2、本会議質問 ○代表質問―質問と答弁 松尾かつや議員 |
○ 松尾かつや議員 私は、日本共産党足立区議団を代表し質問いたします。 憲法・教育基本法について まず、憲法・教育基本法に対する区長及び教育長の率直な認識を伺います。 2004年6月、「平和を求める世界の市民と手をつなぐために改めて憲法9条を激動する世界に輝かせたいと考えます」と、三木武夫元首相夫人やノーベル文学賞受賞者の大江健三郎さんら9人が呼びかけ、「日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、改憲の企てを拒む」と全国に広まった9条の会は、この2年間で、驚くべきスピードで全国5,000を超える9条の会が生まれました。このように、平和を求める声が大きく広がる中、こうした声とは裏腹に、日本国憲法の改正手続に関する法律案などが先月国会に提出され、現在審議が行われています。 憲法の改定については、2003年5月の日米首脳会談でアメリカ大統領が会見で、「日米同盟は地球規模の同盟」と言って、その後、アメリカの国務副長官が「憲法9条は日米同盟の妨げ」と述べ、憲法を変えるよう迫ってきた経過があります。また、政府首脳である安倍官房長官は、ことしの5月、「いまの時代にそぐわない条項が9条を筆頭にある」と発言し、改憲の眼目が9条にあることを強調しています。戦争はしない、武力は持たないと書かれた9条の改定について、アメリカと政府首脳から強調されていることは、今回の改定の動きが、まさに海外で戦争できる国を目指していることを裏づけていると思うがどうか、区長の認識を伺います。 同時に、教育基本法についても改正案が国会に提出されましたが、現在の教育基本法は、戦前の教育が国家権力の強い統制の中で軍国主義教育一色となっていったという過去の教訓から、教育内容への不当な支配を厳しく禁止し、「国民全体に対し直接に責任を負う」という文言が書き込まれた歴史があります。政府の改正案はこれを削除するなどして、政府による教育内容への無制限の介入に道を開く内容になっていると考えます。国家権力や政府による教育内容への介入が戒められているのは、自治体においても同じと思いますが、行政の長として区長はどう考えるか、答弁を求めます。 また、政府の改正案は、国を愛する態度など20に及ぶ項目を教育の目標に掲げています。しかし、愛国心を法律で強制するのは内心の自由を保障した憲法に違反するとともに、国会質疑でも首相が「愛国心を通知表で評価するのは難しい」と述べています。愛国心を法律で強制するのは間違いであり、評価することも難しいと思いますが、直接足立の教育にかかわる教育長としてどう考えるか、お答えください。 大負担増から区民の負担軽減を 次に、区民生活への区長の政治姿勢について伺います。 この間明らかになったように、小泉内閣が進める税制改革に伴い、住民税だけでも定率減税の半減、老年者控除の廃止、住民税の非課税限度額の廃止で、延べ32万3,000人の区民に21億9,300万円の影響を与える増税通知が区民のもとに届けられています。 また、こうした増税に伴い国民健康保険料などの見直しに伴う負担増も区民を襲うことになり、さらに、高齢者医療費の負担増、混合診療の導入による医療内容の差別化、来年から始まる住民税の所得割を一律10%にするという、いわゆるフラット化などの影響による国民健康保険などへの負担増も行われようとしています。この問題の影響は、ことし行われた記念講演で区民部長が「このようなことが一斉に起こってくると…… 区役所に苦情電話が殺到して恐らく日中仕事にならないこともあるだろうと想像している」と発言したことにもあらわれているように、足立区民に深刻な影響を与えることになります。鈴木区政はこうした負担増の防波堤になろうとはせず、さらに輪をかけて介護保険料の値上げ、住区センターの有料化など、区民生活に二重三重の追い打ちとなる政治を推し進めてきました。 一方、株式会社足立コミュニティ・アーツには、協定になかった事務手数料を後から支出するなど、特定の業者は優遇し、根拠のないお金まで支出してきました。いま、足立区は増税による今年度は30億円もの増収になり、積立金総額は400億円を突破していますが、これらのお金を活用して区民の負担軽減を図るべきと思うがどうか、答弁を求めます。 台東区では、国の税制改正による影響を少しでも和らげようと住民税非課税措置が廃止され、新たに課税となる65歳以上の区民に対して、紙おむつの支給や福祉電話の貸与など15事業について、2年間税制改正前と同様の福祉サービスを引き続き受けられるようにする激変緩和策に乗り出しました。こうした精神の立場に、いまこそ足立区も立つべきと思うがどうか。 住区センターの有料化について 区民生活への区長の政治姿勢の最後に、この4月から始まった住区センターの有料化問題で伺います。 住区センターは、児童福祉法に基づく児童館、老人福祉法に基づく老人館と地域集会所、いわゆる公民館の三つの施設を統一した複合施設です。 住区センターは条例でも原則無料となっており、設置目的に合致しないと利用できないこととなっています。ところが、同じ設置目的に合致した利用であるのに、区長が認めた一方の団体は無料、他は有料という珍妙な事態となっています。 こうした差別を設けることは地域コミュニティの破壊になると思うがどうか。また、同じ区民団体なのに不公平という声について、区はどう考えるか、答弁を求めます。 介護保険について ―大幅値上げは認められない― 次に、介護保険問題について伺います。 住民税の確定に伴い、今月、介護保険料の大幅値上げの通知が一斉に区民のもとに届けられます。その値上げ額は、基準額で月額1,163円、年間にすると約1万4,000円で、65歳以上の高齢者のほぼ全員が値上げになります。税制改正の影響とも相まって、住民税非課税世帯で月額2,400円だった人が5,300円と、2倍以上の負担増になる場合もあります。 今年度、この値上げにより区の保険料収入は15億円余もふえる一方、高齢者負担はふえているのに介護保険法の改定によるサービス切り捨てで介護保険の予算総額が3億円余も減り、区が持ち出す金額である一般会計からの繰入金も、地域支援事業も含めても1億5,000万円余も減らし、結局、高齢者だけに負担増を押しつける結果になっています。サービス給付は切り下げて、高齢者の負担は上げ、区の持ち出しは削る、これは区民の理解を得られるものではありません。少しでも高齢者の負担を軽減する立場に立つ必要があると思うが、区長の見解を伺います。 ―昼食代ただちに補助を― 第1回定例議会において、区民の介護予防、重度化防止に効果がある通所介護事業を継続できるよう、食材料費を除く調理コストの一部支援を求める請願が全会派一致で採択されましたが、いまだもって実施されていません。23区で既に実施している荒川区、千代田区、港区では、いずれも一般財源で行っています。昼食代は直ちに補助すべきと思うがどうか、答弁を求めます。 ―ヘルパーが削られ― 自民、公明、民主の賛成により改定された介護保険法に基づき、4月から介護報酬が改定され、1回の訪問時間に上限が設けられました。これにより、要介護5の単身者であっても、生活援助のヘルパー派遣は1回につき1時間半までになりました。この改定により、区内利用者の中には2時間あれば1週間の買い物、調理と配膳、食事補助、後片づけまで柔軟にやってもらえていたのが、時間の短縮で、食事の片づけはできず、次回の訪問までそのままになり、大変困ったという話が寄せられています。 ―ベッドまで引き上げ― また、特殊寝台(ベッド)の貸与などについて、要支援や要介護1に認定された高齢者は、これまで利用していた人については経過措置があるものの、自立支援の名のもとに給付対象から外され大きな困難をもたらしています。 例えば、ひざの関節症の高齢者などの場合、「起き上がるまでが大変だが、起き上がれたら多少のことは自力でできる。ベッドがなくなったら起き上がるのがつらく、寝たきりになってしまう」といった声もあります。こうした高齢者からベッドを取り上げることは、介護予防どころか自立を阻害する行為そのものではありませんか。 国の改定が、区民の実態に合っていなければ独自にでも補うことも区の果たすべき役割です。ところが、この4月から区が行ったことは、この国の流れに乗って介護保険外高齢者ホームヘルプサービス事業もあわせて廃止という、まさに逆立ちしたやり方です。こうした姿勢を改め、介護保険外サービスなどで必要なヘルパー派遣やベッドの貸与などすべきと思うがどうか、答弁を求めます。 市場化テストについて 次に、市場化テストについて伺います。 国会で審議された市場化テスト法は、内閣府の規制改革・民間開放推進会議が民間のビジネスチャンスの拡大などを目的として掲げて国会に提出し、成立しました。この成立に至るまでには長い道のりがあり、カード業界などは、国会提案前から社会保険料や公共料金の支払いをクレジットカードでできるよう要求してきたことも明らかになりました。審議ではこうした徴収を行わせた場合、高金利と強力な取り立て、圧力に国民がさらされるおそれがあり得ることを、竹中平蔵大臣でさえ認め、利益優先に歯どめがかからず、住民の権利が守られなくなるおそれがあることが浮き彫りとなりました。 市場化テストは、こうした審議経過からも、一部大企業へのもうけの拡大をねらったものであり、国や自治体が国民に保障してきた行政サービスの公平性や専門性などを後退させるものであると同時に、開放の対象とされる業務に制限がなく、あらゆる行政サービスがもうかるかどうかを最大の基準として、切り売りの対象となることも指摘されています。こうした内容の市場化テストは、イギリスでは廃止され、高知県議会では安易な導入は行わないよう求める意見書が採択されています。このように指摘されている市場化テストについて、区はどう思うか、答弁を求めます。 足立区は全国に先駆けて(仮称)市場化テスト等推進戦略(検討素案)を策定し、18年度中の市場化テストの実施を目指し、市場化テスト推進専門部会の活動を優先して進めるとしています。市場化テストについて区は、自治体総合フェア2006開催説明会の記念講演で、「一般に民間企業の場合は常連客というのはいい人が多い。だからリピーターは確保すべきとの考えになる。しかし、役所にいつも来る方とはそんなにいい人ばかりでない。公務員はそうした苦情を我慢して聞くことになる。そうした顧客に対して民間企業の場合では対応し切れず排除する傾向が起きる」と述べ、平均的顧客の要求水準あるいは対応水準をはるかにオーバーする場合は排除が起こりやすい。顧客の囲い込みが際限なく広がる可能性があると指摘しています。区が現在進めようとしているのは、戸籍事務や外国人登録事務、地方税収の差し押さえ・競売・分納・免除、区民事務所分野の民間開放だといいますが、最も公共性が求められる分野であり、このような区民の排除や囲い込みは決してやってはならないことです。市場化テストは直ちにやめるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 住まいは生存権の基本 続いて、住まいの問題について伺います。 生活の基本は住まいであり、憲法25条が保障する生存権の土台です。1979年6月に日本も批准した国際人権規約(社会権規約)でも、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び居住を内容とする相当な生活水準についての、並びに生活条件の不断の改善についてのすべてのものの権利を認めると、住まいの権利について認めています。しかし、今月2日に成立した住生活基本法は、政府が近年、住宅の供給も住宅取得のための金融も、市場任せ、民間任せにしてきた方向を追認、固定化する内容となっており、政府、自治体の住宅への公的責任を後退させたと言わざるを得ないものです。 また、都の住宅政策審議会も答申を、住生活基本法が国会で成立した日と同じ今月2日に東京都知事に提出しましたが、この内容も国の流れに沿ったものになっています。区の住宅マスタープラン素案にも、こうした流れが色濃くあらわれていますが、耐震強度偽装事件を始め、住まいに対する区民の不安が広まっている中、住まいは人権の立場に立って公的責任を重視した住宅行政を行うことが大切と考えるがどうか、答弁を求めます。 都営住宅について 昨年11月に行われた都営住宅入居者募集の倍率は、世帯向け一般募集住宅で、都内最高が1,135倍、区内でも最高677.5倍という状況でした。 区は東京都と平成7年度に結んだ足立区の都営住宅の建替えに関する協定の見直しを行いましたが、この見直しの中で区は、今後建てかえを行う14団地5,286戸を、建てかえ後に4,815戸におよそ1割削減し、建てかえ後の団地は事業用団地として新規募集をしないことなどで合意しました。この合意は、入居希望者をますます狭き門に追い込むことになります。いま足立区がするべきことは、都営住宅を減らすのではなく、希望する区民が入居できるようふやす立場に立つことだと思うがどうか。また、建てかえ後の住宅は公募を行うよう東京都に求めるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 国土交通省は、昨年12月、各都道府県公営住宅主管部長あてに、「入居承継に係る承認の厳格化について」を出し、実質配偶者のみに狭めるよう求めてきました。都の住宅政策審議会も今月、さらなる厳格化を図ることを都知事に答申しており、このことが居住同居者に不安を与えています。 国は、長年にわたり同一親族が居住し続けることが不公平だから、承継、いわゆる居住者の名義変更の厳格化を求めるとしています。しかし、同じ家族が住み続けたいのは当たり前の願いです。 不公平というのであれば、入りたい人がたくさんいるのに公営住宅を建設せず、入れない状況を放置していることこそ最大の不公平ではないでしょうか。区は、住まいは人権との立場で自治体としての役割を発揮し、同じ家族が住み続けられるよう、弾力的運用について国や都に意見を述べるとともに、区営住宅については引き続き柔軟な対応て承継を認めるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 旧公団住宅の家賃について 日本住宅公団以来50年続いた公的住宅としての役割を担ってきた旧公団住宅の経営主体が、独立行政法人都市再生機構へ引き継がれ、初めての家賃改定がこの4月に実施されました。旧公団住宅居住者の生活実態もこの間大きく変化しつつあり、昨年東京23区公団住宅自治会協議会が行ったアンケート結果でも、23区の旧公団住宅居住世帯の生活で年金収入が中心となっている世帯が、給料収入が中心である世帯を抜いてトップとなったことを明らかにしたことに見られるように、旧公団住宅がセーフティネットとしての住宅の一つとなっていることを示しています。 都市再生機構ができた際、国会では賃貸住宅の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担にならないよう家賃の減免については、「居住者が安心して住み続けられるよう十分に配慮すること」との附帯決議がされていますが、この姿勢に立つのであれば、現在の社会情勢、居住者の生活実態からも、家賃値上げをせず、むしろ抑える立場が求められています。約1万3,000戸もの旧公団住宅区民を支える区として、この機構の家賃は値下げすべきとの立場で意見を上げるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 分譲マンション対策について 分譲マンションは、所有は個人ですが、同時に共同住宅という性格を持つため、行政が支援すべき課題は多くなっています。 この4月から個人の木造住宅に対する耐震補強工事への助成が始まりました。しかし、マンションの補強工事には依然として助成制度がない状況です。マンションにも助成を拡充すべきだが答弁を求めます。 また、マンションの耐震診断については、昨年の耐震偽装事件を受け、今年度限りの特例として建築時期による限定なしに助成制度を活用できるようになりました。しかし、今後も現行の建築基準法のもとで建てられたマンション居住者の不安が起きないとは言い切れないことです。来年度以降も継続させるべきと思うがどうか。 同時に、最新の耐震基準をクリアし、地震の発生時に倒壊しなかったとしても、現実的にはマンション内部のつぶれた壁などによって玄関のドアがあかないことにより、避難できない、いわば密室に閉じ込められるといった問題も指摘されています。地震発生時の避難路の確保は不可欠の課題です。過去の災害での教訓から、耐震ドアが大分普及されていますが、区としても、地震災害発生時の分譲マンション居住者の命と安全を守る立場から、耐震ドアへの改良助成を行うべきだがどうか。また、今後新築されるマンションへの普及を区としても行っていくべきと思うがどうか、答弁を求めます。 マンションの大規模改修は大事業となり、約450世帯が暮らす区内のマンションでも3億円もの費用がかかったという事例もあります。この改修をきちんと行うことにより、長く住み続けられ、住環境の改善にもつながります。だからこそ、足立区は以前、分譲マンションの共有部分の修繕について助成を実施し、歓迎されていたのではないでしょうか。廃止に道理がなかったことは、我が党がこの間指摘してきたことです。もちろん長期修繕を見通した積み立てを行うことは当然ですが、実際に大規模改修を行うための積み立てをしていても、修繕費用が不足し、実施できずに先延ばしをするマンションや借金をして実施している状況もあります。 大規模修繕時期を迎えるマンションは、今後も年々増加することを初め、区内マンション居住者もこれからも増加することが予想される中、これへの助成を復活すべきと思うがどうか。また、その際、老朽化した排水管などの改修も助成の対象にすべきだが、答弁を求めます。 これまで区は、分譲マンションの維持管理に関する相談などに、マンション管理士が対応する分譲マンション相談を初め、分譲マンション維持管理セミナーの開催などの取り組みを行ってきました。こうしたマンションを管理する主体は管理組合ですが、この新しい地域コミュニティーの担い手となるマンション管理組合の取り組みに対する支援を区は、セミナーなどを通じて交流会の提案を行ってきたといいます。この組合の取り組みに対する行政支援を充実させることは大変重要で、管理組合同士の経験交流を図るマンションの住民や管理組合のネットワーク化、それに対する支援など施策の充実を図る必要があると思いますが、答弁を求めます。 東京都は昨年、マンションの維持管理について、分譲事業者などが購入者などに対して説明することが望ましい事項と、管理組合が適正な維持管理を行うための具体的な手順や方法などをまとめた「マンション管理のガイドライン」を発行しましたが、区としても積極的普及を行うべきと思うがどうか。 同時に、より区内マンションに即した内容で、足立区としても居住者や管理組合向けにガイドブックやパンフレットの発行を行ってはどうか、答弁を求めます。 少人数学級について 続いて、教育行政について伺います。 この4月から香川県が少人数学級に足を踏み出し、日本全国で東京都だけが40人学級に固執している状況となりました。我が党は、こうした全国の流れも紹介しながら、区単独でも少人数学級に足を踏み出すべきだと主張してきましたが、区教育委員会は、現在の少人数指導で効果を上げると、東京都と同じ方針を崩さない答弁をこの間、繰り返してきました。 そこで質問しますが、仮に東京都の教育委員会が、こうした全国の流れを受けて、40人より小さい少人数学級に足を踏み出す方針に切りかえたとしても、区の教育委員会はそれでも少人数学級より少人数指導の方が優れているとの独自の考えのもとで、少人数学級には足を踏み出さないとの考えを崩さないのでしょうか、答弁を求めます。 児童の安全対策について この間、全国的に発生した事件は、改めて学校の安全について問われており、足立区民にとっても児童の安全は共通の願いとなっています。この間、区としてもインターホンやロックの設置を行いましたが、実際には塀の低い学校や入り口が複数あるところもあり、これで大丈夫と言えない状況があります。 さきの予算特別委員会における我が党の「人が必要だ」の質問に対し、区は「安全のために、人の配置は大事だが、財源困難」だと答弁してきましたが、子どもの安全を守るために財源を手厚く配分することは区民の理解を得られることと思いますが、答弁を求めます。 商店等の日よけ・看板占用料減免の拡充を 続いて、区内業者支援について伺います。 景気が回復したとの報道がされていますが、区内経済を支える中小業者の実態は、さきの予算特別委員会で経営状況が厳しい状況にあるということは承知しておりますと、区みずからが深刻であることを認めています。区は、それを承知の上で一定の減免措置を行っているのだから、そで看板や日よけなどから道路占用料を徴収することは当然だとしましたが、実際に区が個々の商店で免除対象としているのは、塩や郵便切手の販売場所を示す規格化された看板だけです。そで看板を年1平方メートル当たり1万7,700円を一律軽減したといっても8,960円、日よけも年1平方当たり年6,560円を軽減したといっても2,810円ものお金を個々の商店などに対し請求するというものであり、極めて不十分なものとなっていることは既に指摘してきたことです。 この問題では、東京都を初め、23区でも品川区などで中小零細企業を応援するために政策的に免除を行っていますが、区は江東区、葛飾区、江戸川区など実施していない近隣の自治体とのバランスを理由にやろうとはしていません。近隣自治体とのバランスと言いますが、こういうところでこそ先進区を目指す区長の姿勢を示すべきではないでしょうか。 道路占用料の徴収は条例に規定されていますが、同時に区長が必要と認めれば全額免除できることも定められており、区長のやる気次第ですぐにでもできることです。中小零細企業の看板、ひさしの道路占用料免除に踏み出すべきだがどうか、答弁を求めます。 融資について この4月から区の中小企業融資は、利率を金融機関が決めることになり、融資期間も金融機関が利用者の状況に応じて対応するということで、銀行主導のもとで行われることが予想されます。また、これまで返済期間中行われてきた利子補給期間が一律3年に短縮されました。このことは、結果として融資制度において経営が厳しい中小業者を切り捨て、廃業に追い込み、格差を拡大することになると思うがどうか、答弁を求めます。 また、経営状況のいい事業者は、この変更により低金利での融資が可能となりましたが、厳しい経営状況の中で事業改善のために頑張っている業者などにとっては、高い金利でないと融資が受けられない制度となりました。しかし、中小商工業者支援の役割を担う区として、こういう業者こそ低金利で利用できる独自の制度に改善すべきと思うがどうか、答弁を求めます。 清掃行政について 最後に、清掃行政について伺います。 区はこれまでも独自の清掃行政として、ペットボトルのリサイクル回収など積極的に施策を講じてきましたが、今年度から清掃職員の身分が区に移行した中、一層の独自策や区民ニーズに応じた清掃行政の展開が望まれています。 梅雨に入ったこれからの季節、カマドウマ、ゴキブリ、ハエ、蚊、ウジムシなどといったたぐいのものが多く発生してきます。こうした発生もとの一つに家庭で出る生ごみがありますが、特に夏場は家庭の生ごみを早く何とかしたいという願いは根強いものがあります。区として、生ごみの収集の回数をふやす考えはないか。また、身体が不自由な高齢者の場合、朝のごみ出しだけにヘルパーに来てもらうわけにもいかず、非常に苦労している実態があります。例えば登録制による、要介護高齢者に対する各戸回収の実施を行う考えはないか、答弁を求めます。 この6月は、カラスが子育て中で非常に気が荒くなっています。まち中でカラスが襲撃してきた、威嚇されたといった声が最も多く寄せられる時期となっており、深刻な課題となっています。東京都のカラス対策プロジェクトを初め、区としてもこれまで希望者に対して、カラスの巣の撤去や防鳥ネットの配布といった対策を行ってきましたが、より効果的な対策を引き続き区としても行うことが重要と考えます。その対策として、黄色のごみ袋や黄色シートが注目されています。区としてもこの推奨や配布を行うべきと思うがどうか、答弁を求めまして、この場での質問とさせていただきます。 答弁 ○鈴木恒年区長 松尾かつや議員の代表質問にお答えいたします。 最初に、憲法に対する認識についてのご質問にお答えいたします。 戦後60年を経過しまして、今後の国のあり方を定める憲法について幅広く議論がなされることは、意義の深いことと考えております。日本国憲法の改正手続に関する法律案につきましては、今後国会で十分な議論がなされるものと思います。しかし、手続に関する議論と内容に関する議論とを同一視することは適切ではないのではないかと考えます。 次に、教育基本法の改正についてのご質問にお答えいたします。 法律は国民の代表からなる国会の審議を経て成立するものであります。したがいまして、「教育は不当な支配に服することなく」、「法律の定めるところにより行われるべきもの」とする政府案による教育基本法の改正が行われたといたしましても、政府による教育内容への無制限な介入に道を開くことになるとは考えておりません。 他のご質問につきましては、参与から答弁をいたさせます。 ○石川義夫政策経営部長 私からは、税制改正及び市場化テストについてお答えいたします。 初めに、税制改正に対する区の考え方について一括してお答えいたします。 平成18年度の税制改正は、我が国の構造的課題を解決する取り組みの一環であり、今後の持続可能な制度を構築するために、広く、薄く負担を求めていくものであることから、区としては、これらについて特別な軽減措置等を講ずる考えはございません。 平成19年度に予定されている税制改正につきましては、その影響を含めて、国の動向等を注視してまいります。 また、積立基金につきましては、減債基金や義務教育施設建設資金積立基金、竹の塚鉄道立体化資金積立基金などがあり、将来の足立区を築くために必要不可欠な積立金であり、目的外に使用することは考えておりません。 次に、市場化テストに関しましてお答えいたします。 市場化テストの目的は、単なる官業の民間開放ではなく、競争の導入による公共サービスの改革にあります。官民または民と民の競争を行うことにより、官民双方の創意工夫を導き反映させることによって、より良質な公共サービスの実現を図るものでございます。 公共サービス改革法により定められた市場化テストの手続では、透明性・中立性・公平性・公正性を確保することや、サービス水準の維持向上を図るための仕組みが盛り込まれております。また、適切に仕組みが実施されるよう、合議制の機関などによるチェック体制の構築を図ることにも言及しております。 当区では、現在、市場化テスト推進専門部会において、対象とする業務、手続に関する詳細等について検討を進めております。公共サービス改革法の内容及び個別な現行法規制の内容を踏まえつつ、官民協働を推進し、区民サービスの向上が実現できるよう、引き続き取り組んでまいります。 ○坂田道夫区民部長 住区センターの老人館及び児童館の個人利用、並びに管理運営委員会の事業は、原則無料となっております。 団体利用につきましては、受益者負担及び公平性の確保により、今年度から原則有料としたものであります。ただし、公共性や公益性などを考慮し、一部免除団体の規定を設けたものであります。 また、有料化の実施に当たり、利用者団体に対する説明会を多数開催の上、有料化導入の趣旨を説明したところであり、ご理解をいただいていると考えております。 ○丸山 亮福祉部長 介護保険についてのご質問のうち、まず介護保険料についてお答えいたします。 今般の介護保険料につきましては、第3期における給付総額の見込み金額を基礎資料として、足立区地域保健福祉推進協議会に諮問し、答申をいただいて決定いたしました。 さらに、区民の負担を軽減する目的で、税制改正による激変緩和に加え、本人及び世帯全員が区民税非課税の方などを対象とする足立区独自の軽減策を実施しております。 ちなみに、第1及び第2段階の保険料で5割減、第3段階におきましては6割減の方を設定しているところでございます。 次に、昼食代でございますが、軽減策を実施する場合には、介護保険特別会計から支出することになるため、第3期保険給付額の推移を勘案しながら、他方面から検討を行ってまいります。 次に、介護保険外サービスについてお答えいたします。 今後、高齢者の増加が見込まれる中、区の財政負担が大幅に増大するなど厳しい財政状況等を踏まえますと、区が保険外で独自にヘルパー派遣事業やベッドの貸与を行うことは困難であると考えます。 ○佃 朝明都市整備部長 住宅行政についてお答えいたします。 区の住宅施策の目的は、足立区住宅基本条例第1条の、「区民の住生活の安定及び向上を図り、もって生活の豊かさを実感できる住宅及び住環境の実現に寄与すること」でございます。 新しい住宅マスタープランも、この目的に沿って施策を展開できるよう、近年の区内の住宅事情や国、都の動向を見据えながら改定したものでございます。住宅施策の目標の一つに、暮らしの安全・安心を支えることを設定し、区民が安心して暮らせる施策を推進することを掲げております。 今後とも、条例に示す責務に従い、区民及び事業者との協働により、「愛着を育み・魅力を創る」を基本理念とするさまざまな施策を進めてまいります。 次に、公営住宅について一括してお答えします。 都営住宅の建てかえ後の戸数についてでございますが、都の示す管理戸数抑制の考え方及び区の方針であります公営住宅の偏在解消の考え方をもとに、現居住者の住居の確保に配慮して協議した結果、建てかえ後の戸数を約1割減とすることで都と合意いたしました。 また、建てかえ後の住宅の使用につきましては、区内に老朽化した都営住宅が多数存在し、円滑な建てかえを求められている状況がございますので、建てかえ事業用住戸として活用することを都に求めてまいります。 入居承継に係る承認の運用につきましては、公営住宅はセーフティネットの役割を担っており、真に住宅に困窮している人だけが入居するように改める方向にあります。今回の方針では、世代間にわたる承継の見直しを図ったものであり、承継できる範囲を配偶者及び高齢者、障害者等で、特に居住の安定を図る必要がある者とするものでございます。 世帯主が亡くなった後に、長年にわたり同一親族が住み続けることは、入居できない人たちから見れば公平感を欠くと言えます。区としましても、国、都と同様に適正な管理を行ってまいります。 都市機構の賃貸住宅の家賃につきましては、独立行政法人都市再生機構法第25条により、家賃算定が規定されているため、区として機構に値上げを要望する立場にはございません。 次に、マンションの維持改修への助成についてお答えいたします。 従前はリフォーム全般を対象とした助成を行っておりましたが、個人の財産にかかわるものについては、それぞれの責任において対応すべきであるとの観点から見直しを図りました。現在では区の住宅政策に合致したものに対して、一定の条件を設けて支援しております。 また、できるだけ住宅改良助成を受けやすくするため、今年度より金融機関からの借り入れ条件を外しました。 分譲マンション管理組合等のネットワーク化につきましては、区はセミナー開催日にあわせ交流会を開催しております。今後とも自主的なネットワーク化を進めている人たちの経験を広めるなど、相互交流を支援していきます。 また、マンション居住者がこうした機会を十分活用できるよう、PRに努めてまいります。 マンションの維持修繕等に関する情報提供につきましては、全国共通した情報については、財団法人マンション管理センター、住宅金融公庫等がガイドブックやマニュアルを作成し、実情に合ったサポートを実施しております。区としては、これらを活用していただくよう、ホームページや窓口で周知を図っております。広く住まいに関する情報提供につきましては、足立区独自の内容を含めた冊子の作成等充実を図ってまいります。 ○船田榮二建築担当部長 分譲マンションの地震の備えについてのご質問にお答えいたします。 木造住宅を中心とした耐震化を促進するために、足立区建築物耐震化促進計画を昨年策定し、助成制度を新設したところでございます。お尋ねの分譲マンションへの耐震改修助成につきましては、耐震補強に関する相談件数や診断実績の推移、社会情勢等を考慮する必要がありますので、今後の検討課題であると考えております。 また、分譲マンションの耐震診断助成の特例措置でございますが、構造計算書偽装を心配するマンション居住者の受け皿として設けた特例でございます。最終的には、本則の助成制度に戻していきたいと考えておりますが、次年度につきましては、国や都の動向を見きわめ判断してまいります。 次に、耐震ドアにつきましては、建物全体の耐震性を考慮して考えるべきものであり、ドアのみの助成は考えておりません。 しかし、耐震ドアは地震に対して効果があるものと認識しておりますので、新築マンションでの普及につきましては、さまざまな耐震工法の紹介とあわせてPRしてまいります。 ○小平勝夫土木部長 看板、ひさし(日よけ)の道路占用料については、減免措置基準を定め、現在も減免措置を実施しており、看板で最大約8割、ひさし(日よけ)で約6割の減額をしておりますので、全額免除は考えておりません。 ○鈴木 章産業経済部長 区の融資制度に関するご質問にお答えいたします。 平成18年度から移行した融資制度は、国における信用補完制度の見直しと、「区の融資制度は経営基盤の安定に活用されておらず、経営体質の強化に結びつくような制度の運用をすべき」との区民評価委員会の報告を受け実施したものでございます。 また、利率や融資期間につきましては、足立区中小企業等の資金調達の支援に関する条例の範囲内で金融機関が定めるものとしております。 また、小規模の個人事業者とセーフティネット対象の法人事業者を経済的弱者として支援する経営安定資金を創設いたしました。したがいまして、中小企業の切り捨てや廃業に追い込むものとは考えておりません。 また、融資制度の見直しが格差を拡大するとのご質問ですが、むしろ事業者の自助努力による再チャレンジや創業、経営革新、事業の多角化を支援する融資制度であると認識しております。 次に、高い利率でないと融資が受けられないとのことでありますが、信用補完制度の見直しにより金融機関が一部リスクを分担する部分保証に移行しますと、区があっせん利率を設定している場合には、リスクの高い事業者は区の融資制度を利用できないということが考えられます。そういたしますと、利子や信用保証料の補助が受けられないということになります。これらを総合的に検討した結果、本年度より新しい制度に移行したものであります。したがいまして、区の融資制度を見直す考えはございません。 ○江口由紀夫環境部長 清掃行政についてお答えします。 可燃ごみの収集回数につきましては、既に渕上 隆議員にお答えしたとおり、本年度実施する廃プラスチックのサーマルリサイクルモデル事業の中で、不燃ごみとの量の変化を検証しなから検討してまいります。 次に、要介護高齢者等に対するごみ収集につきましては、ふれあい収集として、希望される方には各戸収集を実施しております。今後ともこの中で対応してまいります。 最後に、カラス対策につきましては、17年度個体485羽、巣283個の駆除、撤去に対し、本年5月末時点で、既に個体435羽と229の巣を除くなど、対策を強化しており、ピーク時の推定5,400羽から約1,000羽減少しております。この成果は、防鳥ネット等の普及によりカラスのえさをなくしたことにもよります。こうした状況にありますので、ご提案の黄色い袋やシートの配布につきましては、その効果を見きわめながら検討してまいります。 ○内藤博道教育長 愛国心の強制についてのご質問にお答えをいたします。 「我が国と郷土を愛する」という言葉を法律案に入れることが愛国心の強制につながるとは考えておりません。 評価については、具体的な方法が示されておりませんので、さまざまな意見があると思いますが、いずれにいたしましても、現在国会で審議されているところであり、その動向を注視してまいります。 ○石川純二教育委員会事務局次長 少人数学級のご質問にお答えをいたします。 教育委員会といたしましては、現在の状況では国、都の加配教員に加えて、区独自のステップアップ講師をさらに充実し、引き続き少人数指導の充実を図ってまいりたいと考えております。 東京都教育委員会より具体的な提案が示されておりませんので、今後も引き続き国や都の動向を注視してまいります。 次に、子どもの安全対策についてのご質問にお答えいたします。 学校の防犯設備につきましては、カメラつきインターホンとマグネット錠を設置し、学校の授業中は使用する門を1カ所とするなど、不審者対策を行っております。 今後は、防犯カメラの設置やフェンスの低い学校についてのかさ上げ等についても、行う計画でおります。 また、人の配置でございますが、教職員による校内安全対策のほか、PTAとともに通学路の安全パトロール、町会・自治会への見守りをお願いするなど、地域全体で子どもの安全対策に取り組む体制を整備してまいります。 再質問 ○松尾かつや議員 いま答弁がかなりすれ違いが多いのですけれども、すべてをやっていると時間が終わってしまいますので、そういった意味では要点のところ数カ所だけ答弁漏れがありますので、ちょっとお聞きします。 1点目は憲法にかかわってというところで、私の方では、憲法の改定の動きはまさに海外で戦争できる国を目指していくと裏づけていると思うけれども、区長はどう思うのと聞いているのであって、「同一視することは適切でない」という答弁では、答弁されていないので、ぜひそれは区長の率直な気持ちをお聞かせいただきたいと思っております。 2点目は住区センターの問題ですけれども、「ご理解いただいている」という答弁、理解いただいているかどうかというのを私聞いているのではなくて、実際に私たちがまち中に行くと、同じ区民なのに不公平という声、これが結構多いのですよ。この声について区はどう考えているのか。いま区が進めてきて理解いただいていると。理解いただいたかどうか聞いていませんので、それはしっかりお答えいただきたい。 最後に、教育の問題で、「東京都が示していないので」ということだったのですけれども、私は示したとしたら区はどうするのかと、区の率直な考えを聞いているのであって、示していないのでとはだれも聞いていないので、示したとしたら区はどう考えるのと、その区教委の考えを聞かせてくださいということで、その3点についてお願いいたします。 再答弁 ○鈴木恒年区長 戦争ができるようになるための改正というふうには、私たちはとらえておりません。 ○坂田道夫区民部長 住区センターの有料化の件でございますけれども、私どもは現在46館の住区センターを持っておりまして、大体運営費が年間13億円ぐらいかかっていると。こういった中で適正な負担は当然だと考えておりますし、この適正負担についても、当然一律無料、一律有料ということではなくて、活動の内容によって無料だっり有料だったりというのは当然のことでありまして、これが不公平だとは全く考えておりません。 石川純二教育委員会事務局次長 先ほどご答弁申し上げたとおり、東京都から具体的に条件が示されていない段階で、私どもとしては実施するもしないも検討の素材にならないということで、都、国の動向を注視するとお答えをしたところでございます |
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