4、予算特別委員会の質問等(3月3日〜3月11日)

子ども医療費入院給食費、妊婦健診、障害者支援について
第2日目(3月4日) 浅子けい子議員

○委員長 次に、共産党から質疑があります。
 浅子委員。
○ 浅子委員 2日目の最後になりますが、頑張りますので、ぜひ質問に答えていただきますよう、よろしくお願いをいたします。

子ども医療費入院給食費も無料に
 私は、まず子育て支援について質問いたします。
 平成19年度版少子化社会白書によると、未婚者の9割はいずれ結婚したいと考えていて、希望子ども数の平均は男女ともに2人以上となっています。ところが、現実に持ちたい子ども数はゼロ人とする人が3割を占めているそうです。婚姻率も落ち込み、晩婚化が進行し、現実には子どもを持ちたいという希望は高いのに、現実との乖離があらわれています。このことを解消することが、少子化の流れを変える大きな課題だと思います。
 少子化問題は、子どもが少なくなっているから問題というよりも、子どもを産みたいと思っているのに、産むのを控えるという状況が問題なのだと思います。
 政府は、希望実現を妨げる要因の除去のためとして、一つに家族政策制度の国際比較、そして二つ目に働き方のあり方など検証してきました。
 そこではっきりしてきたのは、大きく立ち遅れた日本の子育て、家族政策の実態でした。家族関係の社会的支出の国内総生産比はスウェーデンが3.54、フランス3.02、ドイツが2.01に対して、日本はわずか0.83、3分の1ないし4分の1という低さになっています。フランスでは各種の福祉制度や出産・育児の税制を整備したり、子どもが多いほど課税が低くなるというような制度を導入するなどして、合計特殊出生率を2.07まで引き上げました。日本でも社会的支出を、現在の2倍を超えるお金を使うならば、フランスと同様の政策を実現することができ、少子化への支援となると思います。
 また、働き方をめぐっても、正規労働者の長時間労働と非正規労働者の低賃金という二極化の構造が、結婚、出産、子育ての重大な障害になっていることが示されました。
 こうした点から見ても、区が子育て支援を充実させていくということの役割は非常に大きいと考えますがどうでしょうか。
○子育て支援担当部長 区として子育て支援対策を重視していくことは、大変に重要なことだと思っております。
○浅子委員 我が党はこれまでも子育てが楽しいとか、嫌なことも失敗もあるけれども、ああこの子と出会えてよかった、人生の宝物をもらったと思えるよう、子育て世代を応援してきました。昨年10月から始まった中学3年生までの子ども医療費助成の実現は、子育て世代にとても喜ばれています。
 対象になったある中学生は、1人で医者に行くとき、いちいち幾らかかるか心配せず、お金を持たずに行けるので大変喜んでいます。昨年、この制度が始まってからいままでの利用状況はどのようになっていますでしょうか。
○子育て支援課長 予算金額で申し上げますけれども、18年度の決算で見ますと約16億円、これは乳幼児医療でございましたが、10月から小学校1年から中学校3年までの医療費がこれに加わった形になりますので、その差は、見込みを含めまして約6億円増加でございます。
○浅子委員 大変皆さんが喜んでいることがわかるかと思います。
 現在、区の子ども医療費助成の範囲は、保険適用に限定されていて、入院給食費は助成の対象になっていません。今回の本会議で我が党の質問に、「保険診療の範囲外の給食費を助成の対象とすることは考えておりません」と答弁しています。12区が既に保険適用外の入院給食費も助成をしていますが、早くから助成に取り組んでいる北区では、「子育て支援、とりわけ子ども医療費が以前から重点的なものと考えてきた」と、私が質問しましたところ、当然のように答えていました。
 こうした区と比べても冷たい答弁だと思いますが、なぜ本会議でこうした答弁をしたのでしょうか。検討する考えもないのでしょうか。
○子育て支援課長 本会議でご答弁申し上げましたとおり、いま足立区では負担の多い保険医療の方に支援をしたいということでございまして、保険適用にならない食事代については、支援の予定はございません。
○浅子委員 保険適用に限ったということですが、入院給食というのは、家庭で食事をするのとは違います。例えば糖尿病など病気になって入院した場合には、食事そのものがいろいろ医療の一環として取り組まれるものであります。そういう点で、入院給食費も保険適用外にはなっていますが、子ども医療費助成の中に加えるべきだと思います。
 また、お金がかかり暮しが大変な子育て世代、そこに応援をするという点でも非常に大事な施策だと思います。その点ではどう考えるでしょうか。
○子育て支援担当部長 入院の給食費でございますけれども、食事につきましては、浅子委員ご指摘のようなものもございますけれども、家にいても食べるものですので、基本的にほかの施策も含めて食事代については出していないという考え方のもとに、こういった結果になっているところでございます。
○浅子委員 もう一つ、ちなみに、子どもの1カ月の平均入院件数というのは、何件になっているのでしょうか。
○子育て支援課長 現在、入院と通院の件数というのが分かれて請求が来ておりませんので、19年の4月から9月まで、いわゆるまだ全面的に補助制度が始まる前の入院費だけを補助した時期がございますが、その6カ月間の件数について申し上げますと、321件という数字が出ております。ですので、これを1年にしますと約600余件数になるかと思います。
○浅子委員 我が党の予算修正案では、先ほどお話のあった平均入院件数で1食につき260円の入院給食費ということで試算をいたしました結果、わずか600万円あれば実現可能なものということを明らかにいたしました。
 子ども医療費助成では、23区中最後の方で実現をしたわけですが、子育て支援に力を入れるというならば、入院の給食費助成もできないということではないと考えます。入院給食費も子ども医療費助成の中で実施をして、子ども医療費助成の完全実施を求めて次の質問に入ります。

14回にふえた妊婦健診は、他県でも使えるように
 次に、妊婦健診について質問をいたします。
 妊婦健診に関しては、2003年の本会議質問で、妊婦健診の公費負担、回数増を求めて以来、一貫して日本共産党は取り組んできました。そして、この公費負担で4月から14回実施されることが明らかになりました。当初5回の予定でしたが、非公式ではあるが23区では17区、現在はもっとふえていると思いますが、14回制をとっていた。昨今の健診費用負担などの問題から、妊婦健診未受診のまま飛び込み出産する妊婦や、その胎児への負担といった深刻な社会問題にもなっているということを理由に、14回にしたと言っています。
 我が党が実施している区民アンケートでも、「育てるのはもちろん、産むときにもお金がかかるので、子どもを持つことをためらってしまう」とか、「夫と私の少ない収入で何とか生活しているけれども、2人目の子どもを産むのは考えてしまいます」といった声も寄せられています。
 そこで伺います。足立区は東京の北東にあり、他県とも隣接しています。例えば入谷に居住している人が川口で健診をしたいと考えたとき、東京都外でこの受診票を使うことができるのでしょうか。
○健康推進課長 現在受診票は東京都内に限り共通になるように協定されておりますけれども、都外に関しては、その受診券は使えません。
○浅子委員 昨日もこうした質疑をされたかと思いますけれども、そうしたときに都外では里帰り出産というものがありますというお話があったようですけれども、この里帰り出産ですけれども、都外で使えるものですね。これは、いま区内商品券によって助成がされていると思いますが、今度妊婦健診が始まった場合、この点ではどのようにしていこうと考えているのでしょうか。
○健康推進課長 14回にふえましても、都内共通券であるという状況は変わりありませんので、原則隣接する北区や葛飾区でも使えますので、できるだけそれを使っていただくということが原則となります。
 ただ、北海道、九州等に里帰りされる場合を考えまして、妊婦健診受診票が2枚のときから、足立区としてはそういった里帰りのためにお使いになれなかった受診券を、妊婦健診を受けたという証明と使わなかった受診券を持っていらした方に、区内商品券をそれ相当分のお値段を差し上げていたという経緯がございます。
 それの要綱が現在2枚分になっておりますので、14枚になるに当たって、そういった点の見直しも必要かと考えております。
○浅子委員 足立区に在住にもかかわらず、出産時に東京都内、東京都外で格差が生まれることのないようにすることが必要だと考えます。
 4月から公費負担で14回実施する他の区を見ますと、例えば千代田区では受診票は5枚交付して、そしてほかに現金で4万5,000円を支給するとか、渋谷区では受診票は5枚交付して、そのほかに現金を5万円支給するという方法もとっています。こうした柔軟な活用ができるように考えている区もありますけれども、足立区もこうした事例にならい、都外でも柔軟に活用ができるよう改善する考えはないでしょうか。
○健康推進課長 受診券を14枚という形でさせていただくと同時に、超音波券2枚といった形で、できるだけこれで受けていただくということで枚数をふやしておりますので、この範囲で受けていただきたいと考えております。
○浅子委員 妊娠したときからお金がかかって、妊婦健診は負担感が大きいと、公費負担の回数増を求める声も大変に大きくなっている今日このごろです。そして安心して妊娠出産ができるよう、区民の声にこたえるよう、さらに柔軟な活用ができるように改善をしていくように求めていきたいと思います。

障害者自立支援法のなか、区の責任を問う 
 次に、障害者問題について質問いたします。
 区は2005年の我が党の質問に、障害者福祉というのは、基本的には、例えば競争する場合に、スタートラインにまだ立っていないという形なので、さまざまな施策などが必要だと認識しています。施策を補って初めてスタートラインに立てることを答弁しています。いまでもその考えに変わりはないでしょうか。
○福祉部参事(障害福祉担当) 済みません。その答弁は把握していないので答えられません。済みません。
○浅子委員 これは2005年の決算特別委員会で、日本共産党の質問に対して、そう答弁をされているのですね。
○福祉部参事(障害福祉担当) スタートラインという言い方がどうなのかということです。障害をお持ちの方でも、すべてがマイナスの面ではなくて、ある機能のみ多少不自由な部分があるけれども、そうでなくて優れているものもいっぱいあると思われますので、私は、障害をお持ちの方イコール押しなべてスタートラインより手前にいると考えたことはございません。
○浅子委員 障害者自立支援法が実施されてから、まもなく2年になろうとしていますが、障害者やその家族、障害者支援施設や事業所の運営に深刻な影響を及ぼしています。とりわけ応益負担の導入が障害者の現在の生活と将来について深刻な不安を与えています。実際厚生労働省の調査によっても、施設利用を中止せざるを得なかった人は、全国で1,625人に上るといった実態も明らかになっています。
 また、報酬単価の引き下げと日払い方式への変更で事業所経営を脅かし、職員の労働条件を引き下げ、退職者の増加や職員を募集しても応募者が少ないなど、人手不足が深刻になっていると聞いていますが、区として何か考えていることはあるのでしょうか。
○福祉部参事(障害福祉担当) 自立支援法の大きな趣旨の一つに、地域で暮していく、しかも教育、生活、就労をつなげていくという考え方がございます。そういったところには大きな力をそそいでいきたいと思っております。
 利用者負担等の制度の問題については、国の方で制度の見直しなどを検討されているので、その様子を見守りたいと思っております。
 職員の人手不足につきましては、区の施設の中でも公人の運営施設において募集しても応募が少ないという現実がございます。規定を改定いたしまして、給与などアップして次年度に臨もうとしておりますが、それにおきましても、十分な数がそろっていないという現状がございます。
 ここにつきましては、一障害福祉課が、あるいは区がという問題で対応できることではないのではないかと私は考えております。介護報酬の改定など、障害施策についての国の見直しを待ちたいところです。

重度障がい者巡回入浴サービスは無料に戻して!
○浅子委員 国の施策を待つというのではなくて、やはり実態をきちっととらえて、区でもやれる支援をしていくのが必要ではないかと思うのです。
 次に、障害者自立支援法で自立支給給付と地域生活支援事業、これは区が運営をしています。この4月から地域生活支援事業の中の身体障害者巡回入浴事業は、無料で実施してきましたが改定をされることになりました。障害者自立支援法の給付事業の利用者負担が原則1割負担なので、他の給付事業との均衡を考慮して利用者原則1割負担にしたと回数増はありましたが、区は言っています。この改定により、どのように制度は変えられるのか。
 また、利用者はいま何人いるのでしょうか。
○福祉部参事(障害福祉担当) 制度の変更は、基本的には同じサービスを受けられることになります。これまで無料だったので、金銭の受け渡しについては、業者と利用者の間になかったものですが、これにつきましては、銀行口座自動引き落としという制度を利用した方法を検討しております。
 利用者につきましては、現段階で56名になっております。うち、20年度につきましてのご案内を2回に分けて各利用者に送付しました。その結果、1名から辞退の申し出がありました。辞退の理由につきましては、利用料の導入ということと、今回の入札におきまして、事業者がこれまで5事業者が受け持っていたところ、2事業者が辞退されて3事業者になってしまって、要するになれた事業者がこの事業の担い手でなくなったので私はこのサービスを辞退しますということで、この方は児童扶養手当受給者なので、18歳未満の障害をお持ちの方から、そういう反応がありました。
○浅子委員 厚生委員会の報告では、昨年ですけれども利用登録者が52人、入院や死亡を除き実際に33人の方が限度いっぱい使って利用しているという報告がありました。回数をふやすことは、利用者からの要望が多かったことは理解できますけれども、有料について、利用者からの声は聞いているのでしょうか。
○福祉部参事(障害福祉担当) 聞こえたのが、先ほど申しました1点だけ、電話で声を寄せていただいたという状況で、そのほかについては、私の耳にはまだ届いておりません。
○浅子委員 厚生委員会の報告では、1月に通知を出したときに、二人の方から電話が入りましたというお話がありました。私の知り合いで肢体不自由児第1種第1級の52歳の息子さんを抱える方がいらっしゃいます。この方は、1月に利用回数変更及び自己負担金についての通知を区が出したときに、電話をしたという方です。
 「回数がふえるのはいいけれども、お金がかかるというのはどういうことですか、皆さんだって夏の暑いときには、毎日でもおふろに入りたいでしょう。息子は1人では入れないのです。回数がふえるのはいいけれども、有料になるのは困ります」というような趣旨の話をしたと言っていました。
 この声にこたえて、もとに戻す、無料にするという考えはないでしょうか。
○福祉部参事(障害福祉担当) 申しわけございませんが、その考えはございません。
 前の質問のときにも答えましたが、基本的にこのサービスを利用できる方は国の手当、都の手当、区の手当の受給者でございます。一番多い方で1カ月18万円、その中で自立支援法によるサービスをさまざま受けられていらっしゃいます。そのサービスを受けるときには、基本的には利用者負担、もちろん上限額はございますが、利用者負担をいただいているところなので、今回はその制度の整合性を図ったというものであって、ここだけ特段にというものではございません。
○浅子委員 入浴をするというのは、生活の基本に当たるものだと思います。
 先日テレビで、末期がんを患って在宅介護で死を迎えるというテーマを扱った番組を見ました。80数歳の死を間近にした奥さん、その願いは、おふろに入りたいということだったというのですね。何とかその願いをかなえて上げたいと、巡回入浴の利用を思い切ってして、そうすると入浴後はとても満足げな様子になったと。そして、お医者さんがどうでしたと言ったら、気持ちよかったと。テレビでも本当に気持ちよさそうに映っていたのですけれども、お医者さんがさらに進めて、今度は少し横にずっと寝たきりなのですけれども、ちょっとベッドを傾けてみようじゃないかというと、本人もその気になってきたということで、少しずつ、少しずつ毎日起きるようになったということが報告されていたのです。
 やはり生活の基本ということで、生きる意欲につながるんだなと思うのです。日常の生活の一つである入浴が、人間にとってどんなに大切なものなのかということが、私はそれで感じたのですね。
 重度心身障害者というのは、1人では入浴ができないので、こうしたスタートラインに立つための制度だと思うのです。それを、1回入浴するごとに利用料として1割を払わなければならない。それは、先ほど都や国から助成や補助をもらっているからだとは言いますけれども、私が先ほど電話をしたという方などは、80歳を超えるお母さんと二人暮しなのですよ。そういう方にさらに負担をかけるというのはどんなものかと、私は感じます。そういう点では、やはり体の不自由な人には、本当に人間としての尊厳を最後まで保つ、それを支援するのが区の仕事ではないかと考えます。
 地域生活支援事業というのは、そもそも区の裁量でできる、実施できるものなのです。区の姿勢が問われると思います。

原油高騰で苦労している通所施設に助成を
 次に、通所施設について伺います。
 原油や原材料の高騰、また諸物価の値上がりがじわじわと通所施設にも影響を及ぼしてきています。クッキーをつくって販売しているところでは、バターが値上がりして困ったという話を聞きました。これから小麦粉も上がります。クッキーを入れる袋も上がります。ある施設では、値段に転嫁できないと、12月からクッキーの大きさを一回り小さくしたと言っていました。
 私もほかの方と同じように持ってきました。これが11月までのクッキーです。これが12月からのクッキーです。一回り小さくして値段には転嫁できないということで、努力をされているのがわかります。値段に転嫁できないという施設は本当に大変なのですね。こうした通所施設の声を聞いて、緊急に対策をとるという必要があると思いますが、どうでしょうか。
○財政課長 およそ原油高につきましては、あまねく通所施設だけではなくて、他の産業界全般にわたって影響しているものでございまして、通常であれば価格に転嫁をして、消費者にその部分についての負担をいただくということでありますけれども、なかなか通所施設では負担が難しいということであれば、そこは経営努力で、その価格上昇分飲み込むという努力されるというのは、これは至極一般的なことだろうと思っています。したがいまして、特段の区からの支援というのは、現在のところ考えていないというのが現況であります。
○浅子委員 一般の商店とは違いますから、ちょっと冷たい答弁だと思います。
 また、ある利用者を送迎している施設では、足立区の広い範囲に利用者が点在し、1日朝夕で60キロ走行しなければならない。どうしても1週間に1回の給油が必要だと言っています。そうした施設に対しても、原油高騰の緊急支援を行うべきだと思いますが、どうでしょうか。
○財政課長 先ほど随分申し上げたとおりでございまして、一般的には利用者ないしは消費者の方にその価格等分が転嫁されるというのが現況でありますけれども、残念ながらいまのところ特段の原油高について、とりわけ通所施設の方々に対する補助制度を充実する、ないしは新設する考え方は持ってございません。
○浅子委員 社会福祉施設とか、本当に一般の健常者とは違う、それで働くことで生きがいも、喜びも生まれるようなところで、ぜひ同じように考えないで、助成を、補助をいち早くしていただくように求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。