1、本会議質問

一般質問「自治体の防災計画と低所得者の自立支援について」
2月25日 大島芳江議員

自然現象はなくせないが被害を最小限に抑えることは政治の責任
○大島芳江議員 私は初めに自治体の防災計画について質問します。
 今年は阪神・淡路大震災から13年、昨年も3月に能登半島地震、7月には新潟県中越沖地震等、大きな地震災害が相次ぐ中、区民の防災に対する関心も一層高まっています。日本共産党は「自然現象それ自体をなくすことはできないが、備えを怠らないことで被害を減らすことはできるし、被害を最小限に抑えることは政治の責任である」という立場から防災問題に取り組んできました。
 区は現在、防災まちづくり基本計画の改定案と耐震改修促進計画案を提起し、地域防災計画の修正案もパブリックコメントに付していますが、基本として大切なのは、「自然現象を災害に発展させないこと」です。事前の予防が進めば、被害が少なくなり、事後の対策も軽減されます。区も災害予防策(減災)を中心に計画を策定するとしていますが、計画では役割分担が重要として、区と住民・事業者の役割を区が決めて、その上での協働ばかりを強調しています。しかし、災害対策は地域の特性を踏まえた適切な防災計画のもとに、それぞれの地域で実施されてこそ、効果が期待できるものです。そのためには地域や住民と直結した基礎的自治体である足立区が第一義的な役割を果たすことが求められます。区は「自分の生命やまちは自分で守る」と区民を突き放すのではなく、まちづくりの主体は住民であるという姿勢を計画の前面に掲げ、住民参加、住民主体で予防策をつくり上げていくべきと思うがどうか、伺います。
 区は、計画の目標として、従来の「防災輪中計画」による防火帯を確立し、河川、鉄道、都市計画道路による延焼遮断帯に囲まれた70地区を防災生活圏に設定し、防災施設の整備方針を立てることを基本にしています。しかし、これでは範囲も広く、住民の日常行動の生活圏とは合致しないものです。地域住民にとっての生活圏とは、日常生活でコミュニティを育んでいる顔見知りや人的にもつながりがある町会・自治会や、小学校の学区域(避難場所)単位の範囲です。地域住民を基本にしたまちづくりを考えるならば、防災協働社会ともいえる旧来の地縁的共同体を基本に、防災生活圏の見直しを行うことが必要と考えるがどうか。それとも区はこの防災生活圏で、これまでとは違った新たな地域づくり・コミュニティづくりを目指そうと言うのか、答弁を求めます。
 防災まちづくり計画では、災害予防と災害復興を受け持ち、災害応急対策は「地域防災計画」「防災コミュニティ計画」に位置づけられているとしていますが、防災コミュニティ計画は、まだ策定されていないと聞きました。これまでも町会・自治会や消防団など、身近で自主的な防災組織が地域の防災活動を担い、災害時においても、中心的な役割を果たすことが期待されています。災害予防、災害復興にも重要な役割を果たす地域コミュニティの問題を切り離して地域のまちづくり計画をつくることは困難であると思うがどうか。
 また、地域防災計画には、「延焼遮断帯と内部の防災コミュニティの形成を同時に図ることで、防災機能の完結をめざしている」と書かれていますが、防災時のコミュニティの重要さも考え、防災コミュニティ計画は、早急に策定すべきです。これまで策定されなかった理由は何か。また、いつごろまでに策定しようと考えているのか、伺います。
 防災まちづくり計画には、数値目標が示されています。例えば密集事業地区内では、不燃領域率を2016年までの9年間で37%から40%以上にするということですが、この目標が達成されると、延焼危険度ランク町丁目数や消火活動困難度ランクがどのように変化するのかなどは全くわからず、とてもわかりにくい目標です。不燃領域率が30%台では、市街地の焼失率が80%を超えますが、40%以上の水準に達すると、焼失率が急激に低下し、20%から25%になるなどのデータを示し、区民が理解しやすい内容にするべきです。
 また、すべての防災対策を短期間に行うことは容易ではないことは理解できますが、急がれる問題でもあります。ハザードマップの作成や公表は「区民の災害不安をあおる」とか、「不動産価値に影響が及ぶ」などと否定的な意見を述べる人もいますが、行政と住民が災害危険の具体的な現状を共有しない限り、地域の防災対策を協働で推進することはできません。区独自の防災対策も示した防災ハザードマップを作成し、現状と対策をわかりやすく住民に示すべきと思うが、どうか。
 また、防災生活圏の形成方針図には、防災生活圏内の防災施設の現状が図示されていません。区民にわかるように図示するとともに、防災井戸やソーラー照明灯なども避難所に設置する考えはないか、伺います。
 区は骨格的な防災施設の整備について、都市計画道路とその沿道の防火地域指定による防火帯の形成を強調しています。数値目標でも、「都市計画道路の整備により、防火帯の基礎ができる防災生活圏を現在の40地区から45地区にする」と書かれています。これは防災生活圏を整備するためには、都市計画道路などの開発が必要不可欠として、「防災」の名目で大型開発を進めることを住民に迫ることにもつながります。また、防災地域に指定されると、鉄筋コンクリートなどの耐火建築物や準耐火建築物を建設しなければならないなどの規制がかかり、地域住民が住居を建て替えるときなどにも支障が出ます。地域を指定するときには、地域住民の声も聞き、慎重な対応をすべきと思うがどうか。
 また、密集市街地の防災整備は必要ですが、減災まちづくりには密集法(密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律)の活用が考えられています。しかし、密集法は居住者の権利を大きく後退させる問題も指摘されています。例えば借地借家法の「正当な事由」がななくても、所有者は契約更新を拒絶し、移転を迫ることができるとか、「事業計画」は地権者の3分の2以上の合意で実施できるし、事業が始まれば「権利変更」などは地権者の過半数の賛成で成立するなど、多数決で見切り発車することもできます。都市計画道路や災害に強い建物づくりを進める目標達成を急ぐあまり、結果として地域住民を追い出すようなことがあってはなりません。「都市計画道路先にありき」ではなく、住民合意で進めるべきと思うがどうか、伺います。
 次に、耐震化が進まない第一の理由に「費用負担」があげられます。建築物の不燃化の誘導でも、家の建て替え時に何の助成も受けられないということになれば、実効性の薄い計画となります。防災街区整備地区計画や新たな防火規制区域の指定を行うときには、区として建て替え時の資金的な助成制度を設けるべきと思うが、どうか。
 国に対し、耐震化率目標達成に見合った支援を要望するとともに、区としても、耐震診断助成・耐震改修助成を増額すべきではないか。
 住民が自分たちの地域の被害予測図、診断図を作成することなどで、住宅の耐震診断や耐震改修の必要性を十分理解し、住民参加のまちづくりが進むと考えます。住民参加を促し、耐震化を促進するための環境整備として「相談窓口」に専門職員を増員して、普及啓発のためのセミナーの開催やアドバイザー派遣などを行うべきと思うが、どうか。
 家屋の倒壊などから区民を守るために、家具転倒防止対策、ガラスの飛散防止フィルムの取り付け工事、ブロック塀の補強工事への助成を充実させるべきと思うが、どうか、答弁を求めます。
 次に、マンションの耐震診断・耐震改修について伺います。
 区は平成27年度までに耐震化率90%の目標を掲げていますが、足立区には1981年5月31日以前に工事に着手したマンションは131棟・8,800世帯あります。ここへの耐震診断・耐震改修工事の促進を図るための具体的な計画を示すこと。特にピロティー形式のマンションに対しては、個々の状況に応じてきめ細かな対応を行うべきと思うが、どうか。
 マンション台帳を充実して、管理組合など、住民に情報提供ができるようにするとともに、災害対策課とも連携して、管理組合が減災・防災計画を作成するよう支援すべきではないか。地域防災の観点から、マンションの防災を位置づけ、マンションを避難所に指定することも視野に入れて、災害発生時に地域への供給も可能な受水槽整備への助成などを行うべきではないか。エレベーター対策、耐震ドアへの改修、大規模改修への助成制度を創設すべきではないか。以上答弁を求めます。
 区は「避難場所までの避難距離は約3キロメートルを目安として避難が行えることを目標に」としていますが、災害対策拠点の整備として、区役所など区の中心部分にも広域避難場所を設定するようにすべきではないか。また、区役所屋上のヘリポートの活用や、東京都の防災システムとの連動のみならず、埼玉県、千葉県などとの情報収集ができる仕組みをつくることが必要ではないか、伺います。
 都市復興のまちづくりは、防災まちづくり計画に初めて具体化され、被災した地区ごとに「地区復興まちづくり計画」を策定するとしていますが、具体的な内容は示されていません。阪神淡路大震災の教訓を生かし、都市復興のまちづくりを進める場合の留意点として、8割以上の壊滅的な被災を受けた場合には「区画整理事業」などを適用するのはやむを得ないが、最大限、減災・修復型のまちづくりを住民合意で選択していくべきではないか。また、震災の復興事業の中では「被災市街地復興特別措置法」の範囲内での支援としていますが、昨年11月に被災者生活再建支援法が改定され、これまでは「個人の資産形成につながることに助成すべきでない」としてきた考え方を変え、生活再建の柱である住宅の建設・購入費及び補修費への支援金の使用を認めるという画期的な支援策が確立しました。そこで国に対し、制度の対象となる「全壊」「大規模半壊」と、対象としない「半壊」の認定基準を緩和し、支援金を支給できるようにすることや、住宅だけでなく、混在している個人事業者の店舗、工場などへの支援金の拡大を要請していく考えはないか、伺います。

低所得者の自立のために何ができるか
 次に、自立支援対策について質問します。
 2004年12月、社会保障審議会福祉部会は「生活保護制度のあり方に関する専門委員会」でまとめられた報告書を提出しました。これまでの生活保護行政では、「自立」は「経済的自立」という考え方が強くあり、このため「自立助長」は「保護の廃止」と理解されることが多かったと思います。しかし、今回の制度見直しの基本的視点では、「自立」の概念を就労自立、日常生活自立、社会生活自立の3つに分けて幅を広げ、2005年度から生活保護受給者に対する自立支援プログラムが展開されることになりました。
 また、この報告書には、生活保護の適用前と保護脱却後の低所得者への対応についても盛り込まれています。これらの対応を踏まえ質問します。
 この「報告書」には、「稼働能力があることを思ってのみ保護の要件にかけると判断すべきものではないことに留意する必要がある」と書かれています。しかし、昨年7月には、北九州市で生活保護を受けていた男性が、福祉事務所から仕事につくよう指導され、保護を辞退した果てに「おにぎりを食いたい」と日記に書いて餓死するという痛ましい事件が起きました。足立区でも、生活保護受給者への自立支援プログラムを策定していますが、このプログラムは被保護者が主体的に利用するものであり、被保護者の意向を尊重し、みずからの選択と決定に委ね、強制すべきものではないと思うが、どうか。
 また、被保護者が自立支援プログラムを選択しない、あるいは不調に終わったことにより、指導・指示違反として保護の停・廃止を行うことはできないと思うが、どうか伺います。
 さまざまな支援のプログラムも、実務的にケースワーカーが使えるか、現場の実態と合っているかということが常に考慮されなければなりません。板橋区では、プログラムの作成はケースワーカーが最適として取り組みました。管理職はケースワーカーではないし、査察指導員もケースワーカーではなく、かつてのベテランワーカーでも、現在、直接援助しているわけではないので、視点と切り口がもう違っているということが理由だそうです。理念的にどんなによいプログラムができても、現場で使えなければ何の役にも立たないからです。足立区のプログラムはどの程度現場で活用されているのか。また、プログラムの策定、見直しにあたっては、現場の意見をどのように取り入れているのか、伺います。
 社会環境を反映して生活問題が複雑化し、処遇困難ケースも増えています。「報告書」では、福祉事務所の体制から見ると、担当職員の配置不足や経験不足が見られるなど、現業員の負担が過重となっていることを指摘し、地方自治体には担当職員の専門性の確保と向上に努めることを求めています。来年度、福祉事務所職員が増員されると聞きましたが、職員の量と質の確保が必要だと思います。今後、福祉事務所のケースワーカーを専門職として採用することも検討すべきではいか。また、不登校、引きこもり、ニートなどの問題は、福祉事務所だけで対応できるものではなく、教育委員会も含め、全庁的に対応すべき問題と思うが、どうか。
 次に、生活保護制度は、医療や年金など、他の社会保障制度の不足分や制度間の谷間を補っています。したがって、他の社会保障制度が充実すれば、生活保護で補う範囲が縮小し、後退すれば拡大するという関係にあるわけです。バブル経済崩壊後、「構造改革路線」のもとで、格差と貧困が広がりました。貯蓄残高ゼロ世帯の全世帯に占める割合は、日銀調べでも、1995年の7.9%から2005年では23.8%、4世帯に1世帯と増加し、何らかのアクシデントがあると、たちまち家庭が崩壊する余裕のない世帯が増えています。一般の低所得者対策が十分でない場合は、生活保護受給者が増え、受給の長期化につながる恐れもあります。いま、生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯の1割と言われ、足立区に置き換えると、およそ3万世帯となり、生活保護世帯の2倍以上のボーダーライン層がいる計算になります。このような低所得者が、生活保護を受給しないでも自立し続けられるような自立支援プログラムや福祉施策の展開が必要と思うが、どうか。
 制度があっても活用できないものは、活用できるように見直すことが必要です。母子世帯の母に対する就労支援事業がありますが、自立支援教育訓練給付金は、教育訓練が終了後に経費の40%が支給される仕組みであり、高等技能訓練促進費は、2年以上就業する場合に、修業期間の最後の3分の1が支給される制度で、いずれも当初に資金がないと使えない仕組みになっています。せめて給付金が支給されるまでの間、貸付が受けられるようにできないでしょうか。また、福祉施策の充実の一環として、現在、非課税世帯に限っている生業資金の貸付を元の条件に戻す考えはないか伺って、この場所からの質問を終わります。

答 弁

○石川義夫都市整備部長 私からは、自治体の防災計画に関するご質問のうち、都市整備部所管のご質問についてお答えいたします。
 区のまちづくりは、まちづくり推進条例において、区、区民等及び事業者がそれぞれの責務と役割を分担しながら、協働して行うこととしています。その上で防災まちづくりは、地域住民と区が協働し、安全で安心して生活できるまちづくりに努めてまいりますが、広域避難場所や都市計画道路など、骨格的な防災施設の整備は区が主体となって取り組みます。
 次に、防災生活圏は、都市計画道路とその沿道建築物の不燃化と、河川や鉄道敷を延焼遮断帯とし、他のエリアから延焼火災を防ぐことを目的としています。そのため町会・自治会活動といった地域コミュニティの形成エリアとは同一とはなりませんが、地域コミュニティに配慮した防災活動の推進に努めてまいります。
 次に、防災まちづくり基本計画の改定にあたっては、まちの安全性を示す指標の一つとして、延焼火災が発生しにくくなる「不燃領域率」の考え方をわかりやすく明示します。
 防災ハザードマップの作成は考えておりませんが、防災まちづくり基本計画の参考資料として、防災生活圏の現況及び課題と防災まちづくりに必要な事項を示した概要図を作成いたします。
 防災井戸やソーラー照明灯等の避難所への設置については、今後、検討してまいります。
 次に、防火地域の指定など、都市計画の変更や見直しについては、地区のまちづくり協議会を初め、地域住民の意向を十分に把握しながら、地区の特性に応じたまちづくりを進めてまいります。
 密集法にある老朽建物の除却勧告など、居住者の権利に影響を与える制度の運用にあたっては、慎重に行ってまいります。
 密集市街地における都市計画道路や共同化による災害に強い建物づくりの整備は、地元まちづくり協議会等において、きめ細かな協議を重ねる中で、生活再建に配慮して進めてまいります。
 次に、防災街区整備地区計画の指定地区の助成制度として、密集事業を重ね合わせて導入し、建て替えを機会に道路拡幅や公園整備に当たる地権者には、コミュニティ住宅への斡旋や老朽建物の買収・除却などにより、生活再建に配慮しながら整備を進めております。
 しかしながら、地区内のすべての建て替えに対しては、個人の資産形成にあたるため、助成制度は困難と考えます。
 次に、分譲マンション管理組合の支援についてお答えいたします。
 マンション管理を行うには、多くの区分所有者による合意形成が不可欠であり、罹災した場合、その再建には多くの困難を伴うため、あらかじめ必要な措置を講じるよう支援することが重要と認識しています。そこでマンション台帳に記載されている中で、特に緊急性が高いと思われる旧耐震基準で建設された区内分譲マンションの管理実態把握を進めていきます。その上で必要な情報を十分に発信し、防災意識を高めつつ、いわゆる減災・防災計画作成を含めた必要な支援を行ってまいります。
 最後に、地区復興まちづくり計画の策定につきましては、市街地の被災状況を踏まえた広域的な東京都の都市復興基本方針及び区の復興基本方針に基づき、地区の都市基盤の整備等、状況に応じて、地区ごとの復興まちづくり計画原案を作成いたします。その原案を地区ごとの復興協議会等で十分協議して、被災を繰り返さない地区復興まちづくり計画を策定してまいります。
○坂田道夫区民部長 防災まちづくり計画につきましては、災害予防・災害復興にも重要な役割を果たす地域コミュニティを明確に位置づけることが必要と考えております。
 そのために災害に関するすべての段階でコミュニティが果たす役割を分析し、実際に発災した場合、コミュニティのどの部分が毀損され、弱化するのか、補完体制としては何が必要かなどを想定した防災コミュニティ計画を早急に策定いたします。この計画をもとに、住民との協働で各地域の個別計画を順次策定してまいります。
○船田栄二建築担当部長 耐震化に関するご質問にお答えします。
 まず、助成の増額についてでございますが、区では平成19年度及び平成20年度を「耐震促進強化期間」と位置づけ、耐震診断や耐震改修の助成制度を充実させ、耐震化率の向上に努めております。今後の助成制度のあり方については、この結果を検証した上で、平成20年度に検討してまいります。また、東京都や他区と協力し、国に対して更なる支援を要望してまいります。
 次に、住民対応についてでございますが、区では社団法人東京都建築士事務所協会足立支部との協働により、専門家による説明会や個別相談会を開催しております。また、窓口にも職員を配置し、区民の相談に十分対応するとともに、出前相談も随時受け付けし、説明にお伺いしております。
 次に、ご質問の家具転倒防止策等の住宅非主要構造部耐震工事については、利用実績が少ないのが現状です。平成20年度に緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度のあり方を検討してまいりますが、これに合わせて当制度のあり方についても議論してまいります。
 次に、マンション対策への対応でございますが、現在、助成制度のパンフレット配布や管理組合に対するセミナー等により普及啓発に努めております。
 平成20年度からは、マンション等を初めとする緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化を進めることを予定しております。沿道以外のマンションについても状況を精査し、今後の方策を検討してまいります。
 特に、ピロティー形式の建物については、耐震性能が劣ることが想定されますので、啓発活動に力を注いでまいります。
 次に、エレベーター対策や大規模改修への助成制度創設についてでございますが、これらの管理部分につきましては、通常、建築主が建物の長期修繕計画に基づき適正に維持管理すべきものと認識しており、現在のところ、助成制度を創設する考えはございません。しかしながら、耐震ドアの改修については、建物全体の耐震工事と合わせて行う場合には、現行制度上においても助成対象としております。
○紙谷 衛危機管理室長 私からは、防災計画について危機管理室所管のご質問にお答えいたします。
 まず、マンションの避難所指定と受水槽整備への助成についてでございますが、現時点では、避難所の指定並びに助成ともに考えておりません。
 次に、避難場所は、東京都におきまして5年ごとに見直しをしており、今年度が見直しの時期となっております。
 平成17年度より見直し作業が始まり、足立区においては、17箇所の増を要望しておりましたところ、14箇所、うち2箇所は分割による増でございますが、について、避難場所条件に合致するとして指定を受けることができました。
 区役所本庁舎一帯につきましては、安全面積域に合致せず、指定を受けることができませんでしたが、足立高校一帯は新規避難場所として指定されたところです。
 区庁舎屋上のヘリポートについてでございますが、大規模災害時で交通がマヒした場合においては、自衛隊を初め、警察・消防、ランフライン事業者など、関係機関の災害対策本部応援職員などの輸送に活用してまいります。
 次に、埼玉県など近県との情報収集の仕組みについてでございますが、近県や隣接市、災害時相互応援協定を結んでいる自治体との通信は、国土交通省の光通信ケーブルを利用した、現在、開発中でございますが、関東広域情報ネット総合ポータルサイトの活用、また、災害時優先電話などを利用して対応してまいります。
 最後に国に対する要請についてお答えいたします。
 半壊の認定緩和並びに生業建築物への支給拡大につきましては、今後、他区とも十分協議しながら検討してまいります。
○柴田 壽福祉部長 私からは自立支援対策についてお答えいたします。
 まず、最低生活費を保障した生活保護受給者への自立支援プログラムは、みずからの意思で歩き出すことを基本としており、本人の意思を尊重してプログラムメニューを提供しております。しかしながら、みずからの持てる能力を発揮しない場合は、必要な手続きを経て、指導・指示をすることがあり、指導・指示に違反した場合には、保護の停・廃止を行うことがございます。
 次に、足立区の自立支援プログラムは、検討段階から現場とともに作成しており、企画立案から実施と評価、再検討といったサイクルで事業を実施しておりますので、自立支援プログラムのすべてのメニューが現場で活用されております。
 次に、職員の定数の確保については、増加を続ける生活保護世帯に対応するため、平成20年度にケースワーカーを6人増員し、152人で1人当たり約86世帯を担当することになります。
 国基準の80世帯より多く担当しますが、ケースワーカーの負担を軽減するため、資産調査及び就労支援の専門非常勤も配置しております。
 また、現在の職員146人のうち、社会福祉主事の有資格者が97人おり、現状の職員採用においても、研修等により質の向上に努め、対応できると考えております。
 次に、不登校、引きこもり、ニートなどの若者たちへの対応につきましては、就労支援室やあだち若者サポートステーション、さらに教育機関との連携を強化し、社会参加への支援を広げていきます。
 続きまして、生活保護を受給しないでも自立し続けられる施策の展開についてお答えいたします。
 福祉事務所に生活の相談に見えたときは、国民健康保険・介護保険等の減免制度や負担金の減額・免除等をご案内しているとろでございます。また、東京都や社会福祉協議会が実施する貸付についてもご利用いただいております。生活保護を受給しないでも、自立し続けられるような自立支援プログラムにつきましては、平成20年度から東京都で「ネットカフェ等利用生活者サポート事業」も予定されており、今後もより一層充実するよう国、都に要望してまいります。
 母子世帯の就労支援資金及び生業資金についてお答えいたします。
 母子世帯の就労支援資金には、自立支援教育訓練給付金、高等技能訓練促進費のほか、東京都母子福祉資金貸付制度があります。この貸付制度の「技能習得資金」は、技能習得開始当初から貸付が受けられますので、ご活用いただいております。
 また、足立区生業資金貸付事業は、生活保護を受けるおそれがあるか、または現在、保護を受けている方で、貸付を受けることにより、生活保護を受けないで済む状態になり、かつ、一般金融機関からの融資が困難な個人事業主が貸付対象の制度でございます。このため、平成13年度より福祉的貸付金としての制度本来の趣旨に沿うよう、対象を区民税非課税世帯に限る見直しを行いました。課税世帯に関しましては、社会福祉協議会等による貸付制度を紹介しており、本事業の対象を変更する考えはございません。

再質問

○大島芳江議員 何点か再質問させていただきたいと思います。
 一つは防災のまちづくりですけれども、まちづくりの主体が住民である、この姿勢を貫いてほしいというのが一番最初に質問したところですが、住民参加、住民主体ということで予防策をつくっていってほしいという質問なのですが、責務と役割を分担して、それぞれがそれぞれのことをやればいいのだというような答弁だったと思います。その点では、私が質問していることと若干違うと思いますので、住民参加で、住民主体でつくっていくというところを計画の前面に掲げるべきだという点についてのお答えをいただきたいと思います。
 次に、防災のコミュニティ問題ですが、早急に策定するというお答えでありました。しかし、これまで策定されてなかったということが、特に今回の防災まちづくり計画の中では、災害応急対策は防災コミュニティ計画に位置づけられていると書いてあるにもかかわらず、まだできていなかった。そこでどうしてなのですかということでお聞きしたのと、早急にというお話はありましたが、いつごろまでということで考えているのかと聞いておりますので、その点についてもう一度答弁をお願いしたいと思います。
 最後に自立支援の問題ですけれども、なかなか難しいというふうに思いますが、自立支援プログラムということについて、先ほど、能力を発揮しないということがあるならば、指導・指示違反というふうにしますというお話だったが、私が聞いているのは、自立支援プログラムを被保護者が選択しない、あるいはそれが不調に終わったという場合もそうなるのですかと聞いているのです。その点についてのお答えをいただきたいと思います。

再答弁

○石川義夫都市整備部長 住民主体のまちづくりということでございますが、まさにそのとおりでございまして、自分の生命やまちは自分で守るということが中心でございます。ただし、それだけではなく、区も一緒になって協働して防災のまちづくりをつくっていこうというのが基本でございます。
○坂田道夫区民部長 防災コミュニティ、地域コミュニティ計画がなぜできなかったかという理由と、いつまでにつくるかというお尋ねでございますが、まず最初の点でございます。地域の防災に関する計画というのは、舎人地区と千住地域は、地域の特性が全く違いますし、予防の面でもかなり違う。実際に発災したときも違う、その後も違うということで、この辺をつくるのが非常に難しかったというのが一つの理由だろうと考えております。我々としては、当面、全区的にどの地域でも適用できるような共通のガイドラインをつくりながら、あとは住民を巻き込んで、多少時間をかけて、その地域に合った形の3段階、予防と発災と復興を合わせたものをつくっていきたい。もちろん住民参加と言いますように、地域コミュニティ計画だから、住民がいなければお話にならないわけで、神戸等のさまざまな経験を生かしてやっていきたいというふうに考えております。
○柴田 壽福祉部長 単に自立支援プログラムを受けないというだけでは、私どもとしては、指示違反として手配することはございません。たた、受けないことに関して、合理的な理由があるのか、稼働能力があるのに、しいて受けないというようなことがあれば、当然、稼働するようにという指示をして、そのあとそれなりの措置をさせていただくという形でやらせていただいているということでございます。