1、本会議の質問 一般質問「産業振興政策について問う」 9月25日 鈴木秀三郎議員 |
とても産業振興・活性化とはいえない あだち産業芸術プラザ ○鈴木秀三郎議員 私は、まず産業振興政策について質問します。初めにあだち産業芸術プラザに関して伺います。 区長は2003年度予算を「くらしと産業の明日を拓く予算」と銘打つなど、産業振興を重視する姿勢を示すとともに、2004年第1回定例会のあいさつでは、旧本庁舎跡に「区内産業の振興と活性化を図るための中核施設である(仮称)あだち新産業センターの整備を推進する」と述べました。また、当時の産業経済部長は、「北棟、南棟の全体が産業振興センターです」と答弁していました。 こうして旧本庁舎跡にことし4月、2つの施設からなる「あだち産業芸術プラザ」がオープンしました。しかし、その大部分を占める東京芸術センターは、区内産業の振興と活性化からはかけ離れたものとなっています。 そもそも区は、この跡利用では「区民要望と地元の賑わい」を中心とする施設の設置を打ち出していました。ところが民間活力と称して、プロポーザル(企業提案)方式で事業計画案を募集、区が選んだのが綜合商事のデジタルファクトリー千寿でした。結局、企業の意見は聞いても、区民の要望や意見を集約する区の姿勢はありませんでした。 でき上がった施設は、区民要望と地元の賑わいどころか、当初の事業計画案からもほど遠いもので、デジタルファクトリーは大幅に縮小、1、2階のイベント展示ホールは21、22階の天空劇場に、SOHOの96室は住宅とされました。まさに綜合商事・企業の言いなりで、とても産業振興・地域経済活性化を応援する施設と言えるものではありません。 なぜこうなったのでしょうか。ここには産業振興、地域経済の活性化について、区が確固とした立場に立っていない姿勢が反映したものと言わざるを得ません。区はこの施設が産業振興・地域経済活性化に役立つ施設になっていると考えているのか、答弁を求めます。 また、区は官民パートナーシップと言ってきましたが、東京芸術センターは芸術性を理由に施設内の案内標示がわかりにくく、1階ロビーに案内係もありません。区民からも、「閉鎖的で賑わいが感じられない」「何の建物かわからない」などと批判が寄せられているように、区民のための施設とはほど遠いものです。区は綜合商事に改善を申し入れるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 大型店出店への区の姿勢を問う 次に、大型小売店出店問題に関して伺います。 区は西新井駅西口開発で、区道をわざわざ移設して、巨大ショッピングセンター・イトーヨーカドーの進出を誘導しています。しかし、商店会役員からは、「亀有の大型店アリオが周辺の商店街に大きな影響を与えている。大型店との共存共栄の考えはできなくなった」「大型店は本部から成績を上げることを強く求められている」「まちづくり三法を見直したと言うが、不十分だ。大型店の規制はある程度必要だ」と切実な声が寄せられています。我が党が指摘してきましたように、区道を移設しなければ床面積1万5,000uの巨大ショッピングセンターの出店はできなかったものであります。 区は産業振興・地域経済活性化を言いながら、この大型店出店の影響について一部調査はしたものの、商店街への支援策を講じることはしていません。商店街と商店が地域で果たしている社会的役割を評価し、積極的な支援策を行うべきであります。区は影響を受ける地元商店街への支援策をどのように進めようとしているのか、答弁を求めます。 融資制度について 次に、区の融資制度の問題です。 足立区の中小企業融資は、区がまとめた融資実績等概要を見ると、2005年度は3,372件、約137億円もの利用がありました。この数年間を見ても、3,000件から4,000件を超える融資の利用がされています。しかし、区はこれまでの融資制度を変え、利率や貸付期間を事実上金融機関の判断に任せるものに改定、厳しい経営環境の中でも頑張っている商工業者にとって、借りにくいものになってしまいました。改定理由について区は「国の信用補完制度の見直し」を挙げています。しかし、政府の信用補完制度見直しの大きな部分を占める、いわゆる部分保証問題は先送りされています。 しかも、もともと自治体は、この信用補完制度見直しに沿うよう義務づけられているものではありません。区の融資制度をあえて変える必要はなかったものであります。現に他の区では従来どおりの制度でやっています。ところが区はすでに預託金を廃止しており、その上に「区は貸付条件への関与を縮小する」と強弁し、今年度(2006年度)利率や貸付期間を事実上金融機関の判断に任せる改悪をしました。 本来、国の悪政から住民・中小企業を守るべき自治体・足立区が、国の改悪を先取りして中小企業融資を改定したのではないでしょうか。他の区では、従来どおりの制度融資を続けているのに、なぜ区は従来どおりの融資制度ができないのか、答弁を求めます。 区内業者の社会的役割にふさわしい支援策を提案 次に、区内商工業者の社会的役割を評価し、当面、次の支援策を行うべきと考えます。第1に、商店会は閉店、廃業が続き、会員が減少し、装飾街路灯の維持も大変です。商店街の街路灯は単なる装飾灯ではなく、夜間、町を明るくし、防犯の役割も果たしています。これまで一定の助成拡大に努力してきましたが、来年度からは商店街装飾街路灯の電気代を全額補助するべきと思うが、どうか。 第2に、地域の商店は、大型小売店出店の影響を受けるなど、厳しい営業にさらされています。その上、今年度から区民税の引き上げ、国保料の値上げ、消費税納入の義務も多くの商店が課せられ、本当に大変になっています。日除け、看板の道路占用料について商店からの陳情もありました。23区では17区が一定面積以下の免除を取り入れています。区は厳しい個人商店の営業を少しでも支える立場から、日除け、看板の道路占用料を全額免除するべきと思うが、どうか。 第3に、区内商工業者の高齢化に伴い、後継者確保が大きな課題となっています。いま商工会議所足立支部では、青年が何を考え、どんな要望を持っているか、十分把握し、事業参画への支援策を具体化すると聞いています。区は後継者確保の支援策を充実する上でも、商工会議所足立支部と積極的に連携を図るなど、対策と支援策を強めるべきと思うが、どうか。 第4に、区内事業者の仕事確保を支援する立場に立って、各学校から上がっている改修工事の要望について、補正予算を組んででも実施するべきと思うが、どうか。 第5に、小規模工事契約希望者登録制度についてです。この制度は区が発注する小規模の工事について、区内のより多くの中小業者が受注できるようにつくられたものです。しかし、その実績は2005年度4件、今年度は4月から8月までで11件という状況であり、まだまだ不十分です。我が党の質問に区は、「主管課におきましては、入札参加資格のある事業者と今回の小規模登録制度の事業者との見積もり合わせが一緒にされるなど、結果的に入札参加資格登録業者が落札したというケースも相当数あると考えている」旨の答弁をしていますが、小規模工事契約希望者登録制度の目的にふさわしく、小規模工事契約登録事業者への発注を積極的に行うよう所管課に徹底すべきですが、どうか。 また、産業経済部がその活用状況を把握できる仕組みを全庁的につくるべきと思うが、どうか、以上、答弁を求めます。 青年雇用対策について問う 次に、青年雇用対策について伺います。 区が契約したNPO法人が運営する「あだち若者サポートステーション」を軸に、若者就労支援事業が展開されています。7月からあだち若者サポートステーションは、厚生労働省のモデル事業を活用し、ハローワーク・学校・保健総合センター・町会・自治会など、地域組織や関係機関とのネットワークを構築し、家庭訪問の開始、臨床心理士の配置など、これまで我が党も議会で指摘してきた機能・事業が盛り込まれ、すでに一定の効果を発揮していると聞いています。しかし、あだち若者サポートステーションには、国からくる補助金1,000万円という中で、常勤スタッフは1人、非常勤スタッフを含めて4人から5人の体制で運営していると聞いています。動き出した事業がより大きく、多様に展開できるように国の補助の増額を求めるとともに、区としても予算を増やすべきと思うが、どうか。 また、同ステーションのスタッフは、あだち若者サポートステーションの存在と事業内容を広く区民に周知することを重視していると話しています。区は町会・自治会連合会の協力を得て、各町会での回覧板による周知など、援助すべきだが、どうか。 また、若者サポートステーションの所在がわかるように、千住本町センター商店街の通りに面して看板を設置するべきと思うが、どうか。 また、青年は不安定雇用が拡大する中で、職場を通じての定期健診を受ける機会がほとんどない状況です。高校卒業者から39歳までの青年層で、特に未就業者やパート、派遣労働など不安定雇用の青年には、健康障害を抱えている方が増えています。これらの青年には、区民健診のような制度がありません。保健総合センターの健康相談は無料でも、健康診断、レントゲン検査を受けるとなると、費用がかかり大変です。区はこれら正規雇用以外の青年を対象にした定期的な健康診断が受けられる仕組みをつくるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 最後にコミュニティバスの運行について質問します。 JR常磐線の北千住駅東側地域は、区内でも高齢者の在住率が最も高い地域であります。高齢者の社会参加や買物など、外出時にミニバスが利用できたら本当に助かると、ミニバスの運行を求める声が多く寄せられています。この地域の通称「疎開道路」と言われている桜並木通り、旧牛田堀の通り、荒川土手下の道路、千住関屋町のマンション通りなどを運行するミニバス路線の設定をするべきと思うがどうか、以上、答弁を求め質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。 答弁 ○鈴木 章産業経済部長 初めにあだち産業芸術プラザのご質問にお答えいたします。 この施設は千住の賑わいと地域経済の活性化の創出を目的として建設されたものであります。4月のオープン以降、東京芸術センター内の足立区創業支援室への事業者の入居や、あだち若者サポートステーションとハローワークとの連携による事業展開、また、フィットネスクラブやSOHO・デジタル関係事業者の入居などにより、開設前と比較して、千住の賑わいと地域経済の活性化が一定程度創出されたものと認識しております。また、天空劇場を区内事業者が展示会等で利用するなど、今後も経済活性化につながる施設としてまいりたいと考えております。 しかしながら、東京芸術センターの案内表示等がわかりにくいなど、様々なご意見もいただいておりますので、地域に愛され、より使いやすい施設となるよう、引き続き綜合商事株式会社に要望してまいります。 次に、大規模小売店出店問題についてお答えします。 西新井駅西口にオープン予定のイトーヨーカ堂による地元商店街への対策についてですが、区といたしましては、商店街自らの創意工夫を尊重した支援を進めたいと考えております。例えば大型店の来客者を商店街へ誘導する方策として、共通のポイントカードやお買い物券を導入し、相互にお客さまが往来できる仕組みや、商店街マップの作成支援などが考えられますが、今後、地域コミュニティの核としての地元商店街の機能強化のための支援策を図ってまいります。 次に、融資制度にかかるご質問にお答えいたします。 なぜ従来の制度融資ができないのかとのご質問ですが、融資制度の改正は、先の議会においてもご答弁申し上げましたとおり、経営体質の強化に結びつくような制度の運用をすべきとの区民評価委員会の報告や、この4月の信用保証料率を改定した国の信用補完制度の見直しを受けて行ったものであります。この制度改正により、創業や経営革新につながる、より効果のある融資制度が整ったものと考えております。 なお、部分保証につきましては、導入が当初より遅れておりますが、部分保証への移行といった状況の変化へも対応すべく制度を改正したものであり、従前の制度に戻す考えはございません。 次に、区内事業者支援についてお答えいたします。 商店街の装飾街路灯は、集客のみならず、防犯に対しても大変有効であると認識しております。このため、商店街の負担軽減と区民の安全を確保するため、電気代の助成を行っており、平成16年度に電気料に対する補助率を3分の2から4分の3に引き上げたところでございます。したがいまして、現段階では現行の補助率を維持してまいりたいと考えております。 次に、商工業者の後継者確保につきましてお答えいたします。 区内商工業者の後継者の確保策につきましては、大変重要な課題と認識しております。区といたしましては、東京商工会議所足立支部が行う若手経営者の育成事業と連携し、次代を担う若手経営者層への支援策を検討してまいります。 次に、小規模工事契約希望者登録制度の活用などについてお答えいたします。 この制度は、足立区が発注する小規模な工事及び工事に関わる修繕等について、区の入札参加資格申請が困難な、区内に本店事務所を置く小規模事業者の受注拡大を図るものとして、平成17年度から開始いたしました。総務部ではこの制度の積極的な活用について、全庁に協力依頼をしておりますので、産業経済部といたしましても、区内経済活性化の観点から、経済活性化推進本部等の様々な機会をとらえ、働きかけてまいります。また、その活用状況を把握できる仕組みについては、今後検討してまいります。 最後に青年雇用対策についてお答えいたします。 まず、若者サポートステーションへの国からの補助金の質問ですが、この事業は厚生労働省から直接、NPO法人へ委託された事業であります。したがいまして、受託しておりますNPOの状況を見ながら、要望すべきことがあれば、国へ伝えていきたいと考えます。また、区からの委託事業につきましては、今年度スタートした事業でありますので、事業の推移を検証し、その上で予算等の検討をしてまいります。 また、事業内容の区民への周知についてですが、すでに区のホームページへの掲載、チラシの配布等を実施しております。今後は町会・自治会の回覧やポスターの掲示なども合わせて行っていきたいと考えます。 なお、看板の設置ですが、先般、ハローワーク足立の協力をいただき、案内看板を新たに3本設置したところであります。今後とも地元商店街や関係所管と協議して検討してまいります。 ○小平勝夫土木部長 日除け、看板の道路占用料につきましては、減免措置基準を定め、現在も減免措置を実施しており、看板で最大約8割、日除けで約6割の減額をしているので、全額免除は考えておりません。 次に、コミュニティバスの新路線につきましては、足立区都市交通懇話会で、運行経路の走行性、安全性、採算に見合う需要予測など、運行の実現性について協議いたします。 ○黒岩京子衛生部長 40歳未満の区民を対象とする健康診査についてお答えいたします。 女性については、女性の健康づくり推進事業として健診を実施しておりますが、男性は一般健康相談の中で有料で利用していただいております。 現在、医療制度改革により、健診制度の大きな見直しが予定されており、その中で区民の健康診査について検討してまいります。 ○石川純二教育委員会事務局次長 学校からの改修工事の要望に対する対応についてお答えいたします。 学校からの改修要望につきましては、安全・安心、授業への支障、衛生面等を考慮し、優先順位をつけて工事を実施しております。また、雨漏りや漏水など、対応を緊急に要する工事につきましては、適宜実施しております。 なお、安全・安心の視点から本定例会において防犯カメラの設置など、約2億5,000万円の補正予算の審議をしていただく予定です。発注は区内事業者支援の立場から行っております。 |
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