1、本会議質問

代表質問「貧困と格差を是正し、くらし応援の区政運営を」
2月22日 針谷みきお議員

○針谷みきお議員 私は、日本共産党足立区議団を代表して、区政の重要問題について質問します。
 まず初めに、区長の政治姿勢のうち、貧困と格差を是正する対策について伺います。
 1月末、後期高齢者医療制度の保険料の天引き通知が送付されました。通知を受けた区民から、連日問い合わせや抗議が区に殺到しています、高齢サービス課の調べでは、過去最高ということであります。
 「介護保険料が引かれているのに、また保険料を年金から天引きするのか」「年寄は早く死ねということか」「国保は世帯主から引いていたのに、なぜ、妻である私から引くのか」など、高齢者の悲鳴が聞こえてきます。
 また、原油高騰により、区内業者を初め、多くの区民が影響を受けています。2月8日、原油高騰の影響で苦しむ区民の代表が近藤区長に生の声を届け、緊急対策を要望しました。「原材料費高騰の影響でクリーニング店が閉店した。公衆浴場もこれ以上やっていけない」「暖房費節約で、図書館や住区センターで過ごす人がふえている」「暖房も使わず部屋の中で襟巻きやジャンバーを着て生活している」などであります。まるで19世紀のロンドンの救貧院で暮らす少年たちを描いた映画「オリバー・ツイスト」を見るような絶対的貧困の広がりであります。
 一方、昨年末、NHKの番組「ワーキングプア」では、一生懸命働いても生活保護程度の収入にしかならず苦しい生活を強いられている貧困層が、若者を中心に増大、固定化しつつあることが放映されました。さらに、20年前所得分位が上位と下位の差は10数倍でしたが、02年には168倍に拡大し、貯金ゼロ世帯が国民の4世帯に1世帯と貧困と格差が大きく広がってしまいました。
 フリーライターの野口やよいさんが「年収二分の一時代の再就職」という単行本を発行し話題になりましたが、30歳から40歳代の子育て世代の平均年収が、1990年代には600万円台から、2005年には300万円台に激減していると指摘しています。このことは、足立区の就学援助が10年前の20%台から2006年には42%に急増していることにもあらわれています。
 OECDが「各国の税と社会保障が勤労年齢人口の相対的貧困率をどれだけ削減したか」を明らかにしていますが、我が国は税と社会保障による所得再配分機能が機能せず、1990年から2005年の15年間に急速に貧困率が上昇し、メキシコ、アメリカに次いで先進国ではワースト3になっています。
 この原因が小泉内閣の弱肉強食の市場原理を一層強化した「構造改革路線」の推進によってもたらされたことは明らかであり、社会保障の削減と庶民増税が追い打ちをかけたことも明白な事実であります。いまこそ、アメリカ言いなりと大企業の横暴な利潤追求を是とする新自由主義政策を改めることが必要ですが、地方自治体が住民福祉の向上を責務とする立場から、区民生活を支え、貧困と格差の是正に乗り出すことは、区長がその気になればできるものです。ところが近藤区長は、昨年第3回定例会の我が党の代表質問に対して、「区民生活の応援は大切だが、いまある施策でセーフティネットの役割は果たしており、新たな施策の展開は考えていない」と答弁しました。しかし、所得が半減してしまった区民や将来に希望の持てない若者を救えない現実がある中でも、いまある施策で本当にセーフティネットの役割を果たしていると考えているのか。
 また、区長は、「区政の課題はさまざまであり、福祉施策のみを突出するような施策展開は考えておりません。健全な財政を維持しながら、総合的に基本計画を推進していくことこそ重要であると考えております」と述べていますが、貧困の打開の一助として増税以前の非課税時サービスの維持や福祉施策を拡充するなど、「税の所得再配分機能」や「社会保障」をいまよりさらに重視するのか、現状でよしと考えるのか、以上、2点について答弁を求めます。
 次に、「公共施設再配置のための検討素材」についてであります。
 基本構想で掲げた「人口減少社会における公共施設配置」の見直しが、平成19年の審議会答申を受け、今後の足立区の公共施設等の再編、再配置、更新についての「公共施設再配置指針」を策定するため、「検討素材」が報告されました。
 今後、3月末までパブリックコメントなどを経て、4月以降本格的に「公共施設再配置指針」を策定するとしていますが、この「検討素材」の基本的な考え方について伺います。
 「検討素材」は冒頭から「人口減少社会の到来」として人口推計で足立区の人口を2057年には46万人と推計し、減少することは避けられないという認識に立ち、施設の統廃合を進めようとしています。そして、施設更新にかかる経費について、中期財政計画を基準に施設更新経費を1平米28万円とし、50年間で改築できる面積は保有施設の6割との見方を示しています。しかし、これは一般財源ベースの歳出から見た推計であり、あたかも財源が不足するかのように描くものではないでしょうか。
 実際は、施設によって国から特定財源(補助金)が歳入されるのは明らかであり、しかも、施設の更新の場合、改築だけでなく、リファイン工法による改修など施設維持のための延命策をとれば、施設更新経費は大幅に削減できることは明らかであります。
 結局、足立区の将来像を助走期から着地期まで描いていますが、不透明、不確定な人口推計や財政見通しから膨大な施設更新経費を推計し、財政硬直化を口実に区民要望を抑え、区民に我慢を強いる方便に使われていくのではないか、疑問を持たざるを得ません。明快なる答弁を求めます。 

廃プラスチックを焼却して「日本一、地球にやさしいまち」と言えるのか
 区長の政治姿勢の最後は、地球温暖化防止対策についてであります。
 足立区は環境基本計画において、「足立区は日本で一番地球にやさしいまちになります」と崇高なスローガンを掲げました。しかし、区は廃プラスチックの分別に莫大な費用がかかるという理由で、サーマルリサイクルの本格実施にあわせ、廃プラスチック焼却の全区実施を決定し、「熱回収とか発電で新たなリサイクルを推進する」と区民に宣伝していますが、サーマルリサイクルは環境型社会形成基本法では廃棄物・リサイクル対策の優先順位で4番目に位置づけられ、「次善の策」いわば「最後の手段」だったのです。ところが、小泉内閣時代に「経済財政諮問会議」が温室効果ガス削減に消極的な財界の意を受け、マテリアルリサイクルと同等に格上げさせたのであります。もともと、サーマルリサイクルによる熱回収は、廃プラスチックを焼却することに変わりがなく、1キログラム当たり2.6キログラムのCO2 を排出し、地球温暖化に悪影響を与えるものであり、EUでは、通常、焼却はリサイクルの概念に含まれないものであります。全国の自治体では、過半数の自治体が導入している廃プラスチックの回収・資源化を、足立区は行わずサーマルリサイクルの本格実施を機に、トレーとペットボトル以外は全部焼却してどうして地球温暖化防止に努める日本一やさしいまちになれるのか、答弁を求めます。
新年度予算について
 次に、2008年度予算案について質問します。
 この予算案は近藤区長最初の予算編成であり、近藤区政の基本姿勢を示すものと考えます。我が党は各種資料から近藤区政の予算編成を分析し、以下に指摘する方向で予算編成を改めるべきと考えます。
 本予算案の大きな特徴として、まず事業実績減や契約差金など、余らせたお金と財調財源を区民生活応援の施策には使わず、最終補正予算では、そのほとんどを各種基金に112億円余を積み立て、基金残高は史上空前の854億円に達するという異常な「ため込み」を行っています。
 昨日の区長あいさつで「今後とも慎重な財政運営せざるを得ない状況にある」と述べて、財政見通しの厳しさを強調しながら、「大規模跡地等基盤整備促進」と大型開発を重点施策のトップに上げ、予算を重点配分し推進しようとしています。
 しかも、その中心の役割を果たしているのが都市再生機構(UR)であり、与党議員からも指摘されている区内業者排除の大型開発が推進され、結果として地元商業を脅かす大型店の進出を許し、大手デベロッパーの開発によるコンクリートのまちがつくられています。これが区長の言う「豊かさを実感できるまち」になるのか疑問です。
 我が党は大型開発をすべて否定するものではありませんが、近藤区長の日ごろからの発言からしても、区民の目線から見ても、予算の優先順位が違うのではないかと指摘せざるを得ないのです。
 具体的な施策でも、区民保養所の廃止は強行、保育料の値上げもとめようとしていないし、高齢者デイサービスセンターや特養ホームへの補助金など、区民生活を支えてきた施策を削減しようとしています。
 区長あいさつでは「税財政制度を踏まえた的確な財政運営が必要」「施設更新など区財政に不安材料や不透明感がある」と言っていますが、それ以上に区民生活は困難になっており、いまこそ区民生活を支える姿勢が求められているときはないと考えます。
 こうして近藤区政の2008年度予算案を見ると、一部に区民要望にこたえるものはあるものの、全体として見ると、区財政確保に力点が置かれ、区民生活を支える予算編成がされているとはいえないと判断したのであります。そこで伺います。
 お金の使い方を変え、軸足を区民生活優先に転換すべきではないか、答弁を求めます。

後期高齢者医療制度の中止と特定健診の改善を
 次に、新年度予算に反映すべき新たな区民要望について質問します。
 まず、4月から実施予定の後期高齢者医療制度と特定健診についてであります。
 後期高齢者医療制度の診療報酬は、一般国民と切り離し「包括払い」、つまり定額制を持ち込もうとしています。例えば病気による1日当たりの医療費上限額を決め、月の受診回数に制限を加えるとともに、「総合医」と称する登録医を設置し、初診を総合医に限定することがねらわれています。
 なぜ、75歳でお年寄りを区切るのでしょうか。厚生労働省の社会保障審議会の特別部会報告では、「後期高齢者の心身の特性」について、「老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、複数疾患への罹患が見られる」「多くの高齢者に……認知症の問題が見られる」「いずれ避けることができない死を迎える」などとまとめ、この制度によって2015年までに2兆円、25年までに5兆円の医療費が削減できると試算しています。
 後期高齢者医療制度の最大の眼目が医療抑制による医療費の削減にあるのであります。
 ところが、政府の説明資料でも、区の高齢サービス課発行のリーフレットでも、療養の給付、高額療養費など老人保健制度と変わりありませんと説明しているのです。これでは国民にうそをついていると言われても仕方がないではありませんか。
 「どうせ治らない、いずれ死ぬ」とばかりに、医療費の削減を目的にお年寄りを差別する後期高齢者医療制度の4月実施は中止すべきことを申し上げ、具体的な質問に入ります。
 まず、特定健診についてですが、各保険者がメタボリックシンドロームの概念に着目した特定健診・特定保健指導の実施計画について、区はパブリックコメントを行いましたが、8月の区民委員会でいち早く「有料化」を宣言し、国保加入者の3割負担が強行される可能性もあったことは事実であります。しかし、パブリックコメントの多くが「自己負担金は無料に」の声がかつてない規模で提出されるとともに、医師会からも無料の声が示されるとともに、我が党のたび重なる議会質問、予算要望が実り、無料で実施されることになったことは喜ばしい限りであります。
 そこで質問ですが、早期発見、早期治療を促進し、区民の健康を守るために以下の内容を拡充すべきであると考えます。
 まず、必須項目から外れた貧血検査・心電図検査・眼底検査及び胸部レントゲンなどの検査は、生活習慣病予防健診時には受診できた項目です。いままでのように無料で受診できるようにすべきだがどうか。
 また、日常生活の中で国保を使い他区の医療機関にもかかる区民もおり、特定健診についても自治体の枠を超えて受診できるようにすべきだがどうか。
 次に、ピロリ検診については、2008年度予算でピロリ菌の検診がつけ加えられ、ペプシノーゲン法と組み合わせて実施されると報告がありましたが、仮にピロリ菌が発見されたとしても、病気でなければピロリ菌の除去は保険適用がなく除去費用が高額となります。そこで、ピロリ菌の除去に対して何らかの支援策が必要だと思うがどうか。
 次に、青年健診についてです。
 40歳前の区民を対象とする健康診査については、雇用環境の悪化により、正規社員になっても過酷な労働を強いられ、精神的な病気を抱える青年もふえています。受診機会の少ない青年に対して、心のケアを含めた健診は必要になっていると思うがどうか、答弁を求めます。
 妊婦健診については、経済的理由により健診が受けられず、駆け込み出産がふえ、事故が後を絶ちません。我が党は2003年の本会議質問で「母子とも安全に出産を迎えるためには、厚生労働省も14回が望ましい」としていると示し、健診の回数増を要求し続けてきました。23区のほとんどが実施する方向が明らかになる中で、公費負担による妊婦健診の回数増を図るべきと思うがどうか、伺います。

保育料の値上げ中止と子ども入院医療費を無料に
 次は子ども施策についてであります。
 近藤区長は、新年度予算の特徴の一つに子ども施策を上げています。ところが、足立区は一昨年議決した保育料の値上げ条例の本則が適用になり、このままでいけば大幅な保育料の値上げが4月から行われ、子育て世代の家計を直撃することになります。区長が子ども施策の充実を言うなら、この値上げは中止し、保育料は墨田区のように値下げこそ行うべきと思うがどうか。
 子ども医療費の無料化については、入院給食費補助をお隣の北区を初め、23区の過半数である12区が実施しています。足立区としても入院給食費補助を実施する考えはないか。
 また、児童生徒の入学に際して、子育て家庭の就学準備を支援し、就学を祝うとともに、児童生徒の健全な育成を助成するため、入学祝い金を支給する考えはないか。
 以上、子ども施策3点について答弁を求めます。

低エネルギー・太陽光発電等、区施策の充実を
 我が党は1月17日、区長に地球温暖化防止対策についての提言を提出しました。この提案は、「真に地球に優しいまち」の実現を目指すものですが、区がその気になれば直ちに実施できることについて、以下質問します。
 まず、昨年の我が党伊藤議員が質問した、区として廃てんぷら油を拠点回収し、バイオ軽油へのリサイクルを行い、率先してエコカーとして区の広報車などに広げることについては検討課題になっていましたが、その後、どう検討されたのか。
 また、太陽エネルギーの活用(発電・給湯)については、今後、公共施設のエコ化が進むよう検討するとしているが、一般家庭への普及についての助成制度を拡大すべきと思うがどうか。
 銀座などで広がっている自転車による(通称)ベロタクシーを導入・普及のためNPO法人などへの働きかけを行うとともに、自転車専用レーンの導入を警察と協議し進めてはどうか。
 我が党はCO2 を排出しない都市型レンタサイクルシステムを提案していますが、埼玉県東松山市にある森林公園では、公園内にサイクリングロードがあり、多くの市民がレンタサイクルを利用し楽しんでいます。そこで舎人公園の散策コースなどを利用し、レンタサイクルをつくるよう東京都に働きかけてはどうか。
 以上4点について伺います。

住民税の減免・軽減措置の実施を
 次に、住民税の増税に伴う減免・軽減措置の実施等についてであります。
 住民税の増税は区民の暮しを一層圧迫し、低所得者にとっては過酷なものになっています。住民税の仕組みが前年度所得を基準に課税するため、実際の生活実態からかけ離れた課税となる場合があり、実態に見合った課税とするためには現年課税とすべきですが、法律を変えなければならないものです。
 そこで、いま足立区でできるものの一つとして、これまでの減免要件に加え、所得が著しく減少し少額所得者になった区民を救済するため、住民税の減額・免除制度を拡充すべきと思うがどうか。

原油高騰から区民生活を守れ
 次に、原油高騰に伴う区民生活を守る対策について伺います。
 渋谷区が新年度予算案で原油価格高騰によるコスト負担増で収益力が低下し、経常収支が悪化しているクリーニング店に対し、一店舗に一律コスト増の約2分の1程度20万円の助成をすると発表しました。足立区では国の指導により昨年、実施した小口零細融資は、昨年10月からことし1月にかけて450件、セーフティネット保証の中小企業融資もわずか3カ月で去年の約半分の融資申し込みがあることが報告されました。全国の自治体では、低所得者や高齢者向けに「福祉灯油」などの補助や中小企業向けの融資制度など緊急対策を講じています。そこで伺います。区としても低所得者向けの灯油購入費の補助を緊急に行うべきと思うがどうか。
 また、足立区としても原油、原材料の高騰を受けている中小企業業者に対し、小口零細資金融資の利子補給率の引き上げ、信用保証料補助を拡充するとともに、既存融資の返済繰り延べ等を実施すべきと思うがどうか、答弁を求めます。

高齢者介護(ホームヘルプ・特養ホーム)施策の充実を
 新年度予算案の最後に高齢者介護について伺います。
 06年度介護保険の制度改定後、特養ホームなどの施設運営と生活援助サービスなどに大きな支障が生まれています。特養ホームでは来年度以降、法人が施設建設を行う上で東京都の建設費補助がなくなるため、新たな特養ホームは困難になり、2,800名を超える待機者解消はおろか、ますます狭き門になります。
 また、高齢者のホームヘルプサービスについては、軽度の方への訪問介護の時間制限や同居家族がいる場合に生活援助サービスに制限が加えられています。
 渋谷区では、介護保険法による「給付制限」が在宅介護を受ける区民の生活に大きい影響を与えているとの認識に立ち、高齢者の引きこもりを防ぎ、介護を受ける人と家族の負担を軽減するために、区独自に介護保険制度を補完する生活実態にあった利用しやすいサービスを提供しています。
 軽度の方への訪問介護が1時間半に制限されたことに対して、介護保険外で1時間を限度にホームヘルプサービスを提供するとともに、同居家族がいるからと打ち切られた方には、「軽作業代行サービス」として清掃、洗濯、調理や通院介助、同居高齢者への生活援助サービスを実施しています。足立区としても、こうしたサービスを提供すべきと思うがどうか。
 また、介護報酬の切り下げで人材が確保できず運営が困難になっている施設・事業者に対し、運営費補助を行うべきと思うがどうか。
 特養ホームへの施設建設費に対する区として何らかの補助を行うべきと思うがどうか、3点について伺います。

公契約条例などの制定を
 次に、公共調達についてのルール化について質問します。
 公共事業の発注や行政サービスの民間化など、公共調達において、実態にあわない低価格や雇用の不安定化で労働条件が悪化するとともに、全国では「市営プールでの死亡事故」「保育園の株式会社への委託による職員の大量辞職」など、公共サービスの質の低下が指摘されています。ふじみの市では、プールの施設管理は民間委託でしたが、5年間で請け負い金額が6割近くに下がり、安全点検も業者任せになっていたことが事故報告書で明らかになっています。足立区でも、工事契約では見積もり段階から一律1割カットが常態化していると言われており、業者団体からも改善要望が出されています。
 国分寺市は、こうした事態改善を念頭に「市の調達に関する基本指針」を昨年7月に策定しました。この基本指針は、従来の「価格入札」を、社会的価値の実現を図るための「入札」に転換していくために、公正な労働基準などを定めた「公契約」の基本指針であります。市は、基本指針の効果として、@手抜き工事や下請へのしわ寄せの防止、A労務単価や下請代金支払い等に関する労働条件の適正化、B価格入札の適正化により不当な調達コストを排除、C就労困難者(母子家庭・若年者・高齢者)等に対する就労の促進、D市内業者の地域貢献度など、市民との協働事業の充実による地域社会向上へ寄与する調達が推進される等の期待を寄せています。
 足立区では、06年9月議会の答弁で、「公共調達においては、いたずらな低価格競争にならぬよう努め、従事する者の労働環境に悪影響が及ばぬよう配慮してまいります」と、公共調達のルール化について必要性を認めていますが、具体化されてはいません。区としてこうした「公共調達に関する条例」、もしくは「基本指針」を制定すべきと思うがどうか、答弁を求めます。

放課後子ども教室と学童保育の関係について
 放課後子ども教室について伺います。
 区は「学校を単に学ぶだけの場所から、子どもにとってもっと幅広く楽しめる場所、憩える場所となるよう施策を強化することで、子どもの居場所を確保し、足立の子どもたちがたくましく、生き生きと育っていく場として位置づける」とし、小学校における「あだちキッズぱれっと」の展開を推進していくとしています。現段階で出されている疑問や留意点について何点か伺います。
 第1に、校長を初め教職員に新たな負担にならないよう配慮すべきと思うが、どうか。
 第2に、「あだちキッズぱれっと」事業で事故やトラブルが発生した場合の最終責任はだれが負うことになるのか。区教委なのか生涯学習振興公社が対応するのか。また、具体的な補償制度はどうするのか。
 第3に、学童保育と放課後子ども教室との関係について。学童保育は保育に欠ける子どもに対して、専任の職員を配置して生活の場としての場所が確保されるもので、毎日、夕方6時までおやつ代も徴収し、区が責任を持って実施する法律に基づく事業であります。一方、足立区独自の放課後子ども教室については、学校という施設は使用するものの、文科省の設置基準を満たしていなくても、ボランティアを中心にして週1日でも、1日二、三時間程度でもいいから実施するというものだと思います。区としては、学童保育と放課後子ども教室とは性格を異にするものであると思うがどうか。したがって、学童保育と放課後子ども教室をそれぞれ充実・発展させる必要があると思うがどうか。以上3点について答弁を求めます。

加配教師を活用して35人学級を実施することは可能
 次に、区教委は小学校低学年において、35人学級を実施するため都教委と事前協議に入ったが、都教委が同意しないため協議が難航していると伝えられています。我が党は、少人数学級の実現こそ、子どもたちの成長を保障し得るものとして一貫して取り組んできました。今回の区教委の方針転換を歓迎し、少人数学級の実現の立場からどう打開するのか、幾つかの提案と質問を行います。
 少人数学級の実現を求める国民と地方自治体の要望が世論を動かし、遂に文科省は平成17年度学級編制の実施に当たっては、区市町村の児童生徒の実態等を考慮して40人を下回る学級編制を可能とした通知を出しました。教職員の人事配置に関しては、第七次教職員定数改善計画に基づいて、都道府県教委は市町村の内申を得て、教職員を配置することになっています。
 この「通知」によると、学級編制と教職員配置は関連していますが、都教委より配置された教職員をどう使うかについて、同意が必要とは明記されていません。文科省の担当者に確認したところ、17年度通知によって全国45道府県で少人数学級を実施することになったが、この通知に基づき学級編制に関しては「個別の学校の実情に応じた弾力的運用」「加配定数の活用」により、少人数学級は可能と文科省は認めているのであります。したがって、都教委から配置されているTTや少人数指導のために加配されている105名の教職員の一部を配置し、小学校1年生の35人学級を実施することは可能であると思うがどうか。
 区教委がこれ以外の方法で少人数学級を実施しようとするならどのような方法があるのか。現段階で都教委と協議している内容を明らかにし、区民にも理解を求めるべきと思うがどうか。

中学校の図書館支援員の配置が実現
 次に、学校図書館の拡充について区は、中学校図書館の放課後開放という視点から、中学校の図書館に司書資格を持つ学校図書館支援員を配置し、3年間で全校配置する方針を示しました。学校図書館を充実させるという立場から歓迎するものでありますが、心配もあり、幾つか指摘しておきたいと思います。
 学校図書館本来の役割から見ると、図書館支援員の仕事は、午後から4時間程度の出勤で学校図書館を開館すればいいのかという問題です。学校図書館は、授業の「調べ学習」などに連携し、テーマに沿った文献を事前に把握し備えることで格段に効果が上がるなど、読書活動の企画・立案、学校図書館利用に関する企画・立案、さらに蔵書の購入・管理は重要で、中央図書館や地域図書館との連携なども考えられます。
 例えば現在、中央図書館が各学校と連携して月に1回、1クラスワンカートン40冊を目途に各学校に出張貸し出しを行っていますが、必ずしも子どもたちの興味や読みたい本と一致しているとは限りません。さらに授業と連携している「調べ学習」は総合学習で図書館を利用することが多いようですが、放課後だけの勤務ではこの援助はできません。学校図書館支援員の活動を充実させるべきです。そこで伺います。
 図書館によって小学校を含む学校図書館の蔵書をコンピューター管理するとともに、区立図書館とネットワーク化することや、計画的に図書購入費をふやすべきであると思うがどうか、答弁を求めます。
 最後に交通網整備についての質問ですが、竹ノ塚駅付近鉄道連続立体化事業については、2008年度東京都予算案で都区の負担割合が5対5と発表されました。しかし、これまで都施行の場合は都区の負担割合は7対3であったことを考えると不安が残るものであります。総事業費が仮に500億円とした場合、区の負担額は都施行の場合は都が148億円余、区は63億円余となりますが、区施行の場合は双方106億円余で、区の負担が43億円もふえるわけです。区財政の負担軽減策を都に粘り強く働きかけて、極力区負担を少なくするよう努力すべきと思うがどうか。

日暮里・舎人ライナーの開業と舎人公園の施設充実を
 日暮里・舎人ライナーの開業とあわせた関連の質問であります。
 日暮里・舎人ライナーの安定的運営・地域活性化に欠かせない施設として舎人公園に対する期待は大きいものがあります。舎人公園整備計画の拡充が求められていますが、例えばサッカーJ2リーグが開催できるように競技場のグレードを上げることや、かねてより都議会に陳情があった長水路温水プールをつくるよう都に要請すべきと思うがどうか。
 また、拠点駅である江北駅、見沼代親水公園駅に交番を設置するよう都に働きかけるべきと思うがどうか。
 また、防災拠点として既に土地を確保してある西新井消防署舎人出張所を早期に建設するよう、都に働きかけるべきと思うがどうか。
 東武バス西新井〜皿沼循環を一方通行から双方向に変更すべきと思うがどうか、答弁を求め、この席での質問を終わります。

答 弁

【区長答弁】
○近藤やよい区長 針谷みきお議員の代表質問のうち、私の政治姿勢についてのご質問にお答え申し上げます。
 サブプライムローン問題等の影響により世界的に経済の減速が懸念される状況の中、また、我が国にあっては、人口減少と急激な高齢化が同時に進むという厳しい状況の中にあって、自治体においても長期的視点に立った持続可能な行財政運営がいままでにも増して重要となっております。
 このような状況下にあっては、限られた財源を単に福祉施策のみに集中させるのではなく、現行の諸制度を十分活用しつつ、就労、教育、福祉等の施策を緊密に連携させながら、限られた財源を効果的に投下することにより、幅広い区民の生活の維持向上を図っていくことが必要であると考えております。

「税の所得再配分機能や社会保障の意義は認識している」区長
 生活保護を初めとする現行の福祉制度がセーフティネットとして相応の機能を果たしているという認識には変わりはなく、こうした既存の制度を今後も適正に活用する一方、就労支援策により、いわゆるボーダー層が生活保護に移行することを防ぐことや、受給者の自立支援策等を総合的に進めることにより、高齢者から若年層までの生活の維持向上を図ってまいります。
 また、「税の所得再配分機能」や「社会保障」の意義につきましても十分に認識しており、施策の重要度等を勘案しながら、個別に判断してまいりたいと考えております。
 こうした中、本年4月にスタートする国民健康保険加入者に対する特定健診においては、より多くの区民の皆様に受診していただくために、当分の間、自己負担を求めないこととする一方、妊婦健康診査の公費負担回数につきましても、これを5回から14回に拡大するなど、区民の命と生活にとって真に必要な施策には重点的に予算を措置しているところでございます。
 他のご質問につきましては、参与から答弁いたさせます。
○青木光夫資産管理担当部長 私からは、公共施設再配置のための検討素材についてのご質問にお答えを いたします。
 検討素材で示した更新経費に係る財政フレーム予測は、平成15年に策定した中期財政計画の長期推計に基づくものです。
 このため、お示しした数値は中期財政計画に基づく行財政の取り組みが確実に行われた場合に、施設更新に充てられる一般財源予測、つまり、「持続可能な施設更新の基礎体力」を示しております。
 施設の改築に伴う国庫補助金については、学校以外はほとんど臨めないのが現状であり、リファイン工法の内容によりどの程度の国庫補助金適用があるのかも不確定であります。
 リファイン工法の最大のメリットは、確実に訪れる施設更新経費の「山」を平準化するところにあります。躯体の状況によっては適用できない場合や、同じ施設に二度実施できる工法ではないこと、また、基本的な施設構造を変えることは困難なことなどを長期的に考えますと、抜本的な経費削減にはつながりません。そのため、リファイン工法と改築の適切な組み合わせが必要と考えております。
 人口推計につきましても、今回の基本計画の見直し作業の中で再度行う予定ですが、日本全国の人口構成等からして、人口の減少と人口構成の変化は都市部でも免れない状況にあります。
 住区センターなどの施設が数多く建設された昭和50年代と比較しますと、年少人口は半減し、高齢者人口は4倍近くに増加をしております。こうした人口構成の変化に対応して、より時代にあった施設サービスの提供を確保するための検討を行うことが、いま必要であり、それを行わないことは、むしろ結果として区民に我慢を強いることになると、このように考えております。

「サーマルリサイクルで焼却し、発電が最適」と開き直る
○小平勝夫環境部長 サーマルリサイクルについてお答えいたします。
 サーマルリサイクルは、貴重な石油資源の有効利用を図るため熱回収を行うものであります。廃プラスチックを焼却すると、その分の二酸化炭素を発生しますが、発電量の増加による温室効果ガスの一定の発生抑制効果が見込まれることから、総体的な温室効果ガス発生量は微増にとどまると試算しております。さらに、清掃車の運搬距離が大幅に短縮しますので、二酸化炭素排出量に大きな変化はないと考えます。
 区はペットボトルの資源回収を積極的に進めるとともに、新たに近くにスーパーのない地区のトレー回収モデル事業を開始するなど、計画的にプラスチックの資源化を進めています。しかし、現在の技術では、これ以外のプラスチックは大量の経費とエネルギーを投じても約半分が残渣として焼却され、再製品化される率は低いのが実態です。したがいまして、総合的に判断し、現時点では焼却し発電に利用することが最適と判断したものです。
 次に、バイオ燃料化につきましては、品質・適応する車両・回収方法やコストなど多くの課題がありますので、引き続き検討しているところです。
 次に、太陽エネルギー活用で、一般家庭への助成拡大については、平成20年4月1日以降の電力受給契約の締結分から助成費の増額を行います。さらに、集合住宅にも対象の拡大を行います。
○坂本寛文政策経営部長 私からは、平成20年度予算案につきましてお答えいたします。
 まず、基金につきましては、これまでも財政状況を勘案しながら将来確実に予測される行政需要に備えるために積み立てを行ってまいりました。今後とも財政需要が安定している間は、竹ノ塚駅付近連続立体交差事業や小中学校の更新などに充てる基金を初め、将来世代への負担先送りを回避する観点から、減債基金への積み立ても行うことが必要であると考えております。
 次に、北千住駅東口地区などの大規模開発は、区民の利便性、防災性の向上、さらには地域の皆様や区への来訪者にとって魅力ある商店街づくりなどに不可欠であると考えております。また、大手デベロッパーの開発に際しては、緑化や景観にも配慮するよう指導することにより、コンクリートのまちのみが残ることがないよう誘導してまいります。
 一方、区財政確保に力点が置かれ、区民生活を支える予算編成がなされていないとのことですが、新たに開始される特定健診制度に対する自己負担の軽減策を例に挙げるでもなく、幅広い世代の区民生活を支える上で欠かすことのできない事業に関し、最大限予算化を図らせていただきました。何よりも、これらの事業を着実に推進し区民生活優先を続けていくためには、区財政の健全化を確保することが重要であると考えております。
○坂田道夫区民部長 私からは、特定健診、ほかのご質問にご答弁申し上げます。
 まず、貧血検査・心電図検査・眼底検査につきましては、特定健診における詳細な健診の対象者以外の方にも、区民の健康増進の観点から実施する予定であります。このうち、眼底検査は対応できる実施機関が限られるため、優先順位をつけて行います。
 また、胸部レントゲン検査につきましても、区民の健康増進の観点から実施する予定です。
 他区の医療機関でも特定健診が受けられるようにするためには、健診単価や健診項目を統一することが必要です。
 しかし、健診単価の統一交渉でさえ、いまだに区市町村と地区医師会との交渉がすべてまとまっていないのが現状であります。
 特定健診の委託契約交渉を、区市町村ごとに地区医師会と行わざる得ない状況に変化がない限り、当分の間、この要望の実現は難しいものと思われます。
 続いて、住民税の減額・免除制度の拡充についてお答え申し上げます。
 市町村民税の減額・免除は、地方税法第323条に規定されており、徴収猶予、納期限の延長等によっても到底納税が困難であると認められるような担税力の薄弱な者等について、その個別具体の事情に即して税負担の減額・免除を行うための措置として設けられているものであります。
 納税義務者に与えられた徴収緩和の措置として徴収猶予の措置等もございますので、税負担の公平という見地から、減額・免除制度を拡充する考えはございません。
○黒岩京子衛生部長 ピロリ菌除菌治療への助成についてお答えいたします。
 保健総合センターで実施するピロリ菌抗体検査が陽性の場合には、精密検査として、指定医療機関において、保険診療で胃の内視鏡検査を受けていただくことになります。その結果、胃潰瘍等の所見がなく保険適用とならなかった場合には、ピロリ菌除菌治療の一部助成を予定しております。
 次に、青年層に対する健診についてお答えいたします。
 40歳未満の健診事業につきましては、新たに始まる特定健診・特定保健指導の実施体制の進捗状況にあわせて健康増進事業として受診機会の少ない若い世代のための健診を検討してまいります。
 また、心のケアを必要とする方には、精神保健相談において、これからも積極的に相談に応じてまいります。
 次に、妊婦健康診査の回数増につきましてお答えいたします。
 妊婦健康診査につきましては、健康で安全な出産をする上で重要な役割を担っており、昨今その必要性が一層高まっております。区といたしましては、近隣自治体との整合性等を勘案し、妊婦健康診査の公費負担回数の望ましいあり方として、財政的負担は決して軽いものではありませんが、14回を目途に平成20年度から実施してまいりたいと考えております。
○井ノ部美千代子育て支援担当部長 まず、保育料の値下げについてお答えします。
 本年4月からの保育料改定は、「足立区子育て支援サービス利用者負担適正化審議会」の答申を受けて段階的に実施されるもので、妥当なものと考えております。これらを財源とし、認証保育所利用者への助成等、子育て支援策の推進を図ってまいりました。
 この保育料改定による財源により、さらに子育て支援策の充実を図ってまいります。
 なお、来年度からの値上げにおいては、税制改正に伴う過大な負担増を避けるための階層区分の見直しや多子減額の対象の拡大による負担軽減にも配慮をしており、保育料の据え置き及び値下げについては考えておりません。
 次に、子ども医療費助成に入院給食費を対象とすることについてお答えいたします。
 平成19年10月から、子ども医療費助成制度を拡大し、健康保険が適用となる診療医療費の経済的負担を軽減することとしたものであります。したがって、保険診療の範囲外の「給食費」を助成の対象とすることは考えておりません。
 続いて、入学祝い金制度についてお答えいたします。
 児童生徒の小中学校等への入学は、子どもの健全な成長のあかしとして大変喜ばしく、心から祝福したいと思います。しかし、入学祝い金を支給することは考えておりません。
○江口由紀夫土木部長 自転車タクシーは、都内では渋谷区など一部のエリアで営業されております。今後の状況を見て研究してまいります。
 また、自転車専用レーンについては、交通総合計画の中で自転車の通行環境整備を検討してまいります。
 次に、舎人公園への放置自転車のレンタサイクル導入についてですが、現在、区では放置自転車の再利用化を一部で実施しております。今後はレンタサイクル化に向けた採用の拡大を検討してまいります。
 また、舎人公園の散策コース等への自転車利用と自転車の貸し出し業務については、レンタサイクルを含め自転車を利用した公園活用の実現に向け東京都に協議してまいります。
 次に、皿沼循環路線の双方向運行は、現行のダイヤを維持するとすれば、車両を倍増する必要があり、現在の利用状況では困難であると報告を受けております。
○柴田 壽福祉部長 私からは、まず低所得者の灯油購入の緊急助成についてお答えいたします。
 寒冷地における緊急助成については承知しているところでございますが、国が最低生活費を保障している生活保護基準において、石油高騰に伴う改定はなされておりません。したがいまして、区独自で灯油購入費の助成を行う考えはございません。
 次に、介護保険外の生活援助サービスについてお答えいたします。
 今後、高齢者の増加が見込まれる中、区の財政負担が大幅に増大することなど、厳しい財政状況等を踏まえますと、区が介護保険外で独自にヘルパー派遣事業を実施することは困難であると考えております。
 次に、施設・事業者に対する運営費補助についてお答えいたします。
 介護保険施設整備に対する補助制度は、用地取得や建設に係る経費が多大であるために、補助制度がつくられております。
 しかしながら、介護保険制度下における事業運営は介護報酬の枠内で対応すべきものであり、介護保険制度全体の問題であることから、国の動向を注視してまいります。当面、運営費補助は考えておりません。
 次に、特別養護老人ホームの建設における補助についてお答えいたします。
 東京都の特別養護老人ホーム整備の補助制度については、用地取得費補助金が平成20年度で廃止となります。しかし、施設建設への補助金については、引き続き補助制度があり、先日示された施設建設費補助金の単価は約10年ぶりの増額改定となりました。これらの東京都の補助金制度の変革を受けて、区といたしましても特別養護老人ホーム建設が進展するような補助制度のあり方を検討してまいります。
○鈴木 章産業経済部長 原油高騰に伴う小口零細資金についてお答えいたします。
 小口零細資金は、小規模事業者向けに100%の信用保証協会保証つき・利子補給つきの融資制度として、昨年10月に創設いたしました。区といたしましては、審査を迅速に行うこと、また、融資の実行に結びつくよう事業者の利益に立った相談事業を実施しています。したがいまして、現行の利子補給率の引き上げと保証料補助の増額は考えておりません。
 また、既存融資の返済期間の変更等につきましては、金融機関と事業者との関係になりますので、融資を受けた事業者がそれぞれ金融機関と直接相談されることになります。
○丸山 亮総務部長 公共調達についてのルール化についてお答えいたします。
 公共調達において低価格競争となり、従事者の労働環境に悪影響が及ばぬよう、また品質を確保するため、一定額以上の工事及び委託契約案件に最低制限価格を設定しております。今後も適正な履行を確保するため、この方針を継続してまいります。
 また、毎年4月に開催している技術指導連絡会において、下請契約の適正化等各種法令の遵守を指導しているところでございます。
 「公共調達に関する条例」や「基本指針」を制定する考えはございません。
○岡野賢二市街地整備・立体化推進室長 竹ノ塚駅付近鉄道連続立体交差事業に関するご質問にお答えいたします。
 東京都が先ごろ発表した平成20年度東京都予算原案の中で、竹ノ塚駅付近連続立体交差事業の調査に対して、補助割合50%をベースに補助費を計上したことにより、竹ノ塚駅の鉄道立体化の全体的な財源構成の見通しがついたものと考えております。
 まちづくりも含めた区財政の負担軽減策につきまして、今後も東京都に対し継続的に働きかけてまいります。
○紙谷 衛危機管理室長 私からは、まず駅前交番の設置についてのご質問にお答えいたします。
 日暮里・舎人ライナーの区の拠点駅である江北駅や見沼代親水公園駅の駅前交番につきましては、以前より警視庁に要望しているところであり、今後とも要望してまいります。
 次に、都が土地を管轄している西新井消防署の舎人出張所につきましては、東京消防庁では、財政及び人員上出張所の増設は困難であり、出張所の統廃合の推移を見ながら検討していくこととしており、区としては消防庁の動向を見守ってまいります。
○齋藤幸枝教育長 放課後子ども教室についてお答えいたします。
 「あだちキッズぱれっと」の運営につきましては、地域の方々を中心とした実行委員会方式を基本に、運営全般の具体的な事務等については、生涯学習振興校舎が長期・安定的に支援してまいります。
 ご質問の学校長や副校長につきましては、実行委員会に参加いたしませんが、小学校施設を活用して行う事業である以上、その範囲での連携・協力をお願いしているところです。
 次に、「あだちキッズぱれっと」は教育委員会の事業であり、最終責任は教育委員会にあります。また、子どもに対する具体的な補償につきましては、PTA保険での対応を原則に考えておりますが、個別の保険対応につきましても、事業開始前までに必要に応じて各学校ごとに整えてまいります。
 次に、「あだちキッズぱれっと」は、自由参加、自由遊びを基本に、学習支援や文化・スポーツ体験等を行うものであり、事業の目的や内容は学童保育とは異なるものと理解しております。
 したがいまして、学童保育との連携・統合につきましては、地域のニーズ等を踏まえつつ、現実的な対応をしてまいります。
○高木直樹教育委員会事務局次長 加配定数の活用についてお答えいたします。
 都教委との協議の中では、都は40人学級を堅持しており、加配教員はあくまでも少人数指導やTTで活用するもので、少人数学級に充てることは認められないとの立場を崩しておらず、現状では加配定数の活用は困難です。
 現在、都教委には教員の身分を区教委に一時的に移していただき、区から異動するときに都の身分に戻るという割愛制度について提案しています。
 ご質問の加配教員活用も含めて、引き続き都の制度を活用した実現に向けて、粘り強く都と協議を進めてまいります。
 同時に、ステップアップ講師等の活用による足立区独自の工夫を平成20年度中に検討することで、区民の皆様の理解を得ていきたいと考えております。
 次に、学校図書館の拡充についてお答えいたします。
 学校図書館は、学校図書館法で定められているように、学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童生徒の健全な教養を育成するために必要不可欠な設備です。
 そこで、学校図書館の蔵書につきましても、引き続き計画的に充実してまいります。また、インターネットを活用した区立図書館の蔵書検索や中央図書館の学校向け貸出制度を積極的に活用し、さまざまな児童生徒の読書ニーズにこたえてまいります。
 なお、小学校を含む学校図書館の蔵書のコンピューター管理につきましては、今後の検討課題とさせていただきます。
○岡野 進教育事業担当部長 舎人公園の整備についてお答えいたします。
 舎人公園は、日暮里・舎人ライナーの安定的な運営やスポーツ振興等にとっても不可欠の施設であります。そこで、現在、舎人公園の野球場や陸上競技場のグレーとアップについて、東京都と協議を行っているところであります。
 なお、長水路温水プールにつきましては、建設コストと維持経費が膨大であり、現状で東京都に要望することは困難であると考えております。

再質問

○針谷みきお議員 何点か再質問をさせていただきます。
 まず、区長の政治姿勢についてですが、私は、わざわざ図表もつけまして、OECDのデータから税の再配分機能、その役割が日本は非常に低いと、セーフティネットの役割を果たしていないのではないかという質問をしているわけですね。それについて、区長は果たしていると言っていますので、これは見解の違いかなと思うのですが、その後の答弁は私の質問に答えていないのですよ。
 それは、私の質問というのは、税の所得再配分機能や社会保障をいまよりもさらに充実するのか、現状でよしと考えているのかという質問に対して、区長の答弁というのは個別に判断しているということで、妊婦健診とか特定健診を上げているので、とりようによってはいまより充実すると言えるのかなと思うのですが、この辺は明確なる、いまより重視すべきなのかどうかというクエスチョンにお答えをいただきたいと思っています。
 それから、政治姿勢の地球温暖化防止対策については、これは、私は区長に聞いたのであって、環境部長に聞いたのではないのですよ。それで、私が指摘しているのは、サーマルリサイクルというのは熱回収とか発電とはいっても、やはり焼却というのは1キログラム当たり2.6キロCO2 を出す、これはEUでは通称リサイクルとは呼ばないんだと、概念には入れないんだと言っているわけでありまして、これについては、これが最適と判断したというのは、私は納得できないのですが、それについては区長も現在のやり方が最適と判断していると考えているのか、これは環境部長のご答弁でなくて、区長がそれを確認するなら、そのように答弁をしていただきたいと思います。
 それから、3点目でありますけれども、30人学級、少人数学級の問題は、我が党も区教委も一致した立場なので、再質問するのは何かと思うのですが、ご答弁では、35人学級を実施するいろいろな方法を探っていく中で、私が提案したことも含めてというご答弁をいただいたので、ある程度この点は評価をするのですが、ただ問題は、私が提起した質問というのは、この加配定数の活用によってTTや少人数指導を配置することは都教委の了解は要らないんだという提案をしているわけですね。ですから、それは可能であるのかないのか、その辺の見解を区教委は私の提案も含めて今後も話し合うというなら、そういう立場に立って今後とも都教委と協議をしていくのかという確認を、再答弁でいただきたいと思います。
 その他多数ありますが、予算特別委員会で質疑をさせていただきます。

再答弁

○近藤やよい区長 私からは所得再配分機能や社会保障をいまより重視するのかというご質問につきまして、再答弁させていただきます。
 先ほど答弁の中で申し上げましたように、少子化と急激な高齢化が同時に進んでいくという、いまだかつてない社会情勢の中で、いまにいらっしゃる区民の皆さん方も含めて、将来区民に対しても、私は堅実な財政運営を行っていく責任が区長としてあると考えております。
 その立場を考えた上で、あえて十把一からげで重視しますとお答えすることは、かえって無責任であると思っております。ケース・バイ・ケース、一つ一つ、必要のあるものは必要があるように充実させてまいりますし、必要がないというものにつきましては見直しをしていくということが、区長としての責任のある答弁ということで、一つ一つ検証させていただいて判断していくと答弁させていただいたわけでございます。
○小平勝夫環境部長 サーマルリサイクルの考え方は、足立区が検討していた最新の到達点でございます。したがいまして、4月から全域に実施をいたします。
○高木直樹教育委員会事務局次長 加配教諭につきましては、あくまでも東京都が配置をさせていただいているものでございます。したがいまして、東京都が少人数学級に充てることは認められないという話をいましておりますので、引き続きこの件につきましては、協議をしてまいりたいというものでございます。