3、日本共産党の提案、区長提案の議案などに対する討論
足立区特別区税条例の一部を改正する条例

ぬかが和子議員


大負担増は認められない
 ただいま議題となりました第79号議案、足立区特別区税条例の一部を改正する条例について、日本共産党足立区議団を代表して反対討論を行います。
 本条例は、小泉自民・公明内閣による18年度地方税制改定に連動して、住民税のフラット化、定率減税の全廃などを盛り込んでいます。
 政府は、景気が回復したからといって定率減税の全廃を決めました。しかし、区民の生活実態は、決して回復したと言えるものではありません。今、区民には、昨年の税制改定により、定率減税の半減などによる住民税の負担増の納税通知や、国保料の負担増の通知が一斉に届き、「こんなに高くなったのか」などの苦情電話が4,000件近く殺到しています。
 私たちのもとにも手紙や意見がたくさん寄せられています。「去年1万ちょっとだった住民税が4万円も上がった。国保も介護も上がった。全部引かれると12万円で、家賃も払ってやっていかなければならない。これが長年まじめに勤めてきた者に行う仕打ちか。(70代男性)」「きょう、足立区から納税通知書が私のところにきました。わずかばかりの年金を頼りに、爪に灯をともすようなつましい生活をしている85歳の老人に、今年になってなぜ新たに増税せよというのでしょうか。」どれも悲鳴のような声ばかりです。
 定率減税の全廃は、収入が増えず、逆に増税等にあえぐ区民に追い打ちをかけるものです。1999年に定率減税が導入されたとき、政府は、臨時的措置ではなく恒久的措置だと説明しました。しかも、同じときに恒久的措置として行われた法人税率の引き下げなど、大企業や高額所得者への減税は見直さず、庶民減税だけを廃止してしまう、こんなことは納得できるものではありません。
 また、現在の都民税、区民税の税率は、所得200万円以下が5%、700万円以下が10%、それ以上が13%と累進性を持っていますが、本条例案の住民税のフラット化により、来年度から一律に10%にするものです。これが実施されれば、足立区の納税者の6割、16万3,500人が住民税の所得割の税率が5%から10%へと2倍に跳ね上がります。その分、所得税率が下がるというものの、控除額の違いによって負担増とならないよう調整をするのは人的控除だけで、生命保険料控除、寄附金控除の差によって増税になる区民が生じることを区も認めました。
 委員会の我が党の質疑に対し、区は、「税率方式から所得方式への移行も検討しなければならない」と答弁しました。しかし昨年も、我が党の、17年度税制改定の影響を受ける保育料、国保料などについて何らかの策を講じるべきとの質疑に対し、助役から、全庁的に影響について調査しながら、区として打つ手があるかどうか検討するとの答弁をしながら、結局、調査はしたものの、何も負担軽減策を講じませんでした。政府ですら、各自治体が保育料徴収基準の変更をすることになると思うので、必ずしも保育料が上がることにはならないと言っていたのに、こういった策を講じようとすらしていないのです。
 さきの本会議答弁では、平成17年度の税制改定は、我が国の構造的課題を解決する取り組みの一環であり、広く薄く負担を求めていくものであることから、区としては、これらについて特別な減税措置等を講ずる考えはないと言い、区民の負担増を少しでも抑えようという姿勢が全くありません。
 また、18年度の税制改定に関して、政府は、今回の税率構造見直しの前後で、所得税、個人住民税合計の税負担を増加させないと言っていますが、足立区の国民健康保険料、介護保険料などは、住民税額を基本に定めていますから、住民税が上がればそれだけで大幅な負担増になり、逆に所得税が幾ら下がっても負担が減ることはありません。区長は、今回の税制改定に伴う区民への負担増は行わないという強い姿勢を打ち出すべきです。
 住民税のフラット化は、政府の三位一体の改革による3兆円の税源移譲によるもので、委員会で自民党委員は、自主財源が増えてプラスになるから賛成と言いました。しかし、区財政全般で見ると、区民が払う税金は約48億円増えますが、その分、税源移譲したからと、そっくり所得譲与税が減り、さらに都区財調の交付金も減らされる可能性があり、必ずしも区財政にとってプラスにならないことは、都政新報にも報じられたとおりです。しかも、所得譲与税なら100%歳入されますが、区税は徴収率が下がればそれだけ減収になるため、さらなる区民への徴税強化が懸念されます。区長は、重税にあえぐ区民の暮らしを守ることに目を向けるべきではないでしょうか。
 毎年、負担増によって苦情の電話が数千件も殺到していることは異常な事態です。一人一人の区民の痛みに心を寄せて、波及する負担増を行わないよう強く求めまして、討論を終わります。