予算特別委員会の質問等第1日目 松尾かつや議員 |
災害対策。緊急通報システム・耐震補強工事で前進 ○松尾委員 こんにちは。休憩前のラストバッターですが、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。 私は、まず、総務費の危機管理に対してということで、災害対策について伺いたいと思います。 去年の災害計画を読みなれたなと思うころに、ことしもまた新しい災害計画の冊子が届いてということで、慌ててまた読み直したという状況ですけれども、我が党は、災害対策という問題については、そこから教訓をどう引き出して区の防災計画に生かしていくのかという立場で、この間、さまざまな提案と要求を行ってまいりました。 私も、昨年の同じ予算委員会の場で、新潟県で起きた中越大震災の災害の教訓をもとに、区としての災害対策の充実を求めて質問をしました。現在までの間に、区としてもいろいろな動きあったわけですけれども、現在の到達点に満足することなく、さらに被害を最小限にくいとめるという立場で検討、改善を行ってもらいたいなと思っております。 災害のときに、特に大きな課題となっているのが災害弱者の対策の問題である。これは言うまでもないと思いますけれども、この間、区は、議会答弁などで、要援護者対策のマニュアルの改定を行うという趣旨の答弁をされていたと思います。この要援護者のマニュアルの改定の内容について、一体どういったものになるのかという点について教えていただきたいのです。 災害要援護者「登録制度」を実施。要援護者の要望を聞くことが大事 ○災害対策課長 要援護者マニュアルの改定につきましては、来年度予算に計上させていただいているところでございますが、いま委員ご指摘のとおり、新潟の中越地震、あるいは、その年にありました水害等の教訓を踏まえまして、要援護者対策等、広域連携といった中で、あくまで要援護者ごとの個別計画等を含めて、どこまで、だれが支援をして、何をやるのだといったことを含めた具体的な計画をつくるということで、いま、マニュアルの改定を検討しているところでございます。 ○松尾委員 いま、内容について説明があったわけですけれども、この改定されたマニュアルが来年度予算でついたよということですけれども、その普及についてはどのように考えているのでしょうか。 ○災害対策課長 こちらのマニュアルにつきましては、当初4,000部を作成する予定でございます。基本的には、防災のリーダーとなる方及び防災関係機関へ配りまして、そういった方に熟読していただきながら、支援者及びその支援を受ける要援護者の方たちに普及していきたいと考えてございます。 ○松尾委員 せっかくつくるわけですから、目にする機会が余りないということでは、そういった意味ではマニュアルとして活用されないという状態は避けてもらいたいなと思うわけで、せっかく改定するというわけですから、このマニュアルをもっともっと普及してもらいたいなと思うわけですけれども、その普及の拡大についてはどうでしょうか。 ○災害対策課長 マニュアルをつくるだけではなくて、例えば具体的に避難所の訓練等のさまざまな訓練の場において、そのマニュアルを生かした趣旨ということで、支援者及び要援護者の方も含めて訓練等に参加しながら、災害時の具体的行動ができるといった形で普及していきたいと考えております。 ○松尾委員 同時に、要援護者の問題では、マニュアルだけでなくて、いま答弁でも若干ありましたけれども、実際に支援する方をどう確保していくかということも大事になっているなと思っています。 私は、昨年の予算特別委員会で、災害時の要援護者の登録制度について検討してはどうかということで質問をしました。昨年は昭島の例を取り上げてやったわけですけれども、その後、全国的に登録制度が広まっているという状況があると思います。 例えば、23区内でも、板橋区では、去年12月19日から、板橋区要援護者名簿登録制度のご案内ということで、名簿の登録制度を始めた。板橋区の場合、対象になっているのは災害時に自力で非難することが困難な方、名簿の提出先は、警察署、消防署、消防団、あるいは住民防災組織、民生委員、これでどういうところに提供したいかということで選択できるようになっているという仕組みになっているようです。このように、災害があったときに、助けてほしいという本人の希望によって、あらかじめ災害に遭った際に協力を求めたい支援機関を選択して、名簿に登録したいとか、いざというときに安否確認などの支援に備えるという内容になっているわけです。昨年のときには、区の答弁は、登録だけでなくて、実際に支援する方をどのように確保するかということで、工夫している自治体があるということで、登録制度や支援体制についても検討をしたいと言っていました。この問題について、その後の経過はどのようになっているのでしょうか。 ○災害対策課長 いま、福祉部、衛生部を初めとする関係課長で検討会を設けて検討しているところでございまして、これは引き続き来年度もやる予定でございます。 具体的に、登録制度でございますが、登録だけでは具体的な支援活動はできないということで、例えば要援護者の方ごとに、支援者がだれで、どういった方が、どういった障害特性があって、どういう注意があって、安否確認等をだれがするのだ、支援はどうするのかといったことを含めた個別支援計画を作成していきたいと思っています。ただ、それをどういう形で始めるか、支援者の確保をどうするかといったことも、なかなか難しい課題でございますので、まず、来年度につきましてはモデル地域みたいなところで個別支援計画づくりといったところで始めながら、確実な要援護者の支援を進めていきたいと考えております。 ○松尾委員 同時に、要援護者対策について重要なことということでは、実際に当の本人がどう感じているか、この実態把握は本当に大事になっているということは言うまでもないと思うのです。 区としては、防災地域の防災計画の中で、要援護者対策という問題では、要援護者自身の要望をまとめて防災計画に役立てると計画書の中には書かれているわけですが、区としては、要援護者自身の要望をどのようにまとめていこうと考えているのでしょうか。 ○災害対策課長 要援護者支援の検討会の中でも話しているところでございますが、いわゆる要援護者からのヒアリングを予定してございます。年度内に、ある程度できるところはやっていくということでございますが、例えば障害者の団体といったところを手始めに、ヒアリングといった形で要援護者支援策についての意見交換を進めてまいりたいと考えていまして、これは来年度も続けていきたいと思っております。 ○松尾委員 その関係団体は、具体的にはどういったところでヒアリングを行うのでしょうか。 ○災害対策課長 これにつきましては、福祉部の担当機関と調整中でございますが、例えば高齢者の方の家族会、介護の団体、介護支援者事業者の団体、あるいは障害者につきましては、そのボランティア団体を含めて、さまざまな関係する団体とのヒアリングを予定してございます。 ○松尾委員 ぜひ、要望をまとめていっていただきたいなと思っています。 災害弱者の対策の問題について、一番の基本ということで、区としては、防災計画の概要などでは、要援護者自身や家族の方には日常生活の中で地域と友好を深めなさいよ、いざというときに避難などの援助をしてもらえるようにしなさいよと書いています。同時に、町会単位でつくられる防災区民組織を初めとする地域には、日ごろから付近の要援護者の居場所を確認しなさい、防災訓練など積極的に呼びかけるよう対策を求める、つまり共助というものを強調しています。しかし、住民の共助がどんなにすばらしいものであっても、無限ではない。自治体本来の対策があってこそ、機能するものではないかと考えます。 区としては、地域防災計画の中で、日常からの地域コミュニティ形成事業で、ほかの福祉施策活動に取り組むということを要援護者対策の中で位置づけていますけれども、その日常活動の充実の中の一つとして、区は、この計画の中で、65歳以上の病弱なひとり暮らしの高齢者、18歳以上のひとり暮らし等の重度の身体障害者の安全を確保するため、病気等の緊急時に東京消防庁に通報できる緊急通報システムとあわせて、火災時にも自動的に東京消防庁へ火災通報がなされる火災安全システムを普及促進すると書かれています。 このことについてお聞きしたいと思うのは、緊急通報システムのことですけれども、この4月から設置する方が消防庁方式から警備会社方式へとシステムが移るわけですが、この防災計画の位置づけは変わらないということでよろしいのでしょうか。 ○災害対策課長 位置づけについては変わりないということでございますが、そういった具体的な変更の中でどういう影響があるかといったことは精査していきたいと考えてございます。 ○松尾委員 基本的に、その位置づけは変わらないという認識は確認されたということで、その前提でもう少し詳しくお聞きしたいなと思います。 消防庁方式の場合、連絡員が必要で、対象が発作性かつ慢性疾患、実際にはいままで心臓病ぐらいしか対象にならなかった。これが、今度は慢性疾患になったということで、対象が大きく広がる。同時に、設置する際には、これまで連絡員が2名必要だった。それで、つけたいと思っても、なかなか連絡員が見つけられないため、つけられないといった事態もありました。この点については、我が党としてもかねがね指摘してきたことですけれども、今回の方式の変更で、こうした点が改善されて前進したと言えるのかなと思っています。 区としては、この制度について、これまで年間に何人ぐらいの方が設置されてきたのか、そして、この制度の変更によって年間にどのくらい普及促進されていくと考えているのでしょうか。 ○高齢サービス課長 緊急通報システムのお尋ねでございますけれども、現在、16年度までで255件が設置されました。今後の普及の状況でございますけれども、予算ベースで見ますと、18年度については年間で60件程度を考えております。 ○松尾委員 年間、60件普及が拡大していくという考え方でしょうか。 ○高齢サービス課長 いままでの消防庁方式につきましては、5年間、そのまま制度を維持してまいります。新しく、年間60件程度が民間緊急通報システムで拡大されると考えております。 ○松尾委員 いまの答弁により、大きく普及していきそうだなということが言えると思います。 ただ、この方式の変更で一つ気がかりなことは、対象の拡充と協力員といった問題では前進しているのですけれども、一方で、新方式で新たに設置する方には毎月負担がかかるという問題が起きてくる。これは、どうしても利用者に負担させなければならないのかなと、その点が気になるのです。私は、これこそ、本当に利用しなければならない方を除外していくことにならないのではないか。防災計画の中でも位置づけがある中で、災害弱者ではないけれども、防災弱者をつくってしまうのではないかと思わざるを得ないのです。 午前中、大島芳江議員の質問の中でも明らかになったように、いまの負担の重さの中で、少しでも生活費を切り詰めたい、切り詰めなければやっていけないという方がふえている中で、一番命にかかわる制度について毎月の負担をかぶせるのはいかがなものか。この負担を全額免除にする考えないのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。 ○高齢サービス課長 基本的には、もちろん一般の世帯の方に対しては2分の1程度のご負担をしていただこう。ただし、生活保護あるいは非課税世帯につきましては、3分の1程度を負担していただこう。 しかも、当初2年間につきましては、月当たり500円程度の負担に抑えるという低所得者対策をやっているところでございます。 ○ 松尾委員 こうした負担をしなければならないということは、本来、こうした制度を活用してもらいたいという方が、毎月かかってくる負担の経済的重さといったものによって設置しない状況がふえるようなことが起こると思っているのです。こうした状況になったとしたら、区の災害弱者の対策における日常活動の充実とは逆行するのではないかと指摘しておきたいなと思います。 マンションの「耐震ドア」への助成を提案 ○松尾議員 地震被害の問題についてということでは、もう一つ、家屋の倒壊が一番大きいものであることは言うまでもないと思います。従来から、我が党としては、再三求めてきた耐震補強工事への助成制度がようやく創設されて、今回の予算にも反映されている。この意味では、区の防災計画の位置づけの上でも前進したと言えるわけですけれども、同時に、いま、とりわけ足立区にはたくさんのマンションがふえてきている。マンションが増加している中で、区としてのマンションに対する防災の計画の充実もまた重要になってきているのではないかなと考えています。 マンションの場合、現在の耐震基準の考えのもとで、耐震と建物の倒壊を免れればいいというものにはなっていない。むしろ、壁などはつぶれることで地震のエネルギーを吸収して、建物の倒壊を防ぐといった発想になっています。そのためにということで、現実的には、最新の耐震基準を目指すマンションでも、つぶれた壁によって玄関のドアがあかなくなったり、あるいは避難路が絶たれたり、部屋の被害が大きくて生活できないといった実態が、この間、起きた災害の中でも事例としてあったと伺ってています。 建物の安全基準そのものが、被災後も生活できるように改善されること、そして見直されることが、我が党としては一番根本的な解決につながると思っているわけですが、当面、区としてできることとして、耐震ドアの普及を行ってはどうかなということを提案したいなと思っているのです。 耐震ドアという問題については、最近起きてきている大震災のもとで、そういった教訓を生かそうということで、いま大分普及が始まっていると。ネットを開いても、耐震ドアと打つだけで、かなりの数の検索が出てくるわけですが、今後、区として、そういったものへの助成をしていく考えはないのかなということで、この点についてお聞きしたいのです。 ○建築担当部長 分譲マンションにつきましては、耐震偽装の発覚に伴いまして強度に不安をお持ちの方々がかなりいらっしゃることから、この1月より、耐震診断費用の2分の1、上限100万円の補助制度を充実させてございます。しかしながら、お尋ねの耐震ドア等を含めまして、分譲マンションの耐震補強費の助成につきましては、現在のところ検討をする予定はございません。 さまざまなご要望はあるかと思いますけれども、私どもといたしましては、当面、木造建築物の耐震化の促進に全力を挙げたいと考えておりますので、ご要望の点につきましては今後の課題とさせていただきたいと考えております。 ○松尾委員 事例が紹介された写真集とか、いろいろ出ているが、マンションなどは、建物は倒れなかったけれども、中の入口に入る前の壁が倒れてしまってあかないよ、これでは実際に地震が起きた後でも避難もできないし、密室に閉じ込められてしまうといった問題につながっていく。そういった意味では、今後の検討課題ではございますけれども、ぜひこういった点について研究していただきたいと思うので、再度、お願いいたしたいのです。 ○建築担当部長 いま申し上げましたとおり、とりあえずは木造の耐震化促進、これはなぜかと申しますと、木造の建物が密集している場所で倒壊が起きますと、当然ながら避難路が遮断され、救急活動もできない。また、火災が発生するという大変大きな問題に発展してまいります。したがいまして、私どもといたしましては、地域の防災を確保する点から、公益上の観点から助成を進めているところでございまして、いまのところマンションについてはその予定はないということでございます。 ○松尾委員 防災問題ということで、もう一つ、同時に大事なことで、一番大事なことは何といっても人員の確保ではないか、これに限るのではないかと思っています。特に、住民の自助とか共助が必要というのは、いざというときに当然入ってくる考え方ではあると思いますけれども、これ自体限界がある。行政として、いざというときに、一体どんな動きができるのかということにかかっているのではないかと思います。 職員の定数削減という問題は、この間、ずっと行われてきているわけで、今後もその方向を行っていくと言っていますけれども、防災計画のかなめとも言うべき職員、この数が減少し続けるということであれば、この一番の安全の保障を区みずからが切り捨てることになりはしないかと思います。同時に、指定管理者の制度の導入の問題も進んでいるわけですけれども、指定管理者に指定された施設と区の施設での防災の認識と対策がばらばらになるといった状態では困るわけで、こうした問題について区としてはどのように考えているのでしょうか。 ○委員長 松尾委員、残り1分です。 ○学校地域連携課長 いま、指定管理者のお話が出ましたけれども、今回、指定管理者の考え方も整理をさせていただいておりますが、その中にも防災について事業者側に十分に認識してもらうといった条項も入れておりますし、一般的に民間との協働に当たっては、そういったことが大前提になり、お互いに役割分担をしながら、必要なことを補い合っていくといった考え方になるかと考えています。 ○委員長 松尾委員、時間です。 ○松尾委員 きょうはこれで終わりますけれども、次回に回したいと思います。 |
![]() |
![]() |