予算特別委員会の質問等第1日目 渡辺修次議員 |
区民のプライバシー侵害の恐れがある市場化テストは断念を ○ 渡辺(修)委員 ちょうど流れがいいね。私、昨年の第4回定例会で、鈴木区長に、規範意識の問題について質問をしたんですが、私が想定した以外のご答弁があったんですね。 国の法を超えた解釈は「違法」という 私は、事例として、一つは、市場化テストのあれで、区民事務所の窓口業務委託の問題や、那須区民保養所の条例があるのに区の広報に売却をお知らせをすると、こういうところを例に挙げて言ったんだけれども、答弁は、何と、福島県とか宮崎県の県知事の入札妨害を例に挙げて、行政の最高責任者である区長としまして、法令、条例を遵守して施策を進めていくという規範意識は、私自身だれよりも強く持っていると自負していますと、自信を持つのはいいんですけれども、それならば私こんなことを聞く必要なかったんだけれども、なぜ湯河原区民保養所をめぐる収賄事件が起きたんですか。 ○区長 大勢の職員、また議員さんも含めてですけれども、中には、時として道を誤っちゃうということもあろうかと思います。私自身は、そういうことは絶対あってはならないと、そういう意識は人より強く持っている、こういう意味で申し上げたわけです。 ○渡辺(修)委員 この種の収賄事件というのは、行政が関与しなければ絶対に起きないんですよ。 やはり区長の代理としてそれぞれの部長がいるわけでしょう、部長、管理職が。そういう点でいくと、任命権者として、あるいは監督責任として、区長の責任は十分あるんじゃないかと思うんですが、それを全く無視して、だれよりも持っているなどという答弁をされていると、私はこういうのは起きるはずがないと思っているんですが、どうでしょう。 ○区長 私は、責任者として責任をとりました、明確に。助役もとりました。 ○渡辺(修)委員 私、そういう点では、行政という立場で、本当に法令を守るという立場が必要だということで、改めて指摘をしておきます。 続いて、予算説明書の97ページに、市場化テスト推進事務として70万4,000円が計上されておりますけれども、これは使い道はどういう中身でしょうか。 ○政策課長 こちらは、公共サービス改革委員会を昨年11月に立ち上げたわけでございますので、ここにかかわる委員の方の報酬の経費を中心としたものでございます。 ○渡辺(修)委員 那須区民保養所の問題は、これは条例軽視だということで謝罪をしておりますのでいいとしても、区民事務所の窓口事務については、今後も20年度を目指して進めると、こういうことがあるんですけれども、これは法令遵守という立場で考えると、ちょっと違うんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。 ○総務部長 法令遵守の切り口のお尋ねですけれども、私の方からお答えさせていただきますが、現在の市場化テスト法の中では、限られた業種ということで、ご案内のような結果になったわけでございますけれども、必ずしもその考え方が固定するのではなくて、特定6業種が今度拡大するという問題もありますし、区民の皆さんへのサービスがより手厚くなる方法であれば、いろいろなものにのっていきたい、こういうことと聞いております。 前回の場合については、明らかに仕事の範囲といいますか、ゆだねられる範囲が狭うございましたので、あのような結果になっているということで、今後については、より自治体の自主性、あるいは自発性を尊重するような法令が制定されれば、それに遅れないように対応していきたいということでございます。 ○渡辺(修)委員 そこが問題なんですよ。市場化テスト法で、実際には請負を前提にした民間委託というか、想定されているわけだね。足立区は、あれを派遣、人材派遣で、初めから法律の範囲を超えた考え方を持って実行しようとしているんだ。これは区民環境委員会で実施をしようとした報告書には明確に書いてありますよ。 それから、11月に断念したときの理由としてもおもしろいんです。おもしろいと言ってはいけないけれども、いかに法令を無視しているか。これ、特定公共サービス6業務以外考えていたからですよ。こういう解釈をしていること自体が間違いじゃないですか。こういうのを法律違反というんじゃないですか。 ○区民部長 以前は、我々地方自治体が国の法律を変えるという手段というのはほとんどなかったんですが、構造改革特区から一定地域限定で法律を変えたり、市場化テストにおいても、いわば法律を変えることが可能になるということなので、我々、そういう面からそういう手段を使って国と協議してまいりました。 しかし、前にもお話したように、最終的には、内閣府の方は委託でなきゃだめだと言うし、片一方で、厚生労働省の方は、ああいう形で委託ならばこれは偽装の問題があるということで、国の省庁の意見もはっきりしない、あるいは公権力の行使の内容もはっきりしないということであるので、我々はそういった形で実行してしまうと、法律と違う格好になりますから、まずそれを避けて、適法にやっているということです。 ○渡辺(修)委員 ですから、その市場化テスト法で想定している範囲を超えた実施計画をつくったわけでしょう。明らかに法律に違反しているじゃないですか。 ○政策課長 全く法律には違反しておりません。先ほどおっしゃられたような人材派遣が云々かんぬんというのは、あくまで解釈の問題ですから、そしてまた市場化テスト法の趣旨にはなじまないというふうな解釈の問題ですから、全く違法ということはありません。 ○渡辺(修)委員 そういう考え方だから、また今後こういう汚職事件なんか発生しなきゃいいなと逆に思うんですね。大体、法律の解釈が全然違うんだから。やっぱり厳密にそういうのは法律の中身を受けとめてやるべきですよ。 しかも、市場化テストというのは、前々から言っているように、今までは官の仕事、税金で行っている。基本的には住民サービス、国の段階もあるからあれですけれども、地方の場合は、住民サービスを皆さん納税者から受け取って、それを活用して区民サービスを届ける、こういう仕事で皆さんも職員として採用されているわけですね。これは官の独占だと言って、今度は民間の会社の金もうけの手段にやろうということなんだね。 これがどんどん広がってくると、どういうことになるかというと、足立区だって、今、本当に格差と貧困という問題が広がってきている。足立区なんて特にその影響が大きい。 こういう中で、さらにこういう民間会社を活用して、また無権利の低賃金の労働者を増やすような、そういうことには非常に熱心だけれども、もっとそういうことをきちっとやるべきだと思うんですが、何でこれをこんなにこだわるんですか。 ○区民部長 最初に申し上げておきますが、我々としては、国の法律のここがおかしいから直してくれと言った結果、国の方では、今の段階まででは、ここまでしかできないと言ったからやめているわけで、あくまでも適法にやっているわけであります。 それから、なぜこういった市場化テストをやるかというのは、やはり財政の問題もありますし、同時に、小泉内閣でも言われたように、民にできることは民に、あるいは地方でできることは地方でやると。 で、官の方は、我々はもっと力を入れてやらなきゃいけない分野がかなり出てきているわけですね。例えば虐待問題、ニートが増えた、いろいろなものが出てきているわけで、そちらの方に、本来公務員のやるべき仕事に人材を割り振るためにも、民にできることについては民に任せるということが、この20何年かやってきた、その流れの中にいるということであります。 ○渡辺(修)委員 全く視点が違うよね。 ことは、区民のプライバシーの侵害のおそれが増えるような、そういう問題ですよ、区民事務所の窓口業務というのは。針谷議員も言ったけれども、21業務400種以上の区民のプライバシーを扱っているわけですね。こういう窓口を、金もうけということで、請負か、民営でやらせるという発想そのものが、私は非常におかしいと思うんですよ。 やはり基本には規範意識に欠けている。それから、地方自治法でやるべき仕事という立場から考えると、全くこれは逆行しているんじゃないですか。 ○総務部長 一番の問題は、公務員の身分というところだけでございまして、現在も、区役所の中では、数多くの非常勤の職員さんが、まさにプライバシーのところにアクセスしながら仕事をしてございます。ただ、非常勤職員さん、アルバイトもそうですけれども、これは特別職の公務員という身分を与えられるために許されているわけですね。 それと市場化テストがどう違うかという議論はさておき、現在も、まさに正規職員以外の多くの職員によって支えられている。そして、それが効率性を生んでいるという事実もあるということでありますので、それだけはご理解いただきたい。 人間らしい働き方を進めるために公契約条例を考えよ ○渡辺(修)委員 そういう答弁すると、また逆に聞きたくなるんだけれども、今、非常勤職員プラス、アルバイトと言いましたけれども、アルバイト何人ぐらいいるんですか。 ○人事課長 アルバイトの数というのは、その時点でやめたり入ったりということで、数字とらえるのは非常に難しいんですけれども、今、約300の数字でございます。 ○渡辺(修)委員 そのアルバイトというのは、それぞれ職場によって違うと思うんだけれども、時給幾らで、例えば月どのぐらいの労働時間になっているんですか。 ○人事課長 今、私ども、例えば人事課で欠員補充のアルバイトを採用しておりますけれども、時給は790円ですね。 ○渡辺(修)委員 だから、1カ月にどのぐらい働くんですか。 ○人事課長 週5日以内という規定になっております。 ○渡辺(修)委員 本来役所は、困っている人を助けるとか、少なくとも働くという場合には、人間らしく働かせるという責任は私あると思うんですよ。例えば役所が発注するような仕事も、そういうことがきちんと守れるようなところにしっかりと契約をしていくと、この発想が大事だと思うんですが、その辺の考え方はないんですか。 ○人事課長 臨時職員さんの場合も、各所管がきちっと労務条件だとか管理監督しておりますので、適正にこの方々の職というのは守られております。 ○渡辺(修)委員 守られていると言っても、いろいろ働く人の条件もあるから、アルバイト、例えばそれだけで生活費を賄うというんじゃなくて働いている人もいるし、それがなければ生活ができないという人もいるわけで、だから需要と供給があるんだと思うんですが、そういうことも視野に入れて、先ほど大島委員が質問した中で、実際に今、景気が回復しているという状況の中で、逆に収入が大幅に、いわゆる税と保険料などの支出で、収入が減っている部分というのはかなり増えていると思うんですが、その辺の認識はどうなんですか。 ○財政課長 済みません、徴収率の関係かと……違いますか。 ○渡辺(修)委員 いやいや、生活費レベルですよ。 ○財政課長 大変失礼しました。基本的には、先般も区長から答弁ありましたように、原則的には、昨今の児童手当、2,000人の方が収入オーバーではねられたという事例もありますので、若干区民税の中でも増収傾向は読み取れる。 特に、この間17年と18年を比べますと、特徴者が約3,000人近く増えているということもありますので、少しずつ回復の兆しが、区経済にも、ほんのわずかではございますが、光を差しつつあると、こういう認識でございます。 ○渡辺(修)委員 一方では、今の安倍政権は、いざなぎ景気を超えた戦後最高の景気回復だと、こういう話をしているんですね。私たち、今、ぐるぐる地べた回っていると、どこの国の話だと、こういう認識ですよ。 特に高齢者は、こんなひどい税金、何で増えたんだと、こういう怒りをもらうんですけれども、そういうとき私は、自民党と公明党が決めたんだと言っているんだけれども、実際……笑っている場合じゃない、政権党というのは責任あるんだよ。 そういう高齢者に負担がどんどんいっているんですよ。そういうところをしっかり見ているのかということを聞いている。 ○財政課長 当然、高齢の方々に対する施策も十分踏まえて予算を組んでございますし、何よりも、今後、先ほども出ましたが、一般財源が低下していく中で、高齢化の波が一気に首都圏の場合、押し寄せてまいりますので、そういった意味でも、きちんと継続して安定したサービスが供給できるようにしっかりと財政運営をしていく、こういうことでございます。 ○渡辺(修)委員 口は便利なもので、いろいろ言っているけれども、実際、区民事務所の窓口の業務委託も考えた、その発想の中には、やはり本当に……これは多分やるとすれば請負なんです。そうすると、請負で働く労働者は、極めて不安定な、身分が全然定まらない。非正規でいつ解雇されても文句は言えない、こういう状況の中で働かされる可能性が強い。 今、格差と貧困、それから少子化が社会問題になっていますけれども、この大もとというのは、構造改革路線の中で、一つは、先ほど高齢者が税金負担が増えたというけれども、いわゆる定率減税、これは本来ならば恒久減税と当時は言っていたんですよ。それが臨時的な措置だと言っているけれども、このとき一緒にやった企業や株式譲渡のこういうところについては、逆に減税になっているんだよ。広く薄くなんて、よく言うと思いますよ。 大企業で法人税ガボガボもうかっているんだから、こういうところにしっかり、当時定率減税と合わせて企業減税やったんだから、その分を外すだけだって、今、高齢者にそんな負担させなくても十分な財源生まれるんですよ。そういう立場が自治体にも求められているんじゃないか。 それから、少子化の問題で言えば、労働法制、前は、派遣などというのは業種が限られていたんです。今、ほとんど自由でしょう。だって、景気がいいときには派遣会社に頼んで人を賄わせておいて、景気が悪くなったらパッとやめさせればいいんだと……。 ○委員長 あと3分です。 ○渡辺(修)委員 あと何も要らないんだから。そういう企業の身勝手が、今の少子化の根源、格差と貧困が広がっている根源にある。ここを正さなきゃどうしようもないんですよ。 だから、足立区は、そういう点で言えば、私は、市場化テストを考えるよりも、前から言っているように、公契約条例をつくって、区の発注する仕事をしっかりとそういう公契約に基づいて人間らしい働き方をさせる、そういう仕組みを率先してつくるべきが、足立区の今の責任じゃないかと思うんですが、その辺の考え方はないでしょうか。 ○区民部長 委員さんおっしゃるように、確かに今、大企業は空前の利益を上げている。しかし、それが全部中小企業や一般の労働者にも浸透しているか、そこが問題なわけで、ですから、今現在、国の制度の方でも、貿易と設備投資だけが引っ張るのではだめなので、一般の消費が拡大しなきゃだめだということで、今の安倍政権を含めて、最賃法を直して、もう少し上げるだとか、あるいはパートについての均衡処遇というようなことをやっているので、ああいった道は非常にいい道なので、そういう形で、今の景気の恩恵が全体に広がっていくだろうと。そういう中で、我々の仕事もいろいろ考えていきたいと思っております。 ○渡辺(修)委員 私が聞いたことに全然答えてないじゃない。公契約条例はつくるのか、考え方がないのかあるのかと聞いているんだよ。 ○契約課長 労働法関係の法律が国の方でできておりませんので、区といたしましては、公契約条例については、現在のところ、つくる考えはございません。 ○渡辺(修)委員 だから、だめなんだよね。もっと役所が率先して、そういうところは、先陣を切って国の法律を変えさせる、流れを変えるという立場に立たなきゃいけない。 結局、坂田部長が言った中で一番私は賛同できるのは、やはり個人消費。 ○委員長 あと1分です。 ○渡辺(修)委員 消費がどんどん活発化しなければ、景気は絶対よくならないですよ。ここが最大のポイント。ところが、逆に消費は下がっているんだよね。 しかも、今度の子育てクーポン、あれも商店街に5%負担させるって、勝手に役所の方で券持っていって、お店の方は本当に大変だと思う。こういうのは、何らかの行政が支援策を考えなければ成り立たない制度じゃないかと思って、本当に今年度の予算のスローガンというのはまやかしの看板だということだけ指摘して、私の質問を終わります。 |
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