6、日本共産党区議団の区長等への申し入れ
2006年度予算要望書
 10月4日、日本共産党区議団は947項目にわたる2006年度予算要望書を区長に提出しました。本区政資料には、前文・重点要望のみ掲載します。全部を見たい方には、差し上げますので、区議団にお申し出下さい。

(前文)
 日頃より区政進展のために努力されていることに敬意を表します。
 政府・小泉内閣は、「改革」の名で年金、医療、介護、雇用などあらゆる分野で国民に痛みを強いる施策を強行しています。
 また、地方分権の名のもとに「三位一体の改革」がすすめられていますが、その現実は、国庫補助負担金の廃止・縮減を進める一方で、本来の税源移譲は先送りされ、地方交付税の削減を先行させ、地方財政をいっそう困難にしています。
 こうした国政のもとで国民の二極分化がすすみ、格差社会が進行しています。とりわけ、足立区では生活保護、就学援助の増加、介護保険、国民健康保険の滞納などの急増からも明らかなように格差がいっそうひろがっています。
 いまこそ、区政がこうした区民の生活を支える立場に立って、格差を是正する所得保障を重視した行政運営をすすめることが求められています。
 区は昨年度策定した基本構想・基本計画の実施初年度と今年度を位置づけるとともに、 来年度予算編成方針(依命通達)で、国の進める「構造改革」路線に拍車をかけ、公務の民間開放を一挙に推し進めるための市場化テスト(官民競争入札制度)を積極的に検討するとしていますが、真に住民福祉の増進につながるか疑問です。
 職員定数の削減については、技能系職員の削減は限界点に達しており、指定管理者制度の導入により、定数を削減していくとして、新たな職域にまで踏み込もうとしています。
 人は城、人は石垣といわれるように行政サービスのマンパワーは職員が担っており、これ以上の職員削減は、身分不安定雇用の促進と住民へのサービスの低下につながるものと危惧します。
 今年度は湯河原区民保養所の業者選定をめぐって、現職区議が逮捕されるという前代未聞の贈収賄事件がおきました。また、コミュニティアーツ㈱における不正常な会計処理に区民の批判が高まっており、与党、区長及び執行機関の綱紀粛正が求められます。
 来年度予算編成の基本は、深刻な区民の生活実態や営業状況を把握し、自治体の使命を発揮し、区民のくらし第一の区政運営をすすめることです。
 区の施策実施にあたっては的確な区民ニーズを把握し、施策がもたらす地域経済への波及効果を視野に入れた施策の優先順位を据えることが重要であると考えます。
 日本共産党足立区議団が全区民を対象に行なった第5回「区民アンケート」には、数多くの区民から切実な要望が寄せられています。また、多くの団体と予算要望懇談会も行い、本予算要望書を作成しました。なお、昨年同様、重点要望と各部ごとの要望を別個にいたしました。
 区長、執行機関におかれましては、わが党の予算要望を真摯にうけとめ、限られた財源を有効に活用し、区政の主人公である区民の願いにこたえた予算編成をされるよう要望するものです。
【重点要望】
【1】 東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近鉄道高架化事業を促進すること。また、赤山街道を幹線道路とみなし、都市計画道路として決定し、促進にむけた足立区の姿勢を示すこと。
【2】 アスベスト対策について
1988年以降建設されたものも含め、全ての公有施設及び、主に公の補助で運営する施設について、アスベスト含有の有無、及び大気中のアスベスト濃度を調査すること。
個人住宅のアスベスト建材について、成分検査の費用について調査費の助成すること。
除去工事について、住宅改良助成事業の対象となったが、自己資金で実施しても助成対象とすること。
区内でおもにアスベストを取りあつかっていた企業の従業員や家族、周辺住民への健康診断・相談などを無料で行うとともに、必要に応じて専門機関を紹介すること。
【3】 防災対策について
個人住宅の耐震補強工事に対する助成制度を創設すること。
耐震相談・診断・補強工事までワンストップで進められる総合窓口をつくること。
区内の建築一式認可業者に対し、技術講習会を行い、耐震工事施工業者として登録し、この業者を活用した場合、助成する仕組みをつくること。
災害弱者対策を構築すること。
中高層ビルからのガラス等の落下物対策を進めること。
台風等での水害被害をなくす万全な対策をとること、特に出水しやすい地域には雨水貯留池、貯留管などを敷設すること。
【4】 子育て支援策について
子どもの医療費助成について、中学生まで対象を広げること。
認可保育園の増設を計画的にすすめて待機児解消を図るとともに、保育料は値下げすること。
小児救急医療については小児科医師の確保・研修等への助成を行い、小児初期救急夜間診療を拡充すること。また、西新井駅西口再開発のB街区に、床数の多い病院(小児救急診療含む)を必ず実現すること。
直営の児童館・学童保育室は少子化対策の施策として位置づけ、子育て支援の核にし、周辺地域への子育て支援事業にも取り組むこと。
希望するすべての学童が入室できるよう、地域の実態を調査し、必要なだけ学童保育室の増設を図ること。
【5】 青年の雇用対策について
青年雇用対策を区の施策にしっかり位置付け、予算措置もとって取り組むこと。
パート、アルバイト、派遣、請負、契約社員など不安定就労の実態を把握し、対策・改善に乗り出すこと。また、ニートといわれる未就労の青年の実態を把握するとともに、心のケアなど医療機関および家庭、学校、企業の連携をはかりながら対策を講じること。区自身が何らかの形で青年の直接雇用に務めること。
青年雇用対策・ニート対策として機能を発揮しつつある「あだちヤングジョブセンター」は現在の施設の使用期限が2005年度末までだが、存続・拡充し、「あだち産業芸術プラザ」内または利便性の良い駅近辺に設置すること。求職者「ドラフト」制度は2006年度以降も継続すること。
【6】 介護保険について
区として介護保険料を上げない措置を講ずること。
2000人をこえる入所待機者の解消のため特養ホームや小規模多機能型施設などを整備し、高齢者が地域で安心して暮らせるように増設目標を明確にした「介護保険事業計画」を策定すること。
10月から居住費と食費の全額自己負担が実施されたが、このホテルコスト導入は区民には大変過酷なものである。区民の負担軽減のため区は独自の補足的な給付を行うこと。
来年4月実施の新予防給付は、旧要支援や要介護1の7割から8割が家事援助サービスが利用できなくなる。区は、個々のケースによっては家事援助サービスを利用できるように検討すること。
【7】 高齢者施策について
高齢者住宅修繕事業については「浴槽取替え工事で給湯器を対象とする」「助成限度額を37万9000円に」「認定要件で自立の人も対象とする」など元に戻すこと。
シルバー人材センターへの事業委託を増やすとともに全庁的な体制をとって高齢者の就労支援を抜本的に強化すること。
【8】 住区センター等の有料化について
「学習機会や場を充実して、自主的な学習活動を活発」化させる生涯教育は、今後ますます求められている。区民が気軽に施設を使えるよう
社会教育団体施設利用料を無料に戻すこと。
住区センターの有料化はしないこと。
【9】 産業振興・創業支援について
公共工事・委託契約を含む公共サービスに働く労働者の賃金を保障し、下請け業者の経営改善などを促し、欠陥工事等を防止し、安全な社会資本を確立する「公契約条例」を制定すること。
小規模工事希望者登録制度は、契約課で発注の実態を把握し受注機会の均等化のためのルールをつくるなど、改善を図ること。
区が発注する事業はもちろんのこと、公的な助成金が適用される民間施設建設などは区内業者が優先受注できる仕組みを作ること。
区の融資制度の利子補給と信用保証料補助を元に戻すこと。
区として、起業した企業が、足立区に根付くように、区の空き施設を安い費用で提供するなど創業支援を行うこと。
【10】 大店法廃止・大店立地法の施行以降、大型小売店・量販店の無秩序な出店ラッシュと営業時間の野放し状況が広がり、商店街が大きな打撃を受け、町壊しが進んでいる。
政府に対し、区の実態から大型小売店出店に際し、足立区に商店街振興の立場から、出店調整ができる権限を持てるよう法改正を要請すること。
現法律の下でも、大型店等の出店計画に際しては、まちづくりの観点から、交通・駐車場対策、住環境対策、青少年健全育成など関係住民・商店主等の要望を反映できるよう毅然とした対策をとること。
【11】 教育環境の整備について
小中学校の普通教室へのクーラー設置は計画を前倒し18年度中に完了させること。
30人以下学級の早期実施を国・都に働きかけるとともに、国の新しい措置を生かして、区としても30人数学級の実施にふみだすこと。
学校の安全対策や学校の地域利用や地域防災への対応、自然災害や盗難等に対処するため、学校警備の職員を配置すること。
【12】 教育改革に関して
学力向上対策として、単純に授業時数を増やすのではなく、フィンランドの教育に学び、教師への授業研究の保障や教育環境の整備に力をいれるとともに、差別・選別の「競争教育」を見直し、平等を原則とする教育に転換すること。
学校選択自由化、2期制、小中一貫教育、学校理事会制など、区教育委員会が矢継早にすすめる「教育改革」について、すべての児童・生徒、保護者、教職員を対象にしたアンケート調査を実施し、「教育改革」の検証をすること。
業者にすべてを委ねる足立区の学力テストは止めること。また、学力テストによる学校、地域の序列化につながる公表は行わないこと。
【13】 障害者施策について
応益負担の名による1割定率負担導入に反対するとともに、法が成立・実施された場合には、区としても障害者の負担を軽減する対策を講じること。
障害者の入所施設建設とあわせて、周辺にグループホームや在宅生活を支える施設を整備すること。
障害者の雇用対策に特別の力をいれてすすめること。
道路のバリアフリー化、音声信号機の計画的設置を進めるとともに、駅前の放置自転車については、一時利用もできる自転車駐輪場を増やして対策をすすめ、障害者が安心して通行できるようにすること。
【14】 環境対策について
大気汚染や氾濫する化学物質による健康被害から区民の健康を守るため、自動車公害対策や有害化学物質の規制・監視の強化と水質・土壌汚染の回復を図ること。
地球温暖化対策として、自然エネルギーなど更なる活用、壁面・屋上緑化、道路や公園などをコンクリート・アスファルトから保水性舗装や芝舗装に変更するなど被覆対策を強めること。また、廃止した大気汚染の測定所(3箇所)の復活を図ること。
【15】 区立第二中跡については売却するのではなく、体育館を存続し地域に開放するとともに「三年B組金八先生」のモデル・ロケ校を生かして「金八記念館」など地域活性化につながる活用を図ること。行政財産の活用全体についても売却を基本にするのではなく、区民の要望に基づく活用を最優先にすること。
【16】 政府の「構造改革」路線による負担増や収入減から区民生活を支える施策について
実際の収入は変わらないのに税制改定に伴い、81の事務事業で区民が影響をうける区民に対し、何らかの対策を講ずること。
失廃業や収入の激減時に区民を支援するしくみ(仮称)「緊急生活支援制度」をつくり、全庁的な取り組みを強めること。
生業資金の貸付対象を非課税者に限定せず、貸付限度額を拡大すること。
応急小口資金の貸し付け要件、限度額を緩和し、緊急な生活支援にも活用できるようにすること。