足立区一般会計補正予算案に対する反対討論

針谷みきお議員


○針谷みきお議員 ただいま議題となりました、第1号議案、平成18年度足立区一般会計補正予算(第3号)について、日本共産党足立区議団を代表して反対の立場から討論を行います。
 この最終補正予算は、審議の中で答弁したように、「区財政優先という考え方が根底にある」という区長の政治姿勢が端的に示された補正予算であります。
 平成18年度は、政府の増税政策で、所得税の公的年金控除の縮小、老年者控除、配偶者特別控除の廃止、定率減税の半減など、区民に大増税が押し付けられました。この税制改定は住民税でも実施され、収入は変わらないのに、非課税から課税となった高齢者が1万3,000人に達するなど、増税が区民の暮らしを圧迫しています。
 また、医療制度の改定で患者の自己負担増が実施され、「現役並み所得」とされた区民の自己負担は1割から2割へ、2割から3割へと3倍の負担増となるなど受診抑制がひどくなりました。民間研究機関「日本医療政策機構」が今年1月、実施した調査では、「医療費を払えない不安のある人が低所得者層では8割をこえ、具合が悪くても受診を控えたという人が4割にのぼりました。
 補正予算では、国民健康保険の保険給付費で17億円余、老人保健医療費拠出金は4億5,800万円余、老人保健医療特別会計の医療給付費でも5億円と、それぞれ大幅な減額修正となっていますが、明らかに受診抑制が起こったことを示しています。
 さらに、自立支援法の施行により、応益負担などによる負担増や障害者施設の日額制への移行による減収など、障害者の自立阻害ともいえる事態が生まれました。
 介護保険の保険料は、基準額で3,217円から4,380円に引き上げられ、さらにホテルコスト導入など、区民への負担増により、区民生活に大きな影響を与えました。
 このように区民の暮らしが大変な時だからこそ、区民の暮らしを守る施策の実施が求められていました。
 ところが補正予算審議の中で明らかになったように、区長は財源があっても、増税や負担増で苦しむ区民生活の痛みを和らげる施策を実施する考えのないことを繰り返し表明しました。中小企業融資については、中小業者が融資を受けにくくなる国の信用補完制度の見直しを先取りした結果、実績が7割に下がり、1億1,400万円余も減らしています。
 今回の補正予算を見ると、区民税の増収で7億9,000万円余、前年度対比23億円と大幅な増収となっています。さらに土地売却などで6億円余、財政調整交付金36億円余など、70億円近くの新たな歳入があり、最終補正という性格上、各種契約差金、人件費の減などを合わせると、実質的には150億円を超える財源が生まれました。
 しかし、鈴木区政は区民の暮らしを支え、切実な区民要求にこたえるために使うのでなく、異常な「溜め込み」に走り、一気に153億円も基金に積み増ししたのであります。
 中期財政計画でも500億円という基金の目標を達成し、1年間で200億円を超える基金を積み増しし、バブル期に庁舎建設のために積んだ790億円に次ぐ647億円もの基金に到達しています。このことは、まさに区民の暮らしを守るべき自治体が、その責務を忘れ、暮らしを支えず、貧困と格差を助長していると指摘せざるを得ません。足立区にないのはお金ではなく、区民生活を思いやる心です。
 日本共産党区議団は当初予算においても、増税や負担増から区民を守る「痛み和らげ手当」や子育てを応援する「次世代育成クーポン」の支給など、区民生活優先の予算組み替え案を提案してきましたが、そうした区民の暮らし第一の区政への転換を強く求め、補正予算に対する反対討論を終わります。