イトーヨーカドー予定地の区道を廃止する条例に対する反対討論

橋本ミチ子議員


第61号議案 特別区道の廃止(西新井栄町1丁目地区内)反対討論

 ただいま議題となりました、第61号議案特別区道の廃止について、日本共産党足立区議団を代表して反対の立場から討論を行います。本条例は西新井に巨大ショッピングセンターをつくるために、その敷地の中心にある区道を廃止する条例です。
 区は、その区道を廃止して東側に付け替えるといいますが、この区道を廃止しなければ超大型ショピングセンターは進出できず、区道は大型店出店を抑えることのできる最大の歯止めとなりうるものでした。日本共産党は2004年8月19日、イトーヨーカドー出店問題で助役交渉を行い、「イトーヨーカドーが予定地に出店することに関して、特に区道のつけかえはしないように」と要望書を提出しました。区道を廃止してまで大型店を誘致するなど、全国の流れにも逆行するものであり、廃止する必要はありません。
 またこの区道は、幼稚園児や児童・生徒の通学通園路に、地域住民の通勤にと、生活道路として活用されてきました。
 3月3日開店した亀有のイトーヨーカドーアリオは、敷地面積44000u、2000台の駐車場を有していますが連日環7と周辺道路が渋滞しています。渋滞をさけるために狭い抜け道に車があふれ、生活道路が危険にさらされています。車が増えれば騒音・排気ガスなど住環境の悪化や慢性的な交通渋滞、さらには交通事故が予想されます。西新井のイトーヨーカドーはシネコンを除く売場面積だけで3万u余、駐車場台数は1550台ということですが、1日1万台前後の車が押し寄せ、大渋滞が予想されます。区は、商店街と話し合ってきたといいますが、地元の商店主が亀有の状況を見に行き、「ヨーカドーができれば商店街にも人が流れ、店にも寄ってくれるからいいと思っていいたがとんでもない、みんなヨーカドーで買い物や食事もすませて、商店街に車があふれて通過するだけだ。食事や買い物などしてくれる状況ではない」と認識を新たにしたと言っていました。区は「大型店との共存共栄」と言いますが、区商連の役員の方は「大型店は動物です。獲物(利益)がなくなると消えていく。彼らが出てくるとき、このまちの活性化のためにと盛んに言うんです。ところが利益がなくなるとすぐ消えていく。まちの商店はそうじゃない。ここで生きていく」と語ったことが新聞で紹介されていました。実際に、2000年に大店立地法が施行されて以降、現在、区内の中・大型店舗の売場面積の占める割合は56・82%(23万8000u)にもなりましたが、もし計画どおりにイトーヨーカドーが出店すれば、さらに62・4%、区内の売場総面積の約3分の2を大型店が占める状況になります。一方、1999年から、小売業商店数は5年間で900店が減っています。共存共栄どころか、大型店だけが繁栄している状況ではないでしょうか。区内各地にある商店街は「まちの宝、コミュニテイーの核」であり、これ以上、衰退は許されません。商店街への充分な支援策もなしに、区道の廃止を優先させるなどとうてい認められるものではありません。
 また、足立区の小中学生定期健診調査の気管支ゼンソクの罹患率は、小中男女とも全国の2倍です。文部科学省も大気汚染の影響があるといっています。
足立区は、「環境基本条例」で、「『環境の保全』とは、良好な環境を維持すること、回復すること及び豊に創造すること」と宣言しており、これ以上環境悪化は許されません。
 足立区はこれまで西新井駅西口周辺地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例を改定し、「安全で良好な市街地環境を確保する」といいながら、結局は、建築物敷地の最低限度面積を15000uとし、大型ショピングセンターや大型小売店舗を進出させるために条例を変えました。加えて今回、イトーヨーカドーショピングセンターを出店させるために、区のもっている道路を廃止する、これではイトーヨーカドーという特定事業者のためにいたれりつくせりであり、区民には環境や商店などマイナスになることをあえて区が行うことになります。
 いまやるべきことは、区道の廃止を急ぐことではなく、地域環境を守るために区として出店予定者に強く働きかけることや商店街の充分な支援策を講じることではないでしょうか。
 区内の小売商業者を守り、区内の環境悪化を防ぐためにも、特別区道の廃止に反対することを表明し討論を終わります。