4、予算特別委員会の質問等(3月3日〜3月11日)

格差と貧困是正に区はとりくむべき
非常勤職員の劣悪な労働環境を改善
第2日目(3月4日) 針谷みきお議員

○針谷委員 それでは、質問に入ります。
 私の質問のテーマは、貧困の打開と格差の是正であります。
 雪が降りましても、ストーブも炊かずに部屋の中でマフラーをして我慢をしている区民がいるという話を、本会議でもしました。一生懸命働いても生活保護程度と、苦しい生活を強いられているワーキングプアという貧困層が増大していることも明らかになっています。
 そこで、この足立区の実態ではその辺が具体的なデータでどうなのかということを検証したいと思います。 「数字で見るあだち」の資料で、特別区民税の課税標準額段階別納税義務者数と所得割額をお聞きしたいと思います。
 まず、ちょうど平成元年、約18年前です。このときの課税標準額下位の60万円以下の方と、上位の500万円以上の方の1人当たりの所得割額はそれぞれ幾らか、お答えください。
○区民部参事(税制改正) 統計、すべて段階別に課税状況調べで出ておりますけれども、5万円以下は4,868人、1人当たりは1,928円の区民税の所得割です。
 10万円以下になると2,6……。
○針谷委員 私は60万円のところを聞いているの、60万円と500万円を聞いているの、ほかのところは言わなくていいから。
○区民部参事(税制改正) 60万円以下のところの人数は1万7,751人、1人当たりの所得割は1万5,297円です。500万円超になりますと、人数は1万3,853人、金額1人当たりの所得割は80万9,213円になっています。
○針谷委員 これを計算しますと、ちょうど18年前は最高部位の方といわゆる60万円、下位の人ですね、この差はそれでも52倍あるのですね。
 さらにちょっと聞きますと、18年度、このデータで比べてみたいと思います。18年度では若干この課税標準額の区分けが変わっていますので、見比べするのもちょっと難しい面があるのですが、下位と上位ということでお聞きします。
 100万円以下の方と上位1,000万円以上の方のそれぞれ所得割額は幾らか。金額だけでいいですから、解説なしで。
○区民部参事(税制改正) 人数は100万円以下だと8万3,810人で金額は1万6,443円、1,000万円超になりますと、人数は4,763人で金額は173万1,462円になります。
○針谷委員 これ割り返すと105倍になっているのですね。平成元年のときは52倍が、18年たつと105倍、区民の間でも、いわば富める者はますます富み、そういう状況が言えるのかなと思います。
  そこで、私、本会議ではOECDの調査で、税と社会保障移転に対する総体的な貧困率の削減効果というのを示しましたけれども、実はそれをやっているうちに、「週間東洋経済」、これが北欧はここまでやるという特集記事を組みました。お読みになった方もいらっしゃると思うのですが、そこでは、可処分所得というか、同じような問題を取り上げているわけですね。
 実はそれがこれなのですが、いわゆる所得の再配分前と後の比較ということで、北欧の国々の状況で、例えば所得の不平等を示すジニ係数というのを使って所得の平等性をはかるのでいいますと、OECD15カ国の中でノルウェーとデンマークが高い、平等性において最上位。日本もこの点では市場の所得分配では4位なのですね。ところが、政府による再配分後がありまして、そして最終的な可処分所得はどうなるのかというと、デンマークは2位、ノルウェーは3位だったのに対して、日本は9位と下がると。これは所得前と後の展開があると思うのですが、こういうことで全体として日本の所得階層が、市場から得た金額はある程度総体的に多いんだけれども、非常に政府の所得再配分機能が機能していないということで、「日本の格差社会は政府のせいか」と見出しが、この「東洋経済」では言っているわけですね。
 この辺はもちろん区政ですべて解決できる問題ではないんだけれども、やはり私はこの所得の再配分機能を重視することは非常に重要だろうと思うのですね。
 そこで、区長に問いましたところ、区長は税の所得再配分機能や社会保障の意義についても十分認識していると。施策の重点配分を勘案しなから個別に判断していくと答弁なすっているわけですが、私が聞いたのはちょっと違う角度なのですね。税の所得再配分機能や社会保障をいまよりも重視するのか。全然やっていないと言っているわけではなくて、いまよりも重視すべきなのか、いまのまま、現状でよしと考えるのかという答弁を区長に求めたので、ご答弁いただいていないので、改めてお聞きしたいと思います。
○区長 再質問のときも同じような趣旨のご質問があったかと思いますが、そのときも同じようにお答えいたしましたのは、十把一からげにいまよりも上げるとか下げるとかと申し上げるのではなくて、それぞれ個々に判断することが区長としての責任を全うすることだと私は考えております、と申し上げました。
○針谷委員 私が聞いたのは、限られた財源の中で個別に予算配分をするのは当然であって、我々も何も十把一からげで、それこそ、やみくもにふやしていくということを言っているわけではないのですよ。予算の優先順位を見直すという中の一つとして、福祉や社会保障をもう少し充実させる必要があるのではないかという観点で聞いているわけで、若干そこはかみ合っていないと思うのですが、時間がないので、その辺については今後また引き続き議論をしていきたいと思います。
 毎日新聞のコラム記事で「風知草」というのがあって、我が党の志位委員長の記事が載っています。これは2月8日の予算特別委員会の話で、皆さんもご存じなので、これ詳しく展開すると時間がなくなってしまいますので、この質問の最大の趣旨というのは、この10年間経済再生の名で労働者保護法制の緩和が進むと。その中で、コスト削減優先で非正規雇用がふえたと、そして低賃金で社会保険もないと、簡単に首を切られていると。これが大きな問題だということで事例も挙げて取り上げたわけです。
 2月の末になると、今度は国会で各政党を呼んで、労働者派遣法の抜本改正を求める院内集会というのをやられているのですね。そこでも同じように派遣で働く人の実態が出されて、本当にひどい話で、ここで出されているのは、薬品工場でやけどをしたが病院に行けとも言われなかったと。仕事ができないといわれて金属バットで殴られたと、派遣会社に報告したが守ってくれなかったと。これはひど過ぎる話ですけれども、そういう話も国会の中で、各党の委員が出る中で報告があって、そういうのを是正する必要があるということで、福田首相も好ましくないという答弁をしているわけです。
 そこで、足立区ではまさかそういうことはないだろうなとは思うのですけれども、しかし実態を見ると、若干疑わざるを得ない部分もあるということなのですが、まず区の職員の中でいわゆる常勤職員、これが3,830人全体の67%ですが、それ以外で再任用164人、再雇用288名、要綱非常勤職員というのがいるのですが、これが1,431名、全体の33%を占める。全体で区の職員5,713人がいる中でこういう状況になっているわけですが、これ以外にも住区センターの職員とか生涯学習振興公社のプロパー職員など、あと民営化委託ということを入れると、相当な数の人が、区の事業もしくはさまざまな活動をしているといえると思うのですが、そこで、私は要綱非常勤の問題を若干お伺いしたいと思うのですが、この要綱非常勤というのはいわゆる専門非常勤といわれているわけですが、これの法的な根拠というのがはっきりしていないのではないかと思っているのですが、地方公務員法で職員を置くとか、地方自治法でいろいろな定めはあるんだけれども、この要綱非常勤職員というものの法律上の規定というのは明確にはないと思うのですが、いかがでしょうか。
○人事課長 委員おっしゃるとおり、明確な規定はございませんけれども、法のまず自治法、それから、地公法で、そして要綱非常勤の場合は、地公法の特別職という規定に基づいて要綱非常勤が置かれております。
○ 針谷委員 そこで要綱をつくっているわけですね。

住区センターの従事者の労基法違反が是正
 ところで、最近住区センターの学童保育の従事者の労働環境でも問題があるということで、労基署から勧告がされたとお聞きしておりますけれども、どんな勧告がされたのでしょうか。
○住区推進課長 是正勧告の内容としましては、労働条件通知書の交付、時間外労働に関する協定の締結、また就業規則を労働基準監督署に届け出等を実施していないなど、全体で5項目でございます。
○針谷委員 これは問題ですね。
 それでちょっと話は戻りますが、要綱非常勤職員についても、いま指摘されたこともあるのかなと思うのですが、それは時間がないのでまた後でやりますが、区としてはどのような改善策をとられたのですか。
○住区推進課長 まず第1段階としまして、昨年10月に改善し、本格的には本年4月より労働基準法に基づいた雇用条件に変更するものです。その主な内容としましては、労働条件通知書や時間外労働に関する協定等の締結など、是正勧告についての改善のほか、従事者の時給単価を現行の790円から930円に改定、また週の従事時間につきましては、3日24時間以内という1種類だけから、週3日、4日、5日と選択できるようにし、従事規則を就業規則に改め、雇用保険に加入するなどでございます。
○針谷委員 そうすると、職務も選べるということで、これは我々前から言っていましたけれども、パートでいいとか、旦那さんの扶養の中で金額が多くなると扶養がなくなってしまうような人もいるけれども、実際生計の主になるような人もいるという中で、本来ならば希望者に応じて正規職員化ということも提案をしてまいりましたが、若干の前進といえるかなと思っています。
 次に、要綱非常勤に戻りますが、要綱非常勤というのは就業規則をつくっているのでしょうか。
○人事課長 要綱非常勤については、これは平成9年の段階ですけれども、労基署の方から就業規則を提出するようにという指示がございました。このときの指示が、勤務条例、それから、勤務に関する規則、要綱、それら一連の関係を提出することを労基署の方で了解を得ております。
○針谷委員 私が聞いているのは、すべて出しているわけではなくて、出している職場もあれば、出していない職場もあると聞いていますが、事実関係はどうなのですか。
○人事課長 恐らく委員のおっしゃるのは、三六協定の関係ではないかと思うのですね。
 例えば三六協定というのは、これは出先の業務系を抱える職場でありますと、休日労働ですとか……。
○針谷委員 それはわかっている。出してあるのか、出していないのかと聞いているんですよ。
○人事課長 これについては、いま人事委員会の方から提出するように、そういう指示が来ております。
○針谷委員 そうなのですよ。やはりこれは労基法89条違反になってしまうので、直ちに是正しなければならない問題だろうと思うのですよ。
 そこで、非常勤職員についても違法行為と思われるような働かせ方という事例があります。若干申し上げますと、例えばステップアップ講師の働かせ方、これ時給2,500円ですよね。そして1日6時間以内で週20時間以内となる。月の限度額20万円に行くか行かないかですが、この教員資格を持つ主に若い人が、この給料で果たしていいのかという問題はあるのですが、それよりも大きな問題としては、例えば1時間目の授業で3年1組を見てくださいと見ると、しかし2時間目はないと、3時間目はまた3年2組を見てくださいと。こういうことになりますと、そのあいた1時間は家に帰るわけにもいかない。だから結局学校に残っていろいろいな授業の準備などをする。本来文科省も授業の準備には、教員は1時間の授業には1時間の準備が必要だといわれているわけですけれども、この授業の準備とかその他点数をつけるとか、丸をつけるとか、そういうことに関しては実際には保障されていない。
 本人が頑張っているという側面もありますけれども、事実上のいわゆる超過勤務になってしまっているのではないかと。サービス残業とまで言えるかどうかわからないけれども、実体の問題としてそういう傾向があるのではないかと思うのですね。
 例えば日曜日に学校行事があるということになりますと、本来仕事はないんだけれども、例えば校長先生が将来教員採用試験に受かりたいというのであれば出てきた方がいいかもしれないよというけれども、断りきれないから行ってみると、勉強にはなるけれども、無給でいろいろなお手伝いをすると、こういうことがあると思うのですね。

非常勤職員の賃金 平均14〜15%アップ
 いろいろな職場、非常勤職員の実態を見てみると、非常勤の栄養士の話もあるのですが時間がないので省きますけれども、私はこういう当然のように超過勤務をやるような実態というのが、非常勤職員の中に相当あるのではないかと思うのですけれども、これについての改善策を区では考えているのでしょうか。
○人事課長 非常勤職員の勤務条件を適正にしていく、これは管理者の責任と思っております。
 先般も昨年11月に人事制度改革の緊急提言を出しましたけれども、この中でもこの辺の勤務要件をきちっと是正していく、こういう考え方を明確に打ち出しております。
○針谷委員 具体的にはどういうことになるのですか。
 具体的には、賃金のアップとか、そういうことがやられるのですか。
○人事課長 先ほど申しました緊急提言に基づいて、今回も財政課の方で臨時職員の賃金をアップしたり、また、再雇用の要綱非常勤の報酬改定、こういうふうにつなげていったということで、暫時この辺の改善を進めていこうと考えてございます。
○針谷委員 人事課長に聞いてもしようがないから、予算課長、具体的な事例を挙げてお答えください。
○財政課長 ステップアップ講師が委員の方で例示をされましたので、ステップアップ講師に限って申し上げると、現行2,500円を2,650円という形で改定するということを……。
○針谷委員 何個か言ってください。
○財政課長 例えば他には緑化事業推進、これは新設でございますけれども、これら21万円の職を設置申し上げたりとか、それから、現行18万4,000円でお願いをしてございます学校の栄養士、これについても月額ございますけれども19万3,000円にしたりということで、平均で申し上げると十四、五%報酬賃金その他については改定をさせていただきたい、こういうことで予算の中には盛り込ませていただきました。
○針谷委員 最後になりますが、今日貧困と格差の是正を区が本気になって取り組む姿勢を示してほしいという立場で質問しました。やはり人間を使い捨てするような雇用というのは、企業にとってみれば、当面はいいかもしれないけれども、中長期的に見れば決して社会に与える影響はよくないと思います。時間がないので、以上で質問を終わります。