7、付属資料
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区長あいさつ ○鈴木恒年区長 平成18年第1回足立区議会定例会をご招集申し上げましたところ、議員の皆様方には、ご多用中にもかかわらずご参集をいただきまして、まことにありがとうございます。 開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 初めに、議長会を初め、区議会の皆様とともに解決を目指してまいりました都区財政調整に係る主要5課題は、1月に都側の最終提案がありまして、これを拒否したところでありますが、2月10日の区長会において、改めて平成18年度財調協議として、「都区の役割分担を踏まえた財源配分のあり方」について、都区で共同機関を設置することと、「清掃、学校改築、都市計画交付金」は、都の提案どおりとし、200億円の特別交付金は、これを受け入れる方向で協議することを確認いたしました。 また、「三位一体改革の影響」は、影響の全体像を見きわめた上で、平成19年度財調協議において、合意に向け引き続き協議をしてまいります。議員の皆様方には、今後ともさらなるご支援、ご協力をお願い申し上げます。 さて、平成18年度は、私にとりまして区長2期目の仕上げの年となります。ちょうど1年前、私は「足立区はいま、まちの形、姿が変わる大きなチャンス、50年に一度の好機を迎えている。そのための必要な未来投資、子や孫の時代への相続の義務を果たしてまいりたい」と申し上げました。 おかげさまで、昨年8月には待望のつくばエクスプレスが開業いたしました。そして、本年4月には、あだち産業芸術プラザが開設し、さらに、9月の東京芸術大学千住キャンパスの開学が目前となっております。また、東京芸術大学では、足立ジュニア吹奏楽団への講師派遣などの連携事業が開学に先行して実施されております。まさに、新しい飛躍に向けた舞台装置を、区民の皆さんに実感していただける段階になったのではないかと思っております。 あわせて、区政を取り巻く行財政環境が大きく変化するときでもあります。昨年末、三位一体改革の第1期分が4兆円の補助金削減と3兆円の税源移譲といった内容で決着をいたしました。最も懸念しておりました生活保護費国庫負担金については見送られ、児童手当や児童扶養手当の国庫負担率が引き下げられることになりました。三位一体の改革は、地方の自由度を一定程度高めることになりますが、財源だけではなく、事務権限の移譲を含めた地方分権改革は、これからが正念場となります。 一方、地方交付税改革問題では、所得税3兆円が個人住民税へ税源移譲されるため、地方交付税の原資そのものが減少いたします。このことは、地方への財源保障や地方間の財政調整機能のあり方をどう改革していくかといった、根本的な議論をさらに加速化させることになります。こうした変革期にこそ、10年、20年先の長期的な展望を持ちつつ、区民のために責任ある区政運営を着実に推進していくことが最も重要であると考えております。長期的な展望のもと、区を挙げての意識変革と、組織としてみずから変わる勇気を持ち、従来の慣行や既存の仕組み、枠組みを改革していくことが必要であります。 公共サービス改革、いわゆる市場化テストへのチャレンジは、その一つであります。市場化テストは、区政の構造改革を進める一つの手法、手段でありますが、区が先陣を切って着手し、試行するなど、工夫を重ねていくことが必要であります。そうすることで初めて、区民サービスの向上と経費の削減といった成果を上げることができるものと考えております。 また、文化産業・芸術新都心構想につきましても、新しい文化が定着するまでには、相当な時間と努力が必要であります。50年に一度のチャンスを次の50年に結びつけるためにも、思い切った新たな試みが必要となってまいります。区といたしましては、千住地区に集積しつつある文化芸術関連の資源を、有効かつ効果的に生かしていくための具体的な仕掛けを考えていかなければなりません。本年は、文化産業・芸術新都心構想を実現していくための仕組みづくりを進め、施策化していく大切な時期だと認識しております。 こうした考えのもとに編成いたしました平成18年度の当初予算規模は、一般会計で2,144億円、前年度より12億円、0.6%の増額となりました。特別区債の借り換えと基金の再編整備に伴う歳入歳出の一時的な増減を除いた実質ベースでは、対前年度比で41億円、2.0%の増額予算となっております。 義務的経費のうち扶助費につきましては、生活保護費が10億円の増、人件費は2007年問題などの影響も含め、ほぼ横ばいとなっております。また、投資的経費につきましては、214億円で前年度より22億円、11.5%の増額となりました。 国民健康保険特別会計は758億円で、前年度より39億円、5.4%の増となりました。これは被保険者数や受診率の増加等による保険給付費の増によるものであります。 介護保険特別会計は297億円で、前年度よりマイナス3億円、1.1%の減となりました。これは、予防重視型事業の新設や介護保険施設などにおける居住費と食費が保険給付の対象外になったことによるものであります。 老人保健医療特別会計は442億円で、前年度よりマイナス9億円、2.0%の減となりました。これは、対象年齢の段階的引き上げに伴う受給者数の減少によるものであります。 区全体の予算総額は3,642億円で、前年度比1.1%の増となりました。 次に、一般会計の概要についてでありますが、まず、平成18年度予算は、平成20年度に歳入見合い予算を実現するとした5カ年計画の中間の年となります。 平成16年度当初想定しました一般財源総額は、この間の三位一体改革や大企業を中心とした景気の回復等の影響で増加しております。しかし、経常的事業費総額の抑制目標は、扶助費等の増大から達成できておりません。 現在、一般財源総額の伸び率の範囲内にとどめる努力をしておりますが、特別会計への繰出金の伸び率も勘案いたしますと、区財政は依然厳しい状況にあります。 歳入につきまして、特別区民税は、定率減税縮小などの税制改正等の影響を踏まえ、前年度に比べ32億円の増収を見込みました。 同時に、恒久減税による地方税の減収補てん措置として創設された地方特例交付金、減税補てん債については、減収を見込んでおります。 財政調整普通交付金は、原資となる法人住民税の伸び率や基準財政需要額等を勘案し、41億円の増収を見込みました。さらに、投資的事業の推進に、地域福祉振興基金などから14億円を繰り入れました。 次に、歳出予算でありますが、まず、行財政運営方針にお示ししましたように、「協働で築く力強い足立区の実現」のために、リーディングプロジェクト推進事業を立ち上げました。区のみならず、民間企業、NPO等がイコールパートナーとして相互に働きかけを行い、協働事業として活発な事業展開を目標とする(仮称)地域若者サポートステーション事業、創業支援事業、耐震対策事業など19事業、およそ3億円を計上いたしました。 これは、協働を推進するための行政資源を重点的に配分する仕組みを制度化するとした基本計画の具体化であり、包括予算制度の枠を超えて財源を集中的に配分し、3カ年継続していくものであります。 また、行財政運営方針の七つの重点項目につきましても、前年度を上回る予算を配分いたしました。 次に、分野別の主要事業についてご説明をいたします。 「魅力と個性のある美しい生活都市」の分野では、竹ノ塚駅付近鉄道高架化の早期実現に向けまして10億円を基金に積むとともに、立体交差化の実現可能な方策を検討するための調査委託費などを計上いたしました。18年度の最終補正予算で提案させていただいております積立額と合わせますと、行財政運営方針でお示しした目標額60億円を達成することが可能となります。これは、竹ノ塚駅付近鉄道高架化に取り組む区の強い決意を内外にアピールすると同時に、関係各機関との連携を一層強化し、一日も早い事業着手への動きをさらに加速化するためであります。 引き続き、平成19年度開業予定の新交通日暮里・舎人線の駅前交通広場や自転車等駐車場の整備を進め、便利で快適な公共交通ネットワークの拠点を築いてまいります。あわせて、綾瀬車両基地の地下を横断する補助258号線の取り付け道路工事を進めるとともに、防災都市づくりの重点地区であります補助138号線関原三丁目地区、梅田五丁目地区での早期整備を促進してまいります。加えて、佐野・六木地区及び上沼田南地区での土地区画整理事業を引き続き推進してまいります。 また、建築物の耐震化をより促進するため、「相談」から「診断」「改修」まで区民の皆さんが安心して任せることができる仕組みをつくります。建築物耐震化の総合相談窓口を新たに設置するとともに、耐震診断助成の拡大と新規事業として木造住宅耐震改修助成を行ってまいります。さらに、建築物の耐震強度偽装問題に対しては、分譲マンションに対する耐震診断の特例措置として、管理組合への診断費用の助成を拡大してまいります。 「自立し支えあい安心して暮らせる安全都市」の分野では、平日の夜間小児初期救急診療施設の設置に向けまして、足立区医師会や医療機関を含めた検討会を立ち上げ、平成19年度から20年度の実現化に向けて進めてまいります。この事業は、リーディングプロジェクト推進事業に位置づけ、3年間の財源を担保し、着実に推進してまいります。 また、これまで就学前の乳幼児の医療費を助成してまいりました乳幼児医療費助成につきましては、小学校1年生から3年生の児童の入院医療費助成を新たに追加し、その充実に努めてまいります。 保育園待機児の解消と保育サービスのさらなる充実につきましては、認証保育所の増設や家庭福祉員の育成を推進するとともに、保育室環境の整備と安全玩具の助成を行ってまいります。また、エアコン未設置の区立保育園につきましては、本年夏までにすべて解消してまいります。 さらに、子育てサロンを新たに2カ所増設するなど、全区的展開を推進するとともに、この2月から竹の塚サロンで開始した一時預かりにつきましても、順次進めてまいります。 学童保育室の整備につきましては、当面の目標であった定員率20%を既に達成いたしましたが、待機児集中地区が発生していることから、基本計画の目標でもある待機児率2.5%を新たな施策目標といたしました。 また、特別養護老人ホームや障害者入所施設等整備助成を引き続き行ってまいります。 環境施策では、環境教育基本方針・実施計画で策定いたしました三つの重点プロジェクトの実現に向け、学校を拠点にNPO等との協働によりまして、学校や家庭から出る生ごみを堆肥化し、農産物を生産する循環型食品リサイクルシステムのモデル事業を実施いたします。 また、ペットボトル回収の一層の効率化を図るため、企業と提携し、一部を区民に還元するインセンティブ付きのリバースベンダーマシーンを設置し、スーパー等の拠点回収を機械化するなど、地球温暖化対策や資源循環型社会の構築を一層推進してまいります。 災害時の対応、防犯への取り組みといたしましては、地域の防犯リーダー育成や青色灯パトロール隊支援事業、地域防犯キャンペーン支援などを推進してまいります。また、地震発生直後の地域との協働体制を確立し、都や近隣自治体との広域連携を強化するため、8都県市合同の防災訓練を実施するとともに、平成19年度以降も近隣自治体との合同防災訓練につきまして、継続した取り組みを行ってまいります。 「人間力と文化力を育み活力あふれる文化都市」の分野では、児童・生徒の学力向上に向け、少人数指導のわかる授業を計画的に進めるため、ステップアップ講師をすべての区立小中学校へ配置いたします。あわせて、夏の暑さ対策や学力向上の観点から、中学校は本年の夏までに、小学校は来年の夏までに、すべての普通教室およそ1,600教室にエアコンを設置してまいります。 学校改築関連では、区で初めてとなる校舎一体型の新田小中一貫教育校の建設を進めてまいります。本年は基本計画、基本設計に取り組み、平成22年度の開校を目指してまいります。また、現在、建設工事を行っております千寿双葉小学校の新校舎は、平成18年度中に竣工となる予定であります。 文化芸術関連では、4月に黒澤 明シネマシティ、天空劇場を備えた東京芸術センターがオープンし、9月に足立区リエゾンセンター内に東京芸術大学千住キャンパスが開学するなど、千住地区には文化芸術に関するコンテンツの集積が実現いたします。冒頭でも申し上げましたように、こうした集積による効果を最大限に発揮していくことが大切であり、文化芸術活動をしっかりと定着させてまいりたいと考えております。 さらに、5月に予定しております「奥の細道・足立サミット」や、区内小中学校を対象とした演劇鑑賞支援事業などを実施するとともに、東京芸術大学等との新たな連携につきましても具体化してまいります。 産業経済関連では、若年者就労支援として、(仮称)地域若者サポートステーション事業を初め、高齢者就労支援等の事業を一体的に推進してまいります。あわせて、中小企業支援オフィスとして設置するあだち産業センターは、創業や改業による地域経済の活性化を基本コンセプトに、創業や経営支援などの事業を展開してまいります。 特に創業支援につきましては、創業各期に対応したこれまでの施策に加えて、創業計画支援事業を追加することで、より多彩でトータルな創業支援策を推進してまいります。 「自己進化する協働型自治体」の分野では、企業提案型経済活性化推進事業と提案型協働推進事業を「あだち提案型事業」として一本化し、「事業アイデア」、「ビジネスチャレンジ」、「NPOパワーアップ」の三つのコースを設定するなど、事業効果をさらに高めてまいります。 また、区民の顧客満足度、サービスアップの向上を目指し、従来の電話交換機能に各種案内や申請手続、苦情に至るまでを一体的に対応する包括的多機能コールセンターの導入に向けて、検討を進めてまいります。 さらに、簡素で効率的な行政の実現のため、引き続き現業職員の退職不補充や業務の外部化を進め、透明でわかりやすい区政運営に努めてまいります。 以上が、平成18年度当初予算案の概要であります。 次に、平成17年度最終補正予算案について申し上げます。 今回ご審議いただきます補正予算は、一般会計が10億7,000万円余の増額補正でありますが、この中には給与費や契約差金による減額と、竹の塚鉄道立体化資金積立基金50億円の積み立てなどが含まれております。国民健康保険特別会計は10億9,000万円余の減額補正、介護保険特別会計は17億7,000万円余の減額補正、老人保健医療特別会計は14億2,000万円余の増額補正であります。 以上、平成18年度当初予算案及び平成17年度最終補正予算案につきましてご説明をさせていただきました。 なお、今回ご提案申し上げます議案は73件、報告2件であります。各議案の提案趣旨につきましては、参与よりご説明をいたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願い申し上げます。 終わりになりましたが、昨年は、国の予想より早く人口減少が始まった人口減少元年となりました。今後、東京圏での高齢化が一気に進展するとともに、地方行財政制度改革のうねりが一層本格化するものと思われます。こうした変化を積極的に取り込みながら、さらに区政を前進させるためにも、区議会の皆様方の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。 ありがとうございました。 |
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