4、決算特別委員会の質問 足立の市場化テストー重大な法律違反・個人情報の漏洩の恐れ。経費節減できずサービス低下 第2日目 針谷みきお議員 |
足立の市場化・民営化は失敗続き ○針谷委員 昼食後で本来なら昼寝ぐらいしたいところでしょうけれども、私も本当はそうしたいんだけど、時間でございますので、質問をさせていただきます。 今議会の大きな争点、一般マスコミをにぎわしております市場化、民営化、こういう問題全般的に触れながら質問させていただきます。 まず、最初に、私、一般質問に立ってこの問題を最初に取り上げたわけですけれども、市場化、民営化、鈴木区政が誕生して、構造改革路線のもとで、PFIであるとか、指定管理者であるとか、官民パートナーシップ、いろいろな手法でやってきたけれども、そのいずれもが、さまざまな問題があって失敗続きだったんじゃないですかという質問をいたしました。 そのときに、これは政策経営部長の答弁ですが、先駆的がゆえに背負う苦労、試行錯誤がありますと。今後、情報公開、個人情報保護の内容を十分踏まえ、区政の透明化に努めると、こういうふうに答弁しているんですけれども、具体的に、どのような教訓といいますか、こういうのを導き出して、そしてどういう対策を講じたのか、まず最初にお伺いしたい。 ○政策経営部長 私が現在の職につきましてからやりましたことは、一つございまして、それは昨年でしたか、指定管理者制度の関係でいろいろとご質問とかご意見がありまして、指定管理者の指定の仕方といいますか、マニュアルといいますか、ガイドライン、それを一部手直しをしまして、さらにその指定管理者制度を使いやすい形にするという、そういう作業をしました。 ○針谷委員 もうちょっと現象的な面じゃなくて、私が聞いているのは、本質的な深いところでとらえてもらいたいなと思っているんですね。 というのは、例えば指定管理者制度でいえば、第1号であったコミュニティ・アーツが、事務手数料であるとか、いろいろここで言うのも何ですが、乱脈経営とか、そういう問題が指摘をされたと。 PFIについては、地元業者排除という問題があって、これは全党一致で反対ということでやめたと。 区役所跡利用も、プロポーザルの内容から全然変わってしまって、企業言いなりということもありますし、これまた発注においては全会派が地元業者と言ったけれども、残念ながらそうならなかったというようなことで見ますと、別にもう少し市場化、民営化そのものについて、皆さんの大半はそれでいいんじゃないかというふうに一部思っている方が多いのかなとは思うんですけれども、そのものの持つ欠陥について考えたことがないのかなというふうに思うんですね。 その点については、政策経営部長どうですか。 ○政策経営部長 やはり官、要するに公務員のやることのいいことと、市場、民がやることのいいところ、これは両方あると思います。 一つには、公務員がやると、継続性とか、あるいは公平性ということも一つあるんでしょうか。それに対して、民がやることについては、創意工夫というのがかなり加わりますので、そういう意味では効率性とか、あるいは民の方でも、同じ人間が同じことをやっていけば継続性というのはつながっていくと思っていますけれども、基本的にそれぞれのいいところを取り合って、お互い協働し合いながら進めていくというところに、いいところがあるのかと思っていまして、決して官だけがいい、民だけがいい、そうではないなということは考えております。 ○針谷委員 私ども、もちろんその点は一緒なんですけれども、ただ、いま問題となっているのは、区民サービスの向上ということを考えたときに、例えば民間に委託をすることが、果たして本当にそうなるのかということですよね。 私は、民間事業者の最大の目的は何かと言えば、市場経済、市場原理に基づくもうけ第一の原理というのが最後まで貫かれる。また、貫かれなければならないという面があるわけですよね。その結果、区民サービスの向上にならないだけでなくて、腐敗だとか、むだ遣いの温床になると。そういうことが多くあったんだと思うんですね。 例えば湯河原区民保養所の贈収賄事件で、教訓を幾つか導き出していると思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。 ○総務課長 コンプライアンス推進室長を兼ねておりますので、答弁させていただきます。 湯河原の事件を受けて、さまざまな見直しを行う中で、資産見直しを行ってコンプライアンス推進計画をつくりました。 その中で、最初に、湯河原区民保養所事件の発生に至る問題点ということで幾つかを整理しました。 まず、手続等の規定の整備が不十分であったということ、職員の法令順守意識の脆弱性ということ、外部からの要望に対する組織的対応の欠如、それから第三者による監視機能の不備、こういったことを整理して、こういったことを踏まえてコンプライアンス推進計画をつくりました。 ○針谷委員 これはプロポーザル方式によるその1で、いま課長が言ったように、プロポーザル方式による事業者選定の手続、選定基準、決裁に至る裁量の余地が大変大きくて透明性に欠ける部分があったということが、具体的な中身で触れているんですね。やはりそこにつけ込まれて、方式をプロポーザル方式に変えて、実際上ああいう贈収賄事件に発展したと。 だから、民間委託におけるいろいろなリスクを考えた場合、私は、こういう点については、本当に慎重に、そして教訓化をし、何が何でも民営化なんだというような方向をひたすら走るというようなやり方は改めるべきだと思っております。 区民事務所の民間委託 サービス向上にもならない そこで、具体的に、そういう点を踏まえているというのであるならば、市場化テストによる区民事務所の民間委託についてはどうなのかということについて触れていきたいと思っているんですね。 本来、条例審議総務委員会でやって、私が聞こうと思っていたことが、途中、委員会で打ち切り動議が出て聞けなかった問題がありますので、それ若干お聞きしますけれども、まず、条例の第2章に、公共サービス実施方針ということで、足立区が進めてきた民間委託とか指定管理者制度をみなし公共サービスとか、簡易とか、プロポーザルというふうに事業仕分けをやられていますよね。 この公共サービス実施方針を挿入することによって、私は、この足立区の条例が、市場化テストよりもさらに幅広くなったというふうに思っているんですね。まさに民間委託すべてを公共サービス改革の名で束ねて、個別法で禁じているような業務の民間委託を際限なく広げていく、極小の自治体をつくりたいというようなことなのかなというふうに思っているんですけれども、その点については、このことについて発言をなさっている区民部長にお答えをお伺いしたいと思います。 ○政策課長 第2章の実施方針の中には、いまおっしゃられたみなしとか、そういうものについて、直接条例の中に記載しているわけではございませんで、実施方針のこれからの討論素材の中に書かせていただいているという関係になります。 そして、みなしとか、簡易とかというのを策定している理由というのは、先ほど来針谷委員おっしゃるように、市場化を進めていくときには、きっちりとその内容を精査していかなきゃいけない。そういう趣旨を踏まえて、それに対応するために、むしろみずからを縛るという意味合いでやっているわけでございます。 プロポーザル一般がいけないというわけじゃなくて、いいプロポーザルをやっていくことが大事だろうと、こういうふうに思っております。 ○区民部長 私が市場化テスト関連で申し上げているのは3点ございまして、第1点は、公務員と税金だけでやるような直営型のサービスについてはできる限り少なくしたいというのが第1点であります。 いままでやってきた、そういう官業と言われるものを市場化テスト等で民間に移す場合には、いま我々の内部で議論しておりますが、単なるコストダウンだけでは市場化テスト呼ばないと。必ず何らかのサービスがアップするように、区民事務所で言えば、処理スピードが速くなるとか、夜もやっているとか、休日もやるというようなことであります。そういったことを2点目に考えています。 同時に、民間に移すことで若干の余力ができるならば、公務員しかできない、市場では絶対できないことがあるわけで、例えば児童の虐待の問題だとか、ニート、フリーターの問題だとか、さまざまな問題が、公務員でなきゃできない、官でなきゃできないことがあります。こういった部分は、我々は万全な水準でやっているかと、必ずしもそう言えないわけであります。 我々としては、そういう三つの単位、なるべく直営型のものは少なくする、民間に移したものはサービスを必ず上げる、もちろんコストダウンはくるわけですが、さらに浮いた余力で市場や企業ではできない分野に我々は進出すると、こういう3点セットで申し上げているということでございます。 ○針谷委員 1番目で認めているんだろうと思うんですね。 それでは、具体的に条例の中身についてちょっとお伺いしたいんですけど、第1条で、この目的、総則の 1、趣旨、この条例は、足立区がみずから実施する公共サービスに関し、これを見直し、民間事業者の創意と工夫が反映されることが期待される業務について、透明かつ公正な競争のもとで公共サービスの改革を実施するんだと、こういうことを言っているんですが、この透明かつ公正な競争のもとで公共サービスを実施するというふうに言っているけれども、その第1号でやろうとしている区民事務所の委託について、どこに民間事業者の創意と工夫が反映されていくのかと思うんですが、いかがですか。 ○区民課長 創意の部分ということでございますけれども、その部分につきましては、人材派遣ということでやろうとしておりますので、そういった人材派遣をする場合の人数について、標準的な日にちについてはある人数ということですけれども、繁忙期あるいは比較的閑散なときには増減をすると。そういった場合の人材確保について、民間事業者の創意と工夫を生かして、その10事業を埋めていただくといったようなこと。 それから、処理時間についても、そういった民間の従事者の人がスピードアップを図るということでそういった入力の処理時間をやっていただくというような点で、民間事業者の創意と工夫が図られるというふうに考えております。 ○針谷委員 全然まともな答弁とは思えないね。人の派遣を繁忙期にふやすふやさない、こんなの創意でも工夫でもないですよ。市場原理に基づいて、もうからなければ人を減らすんだ、こんなの創意工夫とは言いません。 それから、入力の問題も言っているけれども、これも本当に早いかどうかというのは、確かに派遣の場合は入力は早いかもしれないけど、この区民事務所の事業に関して創意工夫がそこで発揮されるというようなものでは、私は全くないと、こう言わざるを得ないと思うんだね。 そこで、市場化テストの本来の持つもう一つの趣旨である、本来なら官民競争、そしてサービスの向上と経費の削減、こういうことに本当にこれがなるのかという問題ですね。 ところが、このことに関しては、最初から条件をつけて、区民委員会、そしてまた各種のところで、もともと民間にはこうした業務のノウハウはないために、21業務の一つ一つを教えなくちゃならないということで説明をしているわけですね。ですから、もともと創意工夫といったって、ノウハウないわけだから、創意工夫のしようがない。 しかも、いまの答弁だと派遣でやるというわけだから、区の指揮監督下に入るということで考えますと、これはとても中立性だとか、透明性だとか、いわゆる建前で言っている官民競争だとか、こういうことからは、全くずれてしまうんじゃないかなと思うんですね。 そういう点でいうと、単なる人材派遣会社もしくはこの種の企業に、区がもうけ口を確保してやるということになっちゃうんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。 ○区民課長 足立区が進めようとしておりますのは、区民事務所の中に人材派遣の従事者を入れて、区の職員とともに協働でやるという仕組みでございますので、人材派遣会社にもうけ口をつくるといったような意図はございません。 ○針谷委員 協働については後でまた触れますけど、これは協働でも何でもないですね、はっきり言えば。 具体的に、まず、サービスの向上が本当にあるのかということですけど、四つの区民事務所の職員配置はどのように変わるんでしょうか、具体的にお示しいただきたいと思います。 ○区民課長 千住区民事務所でございますけれども、非常勤職員4名減をして派遣職員4、中央本庁でございますけれども、常勤職員が4減って派遣職員が7、竹の塚区民事務所が、常勤職員2減って派遣職員が4、西新井区民事務所が、常勤職員1減で派遣職員が2という形でございます。 ○針谷委員 そうすると、大体、正規職員を1人削って人材派遣職員を2人というような感じかなと思います。非常勤職員4人削るという千住区民事務所もありますけれども。 そうすると、この最初の目的は、待ち時間を解消するということを言っているんですけど、実際の待ち時間の短縮になるのかなと思うんですが、その点では、私は、カウンター数がふえなければ、つまり窓口数がふえなければ、これはサービス向上にはならないと思うんですけれども、窓口はふえるんですか、これで。 ○区民課長 窓口数については、施設の物理的制約もありますので、すぐにはふえない状況にあります。 ただ、端末数については、ふえるべく庁内のシステム委員会にお願いをしているという状況でございます。 また、事務の効率化につきましては、ただいま申し上げた職員1に対して派遣職員が2と、約倍配属されますので、その部分でも、当然スピードアップは図れると考えております。 ○針谷委員 窓口数がふえないで区民を待たせないなんていうのは、これは詭弁なんですよ。一番ふやすなら、窓口をふやさないとだめなんだよ。 次にお伺いしますけれども、行政処分と行政処分でないものをどのように振り分けるのかと。行政処分はやれないと言っていますね。行政処分と行政処分でないもの、どのように振り分けるんですか。 ○区民課長 行政処分の根幹の部分については、証明書発行等においては、その内容を確認して間違いがないかどうかということで、間違いがなければ、それを渡すということが派遣職員にできますので、確認照合の部分が行政処分の根幹の部分だと思っていますので、その部分を区職員がやるということでございます。 ○針谷委員 いま区民部長が言ったことを図にしてみたんですけれども、住民基本台帳の異動の申請の流れということでつくってみたんですが、この業務の黒くなっているところが委託部分ということで、いま言った受け付けをして、確認をして、本人か第三者請求かそういうものを確認して、そしてこの白い部分、審査、受理、こういう部分を区の職員がやると。それが正しいかどうか、さらに入力をして照合の部分も区の職員がやると。最後、所長決裁は区の職員がやると、こういう流れになっていくということでよろしいんですね。 ○区民課長 そのとおりです。 ○針谷委員 この流れで、やはり私は、スピードアップはかなり厳しいなと思うんですよ。 なぜかといえば、派遣職員が確認をしたら、もう一度同じようなことをここで、この図というのは、同じことをやるという確認なんですよ。本人確認、第三者請求、これを確認するわけです。 ですから、ここの民間職員と区の職員が同じことをやらなきゃならないということについては、どうしても、どんなに言おうと、ダブり作業というふうに私は言わざるを得ないと思うんですが、この点はどうですか。 ○区民課長 間違いを少なくするといった意味では、ダブルチェックすることは差し支えないと思っています。で、人数がふえる分でスピードアップは図られているというふうに考えております。 ○針谷委員 現実的にこれが有効なものだろうかと、有効に本当に機能するんだろうかと。私は、区民事務所の職員、地元にもいますし、いろいろ現場で見させていただきました。 さっき、さとう純子議員が言ったように、長年これに従事してきた職員の研究と工夫、改善により築き上げてきた業務執行の仕組みというのは、非常に効率的にできていると思うんです。ですから、私は、区の職員が本当にここで果たしている役割は大きなと。さっき、さとう純子議員が言ったことというのは、まさにそのとおりだと思うんですが、そこでちょっとお伺いしたいのは、派遣職員も窓口業務に携わる、受け付けをやるんですか。 ○区民課長 窓口業務を予定しております。 ○針谷委員 実は、私、おくれる最大の要因は、ここじゃないかなと思っているんですよ。 というのは、一番難しいというのは、受付でのいろいろな相談。相談に来た人が、例えば今回のように増税で負担が大きいと、これはどうなっているんだというふうに来たときに、それを一つ一つ照合し確認をするというような、いわば相談であるとか、クレーム、こういうことにふなれな民間企業の派遣職員は戸惑ってしまって、なかなか混乱することは私は明らかじゃないかなと思っているんですね。これについては、やはり大きな問題点だろうと思っています。 これについては、ちょっと時間がないので指摘にとどめます。 経費節減にもならない 次に、経費削減の問題ですけれども、経費が削減をされるという根拠を示していただきたいと思う。 ○区民課長 本会議の部長答弁では、1人当たりの派遣コストは、区常勤職員の5割程度ということでご答弁しておると思います。 導入当初につきましては、職員の減に対しまして約倍の派遣職員がついておりますので、従前と比べて同程度と見ておりますけれども、3年後と申しますか、3年目には10%以上の削減が可能というふうにお答えしております。 約5割として見ますと、19年度は98%、21年度につきましては10%以上ということで本会議ではお答えしていますけれども、72%ぐらいになるんじゃないかなというふうに見込んでおります。 ○針谷委員 その根拠というのは、5割程度、実は7割程度という答弁もあるんですよね。 これは具体的な話に入っていけばわかりますけれども、総合評価制度でプロポーザルみたいのを受けるわけでしょう。だから、単純に金額が5割になるとは限らんわけですよね。 7割の場合ですと、これは大幅に経費節減にはなりませんよね。 ○区民課長 7割ですとなりませんけれども、予定価格については、5割程度をもとにした予定価格を設定するということもありますので、そういったものをもとにしますと、ただいま申し上げた削減にはなろうかなと思っています。 また、7割ということで部長が区民環境委員会で申し上げましたのは、例えば地区職員の7割ということも出しているということでありまして、例えばということで申し上げたのと、7割についても、あくまでも上限を7割ということでやっておりますので、下見積もりの段階では、5割程度が1人当たりのコストになるのかなと見ているところでございます。 ○針谷委員 これは実は、坂田部長がシンポジウムで、余り安い契約するとさまざまな問題が発生するから、総合評価方式では、除算方式ではなく加算方式をとるんだと。 つまりある程度高いことをやってもいいんだと、サービスの低下にならないためには。そういう答弁というか、発言をしていると思うんですよ。その点はそのとおりでしょう。 ○区民部長 確かに、そのようなお話を申し上げております。 いずれにしても、7割というのは全般的な目安でありまして、例えば今回のように初めて始めるときには、安全率を見込んで民間の派遣職員の数を少し厚目に見ますし、かなり習熟すれば、そこはもうちょっと合理化できると。 全体的に大体7割ぐらいということで、その辺を何でもかんでもダンピングを目安にすると、本当の公共サービスの質の向上ができないということで、民間側も適正利潤が出るような水準でやるべきだというお話で、7割ということを申し上げました。 ○針谷委員 7割でやると、経費節減には全くならないんですよ。私ちょっと計算したんですが、区の職員を7名削って、約800万円とすると5,600万円、非常勤職員4名ですから、200万円として800万円、6,400万円ぐらい削るんですよ。 ところが、これを派遣職員7割ですると、560万円、これは17人ですから9,520万円になっちゃうんです。つまり3,120万円多くなっちゃうんです。 私は、本当にサービスの向上をするならば、非常勤職員対応で十分だと。何も経費節減にもならない、サービスの向上も余り見込めない、このような区民事務所の民間委託は、そういう点ではやるべきではないと私は思っております。 あらゆる個人情報が民間派遣社員の手に 次、質問を変えますが、個人情報の漏えいの問題、区は、区民事務所の業務委託で取り扱う個人情報の具体的なものを示していますけど、区民事務所で取り扱う個人情報、どんなものがあるのか、主なものを答えてくれますか。 ○区民課長 例えば住民基本台帳事務で申し上げますと、住所、氏名、生年月日、性別、世帯主、続柄、本籍、筆頭者氏名、前住所、転出先、区民となった年月日、住所を定めた日、一例ですと、これでございます。 ○針谷委員 答弁長くなると悪いから、つくってきました。 印鑑証明では、実印の印影、これは個人情報保護審議会で、ある学識経験者が、こういうものまで見させていいんですかと言いました。 住基カードは、本人の写真とシリアル番号、住民となった日など、外国人登録では、旅券番号までわかっちゃうんですね。 税情報でいえば、会社名、電話、所在地、所得金額のうち、営業と不動産、配当利子、公的年金など、私は数えたんですが、100項目ぐらいあるんですね、いろいろと。 それから、滞納があれば未納額と不納欠損、差し押さえ中かどうか、公判中だとか、滞納処分の種類もわかりますね。 それから、戸籍事務、これは大変だと思うんですが、生年月日、本籍、父と母の氏名、住所の経歴、結婚、離婚歴とその種別、認知、養子縁組したかどうか、親権、未成年者の後見、帰化したかどうか、国籍取得等の問題、破産宣告の有無、禁治産、こういうのもわかりますね。 それから、軽自動車税では、登録ナンバーとか車の種類もわかる。国民健康保険では、加入喪失の情報がある。それから、母子手帳では、性病の健康診断の有無もわかるんですよ。 だから、区民にとっては、私、こういう情報というのは、民間の事業者が、たとえ一瞬であっても知り得ていいのかなと、非常に危惧しております。 こういう問題について、私は、区民にとって、区民事務所の民間委託というのが、これほど重要な個人情報を扱うと。これは本当の一例であって、私が数えたのでは、21業務で約400項目超えるかなと思うんです。 その人の個人情報はほとんどわかる、わかってしまうということが、果たしてこの事業で民間事業者にいろいろな漏えいの防止策をとったとしても、果たしてとれるのかなということを言わざるを得ないんですが、そこでちょっとお伺いしますけれども、個人情報保護審議会に出した区のデータ保護対策として、一つは、戸籍データとか住基データは、情報課推進室が管理するサーバーにあってパソコンには保持しないということで、検索については、1件ごとのアクセスだから大丈夫だと。 それから、きのうかなんか、だれかが質問していましたけど、データのアクセスログは採取するということを言っていますよね。 それから、物理的制御として、パソコンには蓄積データを加工できるツール、エクセルとかアクセスは搭載しないと。それから、フロッピーとかUSB等の機能は使用できないように制御すると、だから大丈夫なんだと、こういうことを説明しているんですけど、そのとおりですか。 ○区民課長 そのとおりでございます。 ○針谷委員 私、これじゃ全然だめだと思っています。 なぜかといえば、まず2番の蓄積データを加工できるツール、エクセルやアクセスがないからといって、加工できないなんてことはありません。データ化すれば、別のパソコンで幾らでも見られますよ。でしょう、皆さんもわかっていると思うけど。 それから、フロッピーやUSBの機能は使用できないように制御して、制御を外すためにはパスワードを知らない限り不可能だと。パスワードなんて、いま簡単に破られちゃうじゃないですか。 現に、KDDIの40万人の情報が出たシステムは、もっと厳しかったですよ。例えばシステムルームに入るには諮問認証システムがあっただとか、シンというクラアント端末の導入、これはハードディスクが記録媒体を持たないでサーバーに接続する端末、こういうものも導入していたけれども情報を取られちゃったんですよ。 そういう点では、この対策では万全ではないと私は言わざるを得ませんが、そこで、もう一つ、区が言っているのは、みなし公務員規定があるから、その罰則規定があるので大丈夫なんだと言っているんですけど、これは地方公務員に課せられる罰則が民間社員に全部適用されるんですか。 ○政策課長 罰則規定、そのみなし公務員の規定が対象になるのは、特定公共サービスと言われている6業務、住民票の発行であるとか、そういうところに対してかかるという関係になります。 ただし、個人情報の守秘義務につきましては、条例でも定めておりますので、すべての業務につきましてかかってくるということでございますので、民間の労働者すべての方に、個人情報についての守秘義務はかかるということになります。 ○針谷委員 私が聞いていることにちゃんと答えてくださいよ。私が言っているのは、地方公務員に課せられる罰則が、民間会社の社員に課せられるんですかと聞いているのよ。 ○政策課長 地方公務員に課せられるのは、例えば任用とか、えこひいきした形で任用をした場合、それは厳しい罰則があると思うんですけども、そういうものについては課せられない、こういうことになります。 ○針谷委員 全然違いますね。もうちょっと国も、この問題については、明確に、地方公務員に課せられる罰則はない、課せられないというふうに答えているんでしょう。 例えばここで言っているのは、退職後、いわゆる地方公務員の退職後も守秘義務があるということですけど、この民間事業者、退職後も守秘義務はあるんですか。 ○政策課長 契約条件の中で、指定管理のやっているときについても、退職後にそういうのを漏らしてはならないという契約関係になりますので、当然にそういうこともある。 ここの18条のところに、条例の中にも、もしくはこれらのものであった者はということで、秘密を漏らし盗用してはならないということになりますので、罰則義務もかかってくるということでございます。 ○針谷委員 国はそんなに甘いこと言ってないのよ。ちゃんとこの法の解釈では、地方公務員法上の罰則はかからないと。しかも、かかるとすれば、公務員の公務執行妨害であるとか、そういうものにしかかからないということをはっきり明言しているんです。 だから、これはみなし公務員だから大丈夫なんていう論は、成り立たないんですよ。 〔「政策課長」と呼ぶ者あり〕 ○針谷委員 質問してないからちょっと待ってなさい。質問してないものを、途中で慌てて答弁しなくて結構よ。 それから、もう一つお聞きしますけれども、夜間開庁とか、業務委託をするようになった場合に、派遣労働者のみが区民事務所に残って仕事に従事するということになるんじゃないかなという危険性を持っているんですが、この辺は確認しないから、ないならないんでいいんですが、どうなんですか。 ○区民課長 派遣職員だけになることはありません。 ○針谷委員 確認しますが、未来永劫ないということでいいんですか。 ○区民課長 未来永劫ないということはありません。 ○針谷委員 ありません。 ○区民課長 はい。 ○針谷委員 やはりそこは本音出るんだよね。だって、業務委託すれば当然そうなっちゃうでしょうよ。業務委託すればなっちゃうんですよ、そういう方向に行けば。だから、我々は問題だと思っているんですよ。 それから、29日付の読売新聞の指摘というのは、この指摘は正しいんですか。 同法は、委託の範囲を受け付けと引き渡しに限定されるのに対し、同区は、端末の取り扱い業務を含めて幅広く委託する。さらに、一部を民間委託するだけでは逆に非効率なので範囲を広げる。派遣会社の業務を、請求の受け付けなどのほか、住民票の交付に必要な端末のデータ入力や出力を含めた範囲にまで広げることにしたと。これについては、内閣府公共サービス改革推進室は、説明を聞いた上で委託内容の是非を判断したいというふうに答えておりますけれども、この新聞報道は間違いではないんですね。 ○区民課長 いま委員が読み上げなかった部分で、職員を近くに常駐させ、端末を取り扱う派遣職員が不正な情報閲覧などを行わないようチェックすることでと言っていますけれども、常駐させということじゃないですね。区民事務所の職員と派遣職員が一緒に協働でやっているわけですから。 あたかも区の外部で派遣職員がやっているのを区の職員が行ってそういった不正な情報閲覧などを行わないようにチェックすると、こういう部分については、正確じゃないと思っています。 ○針谷委員 私は、何回か課長ともやりとりしていますけど、基本的には、これは区民環境委員会で、うちのぬかが議員の質問にも、住民基本台帳データベースにアクセスするのはあり得るんだと、こういうことを言っていますから。 そこで、ことし8月、足立区が各省庁に法規制の規制緩和についてということで要望を出しました。その第1が、公共サービスの改革に関する法律34条第1項第2号のことで、こういう回答が来たと思うんです。 地方公共団体の行う事務のうち、個人のプライバシーにかかわり、その事務の性質上慎重な取り扱いを要するものであるから、民間事業者に証明書等の交付に係る作成等を行わせるためには、原簿やデータベースにアクセスを認めなければならず、現状では基本的に困難であると考えているというふうに、これは総務省、法務省、内閣府が回答していると思うんですが、どうですか。 ○政策課長 回答はそのとおりでございまして、ただし、そのデータベースにアクセスという内容が一体どこまで含むのか、そこら辺のことについては、いま協議をしているところでございます。 ○針谷委員 そういう詭弁だね。 竹中大臣が、この審議で、住民基本台帳のデータベース、外部委託社員がアクセスするようなことがあってはならないと、明確に答弁しているわけだよ。だから、どこまでがアクセスなのか、アクセスでないのかと、そんなインチキな答弁ないですよ。 実際の問題として、アクセスして見るわけですから。見ないならいいよ。見るんでしょう。だから、こういう点は、やはり私は違法じゃないかと言わざるを得ないと思っております。 まあ、いいや、それは。 〔「答えられるとまずい」と呼ぶ者あり〕 ○針谷委員 いや、まずくはないけど、時間がないから。 それで、足立区では、かつて区民情報が外部委託の職員から個人情報が漏れて被害があったと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○区政情報室長 私の記憶している限りでは、公社のシステムで情報が漏れたということは聞いております。 ○針谷委員 どういう内容でした。 ○区政情報室長 委託会社の社員が、保養所かなんかの使用料金の還付のデータを改ざんして自分の口座に入れたと、このような状況だったと思います。 ○針谷委員 私、被害に遇った人に直接聞きました。鹿沼の施設の還付金が発生したので、口座番号とあれをお知らせしたと。そうしたら、3カ月後になったら、口座から3回にわたって30万円引き落とされたので、びっくりして警察に届け出をしたと。しばらくして、警察にその方が逮捕されたと。足立区の施設でも、こういうふうに外部の方による犯罪、方じゃないな、外部の民間事業者による……たしか5件、1,000万円ぐらいの被害でしたよね。そうでしょう。 〔「その金額は……」と呼ぶ者あり〕 ○針谷委員 いいです。あんまり問題じゃないから。 つまり外部委託そのものの持つ危険性、見事に証明されているわけです。ですから、本当にこういうものは慎重にしなきゃいけない。 あんた、やじも結構ですけど、静かにお願いします。 それから、外国人登録事務は、原則非公開、こういうことになっていると思うんですけれども、これについても、内閣府の回答は、外国人登録原簿は原則非公開とされているので、民間事業者に対して外国人登録原簿の取り扱いを認めることは現状では困難であると、こういう総務省からの回答があると思いますが、これについてはどうですか。 ○区民課長 そういった回答はございます。 ただ、委員おっしゃるように、民間の職員が入ったから、そういった漏えいするということには必ずしもならないと思います。 これは個人情報保護条例上も、個人情報を委託するときには、こういった条例を守るというような形で誓約書も書かせた上で従事させます。その上で、個人情報保護条例の罰則がありますので、そういったものについては、区の職員も同様でありますので、民間の派遣職員が入ったから情報が漏えいするということを言うのは、官尊民卑といいますか、一概には言えないというふうには思っています。 ○ 針谷委員 いまのはひどい答弁で、法の番人がやる答弁じゃないよ、課長。私がさっき言ったように、公務員と同じような罰則規定は与えられないのよ。そこのところの認識が全然ないとすれば、それがないのにそういうことをやろうとするのであれば、これは重大な問題、足立区政に禍根を残すような重大な問題になりますよ。 「偽装委託」になる それから、具体的にどのような委託方式にするのか、お伺いしたいと思います。 ○区民課長 これは派遣職員ということで申し上げしているとおり、人材派遣契約、労働者派遣契約という形態を予定しております。 ○針谷委員 そこで、また条例に戻りますけれども、条例の第2条の第4項、公共サービス民間事業者とは、第14条第1項の契約による委託に基づいて公共サービスを実施する民間事業者をいうと。 これに当たると思うんですけれども、14条は何を言っているかというと、官民競争入札対象公共サービス、または民間競争入札対象公共サービス実施に関する契約を締結し、当該対象公共サービスの実施を委託するものとすると。 委託を想定していると思うんです、条例上は。そうじゃありませんか。 ○区民課長 民法上の契約類型の中に、委託契約という類型はございませんで、民法上は、委託契約は、名前のついてない無名契約、あるいは非典型契約というような言い方をしていると思います。 そういった意味で、ここで一般的に委託と言っている場合は、派遣契約も含まれるというふうに理解しております。 ○針谷委員 それは違いますよ。私は、ちゃんと東京都労働局に、いま問題となっている派遣と委託の関係について、相入れることがあるかということで、派遣が委託の一部というふうに解せますかと聞きました。それは解せないと。そういうことをやるから偽装請負が横行するんだと、明確に答えている。相入れないです。 ですから、委託と派遣を相入れないということがはっきりしているのに、派遣でやるということになると、今度の区民事務所の民間委託というのは、この条例にも反しますね。 条例に反しませんか。 ○区民課長 委員おっしゃった都労働局の派遣と委託の解釈については、派遣労働か請負契約、要は指揮命令ができるかできないかの区別で、派遣と委託は違うというふうに答えたんだと思います。 私が申し上げているのは、そういった契約の場合の 委託と一般的に言う場合には、派遣契約も委託の中に含まれていると解するということで申し上げたわけでございます。 ○針谷委員 それはかなり疑義がある。法律解釈権は、 坂本総務部長に言わすと実際にもあるというから、それは勝手だけれども、法の場で司法の場で争ったら、私は完敗だと思いますよ。それだけ指摘しておきますよ。 それで、具体的にこの問題を指摘されて、坂田部長が、内閣府と協議中だというふうに答弁しているんですが、どんな協議しているんですか、いま。 ○区民部長 いま委員がおっしゃったような派遣と委託の関係ですとか、そういったことを中心に議論しているということであります。 ○委員長 針谷委員、あと2分です。 ○針谷委員 あいまいな答弁でありますけれども、私は、明確にこの問題については、もし派遣でやるとしたら、市場化テストによる区民事務所の民間委託ではないですね。 市場化テストによるものではないと判断できますが、いかがですか。 ○ 政策課長 まさに、いま坂田部長お答えしたのは、そこら辺のことについて、内閣府の判断、その部分について協議しているということでございます。 将来に禍根を残す区民事務所の民間委託(市場化テスト)は撤回を ○針谷委員 内閣府の判断はもう出てますよ、回答で。私、持ってますけど。 民間事業者が公共サービスを実施するに当たって、契約方式として委託契約によることとしている。他方で、ご指摘のような派遣委託方式を認めると、派遣会社から派遣された者に対し、行政機関からの直接の指揮命令がなされることとなり、上記の法の趣旨目的とは相入れないことになると。このため、ご指摘の派遣契約を認めてほしいとの意見は受け入れられないと。 明確に回答しているじゃない。だから、これは市場化テストじゃないですよ。 ○政策課長 そこら辺のご判断を粘り強く協議しているところでございます。 ○針谷委員 結論からいいますと、この区民事務所の民間委託というのは、まず、サービスの向上も怪しい。経費節減にもなるかどうかわからない。しかも、個人情報の漏えいの危険もある。 こういうのは、将来に禍根を残すことで、私はやめるべきだということを主張して、質問を終わります。 |
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