2、区長提案の議案に対する討論

@一般会計補正予算(第3号)の反対討論 大島芳江議員
 ただいま議題となりました第129号議案「平成17年度足立区一般会計補正予算(第3号)」について、日本共産党足立区議団を代表し、反対の立場から討論いたします。
本補正予算には、中学校の就学援助対象生徒数が当初見込みより172人増え、1500万円余が計上されています。中学生だけがこれほど大きく伸びたことについて、区も特異なことと答弁しています。その原因は定かではありませんが、就学援助を受けている児童生徒は、小学校で41%、中学校で44%となり、小中学校に通う子どもたちの半数近くが生活保護基準の1・1倍以下の収入で暮らしていることになります。就学援助を受けている児童・生徒の割合が、東京都全体で25%と言う数字と比較して見ると、区民の暮らしの苦しさが、いっそうよくわかります。さらに、児童育成手当の支給についても、当初見込みを4300件も上回り、若年者の離婚が増えてきていると答弁しているように、子育て世代の困難さも現れています。
 こういうときだからこそ、区民の暮らしを応援することに区は力を入れるべきです。ところが、高齢者の住宅改修給付事業は、昨年10月に設備改修について制度変更を行い、「浴槽の取替え工事」のうち給湯器の取替えを対象外にし、基準額を37万9000円から20万円に引き下げ、対象者も、介護保険の認定要件で「自立」とされた人を対象外にしたことなどで、給付見込み件数が、当初見込みより313件、43%も減少し、利用しにくい状況をつくり出したと言わざるを得ません。高齢者の在宅生活を支えるとともに、区内業者支援、地域経済の活性化にもつながるこのような事業こそ充実させるべきです。また地域住民や利用者の声も十分聞かず、反対の声も多い中で住区センターの有料化を決定してしまいましたが、「このままでは、サークルを続けられない。無料に戻して欲しい」と言う悲痛な区民の声を無視して、4月の施行を前にすでに来年1月から予約分の使用料を取るということで120万円の歳入計上までしています。一方、まちづくりに関する予算では、住宅市街地総合整備事業として、千住大橋駅周辺の街路、駅前広場等の用地購入のため、3億7500万円余が計上されています。これは、潟jッピと潟梶[ガルコーポレーションの行う大規模開発敷地に隣接する場所で、この開発を支援するように千住大橋駅周辺を開発するための用地として都営住宅の跡地を区が東京都から購入するための予算です。審議の中で明らかになったように、この都営住宅は現在取り壊しが始まったばかりで、住宅局も行政財産から普通財産に変える手続きもしていません。都の財産価格審議会も普通財産になってからでなければ開けず、都の担当者との話し合いがされているとはいえ、土地の値段もあいまいなままです。また都市計画決定がされていないため、国や都の補助金も見込めず、区財政が厳しいと言いながら、全て区の一般財源だけで対応する予算となっています。これほど急いで予算計上する必要があるのでしょうか。この予算のほんの一部を使っただけで、例えば国も命にかかわる問題だとして通達を出し、我が党が、代表質問で取り上げた区の費用負担はわずか27万円程度でできる公害患者のインフルエンザ予防接種費用助成や、アスベスト使用建築物等の解体、リフォーム作業従事者の特別教育のための講習予算をふやすことなどたやすいことではありませんか。また、今年10月から介護保険の改悪で施設利用者の居住費、滞在費と食費が全額徴収されることになり、高齢者も、事業者にも負担が重くのしかかり苦しんでいます。この負担を少しでも軽くするために他の自治体で実施しているような負担軽減策を実施することもできました。
 区民の生活実態に目を向け、区民の暮らしを第一に考える予算にかえることを強く求め、反対討論を終わります。
 
A 竹ノ塚駅西口公共駐車場条例の一部を改正する条例の反対討論 渡辺修次議員

 ただいま議題となりました第150号議案 足立区竹ノ塚駅西口公共駐車場条例の一部を改正する条例について日本共産党足立区議団を代表し反対の立場から討論を行います。
 本案は、区が90%以上を出資してつくった株式会社都市活性化センターが事実上破綻し、解散することに伴い、活性化センターが管理運営していたジョイビル内の竹の塚公共駐車場を2億4000万円で区が買取り、西口駐車場条例に加えるということですが、公共性が薄く、ビル所有者に有利な条件で運営していく内容で認めるわけにいきません。
 第一に、実際の駐車場利用状況を見ると、肝心の竹の塚駅周辺商店街の利用は極めて少なく、3・8%です。これに対し、ジョイビル利用者が36%、イトーヨーカ堂利用者が20%で合計すると56%が特定事業者の利用であります。しかも竹ノ塚駅周辺には、民間駐車場が増えており、区が税金をつぎ込んでまで駐車場を運営しなければならない理由が極めて少ないことです。
第二に、ビルの持ち主である古庄孝夫氏と活性化センターとの契約に不可解な経過があり、その流れが新たな区との契約にも引き継がれることです。
 竹の塚公共駐車場は活性化センターが運営してきた10年間のうち、黒字になったのは僅か2年間だけです。その要因の一つが高い借地料とジョイビルが駐車場設置を義務付けられている付置義務分31台を活性化センターが借りて使うための使用料です。当初契約案では、この付置義務駐車場の管理費、年間で700万円、契約期間30年分で2億1000万円は古庄氏が負担することが報告されていました。ところが区の顧問弁護士の示唆を根拠に契約内容が大幅に変更されて、活性化センターが31台分を借り受け、運営することになったため、古庄氏の負担がなくなりました。
 また、土地の評価額が急激にさがっているのに見直しもされずに借地料は高いままでした。加えて付置義務駐車場31台分に活性化センターが払う使用料は、平成12年1月に月90万円から106万円に18%も値上げし、古庄氏の利益を増やしてきたこと。さらに、駐車料金はジョイビル利用者が4割引き、イトーヨーカ堂利用者が1割5分引きのサービスを行っています。本来この割引分の負担は、ジョイビル経営者やヨーカ堂に負担させるべきなのに、全て活性化センターが負担してきたこと。こうした様々な便宜を図って古庄氏と契約し、運営されてきたことを考えると、新たな区との契約も「継続地代」として引き継がれ、高い賃料のままで税金がつぎ込まれる懸念があることです。
 第三に、区が買い取り、活性化センターから所有権が区に移っても運営は引き続き活性化センターに業務委託をし、来年4月には指定管理者に委ねようと言うことです。一応公募する形は取るでしょうが、ジョイビルの管理会社が指定管理者になることは目に見えているのではないでしょうか。ビル所有者である古庄氏は何のリスクも無く、安定した賃料収入が保証されて「公共駐車場」が運営されることになります。このままでは指定管理者に移行しても公共性が薄く特定事業者優遇の駐車場管理運営に税金をつぎ込み続けることになり、区民が納得するはずもありません。民・民の関係で結ばれたとはいえ、20年後にはビルオーナーの古庄氏が譲渡を受ける特約がついている契約であることから、古庄氏に現時点で購入してもらう交渉をすることも可能であることを申し上げて討論といたします。
 
B「看板・ひさしなどの道路占用料徴収等についての陳情」の不採択に反対する討論 松尾かつや議員

 私は、日本共産党足立区議団を代表し、ただいま議題となりました受理番号23、『看板・ひさしなどの道路占用料徴収等についての陳情』の不採択に反対し、採択を求める立場から討論を行います。
 この陳情は、足立区の地域経済を支え、まちの安全にも貢献している地域商店に対して道路占用料という負担をかけるのをやめてほしいと求めているものです。
 この陳情が審査された建設委員会で区は、陳情者の言う電飾看板は道を明るく照らし、夜間の防犯に役立っていること。ひさしが強い日差しをさけたり雨よけになることなどの公共的効果があることを認め、公共性の度合いに応じて最大減額免除を行ったうえでの徴収なのでご理解いただきたいと強調しています。しかし、実際には区が、個々の商店で免除対象としているのは、塩や郵便切手の販売場所を示す規格化された看板だけであります。また減額しているといっても看板が年1平方メートルあたり8960円、日よけは年1平方メートル2810円を個々の商店などに対し徴収するものであり、最大限免除といえるものではありません。
 産業経済部が今年9月に行った特別調査『地域経済活性化と中小企業の役割』には、5年前より売り上げが「増加した」が12・3%に対し、ほぼ変わらずが43%、減少したというのが43・1%となっており、道路占用料を納めてほしいとする対象となる商店街の経営状況が依然厳しいという実態を示しています。
 区は、民主党議員などの質疑に応える形で昨年から調査を開始し、道路占用料の徴収を行っていますが、道路占用料の負担を行うことになる商店などの経営実態を無視し、負担をかぶせることは「区内商店を支援する」「商店は街の宝」という区や区議会の立場とも逆行するものです。
 私たち党区議団のもとには「商店を応援する気持ちがあるのであればこれ以上の負担は何とかしてほしい」などの声が寄せられています。また、陳情者は「今回のような手数料を負担させること、地元業者を苦しめ商店自体の体力を奪うこと。地域の中小小売店・商店が減ってしまう恐れがあることに対して区はぜひ対策を講じていただきたい」とのべていますが、この声に足立区がどう応えるかが今こそ問われているときはないのではないでしょうか。
 委員会審議を通じ、区と与党会派は、納める人と納めない人とでの公平性の問題があるとしています。しかし、この不況の中、本気で商店振興の立場にたち、この陳情の趣旨にこたえ、全ての商店の振興に寄与する減免制度などを研究し、免除の拡充にこそ力をそそぐべきだったのではないでしょうか。しかし、委員会ではたった一度の審議で不採択となってしまいました。
 今からでも遅くはありません。わずか年間3100万円の収入を中小小売店・商店から徴収して苦しめることを議会が後押しするのではなく、こうした苦境に立つ商店の声に耳を傾け、この願いにこたえる立場に立つべきであることを強く求め、討論といたします。