痛みやわらげ手当て支給条例案の可決を求める討論

松尾かつや議員


 私は日本共産党足立区議団を代表し、ただいま議題となりました「足立区痛みやわらげ手当支給に関する条例」の厚生委員会での否決に反対し、可決を求める立場から討論を行います。
 この条例は、小泉内閣が押しすすめる税制改正により、収入が変わらないのに住民税非課税から課税となる区民、約14000人を対象に、平成18年度1年間に限り、年1回12000円を支給するというものです。
 さきに開かれた予算委員会ですでにわが党が明らかにしたように、小泉構造改革がおしすすめる税制改正はのべ32万3千人以上の区民に約21億4千万円もの影響を与えるとともに、区の81事業で負担増や施策から排除される約28万人の区民に22億9千万円もの影響を与えます。
 さらに深刻な問題は、収入が変わらないのに約1万4千人にも及ぶ区民が住民税非課税から課税となる人で、その大半は、65歳以上の高齢者です。この方たちは、これまで受けられていた福祉サービスが受けられなくなったり、国民健康保険料や介護保険料での負担増が強いられることになります。
 さらに、介護保険の制度改正で、軽度要介護者のホームヘルプサービスを受けていた区内高齢者の7割にあたる約2600人の方がこの4月から介護予防の名のもとにこのサービスが受けられなくなります。また、小泉内閣が国会に提出している医療改革問題も、高齢者に一層の負担を求める内容となっており、この動向も見過ごせず、この痛みはさらに激しいものになります。
 こういう時だからこそ、「痛みやわらげ手当て」の支給があれば、税金の負担増や介護保険料の値上げに対応した納付などに活用することもでき、少しでも負担をやわらげることができるではありませんか。
 国ですら介護保険料の3年間の激変緩和をはじめ、国民健康保険料でも大幅な増額を緩和するために激変緩和策を講じる予定であると表明し、さらに都も、新たに住民税が非課税から課税となる人のシルバーパスを1000円に据え置くなど、いたみをやわらげようと動き出しているのです。
 区は国の負担増は「少子高齢化の進展などによる人口減少化社会の中で持続可能な制度を構築するために広く負担を求めるもの」と答弁していますが、本来持続可能な制度を構築するために必要なことは、所得に応じた負担を行うことであり、低所得者に重い負担をかぶせることではありません。区も行過ぎた二極分化には、区民生活防衛の施策を講じる考えを示しているではありませんか。この条例は、およそ1億6800万円の予算があれば十分実施できるものであります。区民のくらしに一番密着した足立区が、こうした区民のいたみをやわらげるために手当てを支給することは極めて当然のことであります。
 ところが委員会では他党の委員から一言の発言もなく否決となりましたが、議員各位におかれましてはぜひ本条例案にご賛同いただき、委員会での否決に反対し、可決してくださいますようお願いし、討論といたします。