日本共産党区議団の条例提案など
次世代育成クーポンの交付に関する条例案と提案理由説明

議員提出第２号議案
　足立区次世代育成クーポンの交付に関する条例

（目的）
第１条 　この条例は、次世代を担うこどもたちが、安全に、健やかに成長することを願い、こどもを養育する保護者に対し、養育にかかる経費の支払い等に使用できる次世代育成クーポン（以下「クーポン」という。）を交付することにより、子育てを支援することを目的とする。

（用語の定義）
第２条 　この条例において「こども」とは、出生時から１５歳に達する日以降の最初の３月３１日までの間にある者で、足立区の区域内に住所を有し、住民基本台帳法（昭和４２年法律第８１号）に規定する足立区の住民票又は外国人登録法（昭和２７年法律第１２５号）に規定する足立区の外国人登録原票に記載又は登録（以下「住民登録」という。）されている者をいう。
２ 　この条例において「保護者」とは、足立区の区域内に住所を有し、住民登録されている者で、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
（１） 　こどもを養育し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母
（２） 　父母に養育されず又はこれと生計を同じくしないこどもを養育し、かつ、その生計を維持するもの
（３） 　こどもを養育し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母であって、父母に養育されず又はこれと生計を同じくしないこどもを養育し、かつ、その生計を維持するもの

（クーポンの額）
第３条 　クーポンは、こども１人あたり月額５，０００円相当の券とする。

（クーポンの交付）
第４条 　クーポンは、保護者に交付する。
２ 　前項の規定にかかわらず、現に児童手当法（昭和４６年法律第７３号）に規定する児童手当を受給している者に対しては、クーポンは交付しない。

（交付停止）
第５条 　保護者が第２条第２項に定める資格を喪失した場合は、資格を喪失した日の属する月の翌月からクーポンの交付を停止する。
２ 　前項の場合において、資格を喪失した日の属する月の翌月分以降のクーポンが交付されていたときは、保護者は、当該クーポン又はこれに相当する金額を返還しなければならない。

（返還）
第６条 　区長は、虚偽又は不正の手段によりクーポンの交付を受けた者に対し、既に交付を受けた当該クーポンの全部又はこれに相当する金額を返還させることができる。

（委任）
第７条 　この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

　付　則
　この条例は、平成１８年１０月１日から施行する。

足立区次世代育成クーポンの交付に関する条例の提案理由の説明

鈴木けんいち議員
　ただいま議題となりました、議員提出第２号議案「足立区次世代育成クーポンの交付に関する条例」につきまして、提出者を代表して提案理由をご説明いたします。本条例は日本共産党足立区議団に所属する議員全員が提出者となって提案するものです。
　足立区次世代育成支援行動計画は基本理念で、「だれもが子どもを生み育てることの尊さと喜び」を持てる社会をめざす、｢子育てにともなう不安や負担感をできるだけ和らげる｣と述べられていますが、本条例案は、この基本理念を実現し、経済的負担や不安を減らすよう、子育て世帯を支援するために提出するものです。
　ある民間調査では、子育て費用は出産・育児費用、食費・衣料費などの基本的な養育費として１６４０万円、これに加えて幼稚園から大学までの教育費が１３４５万円から１８８３万円、合わせると２９８５万円から３５２３万となっています。
　こうした大きな経済負担に対して、この間の勤労所得の減少、特に３０歳代から４０歳代前半の子育て世代の収入減が大きな社会問題になっています。これに社会保障の縮小が追い討ちをかけ、さらに政府の増税政策による負担増が加わりつつあります。日本の子育て世代への家族給付は児童手当のみですが、少子化を克服した国としてよく語られるフランスは、児童手当以外にも乳幼児迎え入れ手当や新学期手当てなど、家族に対する支援が３０種類にのぼり、２０歳までの支援額では内閣府の試算でも日本の５倍以上です。
　こうした中で、経済的に支援することが、子育ての夢や喜びを広げる上でどうしても欠かせず、それは行政の責任でもあります。金沢市では、未来を担う子どもたちを夢と希望をもって市民みんなで育てていくことをめざし「金沢こども条例」が制定され、ファミリーサポートセンター利用料の支払いなどに使える「金沢市子育てサービス券」の支給を行なっています。都内日の出町でも同様の「こども育成基本条例」を制定、その基本施策のひとつとして、子育て支援と地域経済の活性化の相乗効果も考えて、次世代育成クーポンを交付しています。
　足立区でも、２００１年の子育てに関する実態調査で「子どもがもっと欲しいか」の問いに、５１・７％が「いいえ」と答え、その理由のトップは「経済的な負担が増えるから」で、全体の回答の半数近くを占めており、更なる経済的な支援策が必要です。
　この条例案は、次世代を担う子どもたちが、健やかに成長することを願い、子どもを養育する保護者に対して、養育にかかる経費の支払い等に使用できる次世代育成クーポンを交付することにより、子育てを支援することを目的とするものです。
　出生児から中学３年生まで、所得に関わりなく、現在児童手当を受給している子どもを除き一人当たり月５０００円のクーポン券を交付します。このクーポンは、子ども用品の購入に自由に使えるとともに、特定金融機関での振込みで保育料、給食費の支払いなどにも使用できるようにします。育児･教育への支援に直接役立つとともに、区内事業者を特定することによって、区内商店・事業者の支援・活性化にもつながるものです。
　議員各位におかれましては、子育ての喜びを実感できるよう願って提出するこの条例案につきまして、趣旨にご賛同をいただき、すみやかにご決定いただけますよう、お願いを致しまして提案理由の説明を終わります。