1、本会議の質問

一般質問「市場化テストと公有財産活用について問う」
9月25日  針谷みきお議員

市場化・民営化路線は失敗続き
○針谷みきお議員 私はまず、鈴木区政の8年間進めてきた市場化・民営化路線から学ぶべき教訓について、鈴木区長がどのように認識しているのか、区民の目線から質問したいと思います。
 鈴木区長が持ち込んだ構造改革路線による市場化・民営化の施策は、PFI、指定管理者制度など、どうだったでしょうか。指定管理者第1号となった株式会社コミュニティ・アーツは、社長、館長、芸術監督ともに民間人を登用し、株式会社の効率性、専門性を生かし、運営するとしてきましたが、事務手数料や乱脈経営など、議会やマスコミ、区民の批判を受け、遂に会社役員全員が辞職し、経営の立て直しのために区職員の派遣を行い、まさに民から官に転じた対策を講じざるを得ませんでした。
 民間企業が提案するプロポーザル方式により、4月にオープンしたあだち産業芸術プラザには、官民パートナーシップと銘打って採用したデジタルファクトリー(IT工場)が中心施設となっていました。
 ところが黒澤明デジタルスタジオは撤退、にぎわいの中心施設はなくなるなど、結局、区役所跡地を民間企業に定期借地権を活用して廉価に貸し付けたにすぎず、完成した施設の運営は官民パートナーシップが発揮されているとはとても言えない状態であります。そればかりか、区民が不便を感じる施設案内や駐車場や駐輪場など、綜合商事言いなりの運営に区民は業を煮やしています。
 また、PFIという民間資金の活用による学校改築では、PFIが地元業者を排除するシステムであり、地域経済の活性化にならないだけでなく、経費の削減にもならないことが判明して中止されました。
 もともと市場化、民営化は構造改革の一環として推進されてきましたが、区民サービスの向上より、儲け第一の市場原理が貫かれる仕組みに問題があるのではないでしょうか。その結果、区民サービスの向上にならないだけでなく、腐敗や無駄遣いの温床ともなってきたのではないでしょうか。湯河原区民保養所汚職事件はその典型例と言えるものであります。こうした結果を区長はどのように教訓化しているのか、伺います。
 次に、市場化・民営化については、透明性、公正さにも問題があります。コミュニティ・アーツは役員会の議事録の公開にも、交際費の公開にも背を向けました。区は本年2月、指定管理者制度の導入における基本的な考え方を改定し、民間事業者の情報公開については、「情報公開条例に基づいて対応する」と書き換えたにもかかわらず、情報公開条例は変更されておらず、指定管理者についての情報公開は以前のままであります。
 そこで質問ですが、情報公開条例について、指定管理者など、業務委託に関する民間事業者の情報公開を義務づけるべきと思うがどうか、答弁を求めます。

市場化テストについて問う
 次に、市場化テストについて伺います。
 市場化テストは、財界・大企業の要望にこたえ、公共サービスの持つ50兆円規模の市場を財界・大企業に明け渡すことを最大の目的として導入されたものです。そのことは市場化テストを推進してきた「規制改革・民間開放推進会議」の議長であったオリックスの宮内義彦会長が「市場化テスト、100年に一度のビジネスチャンスをつかめ」などとキャンペーンを張るなど、財界自らが陣頭指揮をとって推進してきたことからも明らかです。
 こうした財界の意向を受け、市場化テスト法が本年5月成立しました。鈴木区政は全国の先陣を切って市場化テスト推進協議会に参加、足立区での市場化テストを推進、今議会に市場化テスト法の具体化として、公共サービス改革に関する条例案(以下市場化テスト条例案と呼ぶ)を提出していますが、住民は置き去りに、財界、大企業の儲け口を真っ先につくろうとするものではないでしょうか。
 その足立区の市場化テスト条例案についても、重大な問題点を見ることができます。まず、国の市場化テスト法では、民間開放で生じる問題点を否定できず、地方自治体が民間開放できる特定公共サービスは、戸籍、納税、外国人登録、住民基本台帳、印鑑登録証明など、6項目に限定し、さらに受付及びその引き渡しに限られると制限をつけました。しかし、足立区の条例では、条例の第2章に「公共サービス実施方針を策定する」と位置づけ、この中で簡略、みなし公共サービス、プロポーザルなど、公共サービス改革の類型を新たにつくり、PFIや指定管理者制度等もみなし公共サービスに入れてしまうという荒技を行っています。
 このように足立区の市場化テスト条例は、国の法律でさえ設けた制限を取り去ることになるのではありませんか。区長の明確なる答弁を求めます。
 区は市場化テストに基づいて、区民事務所の民間委託を実施するとしていますが、それには個人情報保護審議会に諮問し、答申を受けなくてはなりません。本来、総務委員会の審議はそのあと行うべきものであり、個人情報保護審議会で認められなかった場合は、民間委託はできなくなるにもかかわらず、明日26日総務委員会で先に条例を審議することは、個人情報保護審議会をないがしろにするものではありませんか。このようなルールを無視するやり方は許されないと思いますが、答弁を求めます。

市場化テスト―区民事務所の民間委託は許されない―
 次に、区民事務所の民間委託で想起される具体的な問題について質問します。
 ここでは窓口業務に人材派遣会社からの派遣労働を受け入れ、業務の民間委託を進めるとしています。しかし、このやり方は重大な個別法違反と個人情報の漏洩、プライバシーの侵害の恐れが危惧され、かつ区民サービスの低下、さらには経費の削減どころか、かえって負担増になるものと言わざるを得ないものであります。
 まず、個人情報の漏洩についてですが、NPO日本ネットワークセキュリティ協会によれば、2004年、個人情報漏洩の原因分析を行った結果、被害者数では外部委託先、出入り業者など、外部の人間による不正な情報持ち出しが54.6%、570万人を超えてトップとなり、内部不正の16%(160万人)の約3倍となっています。民間業者からの情報漏洩はないという保証はどこにあるのか、明らかにしていただきたい。
 宇治市役所では、業務委託業者から大量の住民情報が流出し、住民から市長に対し訴訟事件が起こされました。最高裁まで争いましたが、市側が敗訴し、損害賠償を支払っています。結局、民間委託を推進した市長の責任が問われたのであります。もし情報漏洩、プライバシーの侵害があった場合、民間事業者の責任は当然でありますが、委託を進めた足立区の責任も厳しく問われることになりますが、区はどのように対応する考えか、答弁を求めます。
 次に、市場化テストの眼目とされているサービス向上と経費削減に関して伺います。
 区民環境委員会の質疑では、区は民間委託の目的について、1年目はスピードアップ(待たせない)2年目は時間延長(夜間開館等)を目指すと述べていますが、現在、区民事務所で長時間待たされている苦情が出ているという話はほとんど聞きません。現に行政評価の庁内評価調書によると、区民事務所での住民票の交付は減少傾向にあり、前年度と比べて郵送による請求だけでも2万3,000件も減少していると報告されています。多くの区民事務所では順番がわかる案内板を表示しており、親切な対応をいまでも十分しております。
 これに対し、市場化テスト法どおりに民間委託を進めた場合、区の説明でも「行政処分にあたる部分は区の常勤職員が行う」と言っています。例えば区民税の各種証明の場合、民間委託の職員が受け付けた場合には、本人確認などの審査はできるものの、申請内容や必要書類の確認は区の職員が審査しなければならず、審査が二重になります。さらに受理したあとも、照合作業は行政処分となるため、区の職員が行わなければなりません。ここでも二重手間が生まれます。さらに所長決裁を受けに行く場合、所長も慎重に対応することになり、区の職員が1人でやれる仕事を、少なくとも3人を経なければ証明書が出されないのです。これまで以上に時間がかかることは避けられません。スピードアップどころか、かえって遅くなるケースも生じるのではないでしょうか。サービス低下につながる恐れは高いと思うがどうか、答弁を求めます。
 経費節減にならないことも明らかになっています。区民環境委員会の質疑で、区は「公務員は平均44歳で、年800万を超えているので、派遣職員なら7割、一人頭でみれば経費削減になる」と答弁していますが、区の方針では20年度以降、夜間開庁の場合、公務員1人を削減し、2人の民間派遣職員を配置するとしており、2人配置すれば直営の1.4倍の経費増となります。サービスが低下し、コスト増になる区民事務所の民間委託のメリットは全くないと思うがどうか、答弁を求めます。

―法律違反の疑い―
 次に、法律違反の疑いについてであります。市場化テスト法では、戸籍事務などで民間開放できる特例として、法務省は「受付及びその引き渡しに限られ、交付事務や管理事務は含まれない」としています。法案審議の中で竹中総務大臣も参議院特別委員会で「民間業者が住民基本台帳等のデータベースにアクセスするようなことはありません」と述べています。したがって、派遣職員のコンピューター端末からの入出力はできないはずですが、足立区は区民事務所の端末を使い、民間会社の派遣職員に住民基本台帳のデータベースにアクセスさせ、個人情報の入力・出力や行政処分まで渾然一体となってやらせようとしています。
 これは個別法で禁じている業務を市場化テストの名を借りて行わせようとしているものであり、法を破ることになるのではありませんか。
 次に、労働者派遣法では、原則として派遣期間は最大3年となっています。それ以上の従事をさせる場合は、事業主が直接雇用することになっています。仮に民間委託を進めたけれど、足立区の要望どおりに法改正がされなかった場合、民間会社の派遣労働者処遇が問題になります。
 法の番人である区は、民間会社の派遣職員を区の職員として採用するのでしょうか。どうするのか、明らかにしていただきたい。
 鈴木区政は全国の先陣を切って、これまで足立区が進めてきた民間委託や指定管理者制度など、民間開放のすべてを公共サービス改革の名で束ね、個別法で禁じている業務の民間開放も際限なく広げ、極小の自治体をつくろうとしているのであります。市場化テストによる区民事務所の民間委託は、個人情報の漏洩の危険、かつ区民サービスの低下の恐れや経費の削減にもならず、重大な法律違反の恐れもあり、認められません。市場化テスト条例は撤回するとともに、区民事務所の民間委託をやめるべきと思うがどうか、区長の答弁を求めます。
 鈴木区政の市場化テストなど、公共サービスへの民間企業の導入は、いずれも公務員が行っていた労働を民間の請け負い、派遣労働者に担わせることにほかなりません。しかも指定管理者を含む民間開放では、入札・請負のダンピングが行われ、サービスの継続性にも問題が生じ、結局、低賃金、無権利の労働者を大量につくり出しています。公共調達の際、下請け派遣労働者の賃金を確保することは、労働行政のみならず、青年雇用の促進を求める上でも区政の重要な課題になってきていると思うが、どうか。
 そこで足立区が発注する公共調達において、足立区の支払う対価が作業に従事する者に公正に配分されることを確保し、また、作業に従事する者の労働時間、労働条件を適正に確保するため、賃金等を確保する条例をつくるべきと思うがどうか、答弁を求めます。

公共施設の再配置について
 次に、公共施設再配置の基本的な考えについて伺います。
 鈴木区政は足立区公共施設再配置審議会を設置し、適正を公共施設配置のあり方を審議している。足立区施設白書では、人口減少社会及び施設更新期の到来を見越した公共施設更新には莫大な費用負担がかかるという主張を展開し、平成22年から40年間で1,811億円の費用が必要と試算しています。そしてこうした試算をもとに、今後の持続可能な財政運営を確保するには、一層の圧縮が必要で、廃止売却やむなしの方向付けをしています。しかし、これらの試算は、いずれも現存する施設のすべてを改築した場合の試算であり、廃止、売却やむなしの根拠とはなり得ないものです。こうした施設の統廃合や売却について、区民は納得しているのでしょうか。公共施設再配置のモデル事業の検討を進めている千住西地域では、区民が廃止を望んでもいないのに千住センターを廃止し、跡地の売却を予定しています。那須区民保養所に至っては、区民の利用も高いのに廃止を決め、議会の議決もないまま区の広報に売却の募集をするなど、区民の意見を聞くことなく、売却優先の方針を強行しようとしています。こうしたやり方は条例をないがしろにし、区民の代表である議会の議決を無視した態度であり、認められるものではありません。明確なる答弁を求めます。
 現在、審議会で検討されているのは、住区センター、地域学習センター、学校の再配置であります。住区センターは地域のコミュニティの育成のために設置された施設で、児童館、学童保育室、老人館、集会室を併設し、それぞれの事業を通じてコミュニティ形成に大きな役割を果たしており、年間260万人が利用する施設であり、区民の貴重な財産であります。
 地域学習センターについても、区民の教養文化の高揚を図るとともに、自主的学習活動を支援し、区民の生涯学習の振興に寄与することを目的として設置され、地域体育館や図書館と併設され、年間49万人が利用する区民の貴重な財産であります。学校についても、教育基本法、学校教育法の精神に基づき、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成のために、区内115校、4万6,000人余の児童・生徒が学んでおり、区民の貴重な財産であることは論をまちません。
 審議会の事務局として、区は経済効率優先でこれら3つの施設の廃止を含む答申案を提案すべきではないと思うが、区の考え方を示していただきたい。こうした公共施設の配置は、区政の最重要課題であります。自治基本条例を適用して、区民の貴重な財産である施設の統廃合や売却を含む再配置計画に関しては住民投票条例を制定して区民に問うべきであると考えます。答弁を求めます。

日暮里・舎人線について
 最後に日暮里・舎人線とバス路線の再編整備について伺います。
 平成19年度開業が目前となった日暮里・舎人線について、東京都は経営の安定性、公租公課の負担が無いなどを加味して運営主体を都営交通とすることを決定し、これまで建設の主体となっていた第3セクターの東京都地下鉄建設株式会社は廃止、解散の方針が示されました。そこで何点か伺います。
 第1に都営交通となったもとで、高齢者のシルバーパスの適用はされると考えるが、見通しはどうでしょうか。料金体系も区民が使いやすく、低廉な料金体系になるのか、検討中の内容も含めて示していただきたいと思います。
 第2に、日暮里・舎人線については、「ゆりかもめ」同様のワンマン運転、無人駅と聞いていますが、ゆりかもめで起きた事故などを見ても、区民の安心・安全を確保するためにワンマン運転、無人駅にしないよう東京都に働きかけるべきと思いますが、どうか。
 第3に、つくばエクスプレス、日暮里・舎人線と放射状の交通対策が実現するにあたり、東西に広がるバス路線網の再編整備が急がれます。日暮里−舎人二ツ橋間の里48号線は存続するよう東京都に要請すべきと思うが、どうか。また、日暮里・舎人線の各駅からのバス路線網の新設、拡充で検討している路線を示すよう求め、この席からの質問を終わります。

答弁

○石川義夫政策経営部長 私から、市場化・民営化に対する考え方と市場化テストのうち、政策経営部所管のご質問にお答えします。まず、市場化・民営化に対する考え方についてお答えいたします。
 長年にわたり取り組んでまいりました行財政改革、構造改革は、区民の方、民間事業者の方々との協働の実践と工夫の積み重ねの歴史であると言えます。指定管理者、PFI、官民パートナーシップなどの制度は、単なる官業の民間開放とは異なり、その根底にあるのは、協働による区民サービスの向上であります。当区はこれまでも多くの先駆的な試みを積極的に実践してまいりました。先駆的なゆえに背負う苦労、試行錯誤もあります。今後も課題、問題などには真摯に取り組み、区民サービスを向上させることを信念とし、様々な工夫を図ってまいりたいと思います。
 また、何よりも区民の方々から信頼される区政を実現することが重要でありますので、情報公開・個人情報保護条例の内容を十分に踏まえつつ、区政の透明化につきましては、引き続き取り組んでまいります。
 次に、市場化テスト条例案に関する質問につきましてお答えします。
 市場化テスト法は、法律の特例が適用される特定公共サービスの内容を示すとともに、市場化テストの手続きに関する諸規定を整備したものです。地方公共団体は、法律の特例を講じる必要のない業務について、市場化テストを実施する場合は、条例または規則に手続きを規定することにより可能とされています。
 また、実施方針は、区としての公共サービス改革の意義、目標等、基本的な方針を示すものです。その中で既存の手続きなどにより委託等が実施されている業務であっても、業務が適切に実施されているか、サービス水準が適正に保たれているか等、事後検証する必要性などにも論点を置き整理する予定です。したがって、法の趣旨、内容を超える仕組みとなっているわけではありません。
 また、個人情報保護審議会への諮問は、個人情報保護条例第16条に基づき、業務の委託をするときは、その内容、条件について個人情報を保護するための必要な措置に関しての適否を求めるものと理解しおります。
 一方、条例案については、区としての公共サービス改革を進める上での手続きの内容をご審議いただくものであり、最終的には本会議により決することから、手続きに矛盾が生じるものではないと考えております。
 次に、賃金等を確保するためのしくみに関するご質問についてお答えいたします。
 公共調達にかかわらず、労働者の賃金、労働時間、労働条件等が適正に確保されることは必要なことと考えます。区といたしましては、これらの状況を踏まえ、公共調達においては、価格とともに質も評価するプロポーザルや総合評価などを適切に活用しながら、いたずらな低価格競争にならぬよう努め、従事する者の労働環境に悪影響が及ばぬよう配慮してまいります。
○坂田道夫区民部長 私からは、市場化テスト等、区民部関連のご質問についてご答弁申し上げます。
 まず初めに個人情報の漏洩の防止についてお答え申し上げます。
 第1に、受託事業者がプライバシーマークやISO27001などを取得していることを条件とするとともに、研修計画を策定し、派遣職員に対しても、個人情報保護に関する指導・研修を行い、意識の徹底を図ることを契約の条件としてまいります。
 また、派遣職員の受け入れにあたっては、研修の履行、誓約書の提出を条件といたします。
 次に、データの管理体制ですが、戸籍及び住民記録等のデータはサーバー内にあり、個別のパソコンには保持しておりません。また、パソコンからのデータ収集、加工等もできないシステムとしておりますので、一括して大量のデータを持ち出すことはできないシステムとなっております。
 また、派遣職員が事務処理上個別に個人情報を見ることは避けられませんが、個別に個人情報を出力して持ち出すことのないよう、区職員の監督下で事務を執行するよう万全の体制をとってまいります。
 万が一、情報漏洩、プライバシーの侵害等が発生した場合は、区の責任として被害者に対する損害賠償等に的確に対応いたします。また、受託事業者の責任についても、契約の中で損害賠償等に関する規定を定め、ともに個人情報の管理に万全を期する体制を確立してまいります。
 続いて区民事務所の窓口は、3月、4月の引っ越し時期や月曜日等に混雑し、来客数の多い区民事務所では、20人以上のお客さまを待たせながら事務処理を行っております。区民の方からは、「お客が多い日は他の職場から応援体制が取れないのか」「役所もこれからは民間を見習った柔軟な職員の配置が必要である」とのご指摘をいただくこともございます。
 証明書の発行業務では、受付・コンピューター作業・照合・発行と4つのパートに分けて、職員が相互に確認を行いながら事務処理を行っております。市場化テスト導入後は、事務処理者を明確にしながら、さらに待ち時間の短縮に向けて取り組んでまいります。
 続いて、夜間窓口延長を予定している区民事務所では、常勤職員1名の削減に対し2名、それ以外の区民事務所では、常勤職員1名の削減に対して1名の派遣職員を検討しております。その結果全体では常勤職員1名に対し1.5人程度の派遣職員を想定しております。また、繁忙期や窓口来客者が多い特定日、比較的少ない曜日など、窓口の実態に即した派遣職員の配置体制も検討しております。
 経費につきましては、派遣職員の場合、一人あたり派遣コストは区常勤職員の5割程度と見ておりますので、導入当初は削減は見込めませんが、3年後は10%以上削減可能と考えております。待ち時間の解消や窓口時間の延長等、区民サービスの向上を第一に考え取り組んでまいります。
 次に、個別法違反ではないかという質問につきましては、住民票の写しの郵送請求事務や戸籍証明書発行事務など、データベースへのアクセスが含まれる業務が、従来から他の自治体でも委託契約や人材派遣契約により実施されており、違法という指摘はされておりません。
 当区で実施する区民事務所窓口業務の市場化テストにおいては、派遣職員は区職員の指揮命令のもとに業務を行い、証明書等の発行にあたっては、区職員が確認、照合を行い、常に区長の管理権が及ぶ体制をとってまいりますので、法に違反することはないと考えております。
 次に、法改正がなかった場合の質問でございますが、国におきましても、公共サービス改革法は発展途上の法律であるとの認識でおります。区といたしましても、より良い法律となるよう、強く要望してまいります。また、改正がなかった場合については、当然、サービスが低下しないよう対応いたしますが、現時点におきましては、直接雇用する考えはございません。
 次に、市場化テスト条例の撤回と区民事務所の民間委託に関する質問にお答え申し上げます。
 区民事務所における公共サービス改革、いわゆる市場化テストは、単に経費の削減を目的としたものではなく、窓口待ち時間の短縮、夜間開庁の拡大など、区民サービスの向上を限られた財源の中で実現することを目的としたものであります。
 個人情報の保護に関しましては、入札資格要件等、契約面において厳しい基準を定めているほか、電算システム面で電子情報の漏洩対策を行うなど、万全を期しております。また、官民協働型の市場化テストであり、職員の監督下で事務を執行するため、個人情報の保護は十分に図れるものと確信しております。したがいまして、今後とも区民事務所における市場化テストを着実に進めてまいりたいと考えております。
 続いて那須区民保養所の廃止につきましては、年々、区民の利用率も低下しており、区の財政負担も大きいため、区民優遇を条件に付して売却することを政策決定したものであり、売却につきましては、8月29日の公共財産等活用調査特別委員会で報告させていただいております。買受事業者の決定を、事業提案によるプロポーザル方式で行う関係上、選定に時間を要するため、区民保養所条例改正議決前に募集を行ったものでありますが、契約については、財産の処分についての議会の議決を条件に募集を行ってまいりますので、決して議会を軽視しているとは考えておりません。
○青木光夫資産管理担当部長 審議会に関するお尋ねでございます。既存の公共施設については、すべて区民の貴重な財産であることは言うまでもございません。審議会がどのような答申をまとめるかは、今後の議論によりますが、区としては、施設の再配置について、基本計画で明記されているとおり、施設総量の縮減のみに着目するのではなく、施設と施設サービスのあり方を再構築するという発想に立ち、施設の廃止、更新、集約・再編、新たな需要に対応した用途転換等を総合的に選択していく必要があると考えております。
 次に、住民投票に関して、公共施設の再配置については、現在、審議会の場で、今後の施設と施設サービスのあり方についてご意見をいただいているところでございます。今後、審議会での答申案が策定された段階で、議会はもとより、パブリックコメント等により、広く区民のご意見を踏まえながら具体的な検討に入っていく必要があると考えており、住民投票による区民の意見を伺うことは考えておりません。
○小平勝夫土木部長 日暮里・舎人線の開業後の運営主体については、東京都から、交通局が経営主体となるべく調整を進めていると聞いております。シルバーパスの適用を含め、住民の方が利用しやすい運賃となるように、区民要望等を踏まえ、東京都に要望しております。
 運行につきましては、自動運行、無人駅を原則とすると聞いております。住民の方が満足の得られるサービスを提供できる安全で信頼性の高い交通機関となるように要望しております。
 都営バス里48系統は、新交通日暮里・舎人線との並行路線であり、新線への影響を考慮して対応いたします。
 また、バス路線網は関東運輸局、隣接の川口市、草加市、鳩ヶ谷市並びにバス事業者を含め、現在、検討中であります。

再質問

○針谷みきお議員 全く答えていない部分もあるし、またすれ違っているところもありますので、何点か質問しますが、明日、総務委員会もありますので、そこに回す部分もありますけれども、まず第1点は、市場化、民間化に関する鈴木区政のこれまでの施策については、私は失敗続きであったのではないかというふうに聞いているわけです。そちらもそれは認めて試行錯誤しているということを言っておりますけれども、私が具体的に聞いたのは、どのように教訓化したのかということで言っているのですが、私が質問通告した情報公開についてのみ答えているのであって、具体的にどのように教訓化したのかということについては、全く触れていないというふうに思うのです。その点についてお願いしたい。
 市場化テストの問題ですが、これはとんでもない答弁だというふうに思っているのです。私がAで聞きましたサービスの低下の問題については、人数が何人も経ないと、いわゆる照合だとか確認だとか、行政サーブにあたる部分については、人が増えてしまう。20手間になってしまうから、サービスが落ちるのではないか、スピードが落ちるのではないかということを聞いているのですが、それについては全く答えていない。概念を説明されても、私の質問に対して落ちないというのだったら、どうして落ちないのか、明確に答えてください。
 3番目については、答弁を変えてしまっている。こういうのは、議会答弁というのは何なのかと言いたい。区民環境委員会では、区民部長は、一人頭7割だ、民間派遣職員の人件費は7割だと答えている。いまは5割と答えている。だから、経費が削減できるのだ、私の質問通告なんか、何も成り立たないような土俵を勝手につくってしまって答弁しているというのは、どうして500万に下がってしまったのですか。仮に5割というふうになったとすれば、それ自身が問題なのです。しかも私がそのあとに質問したそういうことが基本的に公務労働の質を下げ、そして安上がりの低賃金労働者を大量につくることになるのではないか。それに対しては、ある程度いい答弁をしておりますが、これはとんでもない、全く矛盾した答弁です。変えた理由と言うか、まさに不統一の答弁について明らかにしていただきたい。
 それから、那須区民保養所については、区民は怒っているのです。しかも、これについては、間に合わないから、間に合わないからというのは、あなたたちが勝手に設定した時期じゃないですか。本来、条例を可決して、廃止が決まり、その段階で提案するというなら筋が通っています。しかし、まだ廃止が決まってもいないのに、勝手に区の広報に出して、売却しますから買う人いませんか、こんなルール破りの話はないでしょう。これは問題はないという答弁は、ここにいる50名の議員を全くないがしろにしている答弁だと思います。これについては撤回してもらいたい。これは少なくとも申し訳なかった、手続き上間違いでしたという答弁なら認められますよ。その点についてお答え願いたい。

再答弁

○石川義夫政策経営部長 議員からご質問いただいた、今までの試行錯誤等については評価していただいたところでございますが、それを乗り越えて課題を解決していくために、区民サービスを向上させることを信念としていきたいということと、それを区民サービスに結びつけるために、様々な工夫を図っていきたいということを、ご答弁いたしましたとおり教訓としております。
○坂田道夫区民部長 私からは、3点、再質問がございましたのでお答え申し上げます。
 まず、第1点でございますが、サービスの低下になるのではないか、二重チェックの問題もあるということでございますが、現在も4つの段階について、各所長その他でダブルチェックをかけながらやっているということでございます。なおかつ私どもとしては、特に夜間開庁をやっているような、非常に忙しい区民事務所については、派遣職員の人数を正規職員の2倍にするという形でスピードアップをやっている。同時にマニュアルをきちっと整備するというような形でございますので、我々としては、初年度において事務処理スピードが確実にアップするだろうと考えております。2年目、3年目以降は、多くの区民の方々が5時半、5時15分でなく、7時まで開いてほしいというような話ですとか、働いている方は日曜日を開けてほしいといった要望にも徹底的に応えていきたい。とにかく区民サービスを第一に考えるということでございます。
 2点目、まず、人件費については、7割あるいは5割というお話がございましたが、私が申し上げているのは、区役所職員の平均年齢が44歳で、875万とすれば、人件費だけピュアに出しているわけでございますが、派遣の場合は、人件費から会社経費その他すべて入れて、込み込みで7割というふうなことを、我々としては一つの上限として設定している。今回は事業者とあたったところでは、そこまで行かない形で多分可能だろうということで、約5割でできるというお話をしました。
 それから、2倍になるというお話でございますが、先ほど答弁で申し上げたように、ある職場は夜間開館等をやっていて、忙しくなる職場については、職員1に対して2倍の派遣職員を入れるわけでございますが、その他は1対1でございますので、全体としては2倍ではなく1.5倍になっているということでございます。
 3点目、区民保養所についてでございますが、諸般の事情により間に合わないということでこういう経過となりました。しかし、募集については、あくまで今回の正式の契約は、議会がこれを議決していただいた段階でやりますという条件つきで募集をかけているということでございます。