6、可決された意見書および日本共産党提案の意見書案
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抜本的な都市農業振興策の確立を求める意見書 |
都市農業は消費者に新鮮で安全な農作物を供給するとともに、緑地としての環境保全、区民との交流を通じたコミュニティーの形成、災害時の緊急避難場所など多面的な機能を担ってきた。
近年、まちづくりを進めていく上で、都市農業の果たしてきた役割が再評価されるようになり、足立区においても「身近な農地・農業をできるだけ残してほしい」との地域住民の要望が根強い。
足立区議会は「区民共有の財産」として農地・農業を後世に残すことが、まちづくりの重要な課題であると認識している。
国においては平成11年に成立した「食料・農業・農村基本法」で、都市農業の振興が国の責務であると初めて明記し、昨年3月の「食料・農業・農村基本計画」の見直しに際しては都市農業振興への一定の配慮が示され、10月には農林水産省内に「都市農業・地域交流室」が新設されたところである。
しかしながら、生産緑地法や都市計画法、相続税納税猶予制度など都市農業関連の現行法制や税制の根幹部分は、「宅地化優先」の価値観を色濃く残したままであり、国の取り組みは、なお不十分であると言わざるを得ない。
こうした現状の下で、足立区においても農地・農家の減少に歯止めがかからず農業従事者の高齢化、後継者難などが深刻化しており、「持続可能な都市農業」を実現する本格的な対策を急がなければならない。
よって、足立区議会は国会及び政府に対し、都市農業者が安心して営農に取り組めるよう、下記に掲げる抜本的な都市農地保全・農業振興に取り組むよう強く求めるものである。 |
記 |
1 |
都市計画法、生産緑地法、相続税納税猶予制度などの都市農業関連の法制・税制などを見直し、新法制定も視野に入れた抜本的な都市農業政策を確立すること。小規模住宅用地にかかる都市計画税の軽減措置 |
2 |
都市農業関連税制の見直しに際しては、市街化区域内に農地を持つ農家が希望を持って持続的に農業を営むことのできる仕組みに再構築すること。 |
3 |
農業構造改革の一環として集落営農・法人化が推進されているところであり、相対的に地価の高い都市部及びその周辺においても農業法人の設立が円滑に行えるよう制度を整備すること。 |
4 |
認定農業者制度を都市農業にも適合するよう改革するとともに、中高年サラリーマンやニート・フリーターなどの就農を促進するなど新たな「担い手」制度を創設すること。 |
5 |
学校給食と農家の提携など都市部における「地産地消」を拡充するとともに、農業体験農園・市民農園など市民参加型農業、学童農園などを通じた食育を推進すること。 |
6 |
上記の政策課題に対処するため、農林水産省、総務省、国土交通省、財務省など関係省庁による都市農業政策の横断的な検討機関を設置し、平成18年度中に成案を得ること。 |
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以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年3月24日 |
議 長 名 |
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 農林水産大臣 国土交通大臣 あ て |
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総合的な少子化対策を求める意見書 |
平成17年版「少子化社会白書」は、平成16年の合計特殊出生率が1.29と過去最低を更新したことを踏まえ、我が国を初めて「超少子化国」と位置付けた。予想を上回る少子化の進行によって、これまでの予測よりも早く「人口減少社会」に転じる可能性があると指摘している。これまでも様々な少子化対策が講じられてきたが、依然として少子化傾向に歯止めがかかっておらず、これまでの施策を検証するとともに、効果的な支援策についてさらなる検討が必要である。
その上で、少子化対策は、単に少子化への歯止めをかけることだけを目的とするのではなく、すべての子どもたちが「生まれてきてよかった」と心から思える社会、子どもたちの瞳が生き生きと輝く社会を実現する視点が重要である。子育ては、今や、地域や社会全体で取り組むべき課題であり、我が国の将来を担う子どもたちの健やかな成長のために、社会全体で子育てをサポートする体制を充実することが必要である。子育てへの経済的支援のほか、地域や社会における子育てのための環境整備、働き方を見直す社会の構造改革など、総合的に子育て支援策を展開すべきである。
よって、足立区議会は政府に対し、総合的な少子化対策として下記施策を講じるよう強く求めるものである。 |
記 |
1 抜本的な児童手当の拡充
2 出産費用等の負担の軽減
3 子育て世帯向けの住宅支援
4 子どもを預けやすい保育システムの充実
5 放課後児童健全育成事業等の充実
6 仕事と生活の調和が図れる働き方の見直し
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年3月23日 |
議 長 名 |
内閣総理大臣 内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画) 厚生労働大臣 あ て |
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政治倫理に関する決議 |
昨年の区立湯河原区民保養所委託業者選定をめぐる議員汚職事件は、足立区議会始まって以来の不名誉な事件として議会の歴史に汚点を残す結果となった。今回の事件では、区民の区政に対する信頼を損なうと同時に、その監視する立場にある議会に対しての不信をも招いてしまった。
足立区議会では、事件の発覚直後から特別委員会を設置し、この事件の全容解明にあたると同時に、このような不祥事が再び起きることがないように、「足立区議会議員の政治倫理に関する検討委員会」を設置し、コンプライアンス(法令遵守)等について検討を進めてきた。
我々議員は、住民から選ばれた、人格・識見ともにすぐれた代表者であらねばならない。このことを厳粛に受け止め、議会制民主主義の健全な発展を図り、議会政治の原点に立ち返ることが求められている。
よって、足立区議会は、主権者である区民の信託により、その代表として、区政に携わる権能と責務を有することを深く認識し、公正、公平、誠実を旨とし、コンプライアンスの着実な実施と議会の透明性をさらに高めるとともに、厳格な倫理意識を持ち、その使命の達成に邁進し、区民の信頼回復に努めていくことを宣言する。
以上、決議する。
平成18年3月23日 |
足 立 区 議 会 |
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【日本共産党足立区議団提出の意見書案】 |
在日米軍基地再編整備に反対する意見書(案) |
昨年10月、在日米軍再編に関する「中間報告」がだされ、日米両政府は、「最終報告」作成に向けての作業を進めている。この「中間報告」では、沖縄県名護市沿岸部での新基地建設、キャンプ座間への新戦闘司令部の移設、米軍戦闘機の航空自衛隊基地の使用や訓練移転などが明記された。
これは、日米両国が「テロ」「大量破壊兵器」への対抗など「世界における共通の戦略目標」を持ち、米軍と自衛隊が一体になって世界のどこにでも出撃できる軍事態勢をつくり、そのために在日米軍と自衛隊の基地機能を強化するものである。
この結果、沖縄の新基地建設では、近接する集落に爆音被害と墜落事故の恐怖を与え、きれいな海を汚し環境破壊をもたらし、座間の新戦闘司令部移設は、新たな基地機能の強化と基地の恒久化につながり、基地返還を遠ざけ、岩国基地への空母戦闘機部隊の移駐は、市民に昼夜を問わない爆音被害をもたらすことになる。
さらに八王子市で起きた米空母乗組員による悪質な児童ひき逃げ事件や、横須賀市の女性殺害事件など、米兵による凶悪犯罪が相次いで発生し、沖縄での大型ヘリの墜落やF15戦闘機の墜落など、国民の平和と安全を脅かす事態がいっそう増加する事は明らかである。
また、今回の米軍再編で約1兆円と言われる海兵隊司令部のグアムへの移転費用を日本が負担するという計画も進行していると聞くが、米国の領土にある米軍基地の増強に日本国民の税金を投入することは許しがたいことである。
よって、足立区議会は、政府に対し、在日米軍基地の再編・強化を断念するよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
年 月 日 |
議 長 名 |
内閣総理大臣
外務大臣
防衛庁長官 あて |
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米国産牛肉輸入の安全確保に関する意見書(案) |
昨年12月に輸入再開したばかりの米国産牛肉からBSE(牛海綿状脳症)の危険部位にあたる背骨が混入していたことが検疫所の監査で判明した。さらに日本政府が輸入再開にあたり米国に輸出プログラムとして義務付けていた20カ月齢以下の牛であることや全月齢の牛から脊柱など危険部位を除去していることと言う前提条件を米国の検査官が認識していなかったと言う許しがたい事実も明らかになった。
また、日本政府はこの前提条件が守られているかを厳密に査察する責任もあったが、これがきわめてずさんであった。
日本政府は、米国内すべての日本向け牛肉処理施設に厳重な査察を行い前提条件の確保に責任を負うとともに、前提条件が守られなければ、輸入再開の論議をやり直す必要がある。その際、BSE全頭検査と全月令の牛の危険部位の除去という日本国内と同様の安全基準を要求することも重要と考える。
よって、足立区議会は、政府の責任で国民の牛肉に対する安全・安心を早急に取り戻すことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
年 月 日 |
議 長 名 |
内閣総理大臣
外務大臣
農林水産大臣
科学技術・食品安全担当大臣 あて |
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