次世代育成クーポン交付条例案の可決を求める討論

鈴木けんいち議員


 ただいま議題となりました議員提出第2号議案、足立区次世代育成クーポンの交付に関する条例案につきまして、日本共産党足立区議団を代表して、委員会の否決に反対し、本議会での可決を求めて討論を行ないます。
 本条例案は、経済的負担が、少子化や子育ての困難さの大きな要因となっていることが指摘されている中、足立の子どもたちの健やかな成長を願って、こうした経済的負担を軽減し、子育て世帯を支援するため提出されたものです。
 厚生労働省の調査によると2003年の1世帯当たりの平均所得は7年連続の減少でこれ自体大変ですが、児童のいる世帯は過去10年間にわたって減少傾向です。また、区の報告でも、子育て世代を含む課税世帯が受ける定率減税半減の影響は14億円、定率減税の廃止となれば28億円の負担増が区民を覆います。加えて、足立区は鈴木区長の元で行なわれた2度にわたる保育料の値上げで、認可外保育園をも上回る高い保育料となっている区民も生まれています。
 今議会の予算特別委員会で区も、自治体が子育て支援の環境作りを行なうべきとの認識を示しましたが、それは議会の責務でもあります。子ども用品購入に自由に使えるとともに、保育料や給食費の支払いにも使えるこの次世代育成クーポンの交付は今まさに、子育て支援の柱として実施すべき施策と考えます。
 わが党が代表質問で、日の出町の例を挙げてこの次世代育成クーポン交付の考え方を示したことに対して区は、日の出町では地域経済の活性化と子育て支援を目的に発行されていると述べたように、地域経済活性化と子育て支援に役立つ一石二鳥の提案であります。 
 また区は、子育てホームサポート事業など子育て支援環境の整備を理由に現在のところ発行する考えはありませんと述べましたが、子育て支援環境の整備というなら、経済的支援は優先されて行なわれるべきもので、実施を先延ばしする理由とはなりえません。そして国も児童手当の拡充を進めていますが、次世代育成ということを考えるならば、わが党の提案した次世代育成クーポンのように、所得に関わらずどの子にも交付され、中学生まで対象として支援することは自治体として重要なことではないでしょうか。
 提案されている次世代育成クーポンの交付は、初年度は準備期間を考慮して10月からとし5億円程度の予算で実施できるもので、区は、政府の増税政策による30億円もの増収分や、無駄を省いてその一部を回せば財源は十分に確保でき、実現可能な提案でもあります。なお、こうした足立区の未来をになう子ども達に関わる条例案について、審議を付託された厚生委員会で、自民、公明、民主の与党議員はひとことの質疑、発言をすることなく否決しましたが、予算特別委員会では与党議員も子育て支援の柱は経済的支援だと強調していました。厚生委員会でもこのような質疑が行なわれたならば子育て支援策の拡充や本提案についてもっと議論を深めることもできたのではないでしょうか。
 本条例案は、日頃子育て支援の重要性を強調する議員各位が本来の立場にたたれるならば、必ずやご賛同がいただけるものと確信をいたしております。
 今からでも遅くはありません。委員会では否決となりましたが、この議場にいる議員のみなさんのご賛同で本条例案が可決され、足立区の子育て支援が前進することを心から願って討論を終わります。