなしに株式会社など営利企業を含む民営化の流れにほうりこまれることになります。議会は指定する管理者がいいか悪いかの判断しかすることができず、事実上歯止めがかからないものとなり、きわめて重大です。 株式会社など営利企業は、いい悪いは別として自社に対する利益を上げることが中心となります。そうなれば、保育所の人件費、給食の質の低下など保育の質そのものがどうなるのか。また、保育士に対しても、正規の常勤者から安い賃金の短期契約となる可能性が極めて高くなり、年中保育士の顔ぶれが変わるといった状況も起こりえます。これで本当に子どもたちにとってよりよい保育ができるのかどうか問われており、多くの問題も指摘されています。 こうした流れに道をひらく条例はつくるべきではありません。 現在、社会福祉法人に委託を行っている、やよい保育園、さつき保育園、せきや保育園の3園について、区の直営に戻すのか、それとも指定管理者に指定するか選択が迫られていることについては、それぞれの保育所に対する個別条例などでも対応できるものです。 よりよい保育の実施を願い討論といたします。 |
西新井西口周辺地区計画反対討論 渡辺修次議員 ただいま議題となりました第104号議案 足立区西新井駅西口周辺地区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例について、日本共産党足立区議団を代表して、反対の立場から討論を行います。 本案は、地区計画の実効性をより高めるために改正し、地区特性に合った土地利用を図り、安全で良好な市街地環境を確保するためと提出されたものです。「地区整備計画その1の区域での複合商業地区」で、建築物敷地の最低限度面積を15000uとしており、この計画になれば、区が「まちの宝、コミュニティの核」と位置付けている既存の商店をつぶす原因となっている大型ショッピングセンターや大型小売店舗しか進出できなくなります。 昨年5月27日に、イトーヨーカ堂と地権者の(株)日清紡が区に挨拶に来て庁議室で面談しています。その後の地元商店街へのイトーヨーカ堂の説明内容とまったく同じになっており、まさにイトーヨーカ堂のショッピングセンターを誘致する、特定事業者のための地区計画ではありませんか。 いま、区内の商店街は、人通りが減り、売上の減少など深刻な状況が続いており、衰退が進んでいます。委員会質疑の中で、区長は「大型店を誘致するものではない、共存共栄を図ることだ」と答弁しました。共存共栄とは共に栄えることであります。しかし、区の商店の実態を正しく見れば衰退の一途ではありませんか。とても共存できる状況ではないのが現実です。いま、全国の自治体では大型店規制のない、いわゆる「まちづくり3法」(大店立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法)の見直しを求める声を高めており、持てる権限をフルに活用して規制し、中小商店を守る努力をしています。福島県では、6千u以上の店舗について、県への事前の届け出と出店予定の市町村への説明を義務付け、出店地周辺の自治体や有識者でつくる審議会の意見を聞き、問題がある場合、県が計画の見直しを勧告できる条例を制定しました。また、全国商店街振興組合連合会など中小企業4団体もまちづくり3法の抜本的見直しを国に要望しています。こうした動きにも逆行し「まちの宝、コミュニティの核」である商店や商店街の衰退に拍車をかけるものとならざるを得ません。 また、改正理由で言う「安全で良好な市街地環境を確保する」ことに逆行していることも重大です。この地区計画の隣接地には住宅地区が計画されており、大型店ができれば、1450台の駐車場計画があり、騒音・排気ガスなどの住環境の悪化や慢性的な交通渋滞が予想され、良好な住環境になる要件がまったくないではありませんか。委員会質疑の中で、この計画は区の「都市計画マスタープランに沿ったもの」と答弁しましたが、いま、新基本構想・基本計画に基づいた新都市計画マスタープランが検討されています。平成7年9月に策定したマスタープランをこれからのまちづくりの基本におくという時代の変化に応じたまちづくりの視点がさらさらない時代遅れの計画だということも指摘し、撤回を求めて討論を終わります。 |
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