4 区長提案の議案などに対する討論

@ 千住大橋駅周辺地区計画反対討論
7月10日 さとう純子議員

 ただいま議題となりました第66号議案「足立区千住大橋周辺地区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」について、日本共産党足立区議団を代表して、反対の立場から討論を行ないます。
 この条例で地区計画をかける区域は、ニッピ・リーガルの12.4ヘクタールと既成市街地7.6ヘクタールからなる約20ヘクタールで、ここを14区画に分けてニッピ・リーガル・都市再生機構・足立区が覚書を交わして開発するものです。ニッピ・リーガルには開発のノウハウがないために実質的には、都市再生機構がわずか2.5ヘクタールの土地をもって積極的な参加で開発するものです。
 この開発地域は、建ペイ率60%、容積率200%となっており、高層の建築物は建てられません。そこで区は、この条例をつくり、超高層の建築物を建てられるようにしようとするものです。
 六本木ヒルズのような超高層ビルの建築のための容積率を確保するためには「容積適正配分」の手法を使い、開発させようとしましたが、この千住大橋駅周辺地区には接道要件を満たすための道路がありません。そこで、区は「容積適正配分型」と2年後に道路ができることをみなす「誘導容積型」を組み合わせることによって容積率を確保しようとするもので、日本で初めての手法と言われています。
 さらに、「誘導容積型」を導入するためには国道4号線から千住大橋駅前広場につながる都市計画道路がどうしても必要で、区は先行してこれを実施し、これにつながる接道要件を満たす道路建設に積極的に協力したことになります。まさに、民間事業者の巨大開発に区が手を貸すと言う、いたれりつくせりぶりが露呈したと言わざるをえません。
 このふたつの手法により、隅田川沿いには、高さ150メートル約50階建てが2棟、その両脇に高さ90メートル、約30階建ての超高層のマンションが並びます。また、東京都のスーパー堤防事業が重なり、開発地区周辺の区民から見れば目の前に8mの高低差ができ、その上に超高層ビルができることになります。隣接する住宅にお住まいの方は圧迫感や風害、工事中の騒音や振動などの不安にかられています。これが「安全で良好な市街地環境」と言えるでしょうか。
 周辺の公共施設なども不安なことがたくさんあります。
 委員会では1800世帯に対応する保育園と学校について「保育園には今でも待機児がいる」こと、「余裕教室は小学校では3教室、中学校では5教室しかない」こと示して質問しました。保育園については「内部において認可保育園を建てるべく要望している」との答弁でしたが、小学生で185人、中学生で103人の児童・生徒が増えると予想しながら「すぐに建つわけではないのでどうにか大丈夫」とのあいまいな答弁でした。少人数学級の実施等もふまえた計画を立てるべきです。
 この議案は近藤区長初議会での提案ですが、区長はあいさつで「子ども時代を振り返って思い出すのは自然とのかかわりの中の風景であり、決して高層ビル群や大型幹線道路の風景ではありません。足立をふるさととする子どもたちに対して、美しい風景をひとつでも多く残したい、創りたいと考えております」とのべました。区長あいさつは区民にとって大変重いものです。本会議での区長あいさつとの矛盾もあるではありませんか。
 この条例は超高層住宅建築を可能にするための条件整備を区が行なうものです。これでは、環境悪化は免れず、到底区民が望むまちづくりにならないことをのべまして反対の討論を終わります。