1、本会議の質問

代表質問「鈴木自民・公明・民主区政の8年間を問う」
9月22日  ぬかが和子議員

「小泉構造改革」で拡大された貧困・格差、増税・負担増の痛み押し付けから区民を守る姿勢を問う

○ぬかが和子議員 私は、日本共産党足立区議団を代表し質問します。
 自民・公明政権による小泉構造改革は、何をもたらしたのでしょうか。大企業には公的資金投入や減税で救ってやり、その大企業がリストラを進め、国民は不安定雇用の増大とワーキングプアなど、雇用形態が破壊されました。控除の廃止などによる増税や年金・医療の改悪につぐ改悪によって、負担増が押しつけられました。小泉内閣の5年間で、大企業などの法人課税は1兆4,200億円減りましたが、個人所得課税は3兆9,300億円余もふえました。「痛みの向こうに明日が来る」どころか、一層格差拡大と貧困化が進み、貧困世帯と貯蓄ゼロ世帯が急増し、OECD諸国の相対貧困比較では、アメリカについで高い貧困率となりました。
 安倍自民党新総裁は、憲法と教育基本法の改悪を公言する最も反動的な立場とともに、この弱肉強食の小泉構造改革を継承すると宣言しています。
 区民はいま、住民税増税、介護や国民健康保険料の負担増に苦しんでいます。日本共産党足立区議団が15万世帯に無差別に配布した区民アンケートでは、「この1年で暮らしが苦しくなった」と答えた区民が、アンケート実施の6年間で過去最悪の74%に上り、「よくなった」と答えたのは、わずか1.1%でした。生活が苦しくなった理由の第1位が税金の負担増でした。
 「いままで非課税だったのにいきなり7万円も取られる」「40年近く勤めて月の年金が13万4,000円です。その中から家賃4万5,000円を引くと8万9,000円、保険料アップ、税金アップ、それに医療費がかかる。生活が苦しい」など、叫びのような声が書き込まれていました。こうした区民の苦しみを区長はどう受けとめ、これからどう対策しようとしているのか、率直に伺います。

鈴木区政の8年間を問う@「お金はあります」
 次に、鈴区区政の8年間について質問します。
 第1に、区長は就任直後のあいさつで、「2期目のこれからも、区政と財政の残された改革課題を解決すべく、その第2ステップへ移行しなければならない」と言い、財政・区政・社会の構造改革をさらに進めると強調しました。その中で、基本構想では、都営住宅居住者や障害者や社会的弱者が多いことをマイナス要因とし、金がないと必要以上に強調し、区民に我慢とあきらめを強いてきました。この8年間、立派な建物が建ち、区財政は潤い、現在の基金残高は過去10年で最も多い478億円となりましたが、区民の生活は以前にも増して深刻になりました。これは、お金はあっても、区民の暮らしを支えることを最重点に使う視点がない区長の政治姿勢のあらわれだと思いますがどうか、答弁を求めます。

鈴木区政の8年間を問うA施設は廃止、区民サービスは次々とけずる
 第2に、区政の構造改革の目玉として行った包括予算制度により、開発関連費用などの投資的経費は先取りし、福祉部・教育委員会など各部は、残った配分枠でやり繰りする仕組みになりました。各部は与えられた配分枠の中で、区民施設や区民サービスの廃止・縮小をしなければ新しいサービスを実行できず、施策を切る選択を迫られるようになりました。
 その結果、生きがい奨励金の削減、住区センターの有料化、社会教育団体の施設使用料減免制度の廃止、中小企業融資の利子補給・信用保証料等の削減、高齢者福祉電話の縮小、高齢者住宅改修の改悪、緊急通報システムの大幅な負担増を行い、総額わずか195万円で500人以上の障害者が助かっていた障害者補装具の電池交換や、つえ先のゴムまで有料にしました。保育料に至っては、23区でただ1区、2期連続で値上げをし、吉田区長時代の約2倍の保育料にしました。鈴木区政みずからが負担増に追い打ちをかけ、いざというときに区民を支えるサービスを後退させ、格差を拡大しているではありませんか。
 また、区民の財産である区民施設を次々と廃止・売却しました。上総湊健康学園の廃園・塩原林間学園の廃園・区民保養所伊豆高原あだち荘の閉鎖と売却、そして、条例で廃止が決まっていないのに、既に売却を公募した那須区民保養所、この4施設の土地は合計で約12万平米、建設コストと合わせて55億円以上もかけてつくった区民の財産なのに、何と5億円にも満たない金額で売り払おうというのです。区民は、生活が苦しくてもいざというときに支えてもらえる施策が少なくなり、区の施設だからこそ、安いお金で健康・生きがいづくりに楽しめる機会も奪われてしまいました。このことについてどう思うか、答弁を求めます。

鈴木区長の8年間を問うB「官から民へ」の事業はことごとく失敗。税金が食い物に
 第3に、鈴木区長は、PFIや官民のパートナーシップ(PPP)・指定管理者など、外部委託・民間化の新たな手法による官から民への流れを進めることが、財政の構造改革のかなめだとしてきました。
 しかし、その結果は、区民サービスの向上どころか、PFI手法による千寿第三小学校の改築は、地域経済活性化にもコスト削減にもならないことが、三菱総研の調査報告で証明され中止し、いままでどおりの改築を行うことになりました。
 官と民のパートナーシップでつくった旧区役所跡利用の施設は、新産業振興センターという、当初のうたい文句から外れただけでなく、区民にとっては何の施設だかわからない、綜合商事言いなりの施設となりました。
 指定管理者第1号のシアター1010を運営する(株)コミュニティ・アーツは、開設から3年で約20億円もの税金をつぎ込みましたが、乱脈経営で区民から監査請求を受け、運営の健全化のために、官である区職員を民間会社に派遣しなければ立ち行かなくなりました。このことについてどう考えるか、答弁を求めます。

鈴木区政の8年間C区民の意見を採用しない偽りの「協働」
 第4に、社会の構造改革と称して、区民との協働を誇ってきましたが、実態は、区民がパブリックコメントで圧倒的多数がつくる必要がないと意見を出した計画も、策定を強行しました。基本構想策定状況を見ても、区民委員会の基本構想にある「少人数学級の実現」、「大規模店舗に対抗できる商店街の支援策」、「中・高生が自由に遊べる活動できる場所」等は、構想に反映されたとは言えませんでした。結局、区の考えに反する意見は一切採用しない協働ではなかったか、答弁を求めます。

来年度予算編成の姿勢を追及 @自治体の役割を否定につながる鈴木区政
 次に、来年度行財政運営方針・依命通達について質問します。
 第1に、区は依命通達で、これまでの25年間に及ぶ行政改革により、先駆的な試みや民間への業務委託を積極的に進め、2,000名を超える職員の削減をしてきたことを誇るとともに、新たな外部化などにより、さらに削減を表明しました。
 平成15年から6年間で17%定員削減することを区の集中改革プランで宣言していますが、これは、国の骨太方針2006の定員削減目標5.7%を大幅に上回るものです。現在でも、日本の公務員は住民比率で世界で最も少ない上、足立区の公務員比率は全都でも最低なのに、さらに削るべきでない分野まで手をつけようとしています。
 効率的な行政運営は大切ですが、本来、住民サービスを維持・拡充することこそが行政改革の目的であり、職員の削減が自己目的ではありません。官と民の最大の違いは、官は地方自治法に基づき公共の福祉のために存在し、民間企業はみずからの利益のために活動することです。区長は、公務員が少なくなることを美徳のように強調していますが、これは、区職員、ひいては行政の役割の自己否定につながるのではないか、答弁を求めます。
 また、すべての外部化を否定するわけではありませんが、「外部化により姉歯事件、プール給水口死亡事故など相次ぐ事件が象徴するように、民間の経済効率優先のために、安全・安心が揺らぐ事態」や、「シアター1010のように多額の税金が民に投入される」、「区民事務所、公園管理、保育園など区民に直接つながるサービスの担い手が減ることにより、サービスの低下につながる」、「保育パートの時給は820円、学童保育など他の職種は790円と、区役所みずからが率先して低賃金・不安定雇用を大量に生み出し、職員の経験やノウハウが継承されない」など、外部化で生じている問題点について区長はどう考えるのか、答弁を求めます。

Aお金はあっても区民生活を支える視点が全くない来年度予算編成方針
 第2に、予算編成方針は、これまで以上に投資的経費の確保を前提とした財政運営を考えなければならないとし、投資的事業の需要額は、大規模まちづくりプロジェクトの想定事業費640億円を含め、事業費ベースで2,000億円余と想定し、この需要に対応するため、聖域なき歳出削減、経常的事業費の総枠の抑制に努めると強調しています。
 行財政運営方針全体を見ても、区民の生活にかかわる記述は全くありません。このことから見ても、開発関連などの投資的事業のために、区民の生活を支える経常的事業が一層圧迫されることになると思うがどうか。また、方針では、優先順位に基づくめり張りのきいた予算配分と言っています。それならば、いままでの区政運営を改め、区民生活を支えることに優先順位を置くべきではないか、答弁を求めます。

「医療改革」でどんな影響をうけるのか
 次に、小泉内閣の医療改革によって、10月から高齢者などの医療費負担がさらに増大します。それだけでなく、「今後6年で療養病床を23万床も削減する計画」、「健康診断が保険者単位となり、健診制度の解体や変質への懸念」、「65歳以上の高齢者が健康保険料を年金から天引きさることになる」など、重大な問題がたくさんあります。
 特に、75歳以上の後期高齢者の新たな保険制度の創設については、高齢者の際限のない保険料負担増が予想されるとともに、その運営を都道府県単位での広域連合が行うために、保険料や療養給付の水準など、高齢者の生活に重要な影響を及ぼす内容を決めるのに住民の声が届かなくなり、自治体独自の施策ができなくなり、広域連合が保険料取り立て・給付削減の出先機関になる重大な問題があります。区長は、医療改革について、区民や区はどのような影響を受けると考えているのか、答弁を求めます。

大増税・負担増による区民の痛み和らげはやる気になればできる
@介護保険料の引き下げを
 以上述べましたように、区民の生活は、いまでさえ大変なのに、さらに、かつてない困難にさらされることになります。大増税・負担増による区民の痛みを和らげる施策は、区長がやる気になればできることがたくさんあります。そこで、まず介護保険の第1号保険料を引き下げる考えはないか、答弁を求めます。

A国民健康保険について
 また、国民健康保険については、一般減免の拡充と手続を簡素化し周知徹底することにより、対象となる区民が申請しやすくすること、及び高額療養費の委任受領払いを行うべきと思うがどうか。
 年金収入が変わらないのに控除の廃止などで、住民税が非課税から課税になった約1万4,000人の高齢者は、国保料・介護保険料も連動して上がるだけでなく、紙おむつなどの施策も受けられなくなりました。これらの対策について、我が党は昨年1年間求め続けてきました。区は、我が党の質問に対する昨年6月のできることがあるかどうか調査する旨の助役答弁に基づき、影響額の調査はしたものの、結局何も対策を講じませんでした。台東区では、紙おむつなど影響の出る高齢者・障害者の15事業について、独自の激変緩和策を実施し、これが各区に広がっています。足立区でも区の施策についての激変緩和策を講じるべきと思うがどうか。

B障害者控除について
 また、要介護高齢者が障害者控除を受けられれば、最大で5万2,000円の減税になりますが、まだ十分知られていないために申請者はごくわずかです。他の自治体では介護度3は障害者控除、4・5は特別障害者控除適用を自動的に行うなど、高齢者が不利益にならないようにしている例もあります。足立区でも周知の拡大と適用緩和を行うべきと思うがどうか。

C来年も負担増―住民税フラット化で多くの区民の住民税額が2倍に
 さらに、来年も住民税のフラット化によって税率が5%から10%へとはね上がる区民が15万人以上と予想されます。その分、所得税はおおむね下がるというものの、国民健康保険料がそのまま連動すれば大幅値上げとなり、また、定率減税の全廃、住民税増税の経過措置の縮小もあり、大きな負担増となりかねません。保育料への定率減税半減の影響も新たに受けます。
 来年度、区民の収入がふえないのに、さらに負担増となる項目、影響はどのようなものか。また、さらなる負担増とならないようにすべきと思うがどうか、答弁を求めます。

来年度予算編成へ区民の願い反映をせまる
【子育て支援について】
 次に、来年度予算編成に生かし実施することを求める施策について質問します。
 子育て支援については、給料や労働時間・育児休暇など働く環境の改善と経済的支援、子育ての環境整備など各側面からの支援が欠かせません。区民アンケートにも、30代の女性から、「もっと子どもが欲しくても経済的理由から断念しました。出産費や健診代、幼稚園など、かかる費用はふえていくばかりです。児童手当といっても保険料くらいにしかなりません」と、声が寄せられていました。そこで、特に足立区でもできる子育ての経済的支援と子育ての環境整備について質問します。
 第1に、小児初期救急・夜間診療の19年度完全実施に向け、関係機関への支援を強めるべきと思うがどうか。
 第2に、妊婦健診の回数をふやし、子ども医療費助成の通院医療部分については、中学3年生まで段階的に拡充をする考えはないか。
 第3に、第2子以降の保育料を免除するとともに、既に値上げが決まっており、全額徴収で値上げ幅が2倍になる20年度以降の保育料も、現在のまま据え置くべきと思うがどうか。
 第4に、学童保育の待機児解消を行うべきですが、来年度の増設計画を伺います。また、現在、児童定員数10人未満の民間学童保育室については、補助金を出さないとしていますが、これではせっかくつくった学童保育室が撤退する事態も招きかねません。少人数の民間学童保育室への補助も実施するべきと思うがどうか。以上、答弁を求めます。

【「耐震化計画」の促進について】
 耐震化計画の促進のための耐震診断・補強の充実についてですが、区長は学校の耐震補強工事については、20年度までに前倒しして行うことを表明していますが、老朽化が激しいため改築を必要とする4校については、新田中学校を除いて計画が全く明らかになっていません。西新井小学校など、耐震補強から除外されている改築対象学校の具体的な改築計画を明らかにされたい。
 また、マンションの耐震診断助成は今年度限りとしていますが、来年度も継続し、耐震補強工事への助成制度をつくるべきと思うがどうか、答弁を求めます。

【シルバーへの雇用の拡充について】
 区民アンケートの、「地域経済・雇用施策分野ですぐに取り組んでほしい区への要望」のトップは、シルバーへの雇用の拡充で、2,800人ぐらい登録しているようですが、半分近い人が仕事に従事できないといった声も寄せられています。高齢者の就労支援について、シルバー人材センターへの事業委託をふやすとともに、全庁的な体制をとって抜本的に強化するべきと思うがどうか、答弁を求めます。

【30人学級など教育環境の整備について】
 次に、教育環境の整備についてですが、第1に、30人以下学級の早期実現を国、都に働きかけるとともに、区としても少人数学級の実施に踏み出すこと。第2に、学校図書館に司書を配置すること。第3に、子どもたちを犯罪から守る安全対策や地域防災への対応のために学校警備の職員を配置する必要がありますが、答弁を求めます。

介護保険の改善をせまる―抜本的な改善提案―
 次に、4月から改悪介護保険法が全面施行され、多くの高齢者が公的な介護サービスを奪われています。介護度が低いとされた高齢者は、介護保険で利用してきた介護ベッド、車いす、ヘルパーやデイサービスなどを取り上げられています。
 また、昨年10月から介護施設の居住費・食費が全額自己負担になったため、高齢者の負担増と施設への経営圧迫も重大です。どんなに介護度が高くても、家事援助ヘルパーは1日1.5時間以上の訪問がカットされました。
 区民アンケートでは、脳性麻痺でてんかんの9歳の 長男、知的発達がゆっくりの5歳の男児、手のかかる3歳の男児の3人の子を持つ37歳の女性から、子育てだけでも手いっぱいなのに、隣に住む祖母が認知症と骨折で介護度5です。ヘルパーも、生活援助は1.5時間までなどといわれ、ショートステイも負担増、寝不足で、まず精神からやられてしまいそうですとの訴えが届きました。政府与党が宣伝した介護予防や自立支援とは、全く逆のことが起きているではありませんか。
 これまでも介護保険の実態は、保険料は、現役時代の給料からも年金からも容赦なく天引きされながら、基盤整備のおくれからサービスは選べず、低所得者には利用料の負担が重いなど、保険あって介護なしと指摘されてきました。
 今回の改悪は、一層の負担増に加えて、介護の社会化という最大の看板まで投げ捨てて、要介護度が低いとされた高齢者をサービスから門前払いするものです。介護保険は、保険料だけ取り立てて介護は受けさせない制度へと、重大な変質を始めていると言わざるを得ません。
 公的な介護制度は、改善・充実こそ求められています。改革というなら、1、保険料・利用料を支払い能力に応じたものに改める。2、在宅でも施設でも安心して暮らせる条件整備。3、介護・医療・福祉などの連携による健康づくり。4、介護労働者の労働条件の改善。5、これらの実現のためにも国庫負担を増額するなどの改善こそ、本来必要と思うがどうか、答弁を求めます。

―足立でできる改善を具体的に提案―
 次に、介護保険の具体的施策についてです。
 第1に、要介護1以下の軽度の高齢者の特殊ベッドの貸与の中止について、介護度により機械的に判断すべきではないと思うがどうか。また、新宿・港・中央・豊島・北区などは、一般寝台を日常生活用具の給付項目に加え、ベッドを取り上げ等る軽度の要介護高齢者などに対し、ベッドがあるからこそ起き上がりができる高齢者からベッドを奪わないで支援すると、自治体独自の助成を行うことになりました。これこそが真の介護予防の精神ではないでしょうか。足立区も同様の施策を行う考えはないか。
 第2に、生活援助ヘルパー派遣の1.5時間の上限化によりサービスが受けられなくなった高齢者に対し、必要に応じて他自治体のように介護保険外の施策で補うべきと思うがどうか。
 第3に、デイサービスなどの食事代は、4月から保険適用から外れ、負担が重くのしかかっています。この負担軽減策を求める請願を区議会で採択しましたが、区は第2回定例会で、介護保険特別会計から支出することになるため、保険給付額の推移を見ると答弁しています。しかし、食事代の負担は介護保険給付から外された施策なので、介護保険会計から支出するなどという理不尽なことに固執せず、一般財源で行えばすぐに実現できます。介護保険会計を理由にするということは、実施をおくらせ拒否することに等しいのではないでしょうか。他区では一般会計でやっているのに何で足立区ではできないのか。
 第4に、高齢者の住みなれた地域での生活を24時間体制で支える地域密着型サービスのうち、小規模多機能型施設について、区の補助金申請はゼロであり、今年度5カ所の整備目標の見込みが立っていません。計画的に整備をすべきと思うが、今後の具体的な計画と見込みを示されたい。
 第5に、介護職員不足が生じつつあります。特養ホーム経営者が口をそろえて、介護職員が集まらないことを指摘しています。昨年10月とことし4月に介護報酬が大幅に切り下げられたため、多くの介護施設などの経営が苦しくなり、介護労働者の労働条件はますます過酷になりました。このままでは、介護サービスの質は維持できず、結局、一番被害を受けるのは利用者やその家族です。介護職員の確保・育成のため、経営が苦しい中、地域に根差してサービスを提供している事業者への支援を行うべきと思うがどうか。
 第6に、先日、区内住区センターで行っている筋力トレーニング、はつらつ筋力教室の見学に行きました。専門家のアドバイスを受けて高齢者が生き生きと体操を行っていましたが、このうち本来、介護予防の対象である特定高齢者は1人しかいないと聞きました。我が党が繰り返し指摘してきたように、健診による対象者の絞り込みが原因であり、4、5月の健診受診者約2,000名のうち、対象がわずか100名未満です。区は、今後区内の住区センターなど28カ所で行うこととしていますが、高齢者の介護予防策として希望者だれもが受けられるようにし、講座終了後も引き続き自主的にトレーニングを受けられる仕組みづくりを行うべきと思うがどうか、以上、答弁を求めます。

障害者施策の改善提案
 次に、障害者施策についてです。
 障害者計画の策定が法で義務づけられ、区は今年度中に策定するとしていますが、策定に当たっては、当事者や保護者の意見を聞き、必要なサービス量を十分に確保する立場で臨むべきと思うがどうか。
 また、障害者自立支援法が4月から実施されて5カ月がたちました。原則1割の応益負担による大幅な利用者負担増や、施設経営をおおもとから揺るがす報酬の激減などの問題点が浮き彫りになっています。日本共産党区議団は、独自に障害者のシンポジウムを開き、障害者の方々の意見を伺い、繰り返し改善を求めてきました。
 区は、ことし10月から主体的に行う地域生活支援事業では、これまでの事業経過を見て、一律の基準設定はせず、個々の事業ごとに対応し、負担についても障害者本人の区民税課税状況により負担の軽減を行うこととなりました。法内施設利用者も含め、一層の負担軽減や就労支援、障害者施策の前進を図るために質問します。
 第1に、障害区分認定について、区は認定結果によって従来のサービス量は後退させないよう配慮するといってきましたが、新たに障害を負うことになった方へはどのようにサービス量を確保するのか。また、知的・精神障害の区分認定結果が低く出る問題について、我孫子市のように、独自の項目の追加などを行う考えはないか。
 第2に、法内施設の通所施設は、4月までは昼食の食材費のみの負担で済んでいましたが、施設利用料なども払うことになり、平均月1万円近い負担増になっています。一方、区は、支援費制度からの移行で補助割合が半分に減り、実質3億7,500万円の新たな財源も生まれています。この財源も活用して、利用料負担軽減策の拡大・充実を図るべきではないか。
 第3に、小規模作業所など精神障害者の通所施設の利用料は、引き続き無料で利用できるようにすべきと考えるがどうか。また、作業所の運営費補助を来年度以降も継続するよう都に強く求めるべきと思うがどうか。
 第4に、10月からの新体系移行に当たっては、より就労支援が重視されることになります。障害者が就労したくても、雇用する側とのミスマッチにより就労が進まない実態もあり、就労支援をさらに進めるためにも、どうしたら雇用し定着できるかなどの調査と就労意欲を実際の就労に結びつけるための支援強化を図るべきと思うがどうか、答弁を求めます。

地球温暖化対策を足元から
 次に、地球の温暖化は、地球規模の環境問題の中で最も大きな課題です。大量生産、大量消費、大量廃棄を伴う事業活動や家庭生活から発生する二酸化炭素などの温室効果ガスの増加により、気候が変化して集中豪雨や干ばつなどの自然災害がふえたり、生態系の変化により、生物の種の絶滅が生じるなど、深刻な影響を与えます。既にその兆候は始まっています。
 1997年12月、温室効果ガスについて、各国の削減目標などを決めた京都議定書が採択され、これを受け、98年10月に地球温暖化対策の推進に関する法律が公布されまた。しかし、この目標を100%到達したとしても、2100年までに先進国で80%近いCO2を削減しなければ回復不可能な環境破壊で、人類の健全な生存が脅かされるとも言われています。
 地球温暖化問題は、国際的なレベルでの施策や取り組みに加え、地球に住むすべての人々が従来の生活を見直し、それぞれの立場で省資源・省エネルギーなどの行動を実践することが大切です。例えば、1枚のポリ袋を使わずごみとして出さないだけで20ワットのエネルギーの節約になり、その分、CO2の発生を抑えることができます。ごみになるものを購入せず、減量するリデュースを中心に3Rを進めることと、緑化やCO2 削減などの直接的な地球温暖化対策の両側面から環境施策を進めることが必要です。

温室効果ガス削減目標と行動計画について
 区でも、これまでさまざまな取り組みを行ってきましたが、さらに全庁的に取り組みを強化する必要があります。区は、温室効果ガスの削減目標について、事業所としての目標は持っていますが、区民生活を含めた区全体の削減目標がありません。法20条では、市町村は「京都議定書目標達成計画を勘案し、その区域の条件に応じて、温室効果ガスの排出の抑制の総合的かつ計画的な施策を策定・実施するよう努める」とうたっており、この立場から、行政区としての削減目標を持ち、地球温暖化対策地域協議会を設けるべきと思うがどうか。

CO2を排出しない自然エネルギーの活用を提案
 第2に、今年度、学校の残菜リサイクルシステムがモデル実施されましたが、その効果を明らかにし、一層の促進を図る必要があると思うがどうか。
 第3に、CO2を排出しない自然エネルギーの一層の活用について、目標を持ち取り組む必要があります。今後、新規に建築する施設等については、太陽光発電システムを導入し、CO2削減とともに災害時にも役立つ施設とする考えはないか。また、家庭の廃油を拠点回収し、廃油を活用したエコカー(区の広報車)として、さらに広げるべきと思うがどうか。

プラスチックを「燃えるゴミ」にするサーマルリサイクルは環境対策に逆行
 第4に、区は9月からプラスチックを焼却するモデル事業を行い、20年には全区実施を行うとしています。しかも、23区清掃一部事務組合は、23区全体でプラスチックを焼却する事業のために、各区に出資をさせ、10月にも東京ガスとの合弁会社を設立しようとしています。もともと熱効率の悪い廃プラスチックを燃やすことで発電しようとすると、各自治体はプラスチックを大量に燃えるごみとして回収することに血道を上げなくてはならなくなります。現に、モデル実施を始めた舎人地域では、「トレイやペットボトルまで燃えるごみとして出されていた」、「資源ごみまで燃えるごみ出されていた。分別のルールが全部崩れた感じだ」といった声が上がっています。分別・資源回収への住民の協力と熱意に水を差し、どうせ燃やすのだからと、ごみ排出抑制の意識を弱めているではありませんか。しかも、合弁会社が設立されれば、モデル実施後に焼却による排出ガスの安全性などを検証して判断をする余地さえありません。
 事務組合の議員である議長としも、計画を見直す立場で発言されるよう望むものです。廃プラスチック焼却への方向転換は、プラスチックごみを減らす努力に逆行し、大量消費・大量廃棄に道を開くものとなりかねません。また、安全性の面でも検証が不十分と思うがどうか。
 第5に、より一層の意識啓発を進めるために、地球温暖化と私たちのできることなど、わかりやすいパンフレットの普及や、ごみ減量を含めた意識啓発作戦を一層強めるべきと思うがどうか、答弁を求めます。

栗原丁目交番の存続を強く要求
 次に、安全安心で快適な地域のまちづくりについてです。
 東京都は、空き交番の解消とパトロールの強化のために都内123カ所の交番を廃止し、その分の人員を残った交番に振り分けるという計画を発表しました。その中で足立区内では、栗原四丁目交番など3交番を、来年4月から廃止にすることを打ち出しました。区は議会と連名で存続の要望書を出され、その後、栗原四丁目交番など2カ所については用途変更を行い、建物は残す方向が打ち出されました。しかし、これはあくまでも交番ではなくて、交番の機能を十分に果たせません。改めて強く存続の声を上げるべきと思うがどうか。

狭く危険な本木新道の改善を要求
 また、本木新道は、歩道が大変狭く危険です。その上、歩道の中心に電柱や郵便局ポストがあり、車いすやベビーカーで通ることもできないところが23カ所もあります。安心して通行できるよう、電柱等の地中化を進めるべきと思うがどうか。また、当面可能なところから電柱等を歩道の端に移設するように働きかけて、歩行空間を確保すべきと思うがどうか。
 最後に、興本地域は、公園・緑地が少ないため、足 立区公園計画でも地区公園の新設が必要な地域2カ所のうちの1カ所です。地域偏在を解消し、公園、プチテラス・緑地を計画的にふやす考えはないか、答弁を求めまして、この場からの質問を終わります。

答弁

【区長答弁】
○鈴木恒年区長 ぬかが和子議員の代表質問のうち、私の政治姿勢についてのご質問にお答えいたします。
 今年度実施された税制改正は、我が国の構造的問題を解決するために、我が国の将来を見通して、国家的レベルで結論が出されたものでありまして、国民全体の共通ルールであると認識しております。
 個々の区民の痛みを和らげていくことも政策選択の一つではあります。しかし、私は、基本計画を着実に推進することによりまして、足立区の所得、経済、そして社会の構造を改革し、持続可能な地域社会を確立すべきであると考えております。また、多くの区民の皆様は、そうしたことを理解していただいていると確信をしております。
 次に、基金残高についてでありますが、確かに区長就任以来、基金残高は増加しております。しかし、増加した主な基金は、減債基金や竹の塚鉄道立体化資金積立基金、地域福祉振興基金などであり、将来にわたって安定的に区民サービスを提供していくために必要不可欠な基金であると認識しております。したがいまして、いま基金を取り崩す考えはありません。
 次に、包括予算制度は、直接区民と接し、事業を執行していく各部が知恵を絞って限られた財源をより有効に活用できるようにしたものであります。7年連続で区民税が減収となった状況下でも、扶助費は拡大し続けるといった、極めて厳しい状況に区財政はあります。
 こうした中にありまして、学校改築や普通教室の冷房化など、区内の小中学生の学力向上のための環境を整える上でも、一定の投資的経費を確保することは、今後ますます重要になってくると考えております。
 限られた財源をさらに有効活用していくためにも、複数年度による目標管理方式と包括予算制度の定着、充実を図ってまいりたいと考えております。
 また、生活の苦しい方々に対しましては、各分野にわたって各種の施策が講じられていると考えております。
 他の質問につきましては、参与から答弁をいたさせます。

【区長の政治姿勢に関わる答弁】
○石川義夫政策経営部長 私からは、PFIや官民パートナーシップ制度を初めとした政策経営部所管のご質問にお答えいたします。
 まず、PFIや官民パートナーシップ、指定管理者などの制度に関するご質問につきましてお答えいたします。
 PFI、官民パートナーシップ、指定管理者などの制度は、単に官業の民間開放を促進するものではありません。目指すところは協働の推進による区民サービスの向上であります。これまでも先駆的な試みを積極的に実践し、その都度、生じた問題、課題には真摯に取り組み、区民の方の信頼確保に努めてまいりました。
 今後も、さまざまな工夫を図りながら、区民サービスの向上を目指して努力してまいります。
 次に、政策形成への区民意見の反映についてお答えいたします。
 基本構想策定審議会における委員の区民公募やパブリックコメントなど、施策の構想段階や重要な政策形成過程において、区民が自由に意見を発言できることは、区民の参画を促すための重要な要素であると考えております。
 こうした機会を制度として保障するために、自治基本条例を制定いたしまして、協働の前提となる区政の透明化と、区民との協働を進めているところです。
 また、パブリックコメントで寄せられた意見につきましては、最終的な案を決定する際に意見を十分に考慮いたしますが、必ずしもその意見に拘束されるわけではございません。
 ただし、パブリックコメント実施要綱第9条に規定されているとおり、寄せられた意見に対する区の考え方もあわせて公表することで、区民の多様な意見を区政に反映させてまいります。
 次に、新たな外部化と職員削減についてのご質問にお答えいたします。
 官と民が共に力を合わせて新しい公共を築いていくという大きな流れの中にあって、また、引き続き厳しい財政状況の中で良質な区民サービスを確保する上からも、職員の削減と外部化の推進は必要であり、職員数の削減等が行政の役割の自己否定につながるものとは考えておりません。
 また、こうした考え方に基づき外部化を進める際には、例外なくすべての事務事業を検討の対象としており、区民事務所、公園管理、保育園の業務も例外とは考えません。
 今後は、透明・中立・公正な競争条件のもとで官と民、民と民が競争し、新たなサービスを生み出すことが必要であり、このことは適正な賃金水準による新たな雇用を区内に生み出すことにもつながるものと考えます。なお、達成すべきサービスの水準の明確化と、その達成度をモニタリングするシステムの整備が重要であります。このことにより、適格な能力を有した事業者による適正な価格の質の高いサービスが確保され、民間の効率優先のために安全・安心が揺らぐのではないかという危惧を払拭できると考えます。
 さらに、外部化に伴い、蓄積した職員の経験や知識が事業者と共有され、それに民間の顧客サービスの視点等が加味されることより、さらに良質なサービスが生み出されると考えます。
 区は今後も、引き続き職員の削減や事務事業の効率化に不断に取り組み、基本構想に掲げた力強い足立区の実現に努めてまいります。
 次に、予算編成方針についてお答えいたします。
 投資的事業費につきましては、中期財政計画や小中学校の建てかえ問題に代表される区有施設の更新問題などを加味し想定するとともに、より長期的な視点に立った事業見通しが不可欠となってきております。
 加えて、毎年ふえ続ける扶助費などの経常的事業費は、適切な進行管理が欠かせません。限りある財源をいままで以上に有効活用していくためには、職員定数削減による総人件費の抑制や行政評価による施策や事業の選択と集中、基金や区有財産の活用等により、最大限の財源確保に努めつつ、引き続き区民サービスの質的向上を目指してまいります。
 次に、紙おむつ等、税制改正によって負担増になった区民福祉施策については、持続可能な制度を構築していくために、広く薄い負担を求めるものであり、具体的な対策を行う考えはございません。
 最後に、平成19年度に予定されている税制改正でございますが、所得税から住民税への税源移譲であり、所得税と住民税の合算額は変わらないものと認識しております。
 また、区民福祉施策につきましては、住民税が課税されているか否か、もしくは所得額によって決定されているものがほとんどであり、23区統一基準に基づく国民健康保険料を除いて、区民生活に大きな影響は発生しないと認識しております。
 また、定率減税半減による保育料への影響につきましては、定率減税導入前の水準に戻る過程であると認識しております。

【医療改革・負担軽減などの答弁】
○坂田道夫区民部長 私からは、3点についてご答弁申し上げます。
 まず最初に、医療制度改革は、平成24年までに7段階で実施されます。このうち区民の皆さんに影響する事項といたしましては、高齢者の患者負担割合の引き上げ、乳幼児の患者負担軽減の対象を就学前まで拡大、保険給付内容の見直し、75歳以上の方の新たに創設される後期高齢者医療制度への移行等が上げられます。
 区に影響する事項といたしましては、国民健康保険を運営する保険者として、国や都の医療費適正化計画に基づく区の実施計画の策定と、生活習慣病予防に着目した健診・保健指導が義務づけられます。
 また、従来の老人保健制度にかわり、都内全区市町村が加入する東京都後期高齢者医療広域連合への職員の派遣と経費の負担がございます。これにあわせて、広域連合との役割分担や行政内部の機能の再編なども必要になってまいります。
 この改革により、医療保険制度が将来にわたり持続可能なものとなり、医療サービスを安心して受けることができるようになるものと考えております。
 続きまして、国民健康保険料の減免につきましては、条例及び減免取り扱い要綱により行っており、23区統一基準で実施しておりますが、個々の減免の相談につきましては、現在の収入実態に見合った対応をしております。
 制度のPRにつきましては、「あだち広報」、「国保だより」、「国保のてびき」などを活用し、今後も周知に努めてまいります。
 高額療養費の委任受領払いにつきましては、厚生労働省が19年度から70歳未満の入院患者の高額療養費を現物支給する方針を明らかしております。区におきましても、法令に基づき実施するため、準備作業を進めているところでございます。
 続いて、学童保育の待機児解消についてでございますが、平成19年度につきましては、千住西地区において2カ所の新設、他の2カ所の定数増を予定しております。民間学童保育室への補助につきましては、待機児解消に資すると認める場合、10名を超える保育室を対象に補助してまいります。

【障害者・介護保険にたいする答弁】
○丸山 亮福祉部長 介護保険第1号被保険者の保険料についてお答えいたします。
 平成18年4月に改定いたしました介護保険料は、第3期における給付総額の見込み金額を基礎資料として足立区地域保健福祉推進協議会に諮問し、答申をいただいて決定いたしました。したがいまして、引き下げる考えはございません。
 次に、要介護高齢者の障害者控除についてお答えいたします。
 要介護高齢者の方への周知につきましては、介護保険課で要介護認定を受けられた方に送付する案内文の中で詳しく説明しております。特別区民税・都民税の申告の手引きや区のホームページでも、同様の説明をしているところでございます。
 適用につきましては、訪問調査を行った上で、国の通知に基づいて作成した判定表により適正に認定を行っているところでございます。
 次に、介護保険制度についてお答えいたします。
 まず、保険料・利用料を支払い能力に応じたものに改めるにつきましては、足立区ではこれまでの5段階から8段階へと、より支払い能力に応じた段階区分に改めるとともに、低所得者に対する負担軽減措置を講じたところでございます。また、介護サービスの利用料には、生計困難者に対する負担軽減制度がございます。
 在宅でも施設でも安心して暮らせる条件整備につきましては、高齢者の実態調査を踏まえまして、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるために、平成18年度から20年度の高齢者保健福祉計画と第3期介護保険事業計画を策定いたしました。
 介護・医療・福祉などの連携による健康づくりにつきましては、介護予防重視がまさしくこの目的のために創設されたところでございます。
 介護労働者の労働条件の改善につきましては、介護報酬体系を設計する国の政策によるものと認識しております。
 これらの実現のためにも国庫負担を増額するにつきましては、全国市長会を通じ、国庫負担金の充実について要望しているところでございます。
 次に、要介護度1以下の軽度の高齢者に対する寝台の貸与についてお答えをいたします。
 軽度者に対する特殊寝台の貸与につきましては、その状態に応じて一定の条件に該当する方については、保険給付の対象とされており、介護度をもって機械的に判断しているものではございません。
 また、区が保険外で独自にベッドの貸与を行うことは、今後、高齢者の増加が見込まれる中、区の財政負担が大幅に増大するなど、厳しい財政状況等を踏まえますと、困難であると考えております。
 次に、介護保険外のヘルパー派遣につきましては、保険外でのヘルパー派遣事業については実施する考えはございません。
 次に、通所介護事業における昼食代についてお答えをいたします。
 施設入所者のホテルコストや食事代の利用者負担は、施設入所者と在宅の利用者負担の公平性を図るために導入された介護保険制度の基本にかかわる改正であったと認識しております。
 ご質問の中で引用されました区の回答は、通所介護事業における昼食代についてお答えしたものでございまして、昼食代の軽減策を実施する場合には、介護保険特別会計から支出することになりますので、引き続き、第3期保険給付額の推移を勘案しながら検討を行ってまいります。
 小規模多機能型居宅介護サービスについてお答えをいたします。
 小規模多機能型居宅介護サービス施設につきましては、これまでに事前相談は10を超える事業者からありまして、そのうち数件は現在も相談継続中でございます。第3期における整備計画数は5カ所となっており、引き続き整備に努力してまいります。
 次に、事業者支援についてお答えいたします。
 介護職員が集まりにくい点については憂慮しておりますが、基本的には介護報酬体系を設計する国の施策によるものでございまして、区の財政状況を踏まえますと、事業者に対する新たな支援を行うことは困難であると考えます。
 次に、筋力向上トレーニングについてお答えいたします。
 今後、筋力向上トレーニング講座を終了された方や一般高齢者の方が身近な施設で介護予防プログラムを受けられる仕組みを検討してまいります。
 次に、障害者計画の策定についてお答えいたします。
 障害者計画及び障害福祉計画の策定に当たりましては、国の策定指針に基づき、必要なサービス量を明らかにしてまいります。
 また、障害者団体等からの意見聴取や、パブリックコメントを実施いたしまして、計画に反映してまいります。
 次に、障害者自立支援法に基づく支給決定についてお答えをいたします。
 支給決定に当たりましては、障害程度区分を参考とはいたしますが、障害者本人の生活状況やサービス利用意向などから、一人一人の支援計画を立て、そのために必要なサービス量を支給決定しております。したがいまして、障害程度区分の認定に独自の項目を追加する等の必要はないと考えております。
 次に、利用者負担の軽減についてお答えいたします。
 制度移行による補助割合は変更となっておりますが、入所施設の開設準備及び運営についてなどの新たな負担もふえておりまして、それを財源として利用料の負担軽減を図るということは考えておりません。
 次に、就労支援についてお答えをいたします。
 障害福祉センター雇用支援室では、求職の相談に対して、個別に面談や作業の評価を通じて就労ニーズと適性を明らかにしております。
 その結果を本人と共有して求職活動を進め、企業側とのマッチングを図っております。
 また、実習から就労初期までの定着支援は、会社訪問・会社側キーパーソンとの連絡等頻度を多く行うことが通例となっております。
 他区の支援機関とも情報交換を定期的に実施しており、さまざまな事例や機会を通じまして実施把握を行っています。
 それらのノウハウをもとに一層の支援強化を図ってまいります。

【衛生行政に関する答弁】
○黒岩京子衛生部長 小児初期救急平日夜間診療事業につきましては、平成19年度は週2日の試行実施、平成20年度以降早期に週5日の完全実施を目指し、医師会と協議しております。
 また、事業実施に必要な備品購入等の予算も確保しております。
 次に、精神障害者の通所についてお答えいたします。
 精神障害者の社会復帰のためには、通所施設の継続利用が重要であると認識しております。このため、利用料の本人負担への支援を優先して行いたいと考えております。また、運営費補助の継続につきましては、現在、東京都へ要望しているところでございます。

【子育て支援についての答弁】
○高木直樹子育て支援担当部長 子育て支援についてお答えいたします。
 まず、現行の妊婦健康診査公費負担制度は、利用者の利便性を踏まえて、東京都内の全自治体が共通実施している制度であり、その実施回数増につきましては、東京都を初め関係機関へ働きかけてまいります。
 また、子ども医療費助成制度についてですが、中学3年生までの通院医療費を助成対象にするためには、大きな財政負担が必要になることから、東京都の補助制度の動向や財政状況を見ながら段階的に検討してまいります。
 次に、保育料に対するご質問にお答えいたします。
 このたびの保育料改定は、足立区子育て支援サービス利用者負担適正審議会の提言を受けて実施されたものであり、第2子については減額を実施し、第3子以降につきましては無料にいたしました。この保育料改正で生じた新たな財源で、保育サービスだけでなく、新たな子育て支援策の充実を図っておりますので、第2子の保育料の免除や平成20年度以降も保育料を据え置くことは考えておりません。

【マンション・高齢者就労に対する答弁】
○船田榮二建築担当部長 分譲マンションの耐震助成制度のご質問にお答えいたします。
 昨年、耐震偽装問題が発覚して以来、マンションにお住まいの方の不安は、いまだ解消されておりません。また、依然、旧基準で建てられた多くのマンションが手つかずの状況ですので、現在の特例制度を継続する必要があると考えております。国や東京都の特定財源も充実してきましたので、助成制度の新設・拡充に向けて総合的に検討してまいります。
○鈴木 章産業経済部長 高齢者の就労支援についてお答えいたします。
 現在、足立区シルバー人材センターの受託事業における公共事業部門の契約金額の比率は、約52%となっております。委託事業としては、広報紙等の配布、学校管理、学童擁護など多くの分野にわたっております。今後も、民間企業への業務の発注にも配慮しながら、委託事業をふやすことについて検討をしてまいります。
 また、今後、団塊の世代の大量退職も見込まれており、高齢者の就労支援につきましては重要な課題と考えておりますので、関連する部とも連携し、シルバー人材センター事業のなお一層の活用も含め検討してまいります。

【環境・ゴミ問題への答弁】
○江口由紀夫環境部長 私からは、環境問題についてお答えします。
 まず、温室効果ガスの削減目標ですが、現在、23区でCO2の排出量算定のため、共通の算定手法の検討を行っております。この検討結果を踏まえ、CO2排出削減目標を定め、地球温暖化対策に関する地域推進計画の策定を検討してまいります。
 地球温暖化対策地域協議会の設置につきましては、環境審議会等の活用で対応してまいります。
 次に、学校給食残菜のリサイクルですが、今年度試行で弥生小学校と古千谷小学校に生ごみ処理機を設置し、5月から本格稼働をいたしました。7月までの3カ月間に、2校で約5,300キログラムの給食残菜を肥料化することにより、生ごみの減量化が図られました。
 今後は、家庭の生ごみの受け入れをNPOに委託するとともに、肥料の一部を学校菜園での児童の野菜づくりに活用したり、このリサイクルシステムをもとに学校や地域で食育や環境教育をテーマに環境学習講座を開催するなど、事業を推進してまいります。
 次に、自然エネルギーの活用についてお答えいたします。
 新規に建築する施設等に対しましては、太陽光発電システムの導入を初め、雨水利用や風力発電など、自然エネルギー導入の普及を推進するよう働きかけを行い、CO2の削減を図ってまいりたいと考えております。
 次に、廃油を活用したエコカーのご提案についてですが、化石燃料の枯渇やCO2の排出抑制への対応といった観点から有効であると考えております。今後、他の自治体の取り組み等を踏まえ研究してまいります。
 次に、廃プラスチックのサーマルリサイクルにつきましては、マテリアルリサイクル・再資源化を進める一方、区民への啓発等により、ごみ量の増とならないよう対応してまいります。
 また、安全性の確保につきましては、清掃工場では法令の規制値より厳しい自主規制値を設定し、安全に十分配慮しながら進めてまいります。
 最後に、意識啓発についてお答えします。
 これまで区では、地球温暖化啓発冊子「あだちエネルギーダイエットノート」、「聞こえますか?地球のS・O・S」等の作成のほか、環境省や東京都、8都県市首脳会議環境問題対策委員会が作成したパンフレットやポスターなどを効果的に活用し普及啓発を図ってまいりました。今後も、わかりやすいパンフレット等の作成に努め、環境フェア、3Rフェア等の啓発イベントで配布するなど、一層意識の啓発を図ってまいりたいと考えております。

【交番・歩道についての答弁】
○紙谷 衛危機管理室長 交番の存続についてお答えいたします。
 既に藤沼壮次議員の代表質問にお答えいたしましたが、用途変更が示された2交番について、警視庁は、町会・自治会との調整を踏まえた上で、警察OBの活用等による警視庁管理の安全連絡所の方向で検討しており、区としては、その推移を見守っていきたいと思います。
○小平勝夫土木部長 本木新道につきましては、平成8年の道路整備工事によりまして、従前は狭かった歩道を拡幅整備し改善したところです。電柱等の移設につきましては、地下埋設管の状況や地先地権者の要望等から難しい状況がございます。
 なお、当該地につきましては、電柱等の地中化の計画はございません。
 次に、公園・緑地についてお答えいたします。
 公的住宅団地の建てかえ・開発行為などで提供公園やプチテラスの整備誘導を図りまして、公園等の緑をふやし、地域偏在の解消に努めていきます。

【教育委員会答弁】
○内藤博道教育長 耐震化計画促進のための耐震診断・補強の充実についてお答えをいたします。
 お尋ねの4校のうち、新田中学校については、既に計画に着手済みでございます。また、残る3校につきましても、改築・リファイン等の手法を検討しているところであり、順次対策を施していく予定でございます。
○石川純二教育委員会事務局次長 30人以下学級についてお答えをいたします。
 現行の40人学級を維持し、教科等の特性に応じた少人数指導の拡充を図っていくのが、基本的な考え方でございます。
 今後も、国・東京都の加配に加え、区のステップアップ講師を全校に配置し、少人数指導の充実を図ってまいります。
 次に、司書の配置についてお答えいたします。
 司書教諭免許を取得している教諭を各学校に配置し、学校図書館の充実に努めております。司書の配置については、区独自の新たな配置はいまのところ考えておりません。
 次に、学校警備職員の配置についてお答えいたします。
 学校安全対策等については、カメラ付インターホン、マグネット錠設置など、さまざまな対策により犯罪を抑止しております。同時に、人的警備につきましても、教職員・PTA・ボランティアによる巡回警備を実施しております。
 また、地域防災につきましては、学校を単位にした避難所運営会議を設置し、地域と協働した防災対策を行っております。
 したがいまして、今後とも学校警備職員の配置を行う予定はございません。

再質問

○ぬかが和子議員 私の質問に対して的確に答えていただいていない部分が何点かありますので、再質問を行います。
 ちなみに、よく再答弁で答弁書を読み上げるだけという答弁をする方がいらっしゃいますが、それは、答弁ができないからそうすると理解させていただきますので、きちんと答弁していただきたいと思います。
 まず最初に、冒頭の区長の政治姿勢の部分ですけれども、私が聞いた、区民の苦しみを区長はどう受けとめているのですかというところは、全く答えていないのですよ。そういう姿勢だから、本当に区民に冷たいのだと思っていますが、ここの部分を答えていただきたいと思います。
 それから、住民税のフラット化などによる来年度の負担増の部分ですけれども、私は、来年度の負担増となる全体の項目や影響について聞いているのですね。先ほどの答弁では、合算額は変わらない、国保以外は影響ないんだという答弁でしたけれども、例を挙げてきちんと質問しています。
 実際に260万円の年金の高齢者でいけば、フラット化しなくても6万円の負担増になるのですよ。こういう影響についてきちんと調査すべきだし、そういう影響部分について、負担増が生じないような対策をすべきではないですかと聞いているのに、それについては答えていないのです。再度答弁をお願いします。
 それから、耐震化計画の学校の部分の方ですけれども、私が聞いているのは、耐震補強工事の方は20年度までに前倒しして頑張ってやると言っているわけですよ。ところが、改築が必要な学校については、そういう年次計画すら新田中以外は示されていない。だから具体的にこの計画をいつやるのか、そういうことを示してくださいということで質問していますので、これにはお答えがありませんので、再度、答弁をお願いします。
 それから、最後に、介護保険のデイサービス等の食事代の負担軽減策についてですけれども、私の先ほどの質問を聞いていただいたと思うのですが、デイサービスなどの食事代についてということで質問しているのですね。そして、先ほどのお答えというのは、実は前回の答弁と全く同じです。私は、前回の答弁を指して、介護保険会計に固執しなければすぐできるし、何で、ほかの区では一般会計でやっているのに足立区ではできないのですかと聞いているのですよ。これについては全くお答えがありませんので、再度、答弁をお願いいたします。

再答弁

○鈴木恒年区長 再質問にお答えいたします。
 私、先ほどお答えしましたように、区民の苦しみを和らげる施策ということも考えられるわけでありますけれども、いま足立区がなすべきことというのは、将来にわたって足立区の体質を改善することによって、区民の所得、経済、そういったものをレベルアップする、そのことによって和らげられる。基本的なものを解決しなければ、それはできないのではないか、その場しのぎになってしまう。そういう考えであります。
○石川義夫政策経営部長 来年度の税制改正のフラット化の関係でのご質問でございますが、事前に通告をいただいた中には、そういうところまで触れられておりませんでしたので答えませんでしたが、それにつきましては調査をしたいと思います。
○内藤博道教育長 残る3校、西新井小学校、それから、中川小学校、七中でございますけれども、この3校については、全面改築にするのか、それともリファインにするのか、そして、いつやるのかも含めて、いまその年度計画を策定中でございます。策定次第、具体的な数字を明らかにしていきたいと思っております。
○丸山 亮福祉部長 一般会計から介護保険会計へ支出をしないという足立区の考え方は、国の方針と同一でございます。