5、可決された意見書・決議。日本共産党区議団提出の意見書案 B日本共産党区議団提出の意見書案 |
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「内心の自由」を侵す「日の丸」「君が代」の強制をしないことを求める意見書案 日本国憲法第十九条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と規定している。これは、「内心の自由」はけっして侵してはならない権利であることをうたったものである。しかし、いま東京の教育現場では、この規定に反する重大な事態が進行している。それは、東京都教育委員会が、卒業式・入学式等での「日の丸」の掲揚と「君が代」の斉唱に関する通達や通知を出し、生徒や教員の「内心の自由」を侵す事実上の強制がおこなわれていることである。 平成15年10月23日、都教委は「卒業式、入学式等における国旗掲揚、国歌斉唱の実施について」を通達した。この通達には、別紙として「実施指針」が添付され、国旗は舞台正面に掲げることや生徒は国旗と正対することなどをはじめ、式次第のなかに国歌斉唱を入れることなど、事細かな指示が示されている。この通達により、それまで生徒たちの巣立ちにふさわしいものとなるように創意、工夫され、生徒を主役に営まれてきた入学式、卒業式の様相が一変した。そしてさらに、校長から教師にたいし職務命令を出させて、教師を懲戒処分でおどしながら「日の丸・君が代」を強制してきたのである。起立斉唱やピアノ伴奏に従わない教職員は、職務命令違反とされ、戒告や減給、さらには停職という重い処分まで含め、今年度の入学式までに、のべ345人もの懲戒処分がおこなわれた。 これらの都教委による「日の丸・君が代」強制や教職員の処分は、憲法第十九条にも、行政の教育への不当な支配を禁じた教育基本法第十条にも、そして国旗・国歌法の立法趣旨にも反した、違憲・違法なものといわなくてはならない。国旗・国歌法案の国会審議では、当時の内閣官房長官は、学校現場での内心の自由についての質疑のなかで、起立する自由もしない自由もあるし、斉唱する自由もあれば斉唱しない自由もある、と明確に答弁しているのである。 都教委のとっている態度の不当性はもはや明々白々である。 よって足立区議会は、都教委が、卒業式等での「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱に関する一連の通達や通知を撤回し、一切の強制を止めることを強く求めるものである。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 足立区議会議長名 年 月 日 東京都知事、東京都教育委員会委員長 あて 障害者自立支援法の見直しを求める意見書案 障害者自立支援法が施行されて5ヶ月がたった。法施行後、全国各地の障害者団体などの調査によって、原則1割の応益負担による大幅な利用者負担増、相次ぐ施設からの退所やサービス利用の手控え、施設経営を大本からゆるがす報酬の激減など予想を超える問題点が明らかになっている。厚生労働省が都道府県・政令市・中核市に対しておこなった調査でも、多くの自治体から懸念や不安の声が上がっている。将来の生活を苦にした親子の無理心中事件も起き、関係者に衝撃をあたえている。あらためて「応益負担」の持つ根本的な問題点がうきぼりになっている。 政府は、自立支援法案の審議のなかで、「サービス後退はさせない」と繰り返し答弁してきたが、全国各地で起きている深刻な事態は、この政府答弁に真っ向から反するものといわなければならない。 よって足立区議団議会は、政府が障害者自立支援法における「応益負担」を撤回することを求めるものである。そのうえで当面、下記に示した同法にもとづく施策の抜本的見直しを実施することを要請するものである。 記 一、利用者負担の軽減について福祉サービス利用料の負担上限額の引き下げをおこなうとともに、社会福祉法人減免制度の拡充やNPO法人など社会福祉法人以外の利用額減免制度の創設など、利用者負担の軽減策を拡充すること。 自立支援医療の負担上限額の引き下げや負担軽減策の拡充をおこなうこと。自立支援医療の「重度かつ継続」の範囲は、精神以外についてもただちに見直すこと。 世帯単位の収入・資産の認定をやめ個人単位にすること。生活保護にならい、扶養共済年金は収入認定しないこと。 二、事業者の報酬について 報酬単価を引き上げること。障害者の特性や施設の利用実態にそぐわない報酬の日払い化は、実態に見合うようただちに見直すこと。新体系施行にあたって、就労移行支援事業などに、雇用の場に何人結びつけたかなどによって公的な運営費に格差をつけるとされているが、競争原理は障害者福祉に相いれないので、おこなわないこと。 当面自立支援法施設に移行しない小規模授産施設や福祉工場、精神障害者社会復帰施設などについて、運営費補助金は従前通り確保し運営の安定を保障すること。 三、障害程度区分認定について 知的障害者や精神障害者の障害程度区分は身体障害者に比べ軽くなる傾向が指摘されている。実態に合わせて判定基準の見直しをおこなうこと。 障害程度区分はサービスの上限ではなく、あくまでも支給決定の目安である。国として必要なサービスが保障できる十分な財政措置を講じること。 四、地域生活支援事業について 地域生活支援事業について、国の今年度予算では200億円しか計上されていない。大幅に予算を増やすとともに、自治体が無料または応能負担による低廉な利用料を設定できるよう財政措置を講ずること。 小規模作業所が、安定して運営がおこなえるよう、地域生活支援センターについて補助基準を大幅に引き上げること。希望する小規模作業所が義務的経費の諸事業に移行できるよう要件の緩和などの措置を講ずること。 五、基盤整備について 地域でのサービス基盤が圧倒的に不足している。基盤整備のための「特別計画」を策定し、予算を大幅に増額し、基盤整備を緊急にすすめること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 足立区議会議長名 年 月 日 内閣総理大臣、厚生労働大臣、財務大臣、 衆議院議長、参議院議長 あて 共謀罪新設法の廃案を求める意見書案 犯罪の実行がなくても、謀議だけで処罰できる「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法等改定法案が先の通常国会に提出され継続審議となった。 「共謀罪」の新設には、多くの市民団体や法律関係者が反対している。それはこの法律が犯罪の実行を話し合い、合意しただけで処罰の対象とする点でこれまでの刑法とは根本的に異なり、戦前の治安維持法のように思想そのものを取り締まる弾圧放棄になる危険があるからである。 政府は、2000年に締結された国連越境組織犯罪防止条約に基づく国内法整備として「共謀罪」新設を急がなくてはならないといっている。しかし、条約は締結国の措置について「自国の国内法の基本原則に従って」としている。条約にことよせ、619もの犯罪を共謀段階で取り締まる広範な弾圧法規を、新たにつくるなど許されるものではない。 政府は「共謀罪」の対象は組織的犯罪集団に限定され、一般市民団体や普通の会社、労働組合は対象にならないと弁解している。ところが法案審議で法務省は、「最初は正当な団体と発足しても、途中から組織的犯罪集団と認定される場合もある」と答えた。「組織的犯罪集団」に変質したかどうかを決めるのは警察である。結局、警察の恣意的な判断で乱用されることに何の歯止めもない。 日本の刑法は犯罪行為を罰するのが原則である。殺人や窃盗などの重大犯罪に限って未遂、予備罪を処罰することはあるが、例外中の例外である。「共謀罪」が新設されれば、当事者だけが知る「共謀」処罰するため、盗聴の拡大、協力者(スパイ)の使用、自首すれば刑を減免して密告を奨励するなど、無法な操作が横行するおそれもある。 市民の思想や言論・表現の自由が侵されるだけでなく、息が詰まるような監視社会が生まれることになる。文字通り自由にもの言えぬ国であり、そんな社会は国民のだれも望んでいない。国会に出された修正案も危険な本質を変えるものではない。 よって足立区議会は、国民の基本的人権を侵害し、監視社会への道をおしすすめる「共謀罪」新設法案に反対し、きっぱり廃案にすることを求めるものである。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 年 月 日 足立区議会議長名 内閣総理大臣、内閣官房長官、法務大臣、衆院議長、参院議長あて 東京都として少人数学級の実施を求める意見書案 日本共産党区議団提出 全国では東京都以外のすべての道府県がすでに、国が定める「40人」よりも少ない学級規模にした『少人数学級』をなんらかの形で実施している。これは、国の教育行政の遅れに業を煮やした父母や学校関係者の世論と要求に押されて、各自治体が自主的に財源を確保して実施しているものである。 東京都は、学級には一定規模が必要であるとし、その一方で、習熟度別授業などの『少人数指導』に固執している。しかし、文部科学省がおこなった「少人数教育に効果」に関するアンケート調査結果では、「学級編制人数を引き下げた方が効果的である」かの問いに、8割以上が「とてもそう思う」「そう思う」と回答したのにたいして、同年度に『少人数学級』を実施した小中学校へのアンケートでは、「少人数指導・ティームティーチングの方が効果的である」かとの問いに、「とてもそう思う」「そう思う」の回答したのは3割程度だという結果が出ている。全国の実践は、学習面でも、生活面でも、総合して『少人数学級』の方が効果があることを実証している。 「協力者会議」の「最終報告」は、『少人数学級』の教育効果を認めつつ、国として財源を保障して『少人数学級』を実施することを先送りしたが、東京都より財政力の小さな自治体が自主的に『少人数学級』に踏み出しているのであり、都がその気になればできないことではない。 よって足立区議会は、東京都知事及び東京都教育委員会にたいし、以下の点を求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 足立区議会 議長名 年 月 日 東京都知事、東京都教育委員会委員長あて 介護保険制度の実態に即した改善・見直しを求める意見書 4月から改定介護保険法が全面施行され、「要介護度が低い」と認定された高齢者は、介護保険で利用してきた介護ベッド・車イス、ヘルパーやデイサービスなどの利用ができなくなるなど、高齢者にとって「介護予防」や「自立支援」とはまったく逆の事態が起きている。 このままでは、「介護の社会化」という介護保険制度の「目的」さえ失われ、公的な介護制度は変質してしまうことになる。 よって足立区議会は、介護保険制度が「国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図る」〈介護保険法第1条〉ものとなるよう、政府が実態に即した改善・見直しをおこない、下記の事項を実施することを求めるものである。 記
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 年 月 日 議長名 内閣総理大臣、厚生労働大臣、財務大臣、 衆議院議長、参議院議長 あて 新首相をはじめ政府閣僚は、靖国を参拝しないことを求める決議(案) さる8月15日、小泉首相は自己の行為が日本外交の深刻なゆきづまりをもたらしていることに一片の反省もなく6年連続で靖国参拝を強行した。 この行為は世界各国に大きな衝撃を与え、米紙ニューヨーク・タイムズは「無意味な挑発」と題する社説を掲載し、「首相は日本軍国主義の最悪の伝統を公然と奉ずる挙に出た」と厳しい批判を行ない、仏紙ルモンドは、侵略戦争を肯定する靖国神社への小泉首相の参拝が、中国や韓国などアジア各国から怒りを買っていると同時に、西側諸国も靖国の見方を受け入れないと伝えるなど、批判は隣国の韓国や中国にとどまらず地球規模に広がっていることを示した。まさに小泉外交の「あとは野となれ山となれ」という無責任さを大きくさらけだした。 小泉首相は批判を「理解できない」「心の問題」と強調しているが、そもそも靖国神社問題で問われる本質は、過去の日本の侵略戦争を「自存自衛の戦争」「アジア開放の戦争」として正当化する歴史観、戦争観をもつ神社に日本の国政最高責任者が参拝という行為を行い、公認のお墨付きをあたえるような行動をとることが、客観的にどういう政治的意味をもつかが問われているのである。 今回の首相の靖国連続参拝に対し、アメリカ議会の下院外交委員長が下院議長に書簡を送り、首相にアメリカ議会でのスピーチを許すべきでないとの提言を行なったことが明らかになった今、日本政府が靖国神社の歴史観、戦争観を肯定する行動をとりつづけるならば、日本の外交のゆきづまりと孤立は、いよいよ深刻にならざるをえない。 日本が行なうべき道は、歴史の過ちに正面から向き合い、反省を言葉だけではなく行動で示すことであり、この道をつらぬいてこそ、アジアと世界の人々から信頼される日本をきずくことができる。 よって、平成14年10月1日に「区民をあげて国際社会の平和と安全を維持するために貢献することを誓う」と『平和と安全の都市宣言』を行なった足立区の議会として、日本の国益、アジアと世界の諸国民との友好・平和関係の構築の為に、今後、首相をはじめ政府全閣僚は靖国神社への参拝をしないことを強く求める。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成 年 月 日 足立区議会議長名 内閣総理大臣・内閣官房長官・各国務大臣あて |
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