7、付属資料
「住宅マスタープラン」についての意見
足立区整備部住宅課 御中
2006年3月6日 日本共産党区議団
住所 足立区中央本町1−17−1
 住宅マスタープラン(素案)に対する意見(パブリックコメント)を以下のように提出します。
第1章 住宅マスタープランの目的と性格(P1)
1.「計画の背景と目的」について
 足立区民の実態について触れ、区民要望を実現する立場で計画を作成するために以下の考え方を入れるべきです。
 まず、区は土地統計調査をもとに住宅数が世帯数を上回る状況であるとしていますが、木造住宅の老朽化や高い家賃の民間住宅など、需要と供給のミスマッチもあり、住宅の供給不足の実態があります。都営住宅の入居希望者は多く、都の資料によると地元割当では青井地区は227倍、西新井・西新井本町・扇地区は105倍、西保木間・竹の塚地区は58倍となっており、ファミリー層が入りたくても容易に入れない状況です。また、狭くて、家賃の高い民間アパートでは「長く住み続けられない」という実態であり、同時に築30年、40年の借家やアパートの建替えで引越しを迫られるなど都営住宅への入居を希望する人が増えています。
 また、20行目の「人口減少は既に始まって・・・足立区においても、」の記述は、国勢調査の速報値(05年12月)で、東京は4・2%人口が増加していますので、そのことに触れておくべきです。
 総じて住宅施策の対象となる人口や住宅不足数を小さく見せようとする印象を与えるので書き替えてください。

(3)「まちづくり資産としての公共住宅団地の利活用」(P3)の項について
4行目の下記の文言は、テーマの『まちづくり資産としての公共住宅団地の利活用』とは関係がなく、さらに公共住宅と居住者が行政や社会政策の障害物であるかのような印象を与えるので、「とりわけ、公営住宅は、その数の多さから福祉関連支出増大の要因の一つともされています。多くの問題を抱える」を削除する。

第2章 住宅政策の課題と基本的方向 (P4)
1 現状と課題  の囲みの中の右側4段目 「○住宅市場による良質な住宅の供給」を「○住宅市場も含めた良質な住宅の供給」に修正する。
(1)求められている住宅ニーズの充足  ■人口減少社会の到来 (P4)
4行目「足立区において」を「足立区において」に修正。 6行目「地方分権の潮流の中で」の下線部分を削除。 7行目「さらなる自立が求められるため、このままでは区の活力低下をまねくことになりかねません。区内外の」を削除し、「真の自立を推進することが重要だが、居住ニーズを・・・」に修正する。
11行目 「図ることが必要です。」を「図るなど活力ある足立区へ住宅政策を位置づけていくことが必要です。」に修正する。

(3)住宅に困窮する世帯への対応 (P6)
 セイフティネットの拡大 の項
4行目、対象が拡大し、公営住宅だけではこれらの需要に対応できなくなるおそれがあります。の部分を削除し「・・・され、さらに公営住宅の拡大充実が必要になってきています。」に      変更する。 5行目、「入居できる収入基準の超過や・・・」の前に「公営住宅の戸数が少ないため」を加える。
7行目 「そのため、〜自立を促すことが必要です。」を削除し、次の文言趣旨を加える。「セイフティネット拡大のため公営住宅の増設を重要な施策として進める」
(4)公営住宅の偏在解消 (P6)の項
 足立区は歴史的経過のなかで集中してきた公営住宅・都営住宅をマイナス面でのみ強調していますが、「偏在解消」は区独自で解決できるものではなく、都に責任を果たさせ協議を必要とするものです。足立区の良さである下町情緒や人情味あふれるまちづくりの一環として、区内の公営住宅の維持拡大を図るとともに、全都的な公営住宅の増設を区が主張していくべき。以上の趣旨を書きこみ、下から4行目、「地方分権の 〜 必要があります。」を削除してください。

(7)コミュニティの育成 (P8)の項
「■安全・安心への不安があるまちづくり」→「づくり」を削除する。
(8)住宅市場による良質な住宅の供給 (P9)の表題を「住宅市場も含めた良質な住宅の供給」に修正する。
 ■ 相対的に低い居住水準 (P9)の項
下から2行目 「住宅の質の向上や品質の確保が求められています」を削除する。
〈理由〉:テーマ説明部分(広さや最低居住水準未満世帯の記述)と結論の関連付けが不明確なため「住宅の質の向上や品質を確保」すれば「最低居住水準未満世帯」を少なくすることができるのでしょうか? 最低居住水準未満世帯に居住する人は費用などの面でやむを得ず居住しているのであって住宅の質の向上や品質が確保されていても住むことのできる家賃でなければなりません。
 ■ 足立区の住宅市場の特徴 の下から2行目、「そのため、民間事業者を誘導することで、良質な住宅が供給されることが望まれます」を削除し、「良質な住宅を提供できる民間事業者と行政が協力することは良質な住宅の供給に一定の有効性があると考えられます。」に修正する。
〈理由〉 :前段の住宅市場の特徴づけで述べられていることは、まさに民間事業者による住宅市場の形成であってただ単に民間事業者を誘導すれば「良質な住宅が供給される」ことにはなりません。まさに低所得者の多い中で、どのように「良質な住宅を供給するか」の行政としての施策が求められています。

(9)居住に関する意識の向上 (P10)
 ■ 高まる民間事業者の役割 の項
下から3行目 「民間事業者には 〜 求められています。」を次の下線部分のように変更する。
「区は民間事業者がマンション等建設を行うときは法令等を遵守することは当然として、地域住民との合意の下に行うよう指導する。また良質な住環境整備に責任を負う立場から『良質な住宅の供給、住環境整備について』明確な基準を設定する。」
〈理由〉:民間事業者によって「無秩序な開発がされる恐れがある」との危惧をどのような事態を想定していっているのか定かではないが、およそ民間事業者は法令等を順守して事業を行うのが通常であり、民間事業者に問えば「良質な住宅の供給を使命としている」とこたえるのである。問題なのは法令を遵守していても「無秩序な開発がされる恐れがある」のであり、その意味で『良質な住宅の供給と住環境整備について』明確な基準を区が要綱や条例で設定する必要があるためです。

(10)快適な住環境の形成  (P10)
■ 住宅を取り巻く環境の変化 の項
下から2行目 「快適な住環境を 〜 重要となっています。」を次の下線部分のように変更する。「そのために、住宅の建て方や住まい方など快適な住環境を形成するための住宅政策・ガイドラインなど区は率先して提案し、必要な助成制度をつくり区が役割を果たすことが求められています。また必要に応じて条例化します。」
〈理由〉:住宅の建て方や住まい方についてですが、マンションは建築された物件を購入することになり、もとより一人ひとりが工夫をすることなどできません。また、一戸建ての住居にしても以前あった土地を猫の額のように細分化して切り売りされ、建築基準も規制の緩和がされる中、法定ギリギリめいっぱい「有効利用したい」と思うのが人情であります。とてもそうした中で一人ひとりの区民が快適な住環境を形成するために工夫するなどといった余裕はないのではないでしょうか。快適な住環境とはどのようなものかガイドラインを示して区民、事業者にアピールするくらいの行政の役割が求められているのではないでしょうか。当然それらを具体化するための区の施策も求められています。

2. 基本理念  (P11)
5行目、「多様な都市の個性」とか「選択可能」というなら、公営住宅、民間持ち家、民間賃貸住宅など、それぞれ希望数に応じた供給めざして行政が役割を果たすことが重要で、そのことを明記すべきと考えます。(イギリスではその施策があります)
(1)A「公営住宅の偏在が軽減しているだろうか」の全体を削除 (P12)
〈理由〉:このような成果指標そのものが必要ないと考えます。

第3章 計画の目標 (P14)
1、 住宅供給
前文を次のように「住宅数が世帯数を上回っている中にあるが、木造住宅の老朽化や高い家賃の民間住宅など、需要と供給のミスマッチもあり、住宅政策においては、セイフティネットを形成するため公営住宅の供給量について供給目標を設定します」と下線部分を修正すること。

(2)供給予測 の項
前文の中で「UR賃貸住宅・公社住宅の活用」を上げているが、「表 公営住宅の供給」にある「公営住宅並みの家賃の」を加え、「・・・、公営住宅並みの家賃のUR賃貸住宅・公社住宅の活用により・・・」とすること。
  *表の中で、空家による供給で2・5%は実態に合わないのではないか。

(3)供給目標 (P14)
文章の出だしから次のように「公共住宅の供給量について、現状の供給体制は最低でも維持し都営住宅等の建替えに際しては、都営住宅空家の高い応募状況を鑑み、増戸数を図り、高齢者などの裁量階層に対応できるよう東京都に提案・要請します。」と修正(下線部分)すること。
〈理由〉・・・「需要に対し供給量が上回る」は、木造住宅の老朽化や高い家賃の民間住宅など、需要と供給のミスマッチもあるので、この部分を削除。また、「期限付き入居の導入による空家供給の効率化」と述べているがこの部分は削除すること。そもそも住宅政策は「住まいは人権」の立場で講じられるべきものであり、必要な住宅を供給することが基本。施策の遅れや貧弱性から住宅供給数が少なくそういう行政の都合に合わせるために期限付き入居制度を導入するなどは本末転倒であると思います。

第4章 推進する住宅施策 (P17)
1、 施策体系
 表の「施策の方向」の中の8行目「建替え余剰地への民間活力導入の支援」とあるが、建替えによる余剰地は言わば国民の財産でもあり、民間デベロッパーに売却するのではなく公共的な活用を図るべきだ。そこで「公共住宅の増設又は社会福祉施設の導入の支援」と変えること。
また、公共住宅の入居基準の遵守は当然だが、自力で住宅が確保できない住民への支援策の立場から21行目「公営住宅入居に関する適正化の推進」を「公営住宅入居資格の所得要件の緩和」、更に22行目「居住者への自立に対する意識啓発」を「安心・安全に住める住宅確保の支援」とそれぞれ変更すること。

2、 住宅施策の基本方針 (P18) 
多様な住宅ニーズに対応するために
 前文の「・・しかし、直接供給や新設は財政的負担が大きく、また公的支援を受けられる対象がかぎられます。そのため、・・」を「これは区民の居住権保障として、引き続き重要な施策であります。同時に、今後は」と改め、4行目の「財政的負担を軽減しつつ」を削除すること。
 
 A民間によるフアミリー向け住宅の供給の促進 (P19)
■公共住宅団地の利活用の要請
 1行目、途中から「・・生み出される余剰地を民間の住宅供給に活用」を「公共住宅の建設や社会福祉施設の導入用地として活用するなど、新たなまちづくり・・・」と下線のように修正すること。

(2)公共住宅団地用地の建替えや再生による住宅供給の促進 (P20)
 1行目、「区内の公共住宅について、建替え時期のものを中心に再編し、空き用地に公営住宅の増設に努めるなど、まちづくりの資源として良質な住宅の供給を促進します。」と下線のように修正すること。
@公共住宅団地用地の活用 (P20)
文章の2行目「定期借地制度を積極的に活用した民間事者による住宅供給を誘導するなど」を「新規の公共住宅や公共施設の導入を図るなど」に変えること。

A公共住宅団地の再生
■居住世帯のミックストコミュニテイ推進
3行目「期限付き入居の機会を創出」を削除し、「・・・子育て世帯の入居を拡大していくなど、・・・」と修正すること。
〈理由〉期限付き入居の機会の創出・拡大では問題の解決にはならず、かえって解決を遅らせることにもなりかねないと思います。
(3)望む住宅が容易に取得・賃借できる仕組みづくり (P21)
 文章の出だしを「豊富な選択肢を準備・提供し、自分の望む住宅・・・」と修正すること。
@ 容易に住宅を取得・賃借できる仕組みづくり
文章の4行目「・・・・取得・賃借しやすい住宅(公共住宅を含む)の供給について検討します。」と修正すること。

(4)誰もが安心して暮らせる住環境の実現 (P22)
 文章3行目途中から「・・・できない世帯に対しては、住宅の確保を支援するなど、“居住権”保障の立場にたって誰もが安心して居住できるようにします。」とすること。

B公営住宅によるセイフティネットの構築 (P24)
■ 居住者への自立に対する意識啓発 の「意識啓発」を「支援」に変えること。
また、本文章の途中から「・・・できない世帯に対し、福祉分野などとの連携により、住宅保障の立場にたって安心して居住できるよう支援する。」とすること。

第5章 重点プロジェクト (P30)
(1) 人口減少社会の到来による区の活力低下への危惧 の表題を「『定住の促進』で活力ある足立区を」に修正する。
〈理由〉ここで、言うべきことは定住の促進で活力ある足立区をということであり、自治体の分権、自立もそういう角度から推進されるべきと思います。
2行目の「地方分権化の潮流の中で、各区もさらなる自立を求められているため、」を削除する。
人口減少社会一路減少という捉え方ではなく、足立区全体の計画の中で2つの新線開通に伴う宅地開発や大規模工場跡地での集合住宅の開発など社会増も予測できるのではないでしょうか。  
7行目、文章の後に「『定住の促進』をすすめるために、ハード面だけでなくソフト面での支援、住まい方の基本や多様な共同生活への誘導などを進める必要があります。」を加える。

(2)公共住宅の諸問題を解決する好機となる更新時期の到来
 5行目「建て替えを機に『公共住宅の再編とストックの有効活用』を図る・・・」のところは、文章を改めるか、削除する。都営住宅の再編に関しては、区が都の内部団体に位置付けられていた歴史的経過と区としても人口増を目標に政策的に進めてきた歴史的経過を無視し、専ら税収や歳出への影響という財政面からの捉え方はいかがなものかと考えます。基礎的自治体として低所得者を排除するという考えを持ち込むことは許されません。また、都営住宅偏在解消策を区独自で進められる状況ではなく、これまでの歴史的経過を踏まえ、東京都の責任を果たさせることが求められます。特に改築に要する莫大な費用負担をどう分担させるのかなど区としてのしっかりした方針を確立する必要があります。区民の都営住宅に対する需要は高く、入居希望者の応募数と競争倍率に明確に現れています。入居できなかった申込者に対するニーズ調査が必要と考えます。

2. 重点プロジェクトの構築 (P31)
上記にのべたように文章を改めることともに、『公共住宅の再編とストックの有効活用』の表、右欄の中「・民間によるファミリー向け住宅の供給の促進」の 民間によるを削除する。
公共住宅に区営住宅建設の計画を挿入し修正する。

(2)公共住宅の再編によるまちづくりの推進(P33)
2行目の「民間によるファミリー向け住宅の供給の促進」の民間によるを削除する。
その後の文章に「区営住宅の建設の計画」を同時に展開します。と加える
重点プロジェクトに係わる事業(P33)
「公共住宅団地の建て替えに伴なう余剰地活用の働きかけ」の欄に、「区営住宅の建設」を入れる。

(3)民間住宅市場による安全・安心な住宅ストックの形成(P34)
1行目の「を核として」を削除する。

第6章 住宅市街地整備の方向 (P35)
 「住宅市街地の整備にあたっては、同様の考え方に基づき整備する市街地を類型化し、その方針を示します。その中で特に重点的に整備を行うべき地域については、地域別に整備方針を定め、強力に施策を展開していきます。」「その際、特に複合開発誘致市街地については、住民合意を重視しつつ保育園、高齢者施設等の社会福祉施設を建てるよう区は積極的に指導するように図っていきます。」と加え修正する。

第7章 施策の推進に向けて  (P49)
1. 協働による施策の推進
 13行目の「特に、まちづくりにおいてはNPO・ボランティア団体などを中心として区民主導ですすめていく必要が・・・」の区民主導を削除し、「・・まちづくりにおいては区民要望に基づいて、区がイニシアを発揮しNPO・ボランティア団体など力を合わせて・・・」と修正する。
 16行目の「・・・基盤整備の誘導を行う調整役としての役割を果たす・・・」の調整役を削除する。
削除したところに
、「誘導を行うとともに区営住宅建設などの役割を果たす・・・」に変える。

2. 公共住宅団地の更新時期を捉えた施策の実現 (P49)
 9行目の「施設整備のコーディネートを強力に推進します」のコーディネートを強力にを削除し、「施設整備を推進します」と修正する。