4 区長提案の議案などに対する討論

A住民税・国保料の負担軽減を求める請願の採択を求める討論 
 7月10日 ぬかが和子議員

 ただ今議題となりました、受理番号7、住民税・国保料の負担軽減を求める請願について、日本共産党足立区議団を代表し、委員会での「不採択(否決)」に反対し、採択を求める立場から討論を行ないます。
 この請願は、「区として住民税・国保料の負担軽減を行なう」ことと、「議会として国に増税に反対する決議を上げること」を求めるものです。
 国保料については、23区全体で激変緩和措置も講じられました。しかし区の試算では、例えば、65歳以上の扶養家族のない高齢者は、所得400万円までは全員値上げで、最高で16000円近い値上げです。所得500万円の方は29000円の値下げ、600万円の場合は60000円の値下げとなり、格差をいっそう拡大する結果となっています。しかも、足立の高齢者の89%は所得が200万円未満ですから、激変緩和を行なっても圧倒的多数が負担が増え、所得の多いごく一部だけが負担が減るという措置でしかありません。
 住民税は、今年の定率減税全廃と年金課税の強化で、30万人の区民が15億円の増税となりました。区も認めているように年収240万円の扶養家族のいない高齢者は、2年前と比べると、所得税・住民税・国保料を合わせて86100円から、約2倍の154802円の負担増になりました。
 6月に、区民には住民税の負担増の納税通知や国保料の負担増の通知が届き、「こんなに払えない」「こんなに高いのは何かの間違いではないか」「政府は変わらないっていったけど上がっているじゃないか」などの苦情電話や、来庁者が課税課だけで一万人を超えて殺到しています。
 私たちが無作為で配布をし行なった区民アンケートにも「住民税が昨年に比べ10万円増え、18万7000円に。そのため国民健康保険料も上がった」という70代の女性、「収入もなく暮らしていけそうにもないのです。もはや首くくるしかない状態です。国も都も区も税金を沢山納めるものに対してばかり優遇し、貧しい者、弱いもの、役に立たない者は死ねといわんばかりの姥捨て山政策ですね」といった声が多数よせられています。
 区は増税や負担増について、「持続可能な制度構築のために、広く薄く負担を求めるもの」「やむを得ない」などと言っていますが、決して「薄い」負担といえるものではありません。
 そういう中だからこそ東京都でさえも住民税の都民税部分について生活保護基準程度の収入の方の免除を検討しています。区の区民税部分も、これに連動し、がんばって働いてきたのに年金や収入が生活保護基準と変わらない方に、区民税部分を免除し、せめて『税金の心配はしなくていいですよ。足立区が応援しますよ』という姿勢を示すことこそ求められます。
 ところが、委員会では、区は、その実施を拒否しただけでなく、東京都の都民税免除の検討について、「我々はこういう状況でああいう形でやることについては、特別区として非常に困ると考えているので、足立区だけでなく、23区全体が追随して軽減するという考え方はもたない」と言い放ち、「低所得者の負担軽減をやられては困る」という態度でした。増税・負担増で苦しむ区民や高齢者の姿を見る気がないのでしょうか!区民にもっとも身近で、「住民福祉の向上」の責務を負う足立区の税や国保の担当部長として許される発言ではありません。区長が退席したあとのやり取りではありましたが、石原知事が提案したことへの対応について、元都議会議員であった区長が、どんな気持ちで受け止めたられたのかと思うと、残念でたまりません。
 庶民には定率減税の全廃だけで1兆7000億円の増税を行ない、大企業や大金持ちには同じ1兆7000億円の減税。足立区でも「定率減税の全廃は、景気対策のために導入された税負担の軽減措置を、従前の税負担に戻すことが目的」といい、一方でこの6月に「景気が回復したら元にもどす」と政府も言っていた、株式譲渡益の税金を半分に負けてあげる金持ち減税措置の延長をきめました。これでは「広く負担を求める」のではなく、低所得者や庶民ほど重く負担を強いる以外の何ものでもありません。
 請願は「継続審査にする」という選択肢もありました。しかし、委員会で自民・公明・民主の与党の委員は「一部分はわからないでもない」などといいながらも、反対多数で否決されました。今こそ、区民の声に応えて、請願を採択する立場に立たれることを強く願いまして討論を終わります。