4、決算特別委員会の質問 区財政の伸び122億円。お金はあっても区民の暮らし支えようとしない区長の姿勢追及 第1日目 鈴木けんいち議員 |
○鈴木(け)委員 共産党の鈴木(け)です。よろしくお願いいたします。 いま、本当に政治のあり方が問われていると思います。これは16日付の新聞なんですけれども、この間行われた総裁・総理の選出に当たって、ある国民の方が、安倍総裁の演説を聞きに行ったというんですね。結局、失望して帰ってきたという話なんですが、去年30年間勤めていた建設会社を首になった、いまは失業中だ。むだ遣いばかりして福祉や年金を削るいままでの政治をどう変えるのか聞きに来てみたが、新しい内閣で政治が変わる気が全くしない。わざわざあそこまで聞きに行ったので、大分期待をしていたようなんですが、そうならなかったようであります。 いま、テレビでも、ワーキングプア、働いても結局生活保護水準以下の暮らししかできない人が非常にふえている。これは続編がというぐらい非常に関心が持たれて、実感として国民の間に響いている。こういう状況の中で行われる今回の決算審議だと思いますので、重視していきたいと思っております。 2005年度決算、普通会計で見ますと、歳入が、23区全体でも3年連続の伸びを示しました。足立区も、歳入が122億円増となりましたけれども、要因は何でしょうか。 ○ 財政課長 歳入の伸びの幾つかの要因でございますが、一つは、区税も増収したということがございますし、それから交付金は、基本的には対前年より落ちましたが、相当の規模で入ってきている。それ以外には、分担金ですとか使用料、特に特筆すべきものにつきましては、繰入金の関係で、生涯学習センターの基金の再編をさせていただいたというところがございまして、約40億円ほどその分が歳入歳出ともに膨れ上がっている、こんな状況でございます。 区財政はうるおったが、区民の暮らしは苦しくなった ○鈴木(け)委員 増収の目玉というか、区民税8年ぶりに増収ということでしたけれども、その内容、増収の主な要因は何でしょうか。 ○区民部参事 17年度の税制の適用になった分は、配偶者特別控除の廃止で8億8,000万円、配偶者控除を受ける場合に、その方が収入がない場合とある場合でも配偶者特別控除は適用になっていたんですが、その上乗せ分、両方受けられる、配偶者特別控除と配偶者控除を両方受けられるという形がなくなった分が約6万2,000人おりまして8億8,000万円。 それと、生計同一妻に対する均等割の非課税措置の廃止、共稼ぎ世帯ですと、奥さんが均等割を納めない、だんなさんが納めていれば納めなくていい、そういう方が3万3,000人ぐらいおりまして、これが5,000万円という形で、これで約9億3,000万円です。 以上です。 ○鈴木(け)委員 まさに政府の、自民、公明の政権と言いたいですけれども、この政府の増税政策によって区民が増税になって、その結果、区の財政は潤ったということが、この17年度の決算を見ても明らかなわけであります。 先ほど財政課長からも若干触れられましたけれども、使用料も増となりましたと。これも、結局は区民にとっては負担増であります。増税、負担増。この増税があれば、連動していろいろな保険料が上がる。都営住宅に住んでいる方は、その家賃も上がっていくということでありまして、本当にこの増税、負担増の中で迎えた予算だった、その決算審議をしているということであります。 財産収入が22億円増となっておりますが、これは何ですか。 ○財政課長 土地の売払収入でございます。 ○鈴木(け)委員 土地をばんばん売っているというか、買い過ぎた土地を売っているという面もあるのかなと思いますけれども、しかし基本は、区民の貴重な財産であります。そういうものも、どんどん安易に売っているような気もいたします。 投資的経費は、そういう中でどうだったでしょうか。 ○財政課長 前年比で50億円余増加しているという状況でございます。 ○鈴木(け)委員 投資的経費は増となったと。区民はどんどん所得が減って、そこへ増税、その他手数料も含めた負担増が押し寄せる中で、投資的経費は増ということであります。 この投資的経費の増というのは、23区全体でも同じ傾向があるわけですけれども、こういう中で、23区としても、それから足立区としても、(投資的経費がふえ)経常収支比率が下がった。財政論的には、弾力性が増したといいますけれども、結局、必要な区民施策を削って、投資的経費に回しているということは否めません。 生保世帯・就学援助受給世帯ふえ、貯蓄ゼロ世帯も急増 次、いま若干触れましたけれども、区民の生活がどのように変化したかについて、少しお伺いしたいと思います。 15年から17年度にかけて、生活保護受給世帯はどのように変化したでしょうか。 ○中部福祉事務所長 平成15年の実績でございますが、世帯数が1万1,537世帯、保護者数が1万6,209人、平成16年度が、世帯数が1万2,113世帯、保護者数が1万7,280人でございます。 ○鈴木(け)委員 1年間で、6.7%増。そういう状況です。 次、国保料なんですが、収納率が、当時判明していたのは15年度までかなと思うんですが、13年から15年にかけては、どのように収納率は変化していたでしょうか。 ○こくほ年金課長 15年度には、現年度の保険料の収納率だけでいうと、85%に一たん上がりましたけれども、16年には82.91%、昨年17年度は82.82%と、ここへ来て若干下げどまりの傾向ではございます。 ○鈴木(け)委員 最近の状況はそういうことですね。 以前にお聞きしましたのでは、13年度から15年度にかけては、13年は収納率72%、低いわけですけれども、15年度はさらに下がって67%まで下がった。一生懸命徴収努力を行っているんだけれども下がっている。いかに生活が苦しくなっているかということのあらわれだと思います。 この当時、介護保険料についても、所得段階の低い方の人数がふえています。所得の低い方がふえていると言えるわけです。 ちょうど17年度、格差社会、貧困と格差の拡大ということが叫ばれ始めた時期で、そして就学援助を受ける家庭がどんどんふえてきたと思います。 この就学援助については、10年間で倍にふえたということでありまして、その中で、私きょうちょっとご紹介したいのは、貯蓄ゼロ世帯がふえているということであります。 これ何度か言われていますけれども、ちょうど昨年の時点で、第一生命研究所が研究結果を発表しまして、ここでは、20%が貯蓄ゼロ世帯であると。これはなかなか注目されてこなかったんだけれども、これは厳然たる事実で、若い方にも、それから高齢者にも、この貯蓄ゼロ世帯がふえている。ここに向けた施策が行われる必要があるだろうと。消費税を上げる、増税するなどは、ちょっと慎重に行う必要があるのではないかという指摘が、こういうふうに第一生命の調査としても言われている。 別の調査では、この貯蓄ゼロ世帯23%という報告もあります。 こういう区民生活の中で、区政がどう区民の暮らしを支えるのかということが大きく問われていたと思います。そういう点では、もともと増税などで潤った財源、これをどう使って区民の生活営業を支えるのかということが問われたわけですけれども、実際はどうだったかということであります。 その当時の2004年度の区長あいさつ、これは今決算の前ですね。このときには、(国の)地方財政計画というものを取り上げました。この「地方財政計画」は、前年度比マイナス0.4%になっている、だから財政厳しい、大変ですよというふうに言っていました。 しかし、2005年度予算では、そういうマイナスになっている要素がどうも見当たらなかったらしくて、さすがに単純に厳しいとは言えなくなったのか、今度は、「変動し、区自身でコントロールできない財源の存在」ということを強調しました。 つまりこれは、景気の回復も、この先どうなるかわからない、三位一体についてもこの先どうなるかわからない、そういうことを強調して、「(さらに)区の財政は財調が多くを占める」、これも実は当てにならないんだというようなことを言っているんだと思うんです。 先ほど財調のご議論がありましたけれども、これはもともと区に入るべきお金でありまして、それを一たん東京都に集めて配分をしているわけでありまして、これは区の一般財源として区が自由に使えるお金でありますから、これを本当に区民のために使っていくというのは十分可能なわけであります。 結局、この区長のあいさつを見ましても、厳しくなっていると言えなくったら、今度は別の理由を持ち出して、大変だ、大変だと。そして、さらに言っているのは、区自身でコントロールできる歳出を削って財源を捻出するということで、この2005年の予算については方向を示しているわけですね。まさに区民施策削減を進めるという姿勢の表明だったと思います。 そういう中で、私、先ほども生活保護についてはふえていることなどもお聞きしましたけれども、この傾向は、さらにいま深刻になっていると思います。 今回の我が党の代表質問でも、ことしの状況はさらに深刻になって、いままで非課税だったのにいきなり7万円も取られた、あるいは40年近く勤めて月の年金が13万円なんだけれども、そのうち家賃が4万5,000円、残り8万9,000円から保険料がどんどん上がり、医療費もかかって生活が苦しいという声を紹介しました。そのことを区長にちょっとお伺いしたかったんですが、ちょうど区長さんが(トイレにいかれた)、これは生理的現象ですからしようがないと思うんですが、では、助役さん、済みません。 幾つか私るる述べましたけれども、こういう区民の生活、ますます苦しくなっている、こういう区民の状態、どう見ているのか、率直にお伺いしたいんですが。 ○助役 同種の質問、本会議でもたくさん出まして、本会議で答弁した以上の回答は、区側に用意ございません。 ○鈴木(け)委員 増収について聞いているんではなくて、区民のこうして苦しくなっている実態、状況をどう見ているのかということなんですが、いかがでしょう。 ○助役 先ほど歳入のお話も出ましたけれども、財調も含めて、区に入ってくる歳入、全部区民のために使っているわけでございます。 ○鈴木(け)委員 全部区民のために使っていると言いますけれども、結局、この17年度決算を見ますと、区民に向けて行ったことを申しますと、結局、子育て世代を直撃する保育料の20%値上げ開始しました。それから、社会教育団体の施設使用料免除制度を廃止して、全額徴収を始めました。それから、高齢者については、福祉電話を縮小し、日常生活用具の給付、シルバーカーとか電磁調理器なんですけれども、これも削減されましたけれども、これは違いますか。 ○政策課長 いま個々におっしゃられたことは、そういう施策を進行させてきたということは確かだと思いますけれども、それも、先ほど来財政課長も申し上げましているように、公共施設のこれからの更新であるとか、さまざまな将来に向けての再構築をしていくために、いたし方ない選択であったんだろうと思っております。 ○鈴木(け)委員 これから公共施設の再編などでいたし方ない施策と。建物を新しくするには、区民の暮らし削ってもやむを得ない。一定程度事実を認めながら、しかし反省はないというお言葉かなと思います。 実は、17年度は、いま幾つか申し上げましたけれども、これだけでは済まなかったんですね。当初予算でいまのような削減が行われましたけれども、6月には、高齢者の非課税措置の廃止を決める条例を提出しました。 それから、わずか195万円で支えられる障害者の補聴器の電池とか、歩行のために使うつえの先につけるゴム、これの補助を廃止するということで、私これ厚生委員会で聞きまして、ここまで削るのかと。総額で幾らなんだと(うかがったら)、195万円ですと。 これぐらいだったら、あのとき区長さんにお聞きしたかもしれません。これぐらいだったら、それこそポケットマネーとは言いませんけれども、ちょっとお金を回せば支えることできるんじゃないか、継続することできるんじゃないですかと言いましたけれども、これさえ、あっさりと有料にいたしました。 このときには、ほかにも、安全、安全と言いながら学校の警備員の全廃を打ち出しました。そして、9月には住区センターの有料化を強行するということであります。 いま、じゃあ学校どうするんだ、公共施設どうするんだということなんですけれども、そういう更新をするお金は、十分あるんだということを先ほどから私るる申し上げているわけです。そういうことをやりながら、同時に区民施策を充実し、支えることはできるんだということであります。結局、姿勢がないからなんですよ。 じゃあ、このとき何が起きていたかというと、区立文化芸術劇場、17年度は初年度ということで10億円投入され、17年度については5億5,000万円の予算が計上されました。これについては、本当に私ども、事務手数料を含めないでも1億円以上むだがあると指摘をしましたけれども、さらには、その後1億4,700万円の事務手数料、必要のないお金まで支出しているということを指摘いたしましたけれども、このコミュニティーアーツについては、決算はどうなりましたか。 ○ 教育事業担当部長 済みません、いま細かい資料が手元に出てきませんので、6月にしっかり決算を行いまして、その結果につきまして、余った金額等の返還もいただいているところでございます。 総額640億円の大型開発を打ち出しそのために500億円の積み立てを宣言 ○鈴木(け)委員 余った程度の話ではないわけなんですけれども、あわせて、このときには、湯河原区民保養所をめぐっての収賄事件も明らかになりました。それから、都市活性化センターが、特定の事業者に高い家賃、地代を払っていた公共駐車場の問題をめぐっても、納得のいかない処理が行われ、問題になりました。 こういう中で、区は、この17年度、総額640億円の大型開発を打ち出しました。そして、そのために500億円の積み立てを行うというふうに宣言をしたわけであります。 積立金の状況は、このときからどういうふうに変化をしているでしょうか。 ○ 財政課長 17年度につきましては、160億円余の積み立てと65億円の取り崩しがありますので、差し引きで3月31日現在410億円余、また、なお現在18年度当初予算で積み立てているのがありますので、現時点では478億円の基金残高でございます。 現在の区の積立金478億円。区民のために使える財源は充分ある ○鈴木(け)委員 現在で478億円、17年度のときにも1年間で76億円、3割増の積み増しを行っておりました。いま現在478億円ですから、このペースでいけば、今年度中に500億円達成も、達成というか、私はそれを奨励しているんではないので変な言い方なんですが、そういうお金があるわけですよ。 しかし、区民を見れば、本当に疲弊している。何か支援をしてほしいという声が上がっている中で、そこには目を向けないで、こういう積み立てだけは方針どおりやっていると、ここに大きな問題を指摘せざるを得ません。 いま、この積立金については、都政新報でも、23区では歳入の増加を支出に回さず積立金をふやしている。積立金はピーク時の1991年のバブル経済の時期の規模に近づいていると、こういう状況であります。 足立区、当時790億円の積み立てを行い、そして多くの区民からの批判を浴びて、区長交代という事態にもなったわけですけれども、またあのときの再現のようなこうした積み立て、区民の生活を切り捨てて積み立てを行っているというのが、この間の特徴なのではないでしょうか。 それで、区政としては、この間改革、改革ということを非常に言ってきました。しかし、その改革は、区民を支える視点がないという改革ですから、結局潤ったお金は区民のために使われない。そして、区財政は潤い、そして一部の企業も潤う。で、区民は、一層苦しい生活、営業を余儀なくされるということだったのではないかと思います。 こうした姿勢の転換を私ども求めてきたわけですけれども、この17年度におきましても、区長がやる気になれば、一般会計のわずか0.6%を増額するだけでも区民を支える第一歩を踏み出せると、我が党は予算組み替え案を提出をいたしました。 その中で、例えば子ども医療費助成の拡充の提案をいたしましたけれども、これは現在どうなっているでしょうか。 ○子育て支援課長 子ども医療の拡充につきましては、18年度で小学校3年までの入院費医療の助成を始めました。来年度の予定としまして、中学3年まで拡大の予定でございます。 ○鈴木(け)委員 この当時、私ども条例案も提出しましたけれども、自民、公明、民主さんから否決をされました。そして、こうして予算の組み替えも提出しましたけれども、同じく自民、公明、民主さんから否決をされました。でも、実際にはできたわけです。こうやってできたわけです。ですから、本当にやる気になればできる。 例えば住宅改良助成の拡充ということも、この組み替え案で提案をいたしました。耐震診断、耐震補強工事を助成の対象にすべきだと。それから、自己資金でも助成の対象にすべきだという提案を行いましたが、これは現在どうなっていますか。 ○建築担当部長 耐震助成の関係でございますけれども、今年度から木造住宅を中心に耐震助成を進めたところでございますけれど、来年度に向けて、分譲マンション、それから共同住宅、こういったものも含めて、現在、どうあるべきか検討している最中でございます。 ○鈴木(け)委員 これも、その当時提案した方向で拡充され、来年度はもっと継続拡充されるということであります。こういうふうにやる気になればできる、財源は十分あるということなんです。 しかし、それをなかなかやろうとしない。そして、積み立てに回す。これだけ区民が苦しくなっていて、積み立てどころじゃないんじゃないかという声もあるぐらいです。ですから、そういう姿勢の転換を、私求めていきたいわけであります。 この当時の問題では、足立区版マイスター制度ということも、区内の経済活性化のためには大変重要だという提案をいたしましたけれども、これについてはどうですか、その後。 ○政策課長 マイスター制度、ちょっと私存じ上げないんです。産業の新しい職人さんを育成していくというふうな話をご提案されたと思うんですけれども、先ほど来聞いていますと、いますぐお金を使ってしまえばいいんじゃないかという話に聞こえるわけでございますけれども、今後のことを考えながらやっていかなきゃならない。 いまおっしゃられたのも、そういう積み立てにばかり回す必要がないんじゃないかという声もあるということでございますが、大多数の方は、やはり将来に備えたいというふうに思っているんだろうと思います。 ○鈴木(け)委員 何か、いまあるお金を全部使ってしまえというふうに言っているかのようなお話がありましたけれども、全く違います。そんなことは言っておりません。 そういうことではなくて、これだけ増収もあり、しかもその大もとが区民の増税によるものであったりする中で、その一部を回して、区民の暮らし、そして中小企業の営業を支えるということがどうしてできないのかと、必要なんじゃないかということを申し上げてきたわけです。 実際、17年度の中ではそうした施策が講じられなかったということで、私は、そうした姿勢の転換を求めているわけであります。 ○鈴木(け)委員 三位一体の改革に基づいて非常に不透明ということが言われてまいりましたけれども、そして、今度の行財政運営方針でも、長期的に見ると楽観できないというふうに書いてありますけれども、今後の財政見通し、どのように見ているんでしょうか。 ○財政課長 三位一体の影響につきましては、16年から18年で約42億円国庫支出金等が減ったと。で、約同額が所得譲与で来てございましたが、19年以降、税源移譲分が若干それを上回るだろうとは見てございます。 ただし、三位一体改革に伴いまして、この間ずっと地方税財政が改革されてきてございますが、先ほど申し上げました1,160億円の起債残高の中には、減収を補てんする赤字債であります減税補てん債が、実は242億円残高があるわけでございまして、こういったことを踏まえますと、なるべくこういう赤字補てん債の圧縮、それから、今後の一財につきましてはよくて横ばい、長期的には右肩下がりになるだろうと、こういうことで中長期的には財政状況をつかんでございます。 ○鈴木(け)委員 三位一体の改革の中でも上回る見通しがあるということも明らかになりました。こういう財源も使って、区民の生活と暮らしを守る財政運営に転換することを改めて求めまして、質問を終わります。 |
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