8、付属資料 B区長あいさつ(9月20日)(10月19日) |
【9月20日】 ○近藤やよい区長 平成19年第3回足立区議会定例会の開会に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。 最初に、学力総合調査に関する一連の不適切な行為に関しまして、保護者の皆様、関係者の皆様、そして何より学力総合調査を受けたすべての児童・生徒に、深くおわび申し上げます。 本日も新聞報道がございましたが、次々と知らされる内容につきまして、極めて遺憾に思うと同時に、議会の皆様、区民の皆様に対しましても大変なご心配をおかけしていることにつきまして、教育委員会を含め総合調整を行う任務を持つ区長として、重ねておわびを申し上げます。 学力総合調査の目的は、個々の児童・生徒の学習定着状況を把握し、課題を明確にすることで、その後の学校の授業改善や家庭での学習に生かしていくためのものであり、決して学校間競争をあおることを目的としたものではありません。しかしながら、これに反してこのたびの事態を招いてしまったことは、まことに遺憾でございます。 教育長に対しまして、知識面のみに偏重した学力観の払拭、学力総合調査の目的について学校現場や地域との認識の共有、コンプライアンスと説明責任の徹底、再発防止等を内容とする要望書を渡したところでございます。 教育委員会事務局に対しましては、現在、さらなる事実関係の調査を要請しているところではありますが、こうした現在の状況を招いた当時の教育委員会事務局の管理運営責任を区長として明確にしていく必要があると考えております。極めて残念なお話からあいさつを始めざるを得ませんでしたが、次に、私の所信の一端を申し述べさせていただきます。 区長就任以来、3カ月が経過いたしました。この間、自治基本条例とともに足立区の憲法に相当する「基本構想」、またその実行プランである「基本計画」を改めて読み返してみました。いまさら申すまでもなく、その根底に流れるものは「協働」の精神でございます。しかも、そこに定義されているのは、相手を単に行政にかわる公共サービスの担い手と考えるのではなく、地域社会で活動するすべての主体が、互いに知恵と力を出し合い、相互に高め合いながら、その成果を追求する意味での協働でございます。基本計画の見直しを来年に控え、さらなる協働の進化について議論をしていくことを考えおります。 夏休みの期間、区内至るところで盆踊りや子どもたちを中心としたビーチボールバレー大会等のさまざまな行事が行われ、どこの会場も、町会・自治会の役員、民生・児童委員や青少年対策地区委員会の方々など、地域活動を支えてくださる区民の皆様が中心となって盛り上がりを見せておりました。また、そこには、会場の役員を積極的に補佐する職員の姿もございまして、区民の皆様との協働の原点がここにあると感じた次第でございます。 就任以来、区政の第一線を担う現場の職員と課題を語り合う機会を設けてまいりました。そして、その第1弾として、福祉事務所のケースワーカーとの意見交換を行いました。採用されてすぐに、社会的経験に乏しいまま、数多くの困難ケースを担当しつつ、悪戦苦闘するケースワーカーの職員。法と法の狭間の引き受け手のないような部分を民生・児童委員の方々や関係諸機関との協働の中で、一人一人のケースに寄り添うようにして、何とか解決策を見出していこうとする現場の厳しい現実もつぶさに知ることができました。 これはほんの一例でございますが、足立区の理念である協働を最前線で支える数多くの職員の情熱あふれる行動は、区長として大変心強く感じますとともに、その努力が生きる職場であるよう努めていくことが、区長である私の責任であると考えております。 こうした中、今後、協働をさらに進化させていくためには、量的拡大と質的な充実が不可欠であると痛感しております。現在はさまざまな審議会や協議会かなどの構成メンバーにも重複が見られ、今後、協働の輪をさらに広げていくためには、もっと広範囲から幅広い年齢層の人材を掘り起こす必要性を感じております。 こうした観点から、サラリーマンを初め勤労者など、昼間の時間がとれない方々への働きかけや、既に施策展開が始まっておりますが、いわゆる団塊の世代への積極的な働きかけなど、新たな取り組みも必要と考えております。 例えば、現在ワーク・ライフ・バランスに力点を置いて検討が行われている男女共同参画問題推進委員会に関しましても、平日の昼間開催ということであれば、幾ら区民を公募しても、応募できる対象は限られており、働きながら子どもを育てているという、まさにワーク・ライフ・バランスのターゲットとなる世代を初めから排除していることになってしまいます。このような状況を踏まえまして、それぞれの所管に、新しい発想と工夫とで協働のすそ野をさらに広げるための取り組みを行うよう指示したところでございます。 また、足立区自体が協働の量的拡大と質的充実を図っていくという姿勢を、もっと広く内外にアピールしていくことにも力を入れなければなりません。この一環といたしまして、政策経営部に報道担当の副参事を配置し、取材を待つだけでなく、こちらからトピックスを考え、売り込む主体的な活動も展開し始めたところでございます。 私は、平成19年第2回足立区議会定例会におきまして、「協働のトップセールス」を行っていくと申し上げました。具体的な取り組みの一部を申し上げますと、私みずから、過去には区長が出席した例がないと言われる会合にまで幅広く出席し、たとえ短時間であっても区民の皆様と直接接していく努力を今後も続けていき、「顔の見える区長」として、足立区を一層アピールしていきたいと考えております。 また、各所管の発行物に関しましても、改めてチェックを行い、単に情報提供のための内容から、興味を持って区民の皆様が読んでみたい内容へと進化させてまいります。 区のホームページに関しましては、読みづらい、検索しづらいと「区民の声」にもご意見をちょうだいしております。これまで随時部分的な改善を加えてきたところでございますが、今後は、区のホームページとしてあるべき姿を明確に示し、大規模な改修を行ってまいります。 また、フリーペーパーなど新しい媒体が浸透し始めているなどの世の中の動きも常に敏感に受けとめ、活用できる媒体はどんどん利用しながら、体温の感じられる足立区役所として、区民の認知度を上げていきたいと考えております。 こうしたさまざまな角度からのプロモーションには、新しい発想が不可欠でございます。さらに、足立区を一つのブランドとしてどのようにセールスしていくかという、確固たる方針も必要と思います。このことは、単に広報部門だけで背負えるものではなく、庁内横断的な新しい取り組みや仕掛けの必要性も視野に入れているところでございます。 地域社会で活動するあらゆる主体と協働を進めていくためには、さまざまな政策分野を担う各所管が、自律型組織へと変貌し、創意工夫を生み出すことができる条件を整える必要があります。そのためのツールとして導入されたものが、包括予選制度でございます。 包括予算に基づく政策形成においては、各部の主体性を尊重することは当然のことです。しかし、その前提といたしましては、各部長がそれぞれの部の経営上の真の責任者として、予算を徹底的に練り上げるのはもちろんのこと、次年度に向けて施策の事後評価を徹底的に行い、職員のアイデアや発想を取り入れ、新しい施策を紡ぎ出していく必要があります。このことこそが、足立区の行財政運営の特徴である包括予算制度に血を通わせることになると確信しております。今後とも、協働の質的向上に大きく貢献する制度になるよう、その成熟を目指して検討を進めてまいります。 次に、平成19年度半ばにおける区政の動きについて何点か述べさせていただきます。 最初に、首都直下型地震対策でございますが、これまでも区は、八都県市合同防災訓練の実施や備蓄の充実など、強力に推進してまいりました。しかし、本年7月16日に発生した新潟県中越沖地震は、11名のとうとい生命を奪い、改めて地震のすさまじさを見せつけました。地震発生2日後の7月18日には、危機管理室長を初め6人の職員を緊急派遣し、救援物資を柏崎市にお届けいたしました。危機管理室長の報告によれば、事前の耐震補強、そして災害時要援護者への支援こそが最も重要な課題であるとのことでありました。 今後、マニフェストにも掲げました災害時の避難所となる体育館を含めた学校施設の耐震補強工事を前倒しして進めていくとともに、AEDを全小中学校に配備するための補正予算を計上させていただきます。 また、高齢者や障害者など災害時要援護者の家屋の耐震補強につきましては、福祉部門と建築防災部門との連携を密にして、今後も引き続き積極的に普及啓発してまいります。 災害時要援護者の安否確認や速やかな救出・救助のためには、関係機関による情報の共有も大きな課題でございます。今後、消防署や民生・児童委員の方々を初めとする関係機関への災害時要援護者情報の提供を積極的に検討してまいります。 次に、北千住駅東口周辺地区のまちづくりについてでありますが、当地区は、緊急自動車の通行も困難な細い街路が存在するとともに、大きな公園もなく緑の量が少ないなど、まちづくりの課題が幾つか残っております。さらに、地域のにぎわいの源である学園通り商店街には、都市計画道路補助191号線の計画もあります。このような課題を解決するために、地域の方々とともに、北千住駅東口周辺地区のまちづくりを進めているところでございます。JT敷地の活用は、この地区のまちづくりの核となるものでございますが、このたび、補助191号線にかわるJT敷地を縦断する新たな都市計画道路の整備につきまして、都市再生機構の直接施行から区がみずから施行する方針に変更いたしました。これは、区費を投入する道路整備につきまして、区内業者が確実に参画できる仕組みを整え、区内経済の振興につなげていくためのものでございます。 次に、大学誘致についてでございますが、旧元宿小学校跡地等に区内3番目の大学を公募いたしました。大学の誘致の目的は、資産活用のみならず、大学との協働事業を推進することであり、「地域経済活性化」「教育」「防災」など、さまざまな区政の課題について、区や区民との協働ができる学校法人が望ましいと考えております。このような視点も含め、今後審査を行いまして、10月上旬には進出大学の内定を行ってまいります。 最後に、水辺空間の整備についてでございますが、ご案内のように、鹿浜橋下流部の都民ゴルフ場につきましては、本年4月より営業を廃止しております。当該区域は、長さが1.5キロメートル、面積が14.6ヘクタールに及ぶ広大かつ自然豊かな区域であり、区の貴重な財産と考えおります。 地域の皆様からは、「黒めだか等の稀少生物が生息しているのではないか」との情報も多く寄せられておりましたので、区の荒川下流河川事務所との協働により、生息調査を区民参加のもとで実施いたしました。調査結果を踏まえまして、今後、水辺環境の創出、区民の憩いの場、広域避難場所としての機能確保など、さまざまな視点から民間活用も視野に入れまして跡地利用の取り組みを行ってまいります。 次に、平成20年度に向けた行財政運営の基本的な考えについて申し上げます。 まず、行財政運営の基調でございますが、国の月例経済報告によりますと、「国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる」とされておりますが、当区におきましては、景気回復が実感できる状況には至っておらず、今後とも慎重な行財政運営を行わなければならない状況にあると認識しております。 このような状況でございますので、平成20年度の行財政運営におきましては、引き続き区民生活の向上のために、必要不可欠な分野に行財政資源を重点配分していくべきであると考えております。 具体的には、基本計画に定める分野別施策の中から、「大規模跡地等の基盤整備促進による良好なまちづくり」「子育て支援施策の推進」「予防重視の健康施策の展開」「地球温暖化防止と自然再生施策の推進」「人間力向上につながる教育環境の整備」など、9項目を重点項目といたしました。 また、マニフェストに掲げた事業につきましては、平成20年度事業に盛り込み、早期に実現を目指すものとして「妊婦健康診査の公費負担回数増」「小学校放課後子ども教室の拡充及び中学生の放課後の学習環境整備」「震災時の避難所となる施設、小中学校の耐震化」「北千住駅東口周辺地区の開発促進」など、14事業を重点事業として位置づけました。 次に、職員定数についての考え方でございますが、昨今の景気回復を受け、財政指標については一定の改善は見られるものの、長期的には少子高齢化の影響、中期的には、国における地方間の財源偏在是正の検討や都区のあり方についての検討など、将来の不安要因を見過ごすわけにはまいりません。このような中で、安定的に区民サービスを提供していくためには、さらに職員定数の削減を進めていく必要があります。 その意味で私は、マニフェストにおきまして、15%以上の職員定数削減を掲げました。しかし、医療制度改革や障害者自立支援法への対応など、国などの制度変更による人員増要因も現実に生じております。また、公正な生活保護行政を行っていくためには、ケースワーカーなどの人員も増員していかなければなりません。したがいまして、既存の職員定数につきましては15%の削減を目指してまいりますが、新たな政策課題、区民サービスの維持向上のために、真に必要な人員につきましては、精査の上、職員定数削減の果実を振り向けてまいります。 次に、平成18年度決算の概要につきましてご説明申し上げます。 平成18年度の普通会計決算では、財政構造の弾力性を図る経常収支比率は72.8%と、前年度に比べ5.7ポイント減、また、歳入決算総額に占める負債比率も0.30から0.17へと改善いたしました。 これは、税制改正による特別区民税の増収及び三位一体改革に伴う所得譲与税の増収に加え、都区財政調整交付金が大幅に増収したことなどにより、経常的に収入する一般財源が増加したことによるものでございます。このように、財政指標は明らかに改善しておりますが、歳入に占める特別区税など自主財源の比率は依然として低く、都区財政調整交付金等に依存している状況を踏まえると、内容的には決して楽観できるものではありません。 決算を性質別に見ますと、「義務的経費」は1,142億円で、前年度に比べ11億円の増となりました。これは扶助費が10億円、公債費が1億円の増、人件費が前年度並みであったことによるものでございます。なお、目的別で見ますと、民法費は3年続けて1,000億円を上回っており、歳出全体の46%を占めております。 「投資的経費」は187億円で、前年度に比べ66億円、25.9%の減となりました。これは、土地開発公社用地の買い戻し経費が61億円減になったことが主な要因でございます。 また、国民健康保険特別会計等の3特別会計歳出決算額は、前年度に比べおよそ29億円増の1,463億円となりました。 今後とも扶助費等の義務的経費の伸びが予想される中で「幸せを実感できるまち足立」「外に向かって誇れるまち足立」を実現するため、引き続き財政の健全化に取り組んでいかなければならないと考えております。 次に、補正予算案につきましてご説明申し上げます。 平成19年度予算は、包括予算制度のもと、年間の財政運営を見通した総合予算として編成いたしましたが、その後の区政を取り巻く状況の変化により、特に緊急度が高い事業について必要な予算、またマニフェストの早期実現のために必要な予算を補正計上することといたしました。 一般会計補正予算の主な内容を申し上げますと、教育相談センターの移転が予定されている(仮称)梅島新施設建設関連経費29億1,000万円余、区が売却する用地の土地開発公社からの買い戻し経費5億2,000万円余、公園遊具緊急改修工事経費4,000万円余、小中学校への災害避難所用AED配備経費3,000万円余などを追加計上いたしました。 ご審議いただきます一般会計補正予算は39億3,700万円余、介護保険特別会計補正予算は8億5,700万円余、ともに増額補正でございます。 今回ご提案申し上げました議案は23件、報告2件、諮問1件でございます。各議案の提案趣旨につきましては、参与より説明いたさせますので、慎重にご審議の上、決定くださいますようお願いを申し上げます。 |
【10月19日】 〇近藤やよい区長 平成19年第3回定例会の閉会にあたり、一言ごあいさつを申し上げます。 議員の皆様方におかれましては、長期間にわたり、各議案、平成18年度決算などにつきまして、慎重にご審議を賜り、心から感謝申し上げます。 決算委員会に関しましては、最終日の総括質疑でもご指摘がございましたように、必ずしもご質問の内容に的確に答弁しているとは言い難い発言も見受けられ、私ども一同、さらに研鑽を積んでまいりますと同時に、委員の皆様のご指導、ご指摘を十分に踏まえまして、来年度予算の編成に臨んでまいりたいと考えております。 また、委員会に先立ち、平成18年度主要施策の成果報告書の中で、予算現額と決算現額の乖離が大きい事業につきまして、私自身、個別にヒアリングを行いましたところ、中には見積もりが甘いもの、また補正を組んだものの、年度内に利用しないことが判明したあとも、減額補正を組まないまま、ずるずると年度末を迎えたケースなどございました。包括予算制度のもとでは、各所管が一つの企業のごとく、みずからの予算・決算を厳密に行うことは基本中の基本であり、今後、制度の成熟に向けて、さらに適切な処理を徹底してまいります。 ありがとうございました。 |
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