1、本会議質問 ○代表質問 三好すみお議員 |
代表質問「区長の政治姿勢を問う」 憲法9条を変える自民党新憲法草案にかかわって ○三好すみお議員 私は、日本共産党足立区議団を代表して質問いたします。 最初に、自民党新憲法草案の発表にかかわって伺います。 自民党は結党50年を迎えた11月22日、新憲法草案を正式に発表しました。新憲法草案は、憲法前文の「平和のうちに生存する権利」、すなわち平和的生存権の規定を消し去り、憲法9条第2項の戦力不保持規定を削除、自衛軍という軍隊を保持するとともに、集団的自衛権が行使できる規定に変え、海外派兵、国連軍への参加を可能とするものです。これまで海外での武力行使の歯どめとなってきた憲法9条、とりわけ戦力保持の禁止と交戦権の否認を定めた9条2項を変えることで、まさに「戦争をしない国」から、地球上どこででも「戦争ができる国」にする重大な変質であり、日本を再び戦争をする国にしていいのかが問われていると言わなければなりません。 区長は、憲法前文の「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」するという文言や、「恒久の平和を祈念」し、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」とする平和的生存権の規定をなくして、日本を再び戦争をする国にしてしまうことをどのように考えるか、お伺いします。 地方自治体は、いまでも政府・財界の進める構造改革路線によって国民生活に耐えがたい負担を押しつけられています。三位一体の改革は、財源の一部を地方に移すのと引きかえに、国の責任で行うべき福祉・教育のための国庫補助負担金を縮小・廃止し、地方交付税を削減することで住民サービスの大幅な切り下げが押しつけられようとしています。新憲法草案の言うように、これまで国が行ってきた教育・福祉などの役割を地方自治体に担わせ、財源負担までさせることによる区政への財政的影響は大きく、区民の暮らしにも影響を及ぼすものとなることは明らかです。区長はこのことをどのように考えているか、伺います。 地方自治に関しては、新たな条項を設けて、国及び地方自治体は適切な役割分担を踏まえ、相互に協力しなければならないという義務規定を設け、国と地方の役割を分離して国の役割を軍事や外交に限定しながら、地方に教育・福祉などの役割を担わせる考えを組み込みました。そして、地方自治を担う住民には、自治体が行う役務の提供に見合う負担を公正に分任する義務を負う義務規定を盛り込むことで、国民に戦争協力と負担を押しつける内容となっています。 地方自治体の本来の役割は、住民の福祉の増進にあります。新憲法草案の言うように、国と地方の役割を分離して相互協力の義務を課し、戦争をする国づくりへ進むことは、国と地方が力を合わせて行う住民の福祉の増進に逆行するものであり、区の役割が損なわれると考えるがどうか、お伺いします。 湯河原区民保養所汚職事件の教訓から再発防止策を 続いて、コンプライアンス推進計画についてお尋ねします。 湯河原区民保養所汚職事件にかかわって、4回の特別委員会が持たれ、真相の究明の再発防止について意見が交わされてきました。区長には二度とこうした不祥事は起こさないという決意が改めて問われていると思います。 区の姿勢変えなければ不正は防げない 区が10月に提案したコンプライアンス推進計画では、推進の仕組みとして、第1に倫理規範の徹底、第2に透明化、第3に第三者機関による監視を上げています。しかし、湯河原区民保養所に係る汚職事件をめぐる質疑で明らかなように、権限のある所管の部長が事件にかかわっているような場合や、外部からの通報に対応する仕組みが確立されていなければ、再発を防止することができません。 汚職事件などの問題を未然に防止し、あるいは早期に発見するためには、その仕組みづくりとともに、真相の究明を行う、事実を明らかにする、不正は許さないという姿勢が重要だと考えます。 今回の事件では、地域ミニコミ紙が疑惑を報道したにもかかわらず、行政監察制度を機能させませんでした。幾ら立派な制度を早くからつくっても、活用する姿勢がなければ役に立ちません。新聞報道や委員会の質疑で明らかになった、例えば忍足被告が依頼を受けたと言われる公明党西口元区議のかかわりや、忍足被告が6月23日に勇駒からの請託を受けた後に、7月17日以降に保養所委託事業者の変更が決められていることなど、未解明な部分が残っているにもかかわらず、区はこうした問題を全面的に明らかにしないで元部長へ抗議文を送るだけで終わらせようとしています。そういう姿勢を変えなければ、再発防止を初め、不正を防ぐことはできないと思うがどうか、お伺いします。 公益通報制度について 次に、事件や疑惑を解明していく仕組みの問題についてです。 区長は行政監察について第3回定例会で、「今後は行政監察の機能が十分発揮できるよう教訓としていく」と答弁しています。しかし、同時に、「通常、行政監察は事件に関する事実を担当所管が調査し、その報告に基づき行政監察として事実の解明を行っていくもの」と答弁しており、今回のように権限のある所管の部長が事件にかかわっていた場合には、機能しないか、機能させないこともできるわけです。したがって、担当所管や個人の恣意的な判断によらないで機能させる仕組みづくりが求められていると思います。 今回、コンプライアンス推進の仕組みが提案されたことは評価できます。しかし、提案されている仕組みの中の公益通報制度では、内部通報者について区職員か区の事業にかかわる従業員に限られ、区民は含まれていません。区民からの通報はこれまでどおり、区民の声相談課を通して基本的には所管課が対応することになります。 国が定めた公益通報者保護法が来年4月から実施されますが、この法律自体は民間の通報者の保護を目的としたものであり、十分ではありません。 いま、区民が求めているのは法の趣旨を生かし、公益通報制度を活用して汚職の再発防止にとどまらず、区民による行政及び企業への民主的監視機能と行政及び企業の透明性を高める仕組みです。その仕組みをつくるためには、区民の声相談課と公益監査員及びコンプライアンス推進室との有機的連携の仕組みが必要です。区民の声相談課に寄せられた通報のうち、通報対象の範囲に該当するものは所管課への引き継ぎのみならず、公益監査員及びコンプライアンス推進室でも扱うようにすべきと思うがどうか、伺います。 民営化・民間化について 続いて、民営化、民間化の問題についてです。 足立区は、これまで行政改革、構造改革戦略の下、各種の民間委託を行ってきました。 そして、基本構想・基本計画から第2次構造改革を策定し、横断的・網羅的ツールである市場化テストを運用することによって、さらに行政の担っている事務事業を民間委託、PFI、指定管理者制度、民営化、民間譲渡等に移行させようとしています。これは、区の事業所機能と事務所機能の大部分、さらにミドルオフィスやトップマネジメントにおける基幹的意思決定をも対象にするというもので、まさに自治体の株式会社化をねらうものであり、官から民へという構造改革の行き着く果てとも言えるものです。 官から民への流れの中で―区で運営する以上に税の投入のコミュニティアーツ― これまで行われてきた構造改革による、民間にできることは民間へという流れの中で、湯河原区民保養所をめぐる汚職事件や株式会社足立コミュニティ・アーツの乱脈経営と税金の不正常な投入、竹の塚公共駐車場運営でのFビルへの優遇など、さまざまな問題があることが明らかになり、民営化、民間化することが、自治体の本来のあり方に照らして正しい方向なのかを検証しなければならないと考えます。 民間に市場を拡大するために、区が株式会社をあえてつくってまで管理運営を任せた指定管理者制度第1号が株式会社足立コミュニティ・アーツです。区は、シアター1010を株式会社で運営する理由を、株式会社なら赤字を行政が補てんするのではなく、経営責任を明確にできるとか、自由な経営の展開で収益性を高められ、区を頼らず自立してやってもらえると言っていました。ところが現状は全く逆でした。コミュニティ・アーツは、効率性どころか、公社や直営で運営する以上に税の投入をしなければならない非効率的なものであることが明らかになりました。同時に、乱脈経営が指摘されているにもかかわらず、区は最大株主としての役割を発揮しませんでした。このように、民間に任せることが必ずしも公共サービスの質的向上、サービスのコスト削減にはならないのではないか、見解を伺います。 情報公開に背を向ける「民間会社」 区は、指定管理者制度の導入におけるチェック機能、透明度の確保について、9月議会の答弁で「施設の管理の業務に関して、保有する情報の公開に対する指定管理者が行う必要な措置が明記されていることをもって足りる」としています。しかし、コミュニティ・アーツが会社役員会の議事録や交際費の公開を拒否したり、旧本庁舎跡利用で事業計画変更に伴う収支計画が報告されない問題、竹の塚公共駐車場での契約内容を情報公開請求したにもかかわらず応じない問題など、いずれも民間会社の態度は情報公開に背を向けています。 このことは、民間がやっていることは区民の代表である区議会に情報が公開されず、区民にはチェックできないことを示しています。 足立区情報公開条例では、区長や教育委員会など実施機関が作成し、または取得した文書類について、区政情報として開示することを定めています。区の事業を民間に委ねた場合でも、実施機関と同じように位置づけ、区民と議会のチェック機能が働く仕組みにすべきと思うがどうか、伺います。 耐震偽造事件の教訓に立ち「市場化テスト」を拙速にすすめるべきでない 区は来年3月の第1回定例議会にも、足立区官民協働促進基本条例なるものを提案し、市場化テスト基本方針を策定していく方針です。しかし、この市場化テストは、これまで行われてきた官から民への方向をより一層全面的に進めるツールとして導入されるもので、全国的にも検証されていない危険性の伴うものです。 去る11月18日、建築設計事務所が耐震性を示す構造計算書を偽造していた問題が発覚しました。この事件は、これまで自治体の建築主事が行っていた建築確認・検査を民間に開放した結果起きた事件であり、日本共産党は1998年に建築基準法が改悪された当時の国会で、民間任せでは検査の公正・中立性の確保が難しいし、手抜きされる恐れがあると指摘して、反対しました。今回の事件は、営利追及を第一に考える民間の検査機関によって、人命にかかわる重大な偽造が見逃された点で、改めて民間化の問題を浮き彫りにしました。 住民の安全・安心は、公正・中立な立場に立ち、住民の福祉、暮らしを守る全体の奉仕者としての公務員によって支えられています。 区は今後、職員を1,000名程度削減するとしていますが、区長の言っている安全・安心は、公務労働によってこそ保証できるのではないでしょうか。 足立区が実施しようとしている市場化テストは、行政が行っている事務事業のほとんどすべてを民間に開放することになり、今回のような事件の再発と蔓延が懸念されています。 区は、この市場化テストを包括的な社会実験と位置づけ、この足立区で行うとしていますが、このように危険で問題も多く検証もされていない市場化テストを拙速に進めるべきではないと思うがどうか、伺います。 増税による区民への影響と改善策について 続いて、定率減税の縮小や老年者控除廃止、65歳以上の非課税措置廃止、公的年金等控除の見直し等に伴う増税による区民への影響と改善策について伺います。 11月17日付で区民の皆さんに配布された「あだち広報」の税制改正特集号で、18年度に実施される主な税制改正の内容と、区民への影響が報告されています。それぞれの増税の影響について例示で説明されていますが、今回の税制改正の区民への影響がどんなものかという点では、少しわかりにくいものです。例えば、老年者控除廃止の影響を受けると説明されている単身で70歳、年金収入300万円のAさんは、老年者控除の48万円がなくなるほかに、公的年金等控除が縮小され、さらに定率減税の縮小によって3万6,800円の増税となってしまいます。しかし、問題はそれだけではありません。お知らせされた影響は、住民税にかかわるものだけであり、実際の影響額は、所得税の増税が6万円加わり、Aさんの場合、負担増は10万円にもなります。 さらに、今回の税制改正による影響は、住民税や所得税の増税にとどまらず、区の行っているさまざまな事務事業にもかかわってきます。区の資料によると、区民部から教育事業担当部まで政策経営部を除くすべての部署にかかわり、国民健康保険料や介護保険料を初め、高額医療費の支給や障害者施策など81の事業に及び、対象者で28万人余り、影響額は22億9,000万円と報告され、区民には二重にも三重にも負担増となって暮らしを圧迫することになります。 税制改正によるこれらの影響は、収入がふえないにもかかわらず増税となって、区民の暮らしを直撃します。区は6月の区民環境委員会の答弁で、こうした区民に対して打つ手があるか検討するとしていましたが、区民の負担増を軽減する立場で何をどのように検討したのか、お尋ねします。 また、名目所得の上昇により住民税非課税世帯(者)が課税対象になることによる影響も深刻です。区の調査では、非課税世帯から課税世帯への変更により影響の出るケースが、81の事業のうち36事業に及ぶとしています。非課税だった区民が課税対象になることで、収入が変わらないのに負担増になったり、サービスが受けられなくなることに対して、区民を守る立場からいままでどおりの措置が受けられるよう特例措置を講ずるべきと思うがどうか、伺います。 国民健康保険料の負担増の影響は、延べで区民の5万3,000人、15億円に及び、対象者の18%が影響を受けることになります。国は激変緩和措置を検討しているようですが、当然、区も保険者として区民を負担増から救うべきだが、どのような対応を検討するのか伺います。 来年度予算編成に向けて @ 少人数学級を一刻も早く 続いて、来年度予算編成に向けての施策の充実について伺います。 初めに、少人数学級を一刻も早く実現させる問題です。中教審・義務教育特別部会が今後の学級編制及び教職員配置について最終報告を行いました。これまでの取り組みの評価で、少人数指導、少人数学級それぞれの利点を評価し、全国的に少人数教育が進んだことを評価し分析しています。その中で、平成17年4月に文部科学省が行った少人数教育の効果についてのアンケートで、少人数指導と少人数学級を行っている全国の小中学校1,564校を対象に、「学級編制人数を引き下げた方が効果的である」か、「少人数指導・ティーム・ティーチングの方が効果的である」かの調査がされました。 「とてもそう思う」「そう思う」の合算回答を比較すると、少人数指導を行っている小学校の81.8%、中学校の86.0%が「学級編制人数を引き下げた方が効果的である」と回答し、少人数学級を行っている学校への「少人数指導・ティーム・ティーチングの方が効果的である」の回答は、小学校の30.6%、中学校の42.2%にとどまりました。 この評価は、少人数学級が少人数指導より効果的であることを示していると考えるがどうか、伺います。 今後の学級編制及び教職員配置についての審議を行った協力者会議のメンバーの一人である鳥取県片山知事は、協力者会議での議論について次のように語っています。「これまでの議論は、全国でこれだけ草の根の創意工夫が必要で少人数学級が実施されている現状があるので、しかも、それが教育上効果があるという評価も多いので、これを全国一律に統一をして、国が制度的に財源面も含めて保障する形での少人数学級に移行したらどうかという、こういう問題提起だった」と、中間報告までの議論の内容を述べています。 さらに、片山知事は、「もう既に少人数学級を始めて何年にもなりまして、やはり鳥取県で見ても相当大きい効果があるという評価も出ております」、引き続き継続していくことは「これは非常に大きな問題だと思いますけれども、やはりこれから日本はこれまで以上に教育を重視する国にならなくてはいけないと思っているものですから、ある程度お金がかかっても教育の質を高める。そのためには少人数学級というのは有効だと思っているので、全体の財政の中で何とかやり繰りをしたいと思っています」、このように決意を鳥取県のホームページの中で語っています。 こうした議論が行われる中で、10月3日に出された最終報告書では、「学級編制の仕組みの改善」で「今後は学校現場の判断により地域や学校の実情にあわせた指導形態、指導方法や指導組織とする必要があるため、現行制度を見直し、学級編制にかかわる学校や市町村教育委員会の権限と責任を強化する必要がある」と述べ、「40人を下回る学級編制が自由に選択できる制度とする必要がある」としています。とりわけ小1プロブレムの課題については、学級とは別に学習集団をつくるよりも基本的な生活習慣や学習態度の育成のために、生活集団と学習集団を一体として少人数化を図ること、すなわち少人数学級は効果的であると指摘しています。 我が党が提案した予算組み替え案の内容ならば、いますぐにでも小学校低学年への35人学級の導入が可能です。すなわち、16年度ベースの計算ですが、現在加配されている教員107名のうち、68名を小学校3年生までの35人学級に充て、必要な少人数指導には区採用の職員を充てる。これで小学校低学年への35人学級の導入が可能です。区は、こうした柔軟な姿勢を持ち、段階的にでも少人数学級に足を踏み出すべきと思うがどうか、伺います。 A若者の雇用と生活を守る支援策を 次に、若者の雇用と生活を守る支援策についてです。 現在、大企業を含む民間企業で働く、とりわけ若い世代の雇用と労働条件は深刻さを増しております。特に深刻なのは、派遣、パート、契約など、非正社員の急増です。大企業でも24歳以下の若者の2人に1人が派遣や業務請負で、いつ仕事がなくなるかわからない不安とともに、その多くが月収10万円などという低賃金に置かれています。さらに34歳以下の若手社員を対象にした調査では、会社にいる時間の平均が11時間16分という長時間労働を強いられています。さらに重大なことは、多くの若者が、労働基準法を初め、労働者としての基本的権利や雇用主としての企業の責任について何も知らされず、違法・脱法状態のもとで働きながら泣き寝入りの状態にあることです。 本来、安定した雇用と人間らしく働ける労働条件の確保は政府の責任で行うべきものですが、小泉内閣は労働法制の規制緩和を進める一方、若者個人の職業観や人間力に問題をすりかえ、不安定雇用の拡大に歯どめをかけようとしていません。 若者が経済的に自立できない雇用の広がりは、少子化問題や社会保障制度を初め、日本社会のあらる分野に深刻な影響を及ぼし、技術や仕事の伝承にも支障を来しています。安定した仕事を、人間らしく働きたい、この若者の願いにこたえ支援する施策が必要です。 そこで伺います。 人材ビジネスを活用した雇用創出特区として行ってきたあだちワークセンターが、国による特例措置がなくなり、リクルートが撤退することになりますが、引き続きハローワークと連携した取り組みとして、若年者雇用の創出と区内企業の支援のため、中小企業などへの青年雇用助成金制度を創設してはどうか。 2つ目に、区は11月産業経済委員会であだち芸術センター内のハローワークと同じフロアに就労支援室を設置し、その一部にヤングジョブセンターを入れる方向を明らかにしました。その就労支援室の機能として、仕事探しや労働条件など、あらゆる雇用問題の相談と解決を図るワンストップ窓口を設置してはどうか。 3つ目に、雇用破壊、賃金破壊が進む中で、若者の就労は不安定で低賃金に置かれています。こうした若者への経済的自立を図る支援が求められており、単身の若者も入居できる公共・公営住宅の建設や家賃補助制度、生活資金の貸与、求職中の保育園入所など、若者の経済的自立への援助を進めるべきと思うがどうか、伺います。 B ぜんそく患者のインフルエンザ予防接種に費用助成を 次に、ぜんそく患者のインフルエンザ予防接種に費用助成をする問題です。 公害患者のぜんそく発作は、命にかかわる問題であり、だからこそ国もインフルエンザ予防接種の通達を出しました。この通達に基づいて、既に板橋区、江戸川区、北区など9区が17年度に実施し、葛飾区、台東区など4区が18年度に助成措置を講じる対策をとっています。さきの決算特別委員会で区は、「国の公害保健福祉事業でメニューの追加があった財源が不明確なので、精査をして、他区の動向等を見て検討、判断する」と答弁しています。区内の対象者は500人くらいであり、国の補助もあり区の費用負担は27万円程度で済みます。実施に向けどのように考えているか伺います。 C 小児救急医療の充実について 次に、小児救急医療の充実についてです。 小児救急医療の厳しさは、小児医療の採算性と小児科医のマンパワーの絶対的不足にあります。小児科の治療は、例えば点滴一つとっても、大人なら看護師1人で対応できますが、子どもの場合は押さえる人も必要になってきます。その分の人件費は算定されないため、現在の診療報酬制度では採算が合わないのです。マンパワーの問題では、小児科医の数は減り続け、高齢化しているため、夜間・休日の専門性が求められる小児救急に対応することが難しくなっています。小児救急医療の確保・充実を図るための基本的対策は、診療報酬上の対策とともに救急医療に対応できる小児科医師をどのように確保するかにかかっています。区は財政的措置をとってでも、医師会との協議のもとで小児科医の確保を図ることが必要と思うがどうか、伺います。 次に、西新井駅西口に小児救急に対応する二次救急医療の総合病院を設置する問題です。地元説明から始まり、議会の質疑でも取り上げられているように、西新井駅西口に小児救急に対応する二次救急医療の総合病院の設置は切実です。区は設置に向けて全力を挙げるべきと考えるがどうか、伺います。 D 都の補助金削減について 東京都は、子育て関連都加算補助及び都単独補助事業を廃止し、認可保育園への補助など13事業の補助金を、交付金あるいは包括補助にする方向を提案しました。これは補助金が財政調整交付金や包括補助となることにより、総枠が減らされるなど懸念されております。これまで行われていた補助事業は、延長保育や学童保育、子育て広場など13の事業であり、どれも必要なサービスで区民に喜ばれているものばかりです。区はこれまでのサービスを落とさずに子育て策を充実すべきと思うがどうか、伺います。 五兵衛団地建替え用地に住民の希望する施設誘致を 最後に、公有地の有効利用の観点で綾瀬地域に認可保育園や特別養護老人ホームなど、住民要望に基づいた施設誘致を行う問題です。 綾瀬七丁目にある都営五兵衛団地は老朽化のため建てかえが決まり、平成20年4月入居予定で、今年度中に建築着工し、その後、現在も残っている1、2号棟を取り壊し居住者を移転させる計画です。新しくできる五兵衛団地は高層化するため、これまでよりも多い229世帯が入居できるようになりますが、同時に1、2号棟分の敷地が残ることになります。この土地を有効利用して都市計画マスタープランで述べているような、地域特性に応じた公共公益施設を誘致すべきと考えます。 この地域は綾瀬駅周辺の商業地域から連なり、都立東綾瀬公園を有する静寂な住宅地であり、近年、マンション建設によって人口もふえ、平成7年に比べると、この10年間で足立区全体が0.89%の人口増なのに対して、この地域では17.06%もふえています。ところが、この人口増に見合う公共公益施設の誘致がおくれております。この地域には保育園が一つもないため、待機児では区内で最も多いブロックの一つとなっています。 また、近隣住民の皆さんからは、特別養護老人ホームや地域図書館、多目的に使える施設など要望が寄せられています。 こうした地域要望、地域特性に基づいて、五兵衛団地の建てかえに伴い、公有地の有効利用の観点で施設誘致をするよう都に働きかけるべきと思うがどうかお伺いしまして、この場からの質問を終わります。 答弁 ○鈴木恒年区長 三好すみお議員の代表質問のうち、自由民主党の新憲法草案についてのご質問に、一括してお答えいたします。 本年は戦後60年に当たります。この時期に今後の国のあり方を定める憲法について、幅広く議論することは意義の深いことと考えております。憲法草案につきましても、これからさまざまな多くの意見が出され、国会で十分な議論がなされるものと思っております。したがいまして、地方公共団体の長といたしましては、政党による新憲法草案に対して論ずる立場にはないと考えております。 他の質問につきましては、参与から答弁をいたさせます。 ○西條直樹総務部長 私からは、コンプライアンス推進計画についてお答えいたします。 湯河原区民保養所に係る職員の行為に関しましては、職員からの事情聴取等を行い、裁判の判決内容も精査した上で既に処分等を行ったところであります。今後は、コンプライアンス推進計画に基づき、提言・要望等の記録と公表制度や公益通報制度による再発防止のほか、行政監察の機能をさらに強化してまいります。 次に、(仮称)コンプライアンス推進室と区民の声相談課との連携の仕組みですが、民間従業員等から寄せられた通報については、所管課及び区民の声相談課で受け付け、所管課において所要の措置をとっていくこととなります。コンプライアンス推進室では処理経過の確認等、必要な連携をとってまいります。 ○石川義夫政策経営部長 私からは、指定管理者制度と市場化テスト、税制改正による区民への影響についてお答えいたします。 初めに、民間に任せることが必ずしも公共サービスの質的向上、サービスのコスト削減にならないのではないかというご質問に、お答えいたします。 まず、サービスの質の向上についてでございますが、指定管理者となる民間企業は専門事業者であり、技術や情報あるいは人脈など、さまざまな資源を保有しております。また、常に競争にさらされることから、同種の施設との差別化を図る工夫や行政にはないアイデアや行動力をフルに発揮した事業の実施が可能になり、こうしたことが、サービスの質の向上に直結するものと考えます。 次に、サービスのコスト削減についてでございますが、建物の維持・管理経費については、区であろうと民間であろうと基本的に変わるものではありません。しかしながら、人件費や事業実施コストについては、競争原理の中で圧縮可能な経費であり、こうした経費の削減は民間の得意とする分野であると認識しております。 次に、民間に事業を委ねる場合の、区民と議会のチェック機能についてお答えいたします。 指定管理者の指定については、議会の議決を受けることで、チェック機能が働いているものと考えております。また、年度終了後には、事業報告書を区に提出することを義務づけており、決算を通じて議会のご承認をいただくことになります。 また、本庁舎跡利用は、公民パートナーシップ手法に基づく事業であり、実施主体は民間であります。したがって、区は基本協定に基づく事業が展開されているかどうかの確認にとどまるべきであると考えます。 次に、市場化テストについては、個々の業務の適・不適を検討することも重要でありますが、何よりも公共の仕事を官と民とでどのように分担し合うかといった視点が重要であります。持続可能な社会を構想すれば、新たな視点から公共の仕事を見詰め直すよい機会であり、さまざまな課題を解決しながら前向きに検討を進めるべきものと考えます。 次に、税制改正による区民への影響と改善についてお答えします。 このたびの税制改正は、第1に、少子高齢社会への対応を図るために、世代間の税負担の公平性と、所得に格差のある高齢者間の税負担の公平性を確保するために、年齢を基準とした優遇措置である@老年者控除の廃止、A公的年金等所得控除の見直し、B65歳以上の者に適用される非課税限度額の廃止をするものであり、第2に、著しく停滞した経済活動の回復に資するために、臨時特例の措置として継続されてきた定率減税が見直されたものであります。 税制改正に伴う影響は、81の事業に及びますが、我が国の構造的課題を解決する取り組みの一環であり、今後の持続可能な制度を構築するために、広く薄く負担を求めていくものであることから、区としては、これらについて特別な軽減措置等を講ずる考えはございません。 ○坂田道夫区民部長 国民健康保険料に関する国の激変緩和措置については、いまだ明らかになっておりません。各区が一般会計からの多額の繰り入れを行っている現状では、特別区が統一的に対応することも、各区が独自に対応することも難しいと考えております。 ○坂本寛文産業経済部長 私からは、雇用に関するお尋ねにお答えします。 まず、あだちワークセンターに関するお尋ねですが、リクルートは撤退しますが、ハローワークは次年度も引き続き事業を継続しますので、連携して就労の促進に取り組んでまいります。 青年雇用助成金制度の創設につきましては、足立区として労働行政には携わりせんので、考えておりません。 次に、仕事探しにつきましては、ハローワークが担当し、労働相談につきましては、労働相談情報センターが担当しております。足立区として労働行政を取り込んでワンストップ窓口を設置する考えはございません。 最後に、単身の若者の入居を想定した区営住宅の建設、及び家賃の補助をすることは考えておりません。生活資金の貸与、保育園の入所につきましては、既存の制度で対応してまいります。 私からは以上でございます。 ○神谷達夫衛生部長 私からは、衛生行政についてのご質問にお答えいたします。 公害認定患者のインフルエンザ予防接種費用の助成につきましては、今年度より新たに公害保健福祉事業に加えられたものであり、財政状況や他区の実施状況を見ながら検討を進めているところでございます。 次に、小児医療の充実につきましては、足立区医師会や関係医療機関等との協議を行ってまいります。しかし、小児科専門医の確保については、絶対数が不足しており、区が財政的措置をとり直接医師の確保を図ることは極めて困難です。 西新井駅西口に開設される病院における対応についてですが、独立行政法人都市再生機構の公募要件では、当面は午後5時から10時までの小児夜間診療と、内科・外科の二次救急医療となっております。小児救急医療については、今後、東京都や足立区医師会、医療機関等との協議を図りながら体制整備を行っていくように調整を図ってまいります。 ○高木直樹子育て支援担当部長 子育て関連都加算補助及び都単独補助事業廃止についてお答えをいたします。 認可保育園の都加算補助などの13事業交付金化につきましては、都が市町村に提案をいたしました。 特別区につきましては、トワイライトステイ事業を初めとする4つの補助事業を、現行水準を維持しながら福祉改革推進事業に移行し、交付金化することが提案されております。 また、他の事業は、従来どおり都区財政調整交付金により手当すると説明を受けておりますので、これまでのサービスを落とすことはないと考えております。 今後とも適切な子育て支援策の充実に努めてまいります。 ○佃 朝明都市整備部長 都営五兵衛団地の建てかえに伴う施設誘致についてお答えいたします。 当団地で現在残っている1、2号棟は、団地東側に建設する新しい住棟へ居住者が移転後、平成20年度に除却される予定でございます。 除却後の敷地の利用につきましては、民間主体の公益施設の導入や民間住宅の誘導等も含めて、今後、都と協議してまいります。 ○内藤博道教育長 少人数学級の評価及び実現について、一括してお答えいたします。 少人数教育については、導入の方法や効果などについて、さまざまなデータによる論議がなされていることは承知をしております。 お示しのデータのみで少人数学級が少人数指導より効果的であると判断するには早計であると考えます。 教育委員会といたしましては、生活集団としての40人学級を維持しつつ、教科等の特性に応じた少人数指導を拡充していくのが基本的な考えでございます。 これまで少人数指導により一定の成果を上げているところであり、引き続き国・都の加配に加えて、区独自のステップアップ講師を各校に配置し、少人数指導の充実を図ってまいります。 再質問 ○三好すみお議員 幾つか再質問させていただきたいのですけれども、まず初めに、自民党の新憲法草案にかかわって、政党の論じているものについては論じる立場にないという答弁でしたが、今回の選挙で、4割代の得票で7割の議席を占めるという小選挙区の非民主的な制度のもとで、自民党が実際に衆議院の3分の2以上を占めるという実態なわけですね。そういった意味では、自民党が示している内容というものは極めて現実的であろうと、現実的な提案となるものであろうと思うのです。 その中で私が質問したのは、国と地方との分離ということを定めているわけですけれども、これによる地方自治体への影響は、大変なものになるのではないかということを聞いていますので、そこは答えていただきたいと思います。 それから、指定管理者制度の官から民への問題ですけれども、私は足立区の情報公開条例、この中に実施機関の定めがあります。足立区が委託しようとしている民間に対して、こうした実施機関という位置づけを持つことによって透明性が図られていくのだろうと考えていますので、その辺について答弁をしていただきたい。 それから、増税による区民への影響の問題ですけれども、1月のときには、助役でしたか、区民部長でしたか、適切に対応するという答弁をしていたのですよ。6月の区民環境委員会では、助役が、打つ手があるかどうか検討するという前向きの方向を示していた、そういう面ではいまの答弁というのは、非常に後ろ向きな答弁だと思うし、私が質問した中身でも、区民への影響というのは非常に大きいわけで、そこのところをどう考えているのか、改めて答弁を求めたいと思います。 それから、少人数学級の問題ですけれども、私は2つの問題を質問いたしました。1つは、中教審が発表した少人数学級と少人数指導のアンケート結果の問題についてどのような評価をしますかと質問しているので、これは算数の問題ですから、80%台の問題と、30%、40%、どっちが効果があるのかという質問をしていますので、そこはしっかり答えていただきたい。 再答弁 ○鈴木恒年区長 再質問にお答えいたします。 国と地方公共団体、これはそれぞれ役割があるわけでありまして、その役割に応じた負担を負う、これは当然のことではないかと思うわけですが、それと同時に、そのための財源の確保、これが必ず必要なことであると考えます。 ○石川義夫政策経営部長 まず最初に、情報公開条例に関連するご質問の件でございますけれども、情報公開条例につきましては、我々行政機関に対する情報公開規定を定めたものでございまして、それ以外のものではないということで、これにつきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、それぞれのときにチェックできるということでお答えしたところでございます。 また、2番目の検討・分析というところでございますが、検討・分析をしました結果、この税制改正につきましては、少子高齢社会の対応を図るために世代間の税制負担の公平性と、所得に格差のある高齢者間の税制の公平性を確保するために、年齢を基準とした優遇措置であります老年控除の廃止とか、あるいは公的年金とかの内容でございましたので、これにつきまして影響を調べましたところ、広く薄く負担を求めていることから、区としては、これらについて特別な軽減措置を講じる考えはないと、こうご答弁したものでございます。 ○ 内藤博道教育長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、お示しのアンケート調査の結果のみで少人数学級が少人数指導より効果的であると断定するには早計であると思っております。 |
一般質問「介護保険と障害者自立支援法について問う」 質問と答弁 鈴木けんいち議員 介護保険について @ 10月からの負担増、他区のように軽減策を ○鈴木けんいち議員 私はまず介護保険について質問します。 法改定により10月から特養ホーム、老人保健施設などの入所施設では、ホテルコスト徴収で利用者負担が大幅に増えました。例えば老人保健施設では、「これまでは月6万円で何とか払えたが、今度から11万円だと言われ、払えないない」などの悲痛な声があがっています。施設を離れたり、入所を控える人も出て、多摩施設の老健施設から「10床空きあり、資料が整い次第入所可能」、特養ホームからも「部屋が空きましたので、今ならすぐ入れます。紹介してください」との連絡が関係施設にくるようになったという状況も生まれています。 一方、施設事業者は介護報酬が実態に合わない基準額に切り替えられたため、月100万円から200万円、年間で1,000万円から2,000万円以上の減収になると苦慮しています。 ショートステイの滞在費・食費やデイサービスなど、通所施設の食事代も全額自己負担になって、在宅で介護を受けながら生活を送っている人にも、滞在費・食費の大きな負担増が襲いかかってきています。デイサービスの食費は400円ほどだった自己負担が818円へ2倍もの値上げとなる内容で、多くの施設では値上げ分をそのまま利用者に転嫁するわけにはいかず、650円前後に抑えて、差額は施設側が負担、その分減収となっています。それでも利用者からは、「650じゃ払えないからコンビニ弁当にしたい」などの声も出ており、利用者負担増に対する支援を求める請願が議会に提出されました。 区はこうした負担増に対する軽減策を求めたわが党の前議会での質問に対して、「保険料の増要因にもなるからできない」と答弁しました。しかし、区も認めているように、利用料軽減について一般財源の投入は可能であり、保険料の増要因とはなりません。また、負担の公平論を言いながら、在宅、施設両方とも負担増となり、これほど矛盾した話はありません。都内でも千代田区、荒川区、港区、渋谷区、台東区、武蔵野市で何らかの負担軽減策が講じられています。区としても、軽減策を講じるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 区はまた、大幅な減収になっている施設事業者に対する支援策を求めたわが党の質問に対して、各施設の経営努力による対応をお願いすると答弁しました。しかし、この間の事態で経営努力では限界があることが明らかになり、そのしわ寄せは利用者負担となってあらわれます。こうした実態に行政が目をつぶるのは問題であり、何らかの対策を講じなければならないと考えるがどうか。 また、税制の改定で、本人の収入が増えなくても、非課税世帯から課税世帯にされて、利用段階が第4段階となり、大幅な負担増となる人が多数生まれますので、軽減策を講じるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 A新予防給付(家事援助原則禁止など)について 次に、来年4月からの新予防給付の問題に関連して伺います。 新予防給付実施により、軽度者の家事援助が原則禁止とされ、足立区では家事援助を受けている軽度者の実に8割、3,166人が受けられなくなると区も答えています。政府は「新予防給付においても、家事援助を一律にカットすることはない」と答え、区も「適正なケアマネージメントにより、ひとり暮らしや、夫婦とも要介護状態にあり、自分たちで行うこともできない家事に対しては、家事援助を行うことができる」と答弁しました。この方向で改善することは、家事援助が必要で、これまで受けていた人が引き続き受けられる可能性を広げるものであり、重要です。家族や地域の支えも、また、福祉サービスなど、代わりのサービスも利用できない場合のみ可能との政府指針や、上限を2万円とする方向がささやかれる中で、どのように具体化されるのか、伺います。 B地域包括支援センター 地域包括支援センターが創設される理由の一つは、地域における高齢者の生活を支える体制の再構築です。介護保険が実施されて以来、自治体は介護サービスの提供から撤退するだけでなく、高齢者に関する相談、助言、訪問活動などもケアマネージャーに丸投げしてしまい、多忙な業務に追われるケアマネージャーが深刻な悩みを抱えるという場合も生まれてきています。これに対して高齢者の相談に総合的に対応し、必要なサービスへとつなげていく支援体制を、自治体が主体となって再構築していく必要性を国も認め、設置されることになった経緯があります。 同時に包括支援センターは、介護予防の拠点の役割を担い、高齢者が求める介護サービスが縮小される可能性もあります。地域包括支援センターが設立目的どおり、機能が発揮できるよう、区が積極的に関与・支援し、役割を果たすこと。また、運営協議会は現在、地域保健福祉推進協議会の介護保険専門部会が兼ねることになっているが、本当に地域の実情に合うものにするためにも、事業者など、関係者で多く構成するとともに、より公正さを保てるようさらに工夫と努力を行うべきと思うがどうか、お伺いをいたします。 C介護保険料の値上げはすべきでない 次に、次期介護保険料について伺います。 区は来年4月からの1号被保険者の介護保険料について基準額(第3段階、本人非課税)をこれまでの月3,217円から4,700円へと1.46倍も値上げする試算を示しました。今、高齢者の生活は総務省の調査でも、2004年で年間4.6万円の赤字で、蓄えを取り崩して生活している状況です。しかもこの赤字は前年よりも1万円以上拡大しており,年々生活が苦しくなってきています。貯蓄ゼロの高齢者が増えているとの統計もあり、わが党が行ったアンケートでは、現在の保険料でも73%の区民が高いと答えています。 高齢者をとりまく状況はこれだけではありません。今後、税制改革による年金控除の縮小、高齢者の住民税非課税措置の廃止で、収入は増えないのに非課税から課税に変わり、自動的に保険料段階が第4段階に上がってしまう区民が少なくとも1万4,000人います。これまでの第4段階の区民は、月5,912円で年金天引きごとに1万円を超える保険料となるとともに、保険料段階が第3段階から第4段階に変わる区民の値上げ幅は年3万2,340円、第2段階から第4段階に変わる人は、実に年4万2,048円もの負担増となります。このような負担増はとても耐えられるものではありません。 介護保険は国の制度ではありますが、保険者は自治体であり、保険料を決めるのは区長です。事業計画の作成や基盤整備、独自の負担軽減制度の実施などと合わせて、介護保険法の改善を求めていく上で、自治体の果たす役割は極めて大きいと考えます。 ところが区はこうした立場に立って、区民負担軽減に一歩でも二歩でも近づける努力をするどころか、介護保険料算定の基礎となる地域支援事業費(給付総額の1%で約10億円)を、2%でよいところ3%と多く見積もって、高めに保険料を算出した可能性さえ明らかになっています。また、例えば足立区も含む全国市長会も要望している調整交付金の外枠化で、国の負担を5%増やせば、1号被保険者の保険料の値上げは中止できるとの試算もありますが、区がそうした角度から値上げを抑えようとした形跡も見当たりません。 区は保険料を納める区民の生活実態のどのようなところを根拠に試算額を算定したのか。また、この間、6カ所で行われた公聴会・説明会は、例えば300人入る竹の塚会場では14人、平均でも1カ所当たり12.6人と、どの会場も参加者が少なく、とても本気で生活実態をつかみ、区民の声を聞こうとしたとは思えません。このことを区はどのように説明するのか。 さらにこの間、保険料の値上げを抑えるためには、一般財源の投入も可能であることが明らかになっていますが、このことを区はどのように検討したのか。また、介護需要の増加が予想される中、国の負担割合を増やさないまま、区民が納める保険料を値上げしていくことで制度の維持・発展が見込めると考えているのか、伺います。 以上のような経過と根拠から、次期保険料を大幅に値上げすることになる試算額はとうてい認めることができません。区民負担軽減の立場から再算定し、合わせて基準額以下の低所得者に配慮する立場から保険料段階の細分化も行って出し直すべきと考えるがどうか。 また、税制改定により、実際には収入が増えないのに非課税から課税になり、保険料第2・第3段階から第4段階に上がってしまう高齢者に対して、何らかの救済策を講じるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 障害者自立支援法について 続いて障害者自立支援法について質問します。 障害者自立支援法が10月31日国会で成立しました。障害者保健福祉の根本を変えてしまう応益負担(定率1割負担)が盛り込まれたこの法案は、もともと政府の構造改革路線の具体化として登場し、そのねらいは社会保障・社会福祉の総費用抑制にあることから、障害者・家族・関係者への痛みの押しつけは避けられません。そして自立支援という名称に反する自立阻害法だという指摘が現実のものとなろうとしています。 また、法の実施にあたっては、213の政省令と告示事項で決定され、それはこれから出されるのでまだわからないということも深い不安の原因となっています。必要な人に必要なサービスが行きわたり、真に障害者が希望を持って生きられる社会を目指し、法実施にあたって補充や改善がなされていくことを願って質問します。 @ 区の姿勢について問う 初めに区の姿勢についてお伺いします。 障害者施策は、障害者にとって益を受けることではなく、スタートラインに立つためのものであることは区も認めています。このような障害者が新法により定率負担導入で大きな負担増と自立を阻害されかねなくなることについて、区はどのように考えているのか。 また、区は国に対しきめ細やかな軽減措置や経過措置を設けること、費用負担は世帯構成員に及ぶことのないよう等について要望してきました。区も引き続きこの立場に立つならば、当然、障害者の真の自立を保障する観点から、こうした負担の軽減策を講じるべきと考えるがどうか、答弁を求めます。 A 政府の資料でもホームヘルプ利用で4倍、通所施設で約19倍の負担増の軽減策を これまで障害者施策の利用料負担は、施設でも在宅でも、前年の所得に応じた応能負担に基づき決定され、95%の人が無料で利用しています。これがサービスを利用した量に応じて負担する応益負担に切り替えらるとともに、施設等で提供される食費や入所施設の光熱水費、日用品費、個室費が原則自己負担とされます。政府の資料でもホームヘルプ利用で4倍、通所施設で約19倍、総額で年間700億円の負担増となることが明らかになりました。 さまざまな負担軽減策が講じられると言いますが、有料になることで施設への通所をあきらめざるを得ないという人も予想されます。そしてヘルパー派遣などもこれまで無料だった人が有料になり、日常生活を送るにもお金がかかり、重度の人は受けるサービス量が多いので、それだけ負担も重くなります。明らかに自立に逆行する事態であり、都との協議も含め、負担軽減策を講じるべきだがどうか、伺います。 B 施設への支援も必要 自宅から作業所や授産施設に通って働く障害者の工賃は、平均で月7,000円から8,000円です。これに対して厚生省モデルでは月2万9,200円(定率負担分)、食費、水光熱費)を負担することになります。いくつかの軽減策は設けられますが、工賃を上回る利用料を払うことになり、生活を困難にするとともに、障害者の働く意欲を奪うものです。利用者負担軽減策を講じ、せめて工賃で払える利用料に抑えるべきと思うがどうか。また、利用料が払えないことで通所者の減少も予想される中、施設への運営助成も考えるべきと思うがどうか。 障害者施設は報酬がこれまでの月額制から日額制に変わることによって、例えば通所者が当日朝、体調が悪くなって急に休んだ場合、職員配置はしてあるが、報酬は入らなくなるので減収となります。また、利用料負担の生じる通所者が通所を控え、施設の減収となることも予想されます。こうした事情から十分な職員配置ができなくなり、例えば精神障害者で大切な、予定している通所者が来ない場合の連絡などができなくなるだろうと心配されています。十分な職員配置ができるよう対策が必要だと思うがどうか、答弁を求めます。 C 手話通訳の無料制度を維持すべき 手話通訳は現在、社会福祉協議会の事業として無料で派遣されています。これについては新法の中では定めがなく、各自治体が行う地域生活支援事業の中で実施される方向だと聞きます。この地域支援事業の進め方、利用者の費用負担の仕方については、今後の政省令の中で考えが示されることになっていますが、方向として1割の定率負担も否定されていません。これまでどおり無料で行えるよう国に要請していくとともに、かりに有料になった場合は、区として支援し、無料制度を維持すべきと考えるがどうか、伺います。 D 医療費の負担増について 新法では制度目的も果たしてきた役割も異なる更生医療、育成医療、精神通院公費負担の3つの医療制度を自立支援医療に一本化し、1割の自己負担を課すものとしたことも大きな不安を広げています。その中で精神通院については、10%の負担化について都が世帯非課税の場合はその10%を負担する方向があると聞きますが、これまでは本人の所得で判断されてきたものが世帯単位になってしまうのか。これでは負担増になるとともに、また家族に遠慮しなければならなくなり、重大な後退です。本人所得で判断する制度を維持するようにすべきと思うがどうか。 E 国に意見を上げるべき こうした不安と問題点解決のため、自立支援法により障害者が必要なサービスを受けられない事態をつくらないよう求める意見を国にあげていくべきと考えるがどうか。また、来年策定予定の障害者計画にこうした不安と問題点を解決する方向を盛り込んでいくべきと思うがどうか、答弁を求めます。 五反野駅に早期にエレベーターを 最後に障害者を含め誰もが気軽に鉄道を利用して外出できに地域社会をつくる観点から、五反野駅に早期にエレベーターを設置する問題で質問します。 東武線五反野駅はエスカレーターはありますが、エレベーターはありません。障害者対応になっていると言いますが、車イスの方からは、エレベーターがあれば1人で気軽に駅の上がり下がりができて外出できるという声があります。また、このエスカレーターはいつものぼり専用です。高齢になると階段をのぼるのも大変ですが、下りるときはもっと大変になり、こわさも伴います。最近、駅前で署名を集めたところ、高齢の女性が、階段を下りることができないから電車で出かけるのをあきらめていると切々と語り、署名をしました。子育て中の若い人たちからも、ベビーカーではのぼり下りできない、エレベーターをという強い声が上がっています。区内で乗降客が5,000人を超える駅でエレベーターがないところはわずかとなっています。要望の多い五反野駅に早期にエレベーターを設置するよう対策を講じることを求めて質問を終わります。 答弁 ○丸山 亮福祉部長 介護保険のホテルコストについてのご質問のうち、まず、負担軽減策についてお答えいたします。 今回の法改正による施設利用に伴う食費・居住費につきましては、低所得者の方には、食費の補足給付を行うことや、高額介護サービス費の負担段階の細分化を本年10月より実施しております。介護保険に関するその他の利用料の軽減につきましては、困難であると考えております。 次に、施設に対する支援策についてお答えいたします。 今回、ホテルコストの導入につきましては、厚生労働省が全国の介護保険施設の実態を踏まえて算定しており、各施設の経営努力による対応をお願いしております。 次に、税制改正の影響に対する軽減策についてお答えいたします。 税制改正に伴う利用料増につきましては、激変緩和措置を厚生労働省が検討しており、その結果を踏まえて対応していく予定でございます。 次に、新予防給付についてのご質問のうち、家事援助についてお答えします。 新予防給付のサービスは、利用者の状態の特性を踏まえて、本人のできることは、可能な限り本人が行うことが基本とされております。 適切なケアマネージメントによりまして、介護予防の観点から家事援助等の必要なサービスが提供されるものと考えております。具体的には厚生労働省が出す指針により対応してまいります。 次に、地域包括支援センターとその運営協議会のあり方についてお答えいたします。 地域包括支援センターの設置については、高齢者の相談に総合的に対応し、必要なサービスへつなげていくセンターとしての機能が発揮できるよう、関与してまいります。 また、運営協議会については、現在、介護保険・障害福祉専門部会に準備委員会を兼ねていただいておりますが、18年4月以降は、新たなメンバーによる運営協議会として発足を考えております。 次に、介護保険料の試算額と公聴会等についてお答えいたします。 第3期であります平成18年度、19年度、20年度の3年間の給付総額から、3年間の利用者の自己負担総額を差し引いた額を1,074億円と推計いたしました。これを3年間の高齢者数で除した額が4,700円でございます。 中間報告の概要につきましては、区広報に掲載し、全区民にお知らせし、ご希望の方には報告書の郵送もしております。 介護保険施設や施設利用者、家族への説明会を積極的に行ったため、公聴会・説明会の参加者が少なかったものと考えております。 次に、介護保険料への一般財源の投入についてお答えいたします。 介護保険料に一般財源を投入することは、将来にわたって財政構造の硬直化をもたらすものであり、避けるべきものであると考えております。 また、厚生労働省の3原則にも「一般財源による保険料減免の補てんは適当でない」とあり、法に定められた負担割合を超えて他に転嫁することは、保険制度の趣旨である相互扶助の精神を否定することになると考えております。 なお、国の負担割合増につきましては、特別区長会が全国市長会を通じまして、「介護保険制度における国庫負担金のうち、調整交付金については国の法定負担分25%とは別枠で措置すること」と要望しているところでございます。 次に、介護保険料の再算定についてお答えいたします。 保険料基準額及び階層区分の設定や、生計困難者対策、税制改正により影響を受ける方への激変緩和につきましては、足立区地域保健福祉推進協議会に諮問しております。答申を十分踏まえて対応してまいります。 障害者自立支援法のうち、定率負担の導入についてお答えいたします。 定率負担の導入に伴う負担増につきましては、原則1割負担でございますが、さまざまな負担軽減のための減免措置が講じられますので、定率負担導入で大きな負担増と自立を疎外しかねなくなるということはないと考えております。 次に、負担軽減策についてお答えいたします。 区としての負担軽減策につきましては、単独で実施することは、財政状況等から難しいと考えます。 次に、在宅サービス利用者についてお答えいたします。 在宅サービス利用者の負担軽減につきましては、特別区の厚生部長会を通じて、東京都に「急激な負担増を避ける方策を講じること」また「社会福祉法人減免の対象を民間事業者まで拡大する施策を講じること」などを要望しているところでございます。 次に、作業所・授産施設利用についてお答えいたします。 授産施設利用者の自己負担金につきましては、工賃のほかに年金や手当などの収入もございますので、そういった収入を全体の中で負担していただく仕組みになっております。 また、通所施設につきましては、通所者の減少が発生しないような工夫を運営主体とともに検討してまいります。 次に、施設運営についてお答えいたします。 施設運営報酬の日額化につきましては、国としての激変緩和措置が検討されていると聞いております。また、定員の弾力的な運用も示されておりますので、そういった方策を講じながら、施設運営に支障を来すことがないよう入所調整などを実施してまいります。 また、精神障害者の方が施設を休んだ場合は、施設側に対して自立に向けフォローするよう指導してまいります。 次に、手話通訳につついてお答えいたします。 手話通訳につきましては、地域生活支援事業に位置づけられております。今後、国から示されるサービス内容を検討し、他のサービスとの均衡を図りながら負担のあり方を検討していきたいと考えております。 次に、国への要望等についてお答えいたします。 国への要望につきましては、先ほどもご説明した厚生部長会から東京都に提出した要望書の中に、都を通じて国への働きかけを要望しております。 また、障害者計画につきましては、自立支援法のみならず、多様な施策を盛り込んだ総合的な計画でございますので、障害者が安心して生活できることを目指す考えでございます。 最後に五反野駅のエレベーター設置についてお答えいたします。 五反野駅のエレベーター設置につきましては、鉄道事業者等と協議してまいります。 以上でございます。 ○神谷達夫衛生部長 私からは、精神の通院医療費についてお答えいたします。 障害者自立支援法に基づく精神障害者の通院医療費の利用者負担については、10%の自己負担が原則ですが、東京都は市長村民税非課税世帯について、自己負担の助成継続を検討していると聞いております。 なお、所得認定となる世帯は、利用者に有利になるように住民票上の世帯ではなく、同一保険単位を世帯とすると聞いております。 再質問 ○鈴木けんいち議員 再質問をさせていただきます。 ちょっとひどい答弁で、ほとんど答えていないというふうに感じます。 介護保険ですけれども、これまでの答弁を踏まえて、軽減策を講じられない理由は、保険料の増要因となるというふうに答えていました。それはそういう要因にはならないということを指摘して、負担軽減策を講じるように求めて質問しました。ところが理由も述べずに困難であるということなので、答弁になっておりません。はっきり答えていただきたいと思います。 それから、新予防給付ですけれども、本人ができる場合は新予防給付に移す。そういう形で3,166人がこれまで受けていた家事援助が受けられなくなる、ここに不安がある。それでこれまでの質疑の中では、一律にカットすることはないと政府も言っているのです。それなのに、必要なサービスは提供できるというのは、全く答弁になっておりません。この質問を踏まえておりません。質問を踏まえた答弁をお願いしたいと思います。 それから、介護保険の保険料については、私、区の試算の中間報告は読みました。そこには今、答弁になった説明がありました。それはわかったけれども、生活実態をどのように見ているのかというのが私の質問であります。その点についての答弁はありませんので、お答えください。 あと2つほど。障害者自立支援法ですが、この自立支援法によって自立を疎外することはないと答えましたけれども、それでは区はなぜこれまでも決め細やかな軽減措置や経過措置を設けるべきだとか、あるいは費用負担は世帯構成に及ぶことのないようにというふうに要望してきたのでしょうか。いろいろ問題があるから、それを少しでもやわらげようということで要望してきたのではないですか。そのことも触れて質問しているのに、それにも全く関係のないお答えであって、答弁になっていないと考えます。質問を踏まえた答弁をお願いしたいと思います。 それから、手話通訳についてですが、他の制度との均衡をとるというご答弁ですけれども、質問は無料で行うべきだ、かりに有料になった場合に、区として支援すべきではないかという質問をしたのですから、その辺についてかみ合った答弁をいただきたいと思います。 再答弁 ○丸山 亮福祉部長 まず1番目の介護保険関係の負担軽減策についてですが、一般財源を投入することは、財政均衡上適当ではないと申し上げたところでございます。 新予防給付につきましては、要支援の方でも、家事援助サービスは続けられる。ただ、国の方の基準が出るから、それに従って実施していくとお答えいたしました。 介護保険料の生活実態を踏まえたのかということでございますが、パブリックコメントを実施いたしまして、さまざまなご意見、それから、町会等にお声かけををいたしまして、町会で来てくれと言ったところには説明会を実施しております。 自立支援法に伴うところの軽減策でございますが、これは国もこれからやると言っておりますので、200ある政省令が出される中に、軽減策は必ず入っておりますので、それに基づいて区もやっていきます。ただ、独自にはやらないとお答えいたしました。 手話通訳につきましては、他のサービスとの均衡を考えながら検討するとお答えいたしましたので、これから検討していくということでございます。 |
一般質問「環境対策について問う」 質問と答弁 ぬかが和子議員 アスベスト対策について ○ぬかが和子議員 私は環境対策について質問します。 今、2つの意味で環境の危機に直面しています。第1は自動車の増大に伴う大気汚染や、多量に氾濫する化学物質による健康被害など、住民の健康と生活の安全を脅かす直接的な危機、第2は、大量の廃棄物や緑の減少、膨大なエネルギー消費に伴うヒートアイランド現象、二酸化炭素の増加による地球温暖化など、都市と地球の持続可能性の危機です。東京都の環境基本計画では、この2つの危機認識のもとに、総合的な環境行政を進めるとし、区も同じ立場に立っていると表明しています。区が環境対策の3つの柱としている「区民の安全・健康を守る」「地球温暖化対策」「ごみ減量・資源循環の施策」、これらは個々ばらばらではなく、相乗的に進める視点が大切です。例えばごみを減らすことが、焼却や埋め立てによる熱の発生を抑え、地球温暖化対策になる。地球温暖化対策である自動車対策は、大気汚染の減少・健康問題にもつながります。 そこでまず、住民の健康と安全に関わる新たな不安・課題でもあるアスベスト対策について伺います。 アスベストは天然の鉱物で、燃えずに高温にも耐え、化学変化も起こさない。しかも繊維なので弾力性もあり、混ざりやすく、経済的なので「奇跡の鉱物」などと呼ばれ、1930年代から大量使用されるようになりました。利用範囲は車のブレーキパッドやドライヤー・ベビーパウダー・家電製品初め、3,000品目にも及んでいますが、量的にはそのほとんどが吹き付け材やスレートなど、建材として使われてきました。ところが実際には奇跡の鉱物どころか、発がん性を持つ悪魔の鉱物であり、アスベスト肺や中皮腫・胸膜炎・肺がんなどを引き起し、しかも潜伏期間が数十年という長さで、「静かな時限爆弾」とも呼ばれるものでした。 WHOは72年に発がん性を指摘し、ILOは石綿の使用における安全に関する条約を1986年に採択しましたが、日本が批准をしたのは今年の7月でした。政府は70年代からその危険性を知りながら国民には知らせず、日本石綿協会や建材大手8メーカーの反対により、規制の法制化も遅れました。その結果世界最大の1,000万トンを超える輸入・使用がされており、その責任は重大です。足立区でも西新井の日清紡旧東京工場で4名の死亡者が発表され、アスベスト被害による労災認定者も出ています。 問題は70年代初頭から約20年間がアスベストの輸入のピーク期間であり、輸入量は毎年30万トンを超すために、その影響は今後現れるということです。被害は業務従事者の労働災害にとどまらず、家族や近隣住民にも及ぶ公害でもあります。また、2008年からは全面禁止にするというものの、現在は10品目に限り原則使用禁止しているだけで、市場に出回った在庫品の回収は義務ではなく、モルタルのアスベスト混和材などは規制品目ではありません。 @ 国の救済策は不十分、意見を上げるべき 国は来年、新法を制定し、夏までに救済策を講じるとしています。しかし、その検討内容では、被害補償額も低く、救済対策も中皮腫・肺がんに狭め、企業負担もアスベスト使用量に応じたものでなく、労災認定件数をベースとしたもので、責任があいまいとなっています。実効ある救済のための法整備や新たな被害の予防、対策を講じる自治体への十分な支援を国に求めるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 日本共産党足立区議団は、8月に15項目の申し入れを行い、相談窓口の設置や実態調査など、さまざまな対策が前進してきましたが、さらに充実が求められています。 そこで伺いますが、足立区では、講じた対策について区民に知らせてはいるものの、危険性やアスベストの性質、使用されている可能性のある場所や製品などについては、ホームページでも広報でも知らせていません。例えば空気中のアスベスト濃度調査結果を公表していますが、住宅地の全国平均値が1リットル当たり0.4本であるのに対し、宮城地域が0.8本など、調査結果がどういう意味を持つのかなどは、区のお知らせではわかりません。リスクコミュニケーションの立場から、積極的に周知を図るべきと思うがどうか。 A 解体の対策の充実を アスベストは、粉塵化して吸引したときに被害が生じるため、一番問題になるのは解体時のアスベスト対策です。第1に、国が新たに設けた石綿予防規則により、解体工事においてアスベストがあるかどうかなどの標識設置は今後、義務づけられることになりました。しかし、解体工事の住民説明については義務ではなく、事業者にお願いをするに止まっています。練馬区や千代田区では、建設工事と同じように、条例や要綱で住民説明会を義務づけています。足立区でも要綱等に位置づけて、住民説明を義務づけるべきと思うがどうか。 第2に、これまで小規模建築物やアスベスト含有面積が小さい建物は届け出の対象外でしたが、今後、解体床面積500u以下の建築物の解体工事においても、アスベストの調査及び除去工事方法について区への報告を義務づけるべきと思うがどうか。 第3に、石綿予防規則により、アスベストが使用されている建築物等の解体・リフォームの作業への従事者は、特別教育等の受講が義務づけられました。区は今年は既存の「工業技術・経営研修会助成事業」等を活用して、講習会開催を支援してきました。しかし、従事者の数からみると、今までの予算枠では限界があり、受講を必要とするすべての従事者が特別教育や、来年4月から制定される石綿作業主任者講習などを受けられるよう、支援を充実・発展すべきと思うがどうか、答弁を求めます。 B 健康対策について 次に、健康対策についてです。アスベスト関連企業の従事者などには、国の労災対策の充実が必要となります。一方、労災対象外となるまち場の大工さんやその家族などの対策、近隣住民の健康被害の心配に応え、区としても対策を講じる必要があります。港区では健康相談を行い、医師が必要と認めた人を対象に、診察・胸部X線検査などを実施しています。足立区でも、健康相談によって医師が必要と認めた人を対象に、専門家による診察、胸部X線検査などを行う考えはないか、答弁を求めます。 西新井駅イトーヨーカドーショッピングセンター計画の環境対策を @ 大気汚染について 次に、西新井駅西口イトーヨーカドーショッピングセンター計画の環境対策については、現在、環境アセスメントや大店立地法による手続きを行っています。事業者が参考にした資料の中には、東京都環境基本計画があります。ここでは自動車交通の増大による大気汚染と、地球温暖化に伴うヒートアイランド現象の深刻化に対し「東京を過度に自動車交通に依存しなくてもよい都市にしていくこと」が必要と強調しています。 「自動車使用に関する東京ルール」でも、その第1のルールとして、自動車の使用を減らすことう掲げています。イトーヨーカドーショッピングセンターへ出入りする自動車交通量は「大規模開発地区交通計画マニュアル」によって、商業施設に適用すると、集中交通発生量が休日で1万3,000台を超すことになります。また、店舗の規模が大きく、シネマコンプレックスなど、レジャー施設も併設され、駅に公共駐車場がないために、更なる自動車の集中も予想されます。 大型商業施設を区が誘導することが、自動車集中による大気汚染の増加、地球温暖化への悪影響となり、環境基本計画に180度逆行しているのではないか。環境への負荷を減らすためにも、区としても、施設全体の床面積の縮小など、計画の見直しを求めるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 A 土壌汚染対策について 土壌汚染とその浄化対策についてですが、当該地のうちボウリング場やファミリーレストラン部分は、かつて大池と呼ばれる沼であり、その部分を廃棄物で埋め立てて利用していました。現在もメタンガスも発生しており、十分な土壌浄化対策が必要です。同じ大池を埋め立てた栄町住区センター用地の場合も、鉛や水銀などが基準値以上にあり、場内での処理では将来にわたり環境問題が生じるとして1,325uの敷地の土砂を3億6,700万円をかけて場外に搬出、焼却処理しました。 しかし、イトーヨーカドーショッピングセンターの環境アセスメント計画では、この部分について、「大正時代は田畑であり、その後商・工・住混在の市街地として利用されており、計画地周辺に汚染が危惧される恐れは少ない」と、実情からかけ離れた報告を行っています。このことについて区はどう認識し、意見を述べたのか。 また、旧工場用地部分は環境基準の10倍を超え、汚染がシルト層に達している区域もありました。主な汚染物質であるクロロエチレン類などの有機化合物の除去について、計画では主に「バイオ技術を活用」し、「揮発性有機化合物の分解菌の活性化剤を混合し無害化する」としています。 国のバイオレメディエーション利用指針の解説では、バイオ技術による土壌汚染の処理は、安全性の面から言えば、未確立の技術であり、その利用の際には、利用微生物の種類ごとの名称、浄化対象物質の名称と想定濃度、浄化目標濃度や浄化事業期間などを明示し、住民への十分な情報提供を行うこととしています。しかし、アセスメント計画にはそういった情報提供は全くなく、これでは十分に説明責任を果たしているとは言えません。 土壌浄化が済んでいるとした西新井西口公園でさえも、基準を超える汚染物質が明らかになっています。住民の不安を取り除き、安全と健康のために十分な調査と情報公開、徹底した浄化を求めるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 家庭ゴミの有料化はすべきではない 次に、特別区長会は清掃事業に関する課題の大半部分について合意に達しました。この中には家庭ごみの有料化も盛り込まれています。家庭ごみを一律に有料化してしまえば、不法投棄が増え、住民のモラルハザードにつながる可能性が高いことも、これまでの全国的な事例からも明らかになっています。月間廃棄物6月号では、「『有料化で減量した』とされる自治体で、ほぼ以外なく有料化1、2年後に減量し、その後は増加に転じることは広く知られている」と減量効果を批判しています。 全国都市清掃会議の有料化した自治体調査でも、「減量効果が見られない」「減量効果は一時的」が合わせて62%となっています。逆に4分の1以上の自治体が「不法投棄が増加した」と答えています。ごみの減量につながらないという点からも、低所得者層にとって大きな負担となる点からも有料化はすべきではないと思うがどうか。 ごみの減量には意識の啓発が何よりも大切です。足立区でも環境家計簿などの施策を講じていますが、さらに区民にとって効果が実感できるような施策の充実が必要です。 環境貯金箱作戦のような取り組みを 先日、区民環境委員会で秋田市に行政調査に行きました。秋田市で実施している環境貯金箱作戦は、市民がごみ減量意識を持つために、目標に対しどれぐらいごみが減ったか、節約額を算出して環境貯金とし、その金額について毎月のプラスマイナスを記載した預金通帳風に広報で公表し、庁舎の入口に環境貯金箱現在、何円たまりましたと表示しています。それを見た市民が「力を合わせてごみを減らしたい」と思える意識啓発のやり方だと感じました。たまったお金はごみ減量や環境活動など、市民還元につながる事業に活用します。16年度は基準とした14年度と比べると、3,823トン、清掃車1,900台分ごみを減らし、環境貯金箱には441万円たまったそうです。足立区でも、より目に見える形でごみ減量作戦を進め、そこで浮いた財源は環境に関わった分野で区民に還元してはどうか。 学校などの残菜のリサイクル・還元システムを 最後に昨年度の区有施設のごみ発生量調査によると、全体で3,111トンあるごみの8割が保育・幼稚園、小・中学校から出るごみであり、その大半が可燃ごみです。その主なものである残菜のリサイクルが進めば、ごみ発生をかなり抑えることができます。現在、2校でコンポストによる残菜処理・堆肥化を行っていますが、管理も大変で、全校で良好な堆肥をつくるのは難しい状況です。一方、農業リサイクルシステム協会では、専門家により残菜や木屑を活用し、堆肥化を進め、農業に活用する運動を進めています。 足立区でも、NPOや障害者団体などがこれに取り組んでいます。この残菜を堆肥化し、畑で食物を育成する仕組みづくりを活用し、でき上がった作物をまた、学校給食や食の教育に還元する仕組みづくりを進める考えはないか、答弁を求めまして、この場からの質問を終わります。 答弁 ○江口由紀夫環境部長 私からは、まずアスベスト対策についてお答えします。 アスベスト問題につきましては、国は各省庁において、さまざまな法整備を進めていると認識しておりますが、いずれも検討段階であり、区の責務も明確になっていない状況にあります。したがいまして、今後の動向を注視しつつ、必要な要望をあげていきたいと考えております。 次に、アスベストに関するリスクコミュニケーションにつきましては、区民の不安に適切に応えるよう、今後とも情報の収集及び提供に努めてまいります。 次に、解体工事における標識設置及び住民説明についてお答えします。 本年10月から解体の届け出の際、現地への掲示板設置が義務づけられましたが、区では住民説明会についても、開催を書面で指導しております。 また、面積規定の撤廃については、現在、国では大気汚染防止法の改正が進んでおり、アスベストの吹き付け・保温材の解体については、面積規定が撤廃される方向にあるなど、全般的に見直しが行われております。合わせて東京都の環境確保条例の改正も進められており、これらの動向を見ながら必要な対策を検討してまいります。 次に、西新井駅西口イトーヨーカドーショッピングセンター計画に関わる大気汚染防止対策についてお答えします。 まず、自動車の集中による大気汚染のご質問ですが、現在、進行中の環境影響評価書案によれば、二酸化窒素、浮遊粒子物質とも環境基準を下回ると予測されております。ヒートアイランド現象については、より広域的な対策が必要な事象であると考えております。 こうした観点に立ち、環境への配慮については、植採やアイドリングストップ等、区長意見を述べてきたところです。したがいまして、環境上深刻な問題を含むとは考えておりませんので、施設の縮小については、計画の見直しを求める予定はございません。 次に、土壌浄化についてお答えします。 当該地の一部に埋設されている廃棄物は、環境アセスメント手続き完了後に、建築物解体工事とともに掘削除去し、地中に滞留しているメタンガスについても、同時に適正に処理するとの報告を事業者から受けております。今後とも都と連携しつつ、適正な処理が行われるよう指導してまいります。 また、土壌汚染調査についても、都と区で環境確保条例に則った適正な調査及び汚染対策実施を指導しており、今後も継続してまいります。 次に、旧工場区域における土壌汚染調査及び汚染対策についてですが、環境確保条例に従い、適切な汚染状況調査報告並びに汚染対策について報告を受けております。 また、バイオ技術の利用につきましては、本年7月に示されました「微生物によるバイオレメディエーション利用指針の解説」に従って、都と連携して適切な指導を行ってまいります。 次に、ごみ減量についてお答えします。 ごみの有料化は、ごみを出すすべての皆様に負担をいただくことから、ごみ減量の最後の手段であり、当面、リサイクルの更なる徹底を先行させるべきと考えております。 次に、住民1人当たりの年間ごみ量を比較しますと、足立区の260キログラムに対して秋田市は400キログラムで約54%多く、同年の1人1日100グラムのごみ減量目標が達成されても、なお14%の開きがあるように、足立区のごみ減量施策は相当進んでおります。 しかし、更なるごみ減量のため、秋田市のような区民に見える仕組みについても参考にさせていただきます。 次に、残菜のリサイクルについてですが、資源循環型社会の構築にあたっては、ごみの減量化は至上命題であり、その中にあっては、給食残菜等の生ごみリサイクルは主要な課題の一つとなっております。 このため区では学校等から出る生ごみを肥料化し、有効に生かすNPO等との協働によるリサイクルシステムの構築を検討してまいります。また、その中で環境教育、自然教育、食育の3つについても視野に入れて研究を進めてまいります。 ○坂本寛文産業経済部長 私からは石綿作業主任者講習についてお答えいたします。 アスベスト被害については、区民生活に大きな影響を与えると認識しております。関係部署と連携を図りながら支援に努めてまいりたいと考えます。 私からは以上でございます。 ○丸山 亮衛生部長 私からは健康相談についてお答えいたします。 すでに各保健総合センターにおいて、医師や保健師がアスベストに関する健康相談に応じております。その結果、必要に応じて胸部X線検査など、さらに専門的検査が必要な場合には、医療機関の紹介をするなど対応を図っております。 再質問 ○ぬかが和子議員 3点ほど再質問いたします。 今、最後にご答弁のあった、衛生部の方で必要に応じて医療機関を紹介しているというのは私も存じているのです。私が質問したのは、単純に紹介というだけではなく、そこを区としてきちんと支援するということも含めて質問しているので、再度答えていただきたいと思います。 それから、西新井駅西口イトーヨーカドーショッピングセンターの関係ですけれども、2点お伺いします。 大気汚染の対策のうち1点目の質問です。先ほど答弁の中では、環境アセスメントでは基準を下回っているので、大丈夫なのですという答弁だった。この環境アセスメント計画、部長も知っていると思うのですが、基準を下回っていると言っても、今より悪化するのです。今より悪化する計画になっているのです。それもしかもこの基準すれすれなのです。それをもって基準を下回っているから大丈夫だなどという話にはならないと思うのです。私がここで聞いているのは、自動車が増えて、大気汚染が今までより悪化する、これは区や都の環境基本計画とも逆行しているのではないかという区の考え方を聞いているのです。どう感じていますかと、区の考え方を聞いているので、再度答弁を求めます。 それから土壌浄化のAの質問の部分ですが、先ほど、利用指針に基づいて指導を行う、これはこれでぜひやっていただきたいのですけれども、私がここで質問したのは、バイオレメディエーション利用指針の中では、十分な説明責任を果たしなさいということを言っているのに、ものすごく細かいところまで言っている。それなのに、実際にはその説明責任を果たしていないというのが現状だから、そこの説明責任をもっと果たすべきだということを、情報公開とか調査とか、そういうことも求めてほしいということを質問していますので、お答えを求めます。 再答弁 ○神谷達夫衛生部長 まず、健康相談の再質問についてお答えいたします。 保健センターでやっています医師や保健師による健康相談について、その結果非常に心配だということで言う場合には、保健センターでX線の検査をすることができます。さらに例えば影があるとか、過去にアスベストの事業所で働いた経験があるというような方については、例えば労災病院というような専門的な病院をご紹介したり、区内でそういった方面に詳しい先生のいらっしゃる医療機関をご紹介しているということでございます。 ○江口由紀夫環境部長 西新井の大気汚染の自動車の増についての影響でございますけれども、私どもの方の評価意見書につきましても、相当きつく意見を述べさせてもらっております。その意味で、自動車の排気ガス防止対策については、非常に重要と考えております。 2点目の部分ですけれども、旧工場区域につきまして、都の指導のバイオを活用した処理についてですけれども、終了したと聞いております。これにつきましては、14年の指針ができる前に工事が終わってしまっておりますので、そういった意味での説明だったと思います。今後、都と十分連携しながら指導していきたいと思っております。 |
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